Der Fliegende Holländer (さまよえるオランダ人) は、幽霊船に襲われないようにしながら、商船を使って利益を上げるゲームです。
作者は「カタン」でおなじみのクラウス・トイバーです。「さまよえるオランダ人」は1992年発売ですから、95年発売の「カタン」よりも3年も前にデザインされた作品ということになります。
このゲームでプレイヤーが持つものは5種類もあります。まず「商館カード」と「鍛冶カード」。これは各プレイヤーがそれぞれ3枚ずつ(6枚)持ちます。
※このカードを隠すのかどうかはルールに記述がありませんが、公開情報でも特に問題ないと思います。
続いて「商船カード」。商船カードは5色あります。各プレイヤーには、これをランダムに3枚ずつ配布します。
※ゲーム盤には、各色の商船が3つづつ描かれています。
右の写真の上8個は「馬蹄カウンター」です。
馬蹄カウンターには黄色の「金馬蹄」と、白い「銀馬蹄」の2つがあります。これもランダムに9枚ずつを各プレイヤーに配布します。配布された馬蹄カウンターは、専用のストッカーで管理します。
金馬蹄カウンターには2桁の数字が書かれています。銀馬蹄カウンターには「+-」の下に数字が書かれています。
下はお金で、単位は「ダガッド」です。ゲーム開始時は25ダガッドずつ各プレイヤーに配ります。
※写真がわかりにくくてすみませぬ…
ゲーム盤の「宝箱トラック」に、「商船カウンター」を配置します。
最初は「2」の宝箱上に全てのコマを配置します。ターンを記録する「ターンマーカー(黒)」もそこに置きます。
ゲーム盤上に、プレイヤー数と同じ数の馬蹄カウンターを裏返しにして置いてストックとします。
最後に、ゲーム盤の「Holländ」に幽霊船を置いてゲームスタートです。
スタートプレイヤーはダイス2個をふります。このダイスは、1個は2桁の数字が書かれており、もう1個は1桁の数字が書かれている変則ダイスです。
出た目の合計値が「ラッキーナンバー」となります。
続いてスタートプレイヤーから時計回りに、各プレイヤーは4つの行動の中からひとつを選んで、何を行うかを宣言します。
1つめは「商船カードの交換」。
商船カードの山札から2枚を取って手札に加え、その後任意の2枚の商船カードを山札の下に戻します。
※つまり手札は3枚のままです。
※この行動は、宣言したらただちに行います。
2つめは「馬蹄カウンターの入手」。
まず、ゲーム開始時に配布された3枚の「鍛冶カード」のうち1枚を提示します。この行動は、他の全てのプレイヤーの行動宣言が終了した後に結果を出します。
全てのプレイヤーの行動宣言が終了した後、「鍛冶カード」を出したプレイヤーたちで、ゲーム盤にストックされている「馬蹄カウンター」を等分して受け取ります。
※「ゲーム盤にストックされた馬蹄カウンター」については後述します。
3つめは「幽霊船の移動」。
幽霊船を移動させたいプレイヤーはこれを選択します。プレイヤーは、「ラッキーナンバー」と同じか、内輪で出来るだけ近い数字になるように馬蹄カウンターを出さなければなりません。
銀馬蹄カウンターは複数枚出すことも可能です(金馬蹄カウンターは0枚か1枚だけ)。銀馬蹄カウンターに書かれている数字は、足したり引いたりすることが可能です。
※写真では馬蹄カウンターを公開して出していますが、実際には裏返しにして提示します。
そして4つめは「パス」。
所有している馬蹄カウンターが4枚以下の時にだけ「パス」を宣言することが出来ます。
アクションの宣言が終了したら幽霊船を移動させます。
「幽霊船の移動」を宣言したプレイヤーは馬蹄カウンターを一斉に公開し、ラッキーナンバーと比較をします。馬蹄カウンターの合計値がラッキーナンバーに最も近い値のプレイヤーが幽霊船を移動する権利を勝ち取ります。
※ここで公開された馬蹄カウンターは、全てゲーム盤にストックされます(→『馬蹄カウンターの入手』参照)。
幽霊船が移動した先のマスが「商船」のマスであれば、そのマスに描かれた商船と同じ色の商船カードを手札に所有しているプレイヤーはお金を失います。
「宝箱トラック」上に商船カウンターが配置された宝箱に書かれた値だけ、幽霊船に襲われた商船カードを持つプレイヤーはお金を支払わなければなりません。しかも、宝箱トラック上で商船カウンターを「0」に戻されてしまうのです。
しかし幽霊船が移動した先が「島」だった場合はお金がもらえます。各プレイヤーは1枚だけ商船カードを公開し、その色の商船カウンターが乗っている宝箱の値だけお金を受け取ります。
さて、幽霊船を移動させる権利がひとりだけならこれで問題ないのですが、複数のプレイヤーが幽霊船を移動させる権利を獲得してしまうこともあります。例えば、複数のプレイヤーがラッキーナンバーと同じ値の馬蹄カウンターを公開した場合などです。
そのような場合は、そのプレイヤー間で「交渉」を行うことになります。ひとりずつ幽霊船を移動させた方向を宣言し、異なっていればお金のやりとりを含めた交渉を行います。
幽霊船を移動させたい方向が、交渉によっても権利所有者全員で一致しない場合は、再びそのプレイヤー間で馬蹄カウンターを出すことによる争奪戦が行われます。
商船が幽霊船に襲われると、ターンカウンターをひとつ進めます。また、襲われた商船も含めて全ての商船カウンターの相場に1つずつ上昇します(幽霊船が島に到着した時には、相場も変わらないし、ターンカウンターも進みません)。
こうしてターンカウンターが10回進んだターンの終了時にゲームは終了します。所有する商船カードを現在の相場で換金し、それを最終的な所持金と合算した金額が多いプレイヤーの勝利です。
…意外と説明が長くなってしまいました
ルールはそれほど難しくはない(というか簡単)のですが、それぞれの要素がほどよく絡み合って、プレイヤー間の駆け引きを増長させているような構造を持ったゲームです。
「交渉」の要素が入っていたり、乱数がうまく使われていたり、トイバーらしいテイストが随所に見られるのも興味深いですね。
= DATA =
◆タイトル :Der Fliegende Holländer (さまよえるオランダ人)
◆デザイナー:Klaus Teuber
◆メーカー :Parker Brothers
◆3~6人/12才以上/45分程度
コメント