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22日(日)は、千歳烏山にて開かれたSGC例会に参加してきました。
この前日は写真のように東京には珍しい大雪に見舞われれ、いったいどうなるかと心配していたのですけれども、日が明けたらすっかり止んでおりました。前日の雪がまだ道路に凍り付いた状態ではありましたが、この日は特に問題なく今年最初の例会が開かれました。例会参加者は10名強ほどだったかと思います。


Alexander the Great (アレキサンダー・ザ・グレート) / Phalanx Games moon Gamer

実はアレキサンダーも敵軍もゲームには出てきませんmoon Gamer 4人。

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ファランクス社お得意の史実をベースにした中量級のゲームです。
史実を再現することはさておいてmoon Gamer、背景となっているテーマをドイツゲーム風にそれらしく戦略ゲームとしてアレンジした作品です。具体的には、クローズビッド(秘密入札・一斉公開)とやや変則的な陣取りが組み合わせたメカニクスを中核にして構成されています。

ゲームの大まかな進行単位は「キャンペーン(遠征/Campaign)」と呼ばれます。あるひとつのキャンペーンでは1つの地域(Region)だけでゲームを行います。そしてひとつの地域はいくつかの属州(Province)によって構成されています。

プレイヤーは全員がアレキサンダーの配下となります。つまり味方同士です。では何を目指すのかというと、この長い戦いにおける功名争いです。複数の遠征で最も貢献した者がアレキサンダーの後継者として覇を唱えることが出来るのです。

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キャンペーンの開始時には、各プレイヤーに割り当てられた15個の資源コマを4つの要素に割り振ります。これは他のプレイヤーに見せないよう秘密に行います。4つの要素とはすなわち、「順番決定」「軍隊」「寺院建設」「都市建設」です。もちろん、重視した要素にはより多くの資源コマを割り当てることになるでしょう。

全員が割り振りを決めたら同時に公開し、まず「順番決定」に割り振った資源コマの数を相互に比べます。最も多くの資源コマを割り振ったプレイヤーから、そのキャンペーンにおいて行動を行う順番を決める権利を得ます(通常は有利な後手番から埋まっていきます)。この順番はキャンペーンが終了するまで固定です。

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続いて、決定された順番にしたがって行動を行います。「軍隊」に割り振った資源コマが盤上に置く軍隊コマとなります。各軍隊コマは3移動力を持ち、隣接した属州を伝って移動します。海路があればそれを使うことも出来ます。ただし、険しい地形では資源コマをコストとして支払わなければならないこともあります。

移動が終了したら、「都市」か「寺院」のマークが描かれている属州で、それらの建設を試みることが出来ます。実際に建設が出来るかどうかの判定は全プレイヤーの行動が終了してから行います。

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全員の行動が終了したら勝利得点の計算を行います。勝利得点は、属州に配置した軍隊の数によるものと、寺院や都市の建設によるものの2系統があります。まず、ある属州に最も多くの軍隊を配置しているプレイヤーは規定の点数を獲得します。

続いて建設です。もし、ある属州において単独のプレイヤーが都市や寺院の建設を試みているのであれば、必要な資源さえコストして支払えば建設を行って勝利ポイントを獲得します。このコストは、キャンペーン開始時に割り振った「寺院」か「都市」から支払います(例えば、建設するのが寺院であれば『寺院建設』に割り振った資源コマで支払います)。

複数のプレイヤーがひとつの属州で「寺院」や「都市」の建設の試みを行っている場合は「競合」が発生します。といっても戦うわけではなく、割り振った資源コマの数を比較します。例えば、「寺院」の建設で競合が発生すると、「寺院建設」に資源コマを最も多く割り振ったプレイヤーが建設をする権利を得ます。ただし、競合によって建設を行う時には、建設コストが余分にかかる可能性があります。

また、競合に敗北すると、試みようとしていた寺院や都市だけではなく、以前のターンでその属州に配置されていた寺院や都市も失われます(ただし、寺院や都市の建設判定は別々に行われます)。

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こうしてターンは終了します。もしいずれかのプレイヤーが、指定された属州に軍隊コマを進入させた場合、ここでキャンペーンも強制的に終了します。またそうでなくても、3ターン終了時にはキャンペーンが終了します。こうして6つのキャンペーンを行います。最終的にマップ上の寺院や都市の数によてボーナス点が計上され、それらの合計が高いプレイヤーの勝利となります。

さて、このゲームのルールを読み、マップを見て僕が直感したのは「このままでは終わるまで長い時間がかかるのでは?」という疑念でした。ということでこの日はバリアントのショートゲーム(全6キャンペーンのところを全4キャンペーンのみ)を選択し、プレイヤー数も4人(最大5人)に抑えた上でセッションに臨みました。それでも2時間かかりましたが、内容的には凝縮された密度の濃いゲームとなり、これは正解だったと思います。

セッションが始まってすぐわかったのは、資源コマの配分状況と順番によって、ある程度は先の展開をデジタルに読める(必然的な展開に持ち込める)というということです。特に後手番のプレイヤーは、先に動いたプレイヤーの状況を見てベストの行動を行えるので明らかに有利です。ならばキャンペーン開始時の「順番決定」の配分を多くしたいところですが、そうすると軍隊や建物に配分する資源が少なくなってしまいます。このあたりは実に悩ましいところ。

また、得点源を、軍勢を多く率いて属州から得るか、あるいは寺院や都市を建設して得るか、どちらの方針で臨むかによっても資源コマの配分が異なります。もちろん他のプレイヤーの動向にも大きく左右されるでしょう。また、キャンペーンを3ターンよりも早く終わらせるスイッチを押すかどうかも戦略的なオプションとして常に頭に入れておかなければなりません。このあたりの虚々実々の駆け引きを生み出す仕組みは実に良く出来ています。

今回のセッションは、この駆け引きから飛び出した興味深い展開が見られました。最初のキャンペーンで1人だけ大きく得点を伸ばしたプレイヤーが、第2・第3のキャンペーンをわずか1ターンのみで終わらせる速攻に出たのです。確かにキャンペーンが長引けば(ターン数が増えれば)、他のプレイヤーが得点を獲得する機会も増えるわけですから、この判断自体は妥当であり、なるほどそういう手もあるのかと感心したくらいです。

ただ、こちらもそれへの対応として、少ない機会で着実に寺院や都市を建設することによって得点差を縮めることに努めました。どうやらこれが効いたらしく(早期終了を狙うとどうしても建設物が少なくなります)、最終キャンペーン終了時に得たボーナス点によってわずかに点数を上回ることに成功し、めでたく勝利することが出来ましたmoon Gamer

個々のルールだけ見れば「アレキサンダー・ザ・グレート」とてもドライなゲームと言えるかもしれません。しかしそれは歴史的背景を咀嚼した上で編み出された納得のいくデザイン方針であり、ゲームの面白さが十分な説得材料になっています。もちろん、この時代の歴史的背景の知識があるとさらに楽しめるようで、そのあたりは一緒に卓を囲んだいしださんのレポートに詳しく書かれています。

ひとつだけ。他のプレイヤーが行動を行っている最中は何もすることがないので、ダウンタイムが長くなりがちな点が少し気になりました(もっとも、これは4人ゲームであればある程度は抑えられます)moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/12248


Mesopotamia (メソポタミア) / Phalanx Games moon Gamermoon Gamer

これもチグリス・ユーフラテス川やシュメール人は出てきませんmoon Gamer 4人。

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土地を広げ、資源を獲得し、家や聖地を作り、人を増やし、神殿に貢ぎ物を捧げる… おおざっぱな流れとしてはそんな感じのゲームです。ゲームの目的は、貢ぎ物4つを神殿に捧げることにあります。

ゲーム開始時、各プレイヤーは種族コマ(人)3個と小屋1軒を持っています。種族コマは各コマに5移動力を好きなように割り当てて移動させることが出来ます(1コマを5タイル移動させてもいいし、5コマを1タイルずつ移動させてもよい)。まだタイルが配置されていない位置に種族コマを移動させると、新たな土地タイルを引くことで土地が広がります(開拓)。

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資源には「木材」「石材」の2種があります。土地タイル上にこれらの資源があれば、種族コマを使って運搬することが出来ます。1つの種族コマで1つの資源を運搬可能です。資源は誰でも運搬することが出来ますが、他の種族コマが運搬中の資源は、「盗む」することによってのみ奪うことが出来ます。

木材は「小屋」を建設するために必要です。小屋を建設すると、任意の貢ぎ物マーカーを小屋の下に置くことが出来ます。貢ぎ物マーカーは資源と同様に運搬することが出来ます。また、小屋と種族コマ2個で種族コマをひとつ増加させることも出来ます。

石材は「聖地」を建設するために必要です。聖地は「マナ」を生み出す施設です。「マナ」は本ゲームにおいて極めて重要な要素です。なぜなら、神殿に貢ぎ物をするには、その貢ぎ物マーカーに記載された数値だけマナを消費しなければならないからです。マナをどのように効率的に生み出すかを考えることが本ゲームの目的とも言っていいくらいです。

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各プレイヤーはマナを無制限に持てるわけではなく上限が決まっています。この上限を上げるには、神殿を建設する(神殿に石材を持ち込む)ことで行えます。ゲームに勝つためには、一定数の石材を神殿に持ち込まなければならないのですが、神殿建設に使った石材はゲームから除外されてしまうのがミソ。石材は20個しかないので、この争奪戦も激しくなるでしょう。

デザイナーは「カルカソンヌ」で有名な Klaus-Jurgen Wrede です。かっちりと決まった手順の中にある程度のランダム性を組み入れた堅実な作りのゲームです。開拓によって引かれるタイルでゲームの流れが大きく変わりますし、上の説明では省きましたが、特殊効果を持つカードがありますので、それらの見越した柔軟な計画性も必要です。ソロプレイ感覚が強いゲームかと思いきや、資源の取り合いやカードの効果によって思ったよりは相互に絡むことが多いです。

今回のセッションでは、開拓で引くタイルが平地だらけという不運に見舞われ、中盤に進行が停滞してしまいましたが、それでも何とか最後の貢ぎ物を献上する体制にまで持ち込めるところまで来ました。あと2ターンで勝てる… と思ったらカードの効果でマナを盗まれてしまい、そのために1ターン遅れたために、最後の最後でトップをかっさわれてしまいました。ああくやしいmoon Gamer moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19301


Vegas Showdown / Avalon Hill (Hasbro) moon Gamer

命名「ベガスの匠」moon Gamer 4人。

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ラスベガスでホテルやら火事のやらを建設して名声を上げる建設&競りゲーム。前回のレポートとゲームの説明はこのあたりからどーぞ。

今回は「スロット(Slot)」に人気が集中して、中盤までは$12出さないと買えないというプレミア建物並の相場になる展開に。序盤の収益は後半になって効いてきますので、それでも買う価値があるということなんでしょう。実際、早めにスロットを揃えまくってゲーセン状態になったプレイヤー2人が、終盤に潤沢な資金を背景にプレミア建物を買いまくっていました。

もちろん僕は脱落組moon Gamer
こんなゲームメイクじゃダメですね。反省。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/15364


ヘックスマシーン / 創作ゲーム(Bone5さん作) moon Gamer
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Bone5 さん考案の創作ゲーム。4人。

未プレイの人にルールだけ読んでもらってプレイ可能となっているかという実験も兼ねたテストプレイです。ですが、ルールが簡潔に書かれすぎていてよく理解出来ず、結局のところ Bone5 さんにレクチャーしてもらうハメに。

ゲームとしてはもうほぼ完成しているし、独特のアイデアが盛り込まれた面白いパズル風ゲームなのですが、ルールライティングにかなり苦労しているようです。確かにこのルールを簡潔でわかりやすい文章にまとめるのは難しい作業かもしれません。多少長くなっても、具体例をたくさん書いて説明しては? と進言してみましたが、さてどうなりますか。うまく行けば次のゲームマーケットで販売されるはずです。楽しみに待っていましょう。


Code-X / M + A Spiele
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〆のゲームがまたこんな。5人。

小さくて四角い8つの穴が空いたパーツにピンを2本さします(ピンを1本ずつ2個のパーツにさしてもよい)。続いて任意のピン(今さしたピンでなくてもよい)から別のピンに長くて2つの穴が空いたパーツを架け渡します。この時、長いパーツの両端の高さは同じでなければなりません。また、同じ長さのパーツを重ねてもダメです。

これを1回ずつ繰り返し、最終的に長いパーツを架け渡せなかった人の負けです。つまり「ピラニアペドロ」と同じく負けを決めるゲームです。見た目にもわかりやすい立体物を使い、老若男女誰でも遊べるお手軽さがいいですね。moon Gamer
http://www.funagain.com/control/product/~product_id=013695


レポートは以上です。
アフターは「かつくら」にて。この日は朝からほとんど食べずにゲームの興じていたので、少し多めにごはんをいただきました。ということで、また次回もよろしくお願いいたします>関係者各位