moon Gamer - ボードゲームブログ

テーブルゲーム(ボードゲームやカードゲームなど、電気を使わないタイプのゲーム)と、その周辺の話題を中心にした記事や写真を広く公開している個人ブログです。

武蔵小杉ゲーム会 / 2019-06-02

6/2(日)は、超高層マンションが林立する武蔵小杉にて開かれるゲーム会にお誘いいただきましたので、そこへ参加してきました。参加者は、主宰のPHYさんうがあさん一味さん 、そして僕の4人です。あまりにも楽しい時間を過ごせたこともあって、およそ2年半ぶりにこのブログへ記事を投稿しました。


Age of Steam Expansion: Kansas City Interurban / Strang Line Games

のんびりリハビリのつもりが、いきなりラスボス登場。

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「Kansas City Interurban」は、ワレスの名作「蒸気の時代」の拡張マップです。武蔵小杉に降り立ったのは12年ぶりくらいでしたが、「蒸気の時代」をプレイするのもそれと同じくらい久しぶりのことでした。

この拡張マップは2018年製ですので、わりと最近のプロダクトです。「蒸気の時代」や「スチーム」の拡張マップは、近年になってもまだ、主に小規模なパブリッシャーから発売され続けているようで、根強いAoSファンが世界中でまだがんばっています。そういえば、本体もたまにリメイクされて話題になったりしていますね。

「Kansas City Interurban」は、20世紀初頭に台頭し1930年代に自動車産業との競争に敗れて衰退したインターアーバン(都市間電気鉄道)が背景になっています。インターアーバンについての詳細はWikipediaに詳しく記述されていますので、ご興味のある方はどうぞ。

インターアーバン - Wikipedia

この歴史事情を踏まえ、カンザスシティ周辺を舞台にして、この地におけるインターアーバン業界の栄枯盛衰をモチーフにしたのがこの「Kansas City Interurban」です。

さて、「蒸気の時代」拡張マップのお楽しみといえばもちろん特殊ルールです。以下、「Kansas City Interurban」の特殊ルールについてざっくり説明すると以下のようになっています。

◆発電所
エンジントラックを使用せず、代わりに「発電所(Power Plant)」を建設することで輸送可能なリンク数が増加させます。具体的には、発電所1基で2リンク分の輸送が可能となります。たとえば、6リンクを輸送するには3基の発電所が必要です。そして発電所は最大6基が建設できますので、本拡張ではなんと最長12リンクもの輸送が可能となります(通常ルールでは最長6リンク)。

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発電所は、1ターンに1回だけ、商品輸送フェイズで商品を輸送しない代わりに5ドルを支払って1基を建設することができます。この「5ドル」というのは株式1株分ですから、「蒸気の時代」を1度でもプレイしたことがある方なら、特に序盤において、これがどれだけシビアであるかがおわかりいただけるのではないかと思います。ちなみにゲーム開始時の発電所の数は「ゼロ」です。ようするに、鉄道会社のスタートアップを、発電所を建てるところから始めるということです。しんどいです。

◆最長輸送リンク数
商品を輸送するために使用した、現時点で最も長いリンク数を、プレイヤーごとに記録した値です。たとえば、あるプレイヤーが第1ターンでまず発電所を1基建設(最長リンク数は2リンク)した後、1リンクの輸送を完了したとしましょう。このプレイヤーの最長輸送リンク数は「1」と記録されます。続いて第2ターンで、2基目の発電所を建設(最大リンク数は4リンクに増加しました)した後、3リンクの輸送を完了しました。したがってこのプレイヤーの最長輸送リンク数は「3」に更新されました。

ではなぜこれを記録するのでしょうか。それは、プレイヤーが輸送する際に利用するリンク数は、現在の最長輸送リンク数以上でなければならない、という制約が課せられているためです。

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上の例でいえば、発電所2基なので最長輸送リンク数は「4」で、現在の最長輸送リンク数は「3」です。上述の規定により、このプレイヤーが次の商品輸送の機会に商品キューブを輸送するためには、「3」リンクか「4」リンクを使って輸送を行わなければなりません。したがってこのプレイヤーは、もはや「1」リンクや「2」リンクの輸送が行えなくなります。※ただし最終ターンは、例外としてこの制約が解除されます。

まとめると、輸送のためのリンク数は、上限が「所有する発電所の2倍まで」で、下限が「現在の最長輸送リンク数以上」という縛りが課せられている、ということです。当時のインターアーバンを取り巻く激しい企業間の競争をシンプルに表現しており、また同時に、本作の特徴をよく表した特殊ルールといえます。しんどいですけど。

◆自社線路のみ
輸送にはまだ制約があります。商品輸送には自分の線路しか使えません。他人の線路を使った輸送は認められないのです。このルールが歴史的背景と関連があるかどうかは不明ながら、「蒸気の時代」でよく話題になる、いわゆる「キングメーカー問題」が、このルールによってある程度は改善されています。とはいえしんどい。

◆2つのカンザスシティ
実在のカンザスシティと同様に、本作には「ミズーリ州のカンザスシティ」と「カンザス州のカンザスシティ」が1マスずつあって、隣り合っています。2つのカンザスシティの間では、手数料1ドルを支払うごとに商品1個を転送することができますし、輸送途中にこの有料の転送を利用することも可能です。しかし、この転送はリンク数にも収入にもカウントされません。2つのカンザスシティの「壁」を商品が越えるには、単にそれだけで1ドルの手数料がかかってしまうということです。これが地味にしんどかったです。

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◆全ての線路はカンザスシティに
どのプレイヤーもカンザスシティから線路を敷き始めなければならず、また全ての線路はカンザスシティにつながっていなければなりません。このため、カンザスシティ周辺は土地の奪い合いになりますし、この日のゲームでは実際にそうなりました。しかも、カンザスシティ周辺は線路敷設コストが4ドルと高く設定されていたりします。ほんとしんどいなー。

他にも既存のアクションと置き換わる独自アクションなどあります。本作は、特殊ルールの分量がやや多く、マップの広さがA2サイズということもあって、比較的大がかりなタイプの拡張マップです。

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この日のゲームは、事前に誰もが想像したとおりに、序盤から重苦しい雰囲気で始まりました。とはいえ、重圧に満ちた苦悩からどうにかして打開を図ることは「蒸気の時代」の大きな魅力であり、それが本作の特殊ルールによって強調・濃縮されているように思えました。いい感じです。

世知辛い世界に頭を抱えつつも、序盤から中盤の入り口にかけての艱難をどうにか乗り切ったと自分では考えていましいたが、そこでひと安心していろいろと甘くなってしまったようです。終盤にかけては失速してしまい、最終的には最下位に沈んでしまいました。

上述したカンザスシティ間の転送コストを軽視し、これを横断する形で長距離リンクを構築したのがそもそもの間違いだったこともありますが、いやーみなさんおつよいです。初手から隙の無い好手がそこかしこで連発して、ボードゲームそのものから足が遠のいていた身には、それらを間近で見られただけでも眼福でした。

この結果はさておいて、僕自身は「Kansas City Interurban」を長時間にわたって集中して楽しめましたし、卓を囲んだ方々にも好評だったので大満足でした。これは「蒸気の時代」ファンにおすすめできる面白い拡張マップです。機会があればぜひお試しください。

この拡張マップは、現在でも販売されているようです。
https://www.heavycardboard.com/store-1/dual-sided-age-of-steam-map
※僕は、1年ほど前にひだりさんが呼びかけておられた共同購入で入手しました。

この商品は両面で異なるマップになっています。この記事で紹介した「Kansas City Interurban」の方は、ルールを日本語に翻訳してBGGに投稿しましたので、よろしければ拙訳をご利用ください(翻訳と公開については、いずれもデザイナーの許諾をいただいております)。

Rules translated into Japanese - BoardGameGeek
https://www.boardgamegeek.com/filepage/181886/rules-translated-japanese


Raccoon Tycoon / Forbidden Games

キックスターター発のアライさん。

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続いて、PHYさん持ち込みの経済ゲーム「Raccoon Tycoon」を遊びました。セットコレクション、オークション、特殊効果、商品相場などがひしめき合いながらもプレイ感はライトという、外面的にはいかにもな当世風の一品です。僕は知らなかったのですが、本作はキックスターターで出資を募っていたプロダクトだったそうです。また、本作の拡張についても同様に出資を募集していたようですね。基本セットはリテール版がAmazon.comで販売されていました。

本作の資源は、6種類の商品(麦、木材、鉄、石炭、工業製品、嗜好品)とお金です。主な得点源は「鉄道カード」と「街カード」です。規定の資源を支払って得点源のカードを「買う」ことで、プレイヤーは得点を獲得することができます。そして、このような資源を大量に入手しやすくしたり、あるいは追加で得点源をもたらしたりする特殊効果を持つタイルが「生産ボーナスタイル」と「特殊建物タイル」です。このゲームは、大別してこれら3種類(資源・得点源・特殊効果)の要素によって構成されています。

プレイヤーは手番で、選択可能な5つのアクションからひとつを選ぶだけです。商品を獲得するか、商品を売って現金収入を得るか、得点源カードのどちらかを獲得するか、あるいは特殊効果タイルをお金で買うかのいずれかです。

商品を獲得するには手札のカードが必要で、これによって獲得可能な商品の候補と、価格が上昇する対象の商品が決まります。そして商品を売れば、その商品の価格は下がります。得点源である「街カード」は資源を支払うことで獲得できますし、「鉄道カード」はお金による競売によって入手を試みることができます。

資源の獲得と消費を地道にくり返しながら、獲得した特殊効果が徐々に積み上げられ、ゲームが進むにつれて加速的に取引が大きく派手になる拡大再生産のエッセンスが、わかりやすく上手に詰め込まれています。革新的なシステムはどこにも見当たりませんが、だからこその揺るぎない安定感はなかなか快適でした。

この日のゲームで僕は、たまたま最初の鉄道カードの競りが上手くいった(自分以外の人たちが所持金が少なくなったタイミングで自分の手番が回ってきた)ことを足がかりにして、これを積極的に集める方針に決めてみました。ただまあ、最後までそれにこだわり過ぎて、建物タイルを軽視しすぎたのは、やはり雑だったみたいです。

手持ち資源がショート気味になった終盤にはかなり出遅れた感じになってしまったこともあり、周囲が十分な資源を獲得して得点を伸ばそうとしていたくらいのタイミングで、自ら終了トリガーを引いてゲームを終わらせました。結果的に、総得点は自分が思っていたほど低くはありませんでしたが、同点タイブレークで敗れて、やっぱり最下位となりました。あぁ…。まーこれはしょうがないです。

「Raccoon Tycoon」は、現在のボードゲーム市場におけるボリュームゾーンへ十分な訴求力を持ったメジャー指向の作品に見えました。保守的なメカニクスを組み合わせた構成に目新しさは見られませんが、その代わりに、誰もが安心して遊べる手堅い面白さを備えたゲームです。

なお、本作ルールの日本語訳を作成してBGGで公開している方がいらっしゃいましたので、今回はありがたくこれを使わせていただきました。ありがとうございました。
https://www.boardgamegeek.com/boardgame/254386/raccoon-tycoon


Pearls (パール) / ABACUSSPIELE

ゲーム会の最後を軽いゲームで〆るのは昭和にもあった伝統です。

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ということで、一味さんが持ってきた「Pearls (パール)」を最後にプレイしました。場の同種カードを全部取るか、手札の同種カードを全部出すかの二択という、シンプルなカードゲームです。最後に順位をよく確認しなかったのですが、たしか3位くらいだったような。
https://www.boardgamegeek.com/boardgame/269069/pearls


レポートは以上です。

最後は次の予定決めなどおしゃべりで楽しい時間を過ごした後、帰路につきました。翌朝に体重を計測したら、1日で2kg近くも減っていて、どんだけゲームに集中してたんだよと思いましたw ともかくも、次はできるだけ最下位にならないようにがんばります。お疲れさまでした。

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12DaysOfChristmas

このエントリーは、ボドゲ紹介 Advent Calendar 2016 の24日目です。

✝ 概要

「12 Days of Christmas (クリスマスの12日)」は、2015年にEagle-Gryphon Gamesから発売されたKickstarter発のカードゲームです。3人から最大で8人まで遊ぶことができます。

クリスマスパーティなど、たくさんの人が集まる場で、誰もが楽しめるゲームのひとつとして、本稿ではこの「クリスマスの12日」をご紹介いたしましょう。

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ウォーゲームのコンテキスト

このエントリーは、Board Game Design Advent Calendar 2015 の24日目です。

要旨

本エントリーは、ウォーゲームとユーロゲームで、それらが持つ性質の相違点を説明するために書かれました。概論を越えるものではありません。それぞれのゲームジャンルにおいて、例外的な事柄は省いた上で、一般的な傾向の違いを総別し、簡潔に解説することを優先しました。

対象となる読者は、ふだんは主にユーロゲームをプレイし、ウォーゲームのプレイ経験が浅いか、あるいは無い日本人ゲーマーを想定しています。

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ルール石炭輸送

このエントリーは、ボドゲ紹介 Advent Calendar 2015 の1日目です。

◆ルール川の水門はドイツ産業革命の扉を開けた

18世紀後半のドイツでは、ルール川を水運として活用し、ルートオルトに向けて石炭が輸送されるようになった。だが当時、ルール川の途上には複数のダムが設けられていたため、それが運行上の障害となっていた。それらの地点では、石炭を艀(はしけ)から艀へと移し替えなければならず、その工程で発生する振動や衝撃によって石炭が粉砕してしまい、品質の低下を招いていたのである。

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Credit: Hogenberg / CC BY-SA 3.0

この対策として編み出されたのが「水門」であった。ヴィッテンからルートオルトの間には、14箇所以上の水門建設が計画され、そして実際に建設されこととなった。これにより、石炭輸送のインフラとしてルール川の利便性が高まることとなり、19世紀末まで重要な存在であり続けたのである。やがて時代が進むにつれ、その役割は徐々に鉄道に取って代わられてゆく。

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レイメイ期-3

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2014 の24日目の記事と、本ブログ「レイメイ期のウォーゲーム」の第3回目のエントリーとを兼ねて書かれました。

本エントリーでは、月刊ホビージャパン1972年4月号と、1972年6〜10月号まで連載されていた「ミニチュア模型による・ウォーゲーム(著:井出隆弥氏)」の記事を紹介しています。そして、この当時に国内で紹介されたばかりのミニチュア・ウォーゲームのオリジナルルールがどのようなものであったかということと、そのデザイン過程のレビューをしてみました。

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