成人の日の9日(月)は、つなきさん宅にて開かれたゲーム会に行ってきました。参加者はつなきさんの他に、一味さん・1800円さん・PHYさん、そして僕の5人です。当初は「Antiquity会」だったのですが、参加者が5人となったこともあり、他のゲームも遊ぶ会となりました。
Antiquity / Splotter Spellen
古代都市を建設し、発展させるゲーム。4人。
個人的には、前回のセッションに引き続いて2回目となります。都市に施設を建て、住民によって資源を獲得し、さらなる発展と拡張を目指すゲームです。
都市の周囲にある自然の地形には「平地」「森林」「山岳」「水域」の4種があり、それぞれ資源が産出することが出来ます。都市の建設には森林から得る「材木」が必須ですし、山岳からは「石材」や贅沢品の「金」などが取れます。水域からは食料となる「魚」や贅沢品の「真珠」などが獲得出来ます。
都市の発展を直接的に阻む要因は2種あります。まずひとつは「Pollution(環境破壊)」です。古代より、人の営みには恵まれた自然環境が必要でしたし、それを消費することによって文明は繁栄してきました。この「Antiquity」でも、ほとんどの種類の資源は、人の手によって収穫し尽くされてしまうと、そこからはもう何も収穫することが出来なくなることを示すために環境破壊マーカーが配置しなければなりません(ただし、森林だけは伐採された後に平地へと変わるだけです)。
この環境破壊マーカーを除去することも可能ですが、建設的な都市の発展を行うには、さらなる多くの天然資源を獲得するべく新しい地を開拓した方が効率的でしょう。複数の都市が建造されると、さらに多くの環境破壊マーカーが配置されることになりますが、特定の建物を建設し、それを活動させることによって、環境破壊をある程度までは食い止めることが可能です。
もう一つのハザードは「Grave(墓地)」です。ゲームが進行するたびに「Famine(飢餓レベル)」が1段階ずつ(時にはそれ以上に)上昇していきます。何の対策も行わなければ、飢餓レベルと同じ枚数の墓地タイルを受け取り、それを都市に配置しなければなりません。墓地タイルの上には他の建築物を建設するとこが出来なくなるので都市の発展を阻みます。「魚」や「羊」などの食料を調達したり、「Granary(穀物庫)」を建てておくなどの対策が必要となるでしょう。
もちろんプレイヤー間の土地争奪戦も熾烈です。なぜなら、資源は有限であり、優良な土地は希少だからです。いち早く土地を確保するためには、より多くの資源の確保と消費、それに効率的な都市の発展は欠かせない要素です。
前回のセッションでは長時間ゲームのような印象を書きましたが、慣れてしまえばそれほど重くないテンポのよいゲームであることがわかりました。しかし、一度の過失で実質的にゲームがすぐに終わってしまうことがるくらい、極めて技巧的なゲームであることもまた確かなようです。成果を確実に積み重ねていくことを前提にした極めて厳しいバランスの上に成り立っているゲームなので、特に序盤の失敗はゲームからの脱落をも意味する大きな痛手となります。
ゲーム序盤の方針はいくつか考えられますが、いずれにせよほぼソロプレイが続きますので、この時点ではまだ自分の思い通りにゲームを進ませることが可能ではあります。しかしこの段階で十分に都市を発展させておかないと、将来的に(しかもそう遠くない将来に)他のプレイヤーと衝突した時に全く歯が立たずに愕然とするかもしれません。
このゲームにはほとんど運の要素がありませんので、ゲームが開始されたら、とにかく自らのチカラだけで歯車を常にフル回転し続けなければなりません。それが出来ない国家は、なすすべもなく、遠からず滅亡してしまうことになるでしょう。これは大げさな話でも教訓でもなく、「Antiquity」とはそういうゲームなのです。特に「飢餓レベル」が毎ターン上昇し続けるルールはかなり切実で、中盤を過ぎると単にその場に留まっているだけでも相当な努力が必要となります。
上にも少し書いたように、序盤から2つめの都市を建造するあたりまではほぼソロプレイと言ってもよく、まずはそこまでをひとりで練習しておくか、あるいはチュートリアルゲームを30分ほどやってから正式なゲームを開始した方がいいと思います。
今回のセッションで僕は、序盤に致命的な過失を犯してしまい早くも脱落気味。別のプレイヤーは早めに2番目の都市を作ったところまでは良かったのですが、その後の急激な飢餓レベルの上昇に耐えられず、結局新しい都市は墓地だらけとなってしまいました。また別のプレイヤーは材木のマネージメントに失敗しために、新しい建物の建設どころか資源の採集までもが思うように行えなくなり、その結果として都市の発展が停滞気味となりました。今回は全員が少なくとも1回のプレイ経験者であるにも関わらずこういう事態に陥ってしまったのです。
このような状況の中、悠々とトップを走る 1800円さんは「Explorer(探検家)」を次々に活動させて飢餓レベルを上昇させる試み(詳細は略しますが『探検家』でそういうことも出来ます)を行うという、この状況下で敵国にダメージを与える実に的確な行動を行い始めたあたりで他のプレイヤーの戦意が喪失し、この時点で1800円さんの快勝ということでゲームは終了しました。
ルールが前回と異なってた(正しく修正されていた)という事情もありますが、序盤でいきなり躓くのはいくらなんでも問題外ですので、次は自分のセットで練習してからゲームの臨みたいと思います。失敗して学んだこともたくさんあったのがせめてもの救いです。
http://www.boardgamegeek.com/game/13122
Age of Steam Expansion #1 (蒸気の時代・追加マップ1) / Warfrog
拡張セット#1です。5人。
拡張セットのイングランドマップでプレイ。僕は初プレイです。というか、このゲームを拡張セットでプレイしたこと自体が初めてです。他に初プレイ組は1人で、残りの3人はすでにプレイ済みという状況でした。
こういう厳しいゲームにおいて未経験であることはそれ自体がハンデということもあり、まずは隅の方で様子を見ていようか、と思ったらいきなりブロックされまして あ、いやまぁそういうゲームであることはわかってはいるのですが、プレイ経験者と序盤でぶつかり合っても勝ち目はまるでないので、しょうがなく反対側の隅に拠点を移しておとなしくしていました
当然ながらゲームの方はそのまま勝敗に絡むことなく終わりましたが、結局誰とも争わなかったプレイヤーが勝利しました。勝敗に関係ない顔をして流れはしっかり見ていましたので、このマップの勘所はきっちりつかめたと思います。次のセッションでは少なくとも今回よりはマシに戦えると思います。どうも失礼しました
セッションの内容はともかくとして、このゲームの拡張セットが想像以上に面白いとわかったのは大きな収穫でした。他にも何枚か拡張セットを持っていますので、そのうちそれでもまた遊んでみたいと思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/4098
Caylus (ケイラス) / Ystari Games
そんなにダメ? 5人。
前回のセッションの様子はこちらのレポートをどうぞ。ルールが前回とちょっと違っていたのはご愛敬 今回はぼほ正しいルールで遊べたと思います。
今回のセッションでは、前回のプレイを踏まえて「Royal Favours(王の恩恵) 」の「Exclusive use of buildings」を利用することによって「青の建物(高得点)」を目指す方針を立てました。不足しがちな資金も「王の恩恵」を臨機応変に利用することで資金源のひとつとしました。この「王の恩恵」を受けるための契機は「Building of the castle(城塞建築)」をメインにして、それで不足する場合は「Jousting Field(馬上槍試合場)」を使います。城塞建設のための「Resource(資源)」が必要なので、建物の建築は少なめにし、建てる時には機能よりも得点を重視しました。
もうひとつ重要な方針があって、それは「Provost(行政官)には関与しない」です。「Merchant Guild」にコマを配置するなら他のことを行います。「Provost's Move(行政官移動フェイズ)」で資金を使うくらいなら貯めます。これには異論があるかもしれませんが、資金は他のプレイヤーを縛るために使うのではなく、自分の得点を伸ばすために使おうと考えました(これは僕の基本的なプレイスタイルでもあります)。
さてゲームの方は、まず最初の決算では僕が城塞建設で得点を伸ばしてトップ。しかし、着実に建築物で得点を伸ばす1800円さんや一味さんらが追い上げを見せます。僕は城塞建設で何とか細かく得点を稼ぎつつ恩恵を受けますが、2回目の決算では PHY さんが大量得点を獲得して一躍トップグループに躍り出ます。
この後、1800円さんは道に建築物を建設して着実に得点を伸ばし、PHY さんは「金」(得点が高い)に走り、僕は最初の方針通りに「王の恩恵」で青の建物を目指すという三者三様の戦いが繰り広げられ… 最終的にはなんとこの3人が同点トップにてゲームが終了しました。
個人的にはかなり意外なことなのですが、このメンバーには「ケイラス」はいまひとつの評価でした。いやそれどころか、現在までに国内でプレイしたフリークたちの反応自体がやや醒めている感じさえします。BoardGameGeek のランキングで、あの「プエルトリコ」に続いて高得点をマークしていることもあって、あまりにも大きく期待され過ぎているのかもしれませんが、僕が考えている以上に人を選ぶゲームなのかもしれません。
初プレイでは確かに勝ち筋は見えにくいゲームではありますし、他のプレイヤーの動向に左右されやすい不安定な展開となりやすく、自分の思い通りの方針にゲームを進ませることがなかなか出来ません。僕はそのあたりの「流動的な不自由さ」が面白いと思うのですが、それが戦術的オプションを不本意に制限されてしまっていると感じる向きもあるようです。
自分とは最高に相性の良いゲームなので、身近に同じ考えの人がいないのがとても残念なのですが、早くこのゲームが日本語訳付きで発売されて、同じ嗜好性を持った人がたくさん現れて欲しいなぁと今は思っております。
http://www.boardgamegeek.com/game/18602
レポートは以上です。
この日は寝不足気味で、最初の2ゲームは完全に頭が働いていない状態だったこともあり、いずれも早い段階でゲームから脱落してダメダメだったのですが、最後の「ケイラス」で何とか生き返って形作りくらいにはなったかと思います(プレイミスはいくつもありましたけど)。
このゲーム会の本来の主旨であった「Antiquity」が1回しかプレイできなかったことが返す返すも残念です。自分のセットで準備しておきますので、次回開催時にはぜひお誘いください。また、こちらでも未プレイ者を中心としたヌルめの「Antiquity練習会」が開けないかどうか画策中です。
自宅を提供していただいてありがとうございました>つなきさん
朝から夜遅くまで本当にお疲れさまでした>ALL
またぜひ遊んでやってください。
コメント
コメント一覧 (15)
勢いで日本語訳が無いのに購入してしまった私としても、早く日本語訳ルールが出回り、柏木に突っ込んで反応を確かめたいことしきり、でありますヨ。ええ。
BrettspielWeltの抄訳ですが、以下にケイラスの訳があります。
http://www.asahi-net.or.jp/~gr9s-mr/games/caylus/Caylus.html
それはともかく。
いろいろと不手際があり、すみませんでした。
Antiquityは、まだまだ遊びたいので、機会があればよろしくお願いします。
Age of Steamの拡張マップは、(ルールを読んだ限りでは)#3のKoreaが面白そうです。#1のIrelandよりさらに「頭を使う」マップのようです。まだ未プレイなので、ホントに面白いかどうかは不明ですが。。。
小生はTVゲームよりも、きわめてアナログな相手の気持ちを読むようなパーティーゲームがすきです。
TRPGから始まっていろいろしました。やはり、そこには人と人が織り成すドラマがあると思います。
複数での旅行では手荷物になるボードなどのキットをもっていかないためトランプなどの遊びに偏りがちです。最近、毎回のようにそんな中いつの間にかやってしまうのは「汝狼なりや」です。みんな自発的にしゃべるゲーム構成とコンセンサスが必要なための各人の交渉力は魅力的でした。
また、面白そうなゲームを今後ともご紹介ください。取り入れていければと思います。
長文失礼しました。
あ、いえいえ、僕の考えの甘さを見事に突いた好手でしたから。
「蒸気の時代」はまだたくさん楽しめそうですね。
ぜひまたお手合わせを(でもお手柔らかに(^-^;)。
>>暇人さん
ようこそいらしゃいませ。
「汝は人狼なりや」は、それ自体がもはやひとつのジャンルになっているくらいの人気ゲームですね。老若男女問わず楽しめるのも素晴らしいです。東京の某所ではこれだけで数十人~100人近い人が集まる会が開かれたこともあったようです(伝聞)。
ここはちょっとマニアックなゲームばかりを扱うブログではありますが、同じブロガーとして今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Antiquityはまだまだ戦略の余地がありそうですね。また是非遊んでいただければ幸いです。
新たに発見したルールを報告します。
1.harborは都市やINNに直接隣接している湖にのみ効果を発揮する(ルールp.8「Harbours add water and coast to zone of control」項目の一行目「any water that is directly adjacent to his cities and/or inns」)
2.市場の交換2対1は同じものである必要はない(ルールp.8「Market may trade.」項目の最終行「these need not be identiacal」)
当日は大変にお疲れさまでした。
1800円さんの隙のない機略縦横は、いつ見ても舌を巻くばかりです。今回もどのゲームにおいてもいい勉強になりました。次に対戦する時には、もう少しくらいは対抗出来るようにがんばろうかと思っております。
Antiquityのルールについて「1」は当日もゲーム開始前に話に上がっていました。今回も確かこのルール通りに運用していたと思います。
「2」は、なるほど確かにその通りのようですね。となると、Market の価値がもう少し上がって Wood マネージメントの方策がひとつ増えるかも?
ボードも機能的に作られているのが分かります(好みをいわせてもらえば、ボードの下側ではなく上側に新しい建物を付け加えていく方が発展していくというイメージが出ると思うのですが…)
ただしプレイは手探り状態で無計画に進んだ感が強く、明確な方針を持ってプレイできたとはとてもいえない状態でした。最初のプレイはルール習熟のための練習と割り切って遊んだ方がよいかも知れません。勝ち筋の見えにくゲームです。
。
メンバーの反応ですが、ほぼ同じ面子で先月遊んだ「君主論」ほどの手ごたえはなかった模様。どうも建てた建築物を自分が独占できるわけではないという点と「王の恩恵」の効果がコストに見合わない(ように見える)点が不満だった感じです。
メンバーの顔ぶれを変えて再度試してみようと思います。
参考になるレポートありがとうございました。
そう、「ケイラス」は軽いんですよね。そのあたりのイメージのギャップも、印象があまり良くならない方向に動いてしまう原因なのかもしれません。
再選後にはまたレポートを期待しております。
#文字数が多い時には掲示板(moon Base)のご利用もご検討くださいませ。
僕は面白かったですけどねー。建築して自分の状況を作っていくところから(あと、BoardGameGeekの影響?)プエルトリコと比較してしまうと、あの特徴的な手番回しシステムの素晴らしさには劣る、って感じで評価低くなったり「軽い」と言われるのかもしれませんね。
でも、プエルトリコには無い面白さも、僕は感じましたけどね。点差は出ますけど、最後までどのプレイヤーにも「何かをするチャンス」があるのは良いことだと思います。ハイ。
「ケイラス」を面白いと言ってくれる人を久しぶりに見ましたw
早く国内で流通してもらいたいものですが…
さて、ケイラス、遊びました。こちらでは、プエルトリコ依頼のヘビーローテーションをしております。昨日、また遊ぶ機会があったのですが、一人はお城、馬上槍試合からの王の恩恵の得点を固め打ち、一人は茶建物、そして別荘建築の金策から建物建築で得点を集め、一人は建築から名誉ある建物のお城(でしたっけ25点、35てんだったか?)とばらけた戦い方で、最後は1点差でお城を建てた人の勝利となりました。確かに戦い方は場の流れで変更していかなければいけませんが、色々な戦い方ができる、そして最初の敷居こそ高いですが、慣れれば盤面やタイルのアイコンで迷うことなくプレイできるこのゲームは充分面白いと思います。こちらの方ではまだまだ遊ばれていくと思いますよ。
ケイラス、現在僕の遊び仲間の中では大ブレイク中。グループのほぼすべての人にインスト終了で、これからヘビーローテーション実施です。プエルトリコのように色々な戦略が立てられるところが、受けた要因かな?と思っています。確かに、盤面の流れから打ち筋の変更をしていかないと勝利には遠くなりますが、そこをあえて自分の信じる道で行ってみる、というような遊び方ができるのも良いですね。タイルやボードにアイコンがプリントされているため、最初のインストでの敷居こそ高いですが、慣れてくれば次の一手をあらかじめ複数想定することでサクサク進んでいきそうです。実際先日のプレー時間、インスト済みのメンバーで遊んだこともありますが、1ゲーム90分程度で終わりましたし。しばらくの間はケイラスフィーバーが続きそうです。
ケイラスがヒットしているとはうらやましい限りです。