26日(水)は、平日だというのに何と茨城県のつくばまで遠出をして、おのさん宅で開かれたゲーム会に行ってきました。秋葉原から噂の「つくばエクスプレス」に揺られてわずか45分(快速)で現地到着。早っ。

参加者は、東京からはかゆかゆさん、Raelさん、僕の3人で、つくば側はおのさん、康さんの2人、計5人です。この日プレイしたゲームはエッセンの新作中の新作、「Il Principe (君主論)」と「Caylus (ケイラス)」の2点がメインです。

Il Principe (君主論) / Mind the Move

「オルトレマーレ」のデザイナー作。5人。

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ラウンドの開始時に建築カードが4枚ずつ配布されます。それを手札と合わせ、その中から各プレイヤーが2枚のカードを秘密裏に出し合って、それを色ごと分類した上で競りにかけます。競り落とした建築カードは手札に入れます。

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手札の建築カードは役割カード(文化・宗教・貴族・政治・商業の各分野)を獲得することか、あるいは都市の建設に使用します。それぞれの役割にはちょっとした効果が特典として付いています。

都市を建設すると、マップ上の指定されたエリアにカウンターを配置します。ゲーム終了時に、各エリアに配置されたカウンター数の順位によって得点が入ります。面白いのは、都市の建設に使用した建設カードの種類ごとに、それに対応した役割を担当しているプレイヤーにも得点が入るということです。

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…と説明しても何だかよくわからないと思いますけれども(゚∇゚;) 「オルトレマーレ」がそうであったように、このゲームもひとつの要素が複数の要素に対して縦横にリンクしており、言葉だけで説明するのが難しいタイプのゲームです。

競りと、各リソースの変則的なマネージメントはなかなか興味深いメカニクスだと思います。今回のセッションは5人プレイでしたけれども、この人数では終了条件の関係で5ラウンドくらいで終了してしまうので、それだと短すぎて運の比重が高まってしまうような気がしました。3人くらいで再プレイしたいところです。
http://www.boardgamegeek.com/game/19650

Caylus (ケイラス) / Ystari Games moon Gamermoon Gamer

「イス」のメーカー。5人。

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これもまた要素の多いゲームです。しかしそれは戦略性を伴った心地よい拡散であり、ゲーマーズゲームとしてトップクラスの仕上がりを感じさせる良作です。

プレイヤーが行うことは、手元に6個ある部下(Worker)コマを、順番に1個ずつコストを支払った上でボード上の指定された配置するだけです。配置したくない時にはパスも出来ます。全員がパスしたら、ルールに従った順番で部下コマが配置された店や建築物について処理を行っていきます。

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プレイヤーが部下コマを配置する場所は、大きく分けて「城(Castle)」と「建築物(Building)」の2つあります。建築物はさらに、ボード上に描かれていたりセットアップ時に配置する中立のものと、プレイヤーが配置するものの2種に分かれます。

建築物を建設するには「資源(Resource)」が必要です。資源には食料・木材・石材・布・金の5種があり、それらも特定の建築物から産出されます(例外あり/詳細略)。建築物はこの他に、お金や勝利得点、そして指定されたアクションを行う権利を生み出す効果を持つものがあります。

1ラウンドにおいて、ひとつの建築物には1人のプレイヤーの部下コマを1個しか置くことが出来ません(これにも例外あり/詳細略)。つまり、特定の建築物の効果を使いたければ、他のプレイヤーに先立って部下コマを配置する必要があります。ということは順番が先のプレイヤーの方がやや有利なのですが、それも「馬小屋」という建築物の効果でコントロールすることが可能です。

さらに建築物は「活動(Activation)」していなければ、部下コマを配置していても何も起こりません。建築物の活動化については、ボード上を移動する「Provost(荘官)」コマのポジションによって決定されます。荘官コマの移動についても特定の建築物でコントロール可能なので、ここでもかなり面白い駆け引きが繰り広げられます。

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建築物は大きく「木造」「石造」など4種のカテゴリがあり、それぞれ特徴的な機能を持っています。あるカテゴリに属する建築物を建設するには、やはり特定の建築物に部下を配置しておかなければなりません。他にも建築物の所有者が受ける特典やアップグレードなど、いかにもゲーマー向けなルールが満載です。

さて「城」です。ここ部下コマを配置すると城の建築を行えます。城を建築することでプレステージポイント(勝利点)を獲得し、うまくすれば「王族の恩典(Royal favors)」を受けることが出来ます。「王族の恩典」を獲得したプレイヤーは、プレステージポイント・資金・資源・建築物を段階的に獲得します。

城の建築には3段階のセクション(地下・城壁・塔)があり、それぞれのセクションにはプレイヤーのコマを置くマスがいくつかあります。あるセクションのマスが埋まったら決算のような処理が行われ、ゲームはひとつ先のステップに進みます。「塔」のセクションが終了したらゲームは終了となります。

建築物や城に部下のコマを配置するには「1」のコストがかかります。しかしプレイヤーの誰かがパスをして抜けるとコストは「2」に上昇します。さらに2人目が抜けると「3」となり、以下同様です。何気ないルールではありますが、これは見た目以上によく機能しており、「ケイラス」が優れた作品であることの象徴とも言えます。

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他にもこの短いレビューでは説明しきれないくらいのたくさんの要素が詰まっています。しかしながら、ひとつひとつのルールはシンプルでわかりやすく有機的に結びつけられ、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようにボード上に散りばめられています。

前作「イス」と異なり、セットアップが終わったら偶然の要素がまったく介在しなくなります。ゲームを通じた大局的な戦略を実現するために、細かな戦術の積み重ねていく構造は、まさにゲーマーズゲームの王道と言えるものでしょう。やや時間のかかる重いゲームですが、それでも1度はプレイしておく価値のある逸品であると思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/18602

※註:事情があり、「ケイラス」のコンポーネントは他のゲームのもので代用しています。写真に写っているコマは、実際に販売されているものと一部色が異なりますのでご注意ください。

Skaal (スコール) / Tilsit moon Gamer

ドワーフの金鉱堀と思いきや飲んだくれゲーム? 4人。

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時間が無かったのでお試しに途中までプレイ。

ドワーフを操って、金鉱を掘ったり、酒場を開いて一儲けするゲームです。自分の手番では、ドワーフを配置したり移動させたりすることが出来ます。どちらも1手番で1個だけです。

頃合いを見計らって金鉱を掘ることも出来ます。ダイスを振って、出た目と同数の金塊を任意のエリアに配置します(すでに金塊が置かれているエリアに追加することも可)。ただし「Ooops」という目を出してしまうと、任意のエリアの金鉱が枯渇してしまいます。金鉱堀に成功しても失敗しても、そのエリアに隣接しているエリアからドワーフを1個ずつ移動させることが可能です。

すでに掘り出されている金塊を発掘することも可能です。その場合、そのエリアにいるドワーフの数だけ勝利得点を得ます。自分が掘り出した金塊でなくても発掘可能です。すべての金塊が発掘されてしまうと、そのエリアの金は枯渇します。

任意のエリアで酒場を開くことも出来ます。ただし、酒場を開いているエリアでは他のプレイヤーのコマよりも多く存在していなければなりません。すでに開いている酒場では、そのエリアにある他のプレイヤーのドワーフの数だけ勝利得点を得ることが出来ます。状況によっては、酒場の所有権が他のプレイヤーに移行することもあります。また、酒場自体を移動させることも可能です。

全てのエリアが枯渇するまでこれを繰り返します。最終的に勝利得点の高いプレイヤー勝利です。

早く終わらせようとするより、リスクを抱えてもより大きな利益を求めた方がいいようです。つまり、ある程度のゲームメイキングが必要なゲームみたいですね。運の比重がやや大きいかも?
http://www.boardgamegeek.com/game/13513

レポートは以上です。
TXのおかげでつくばが近くなったとはいえ、自宅から2時間ほどかかる距離であることには違いなく、普段から夜型の生活をしている身としては体力的にきつい1日だったのですけれども、エッセンの新作を遊びたい! という一心で何とか乗り切りました。

今回、特に印象に残ったのは何と言っても「Caylus (ケイラス)」でしょう。これがプレイ出来ただけでもつくばまで行った甲斐があったというものです。ゲームとしてはやや抽象的な表現が多いので「プエルトリコ」ほどの爆発力はないのですけれども、国内で販売されたら必ずや高い評判を呼ぶに違いありません。楽しみに待つことにしましょう。

またぜひお誘いください>おのさん
そして本当にお疲れさまでした>参加者のみなさま