11日(日)は、千歳烏山のゲーム倉庫にて「Splotter会」を開きました。こちらのエントリーにも書きましたが、未プレイのスプロッター社のゲームを1日中遊ぼうという主旨のゲーム会です。6/3(土)のつくばゲーム会の帰りのTXの中で、この話をかゆかゆさんに持ちかけてみたところ、互いに未プレイのゲームが一致したこともあって、トントン拍子にこの企画が決まりました。

参加者はかゆかゆさんの他に、手稲さんと一味さん、それに僕の4人です。手稲さんと一味さんは、まだゲーム倉庫に来たことがなかったので、ご招待という意味も兼ねてお誘いしました。ちなみにお二人ともマイミクさんです。

さて、期日が決まってからが実は大変でした。期間的に比較的余裕があったのでのんびり構えていたのですが、今回メインとなる「Ur: 1830 BC (ウル1830BC)」のルール読みを始めたところ、さまざまな要素が細かく相互に絡み合っており、ルールの文面で理解するのが難しいタイプのゲームだったのです。(スプロッター社のゲームではよくあることですが、)ルールのところどころに曖昧な記述もありまして、全容を把握するまで思わぬ時間がかかってしまいました。

こんな時にいつも頼りになるのが BoardGameGeek なのですが、残念ながらこのゲームは情報が少ないのです。幸いにして、プレイスペース広島の日本語訳ルールが手元にあったことと、スプロッター社の公式サイトにも若干の補足情報があったので何とかなったのですが、英文ルールブックを読んでいたかゆかゆさんはかなり苦労されたようです(それでも十分に理解していたのはさすがです)。

なおこのゲームは「ウル1830BC」という名称からわかるように、名作鉄道ゲームである「1830」にインスパイアされた作品です(というようなことがルールブックにもはっきり書かれています)。実際、基本的なゲームの構造はよく似ており、ルールの理解にもそのプレイ経験と知識も少し役に立ちました。


Ur: 1830 BC (ウル1830BC) / Splotter Spellen moon Gamer

開始時間は午前11時。インストは1時間半弱ほどに及びました。

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「ウル1830BC」は、古代メソポタミアの地を舞台に、小さくて非力な小国を祖として、やがて勃興する大国を治水を中心にして豊かに発展させる開拓ゲームです。元の「1830」と同様に、最初の席順決め以外に運の要素はまったく無いので、純粋にテクニック・駆け引き・計算、そしてわずかな直感の上に成り立った精密な構造を持ちます。

ゲームはまず、「小国(Independent nation)」を各プレイヤーが競り落とすことから開始されます。小国は全部で6国あり、そのほとんどが限定的な特殊効果を持っています。また、小国はプレイヤーに毎ラウンド固定収益をもたらします。

さらに大きな「大国(State)」も6国登場します。大国は11~12のヘクスで構成されています。ある大国内で6つヘクスが「購入」されると、その大国は「建国」します。建国した大国内で最も多くのヘクスを所有するプレイヤーが「国王」となります。国王は、大国の「給水施設」を設置したり、作業員を使って灌漑(かんがい)用の運河を引くなど、国の運営を行えます。

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このゲームでの資金管理は、「個人資産」と「大国の国庫」とそれぞれ別に管理します。それらの資金は使用目的や使用機会も異なっているので、厳密に区別されなければなりません。ゲームの目的は、個人資産の金額で決まります。このあたりの概念は元ゲームの「1830」そのものです。

ヘクスには4種類の地形があります。各地形には「価格」が設定されており、ゲーム中の変動します。例えば、特定の地形のヘクスが売却されたら、その地形の価格は下落します。地形は灌漑(かんがい)されるとラウンドの最後に価格が上昇します。

大国の運営は治水と灌漑が基本です。ボード上の「大河」は、その水資源を取得する重要な中立的地形です。水資源は、「運河(Canal)」を掘って大国にくまなく給水することで国は富むのです。

運河の掘削は、大国が所有する「作業員(Digger)」が行います。大国は国庫の資金でカードを購入することで、何人でも作業員を持つことが出来ます。作業員は、それが購入される「時代(Era)」によって、運河を掘削することが出来る距離が決まっています。

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「時代」は全部で5つあります。時代が進むと、より能力の高い「作業員」や「給水施設(後述)が登場するようになります。ただし新しい「時代」が訪れは良いことばかりではありません。

新時代到来の瞬間に、2つ前の時代の古い作業員は除去されてしまうのです。また、4つめの時代が来ると小国も消滅します。大国は、運河を維持するために最低でも1人の作業員を保有していなければならないというルールがあり、このため、ゲーム終盤まで新しい時代の(そして高価な)作業員を購入し続けることになります。

国王はまた、必要なコストを国庫から支払えば、任意の大河ヘクスに対して、給水施設の一種である「貯水地(Reservoir)」を設置することが出来ます。そこから運河を引くと、貯水地ヘクスに隣接したヘクスが灌漑されます。貯水池は保水可能な水資源の量が決まっています。例えば『2』の貯水地には2個の水資源マーカーが置かれ、そこに隣接した最大2つのヘクスに対して灌漑を行うことが出来ます。

さらに遠方の内陸部を灌漑するためには「ポンプ(Pump)」を使います。ポンプも貯水池と同じく給水施設のひとつですが、こちらは陸地に配置されます。ポンプに運河を通じて水資源マーカーが送られてきたら、さらにそれを別のヘクスに「送り出す」ことが出来ます。具体的には、ポンプに書かれた数値分の距離まで水資源を送ります。例えば「2」のポンプは、2ヘクス先まで水資源を送ることが出来ます。

水資源が配置されたヘクスは「灌漑(かんがい)」されます。あるヘクスが灌漑されると、そのヘクスを購入していたプレイヤーは「5」の資金を個人資産として受け取ります。さらに、灌漑するために使用した水資源を、最終的に送り出した給水施設について、それを所有する大国は「収穫(Harvest)」として1ヘクスにつき20~30の資金を受け取ります。

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大国が「収穫」した資金は、国王が「備蓄」するか、あるいは「配分」するかを決めます。

国王が収穫金の「配分」を選択した場合、その大国のヘクスを購入しているプレイヤー間で、所有ヘクス数に応じた利益の分配が行われます。つまり、購入されている全ヘクスの数で収穫金を割り、それに所有するヘクス数を掛けた額を各プレイヤーへ分配金として支払うのです。例えば、収穫金「100」の大国が「分配」を選択した時、その大国のヘクスを2ヘクス所有しているプレイヤーは「20」を個人資産として受け取ります。

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「備蓄」すると、収穫金は全てその大国の国庫へ移動します。この場合、その大国の持つ最も低いランクの給水施設がひとつ除去されます。

終了条件が満たされたラウンド終了時にゲームは終了します。所有するヘクスを現行価格で売却し、それぞれの個人資産をそれに合わせ、最も多くの資産を持つプレイヤーの勝利です。

インストが終了して、ルールの細部を確認しつつゲームを始めたのですが… いきなり最初の2ラウンドで4人中2人が脱落気味という事態に陥りました。大河ドラマのようなゆったりとした流れのゲームだと思っていたら、思った以上にテクニカルで、鋭く厳しいゲームだったのです。ということで、ここで全員話し合いをして、初めから仕切り直して再プレイということになりました。仕切り直し後のセッションでは、最初の2ラウンドで全員が国王になることに成功し、まずは無難に勝負の形が整えられました。

大国の運営は、当然ながら水資源の獲得と管理が基本になります。しかし水資源は有限であり、大河の上流から流れてくるので、上流に位置する大国はその分だけ有利です。ただし、上流付近の大国は初期価格の高い山岳地帯のため、序盤ではまず中流~下流の大国が建国されることが多いでしょう。

このゲームでの目的は個人資産を増加させることが目的です。その方法は4つあります。すなわち「土地の売買」「小国からの固定収益」「小国の売却益」「収穫時の分配金」です。特に収穫金をどうするかを決めるのは国王に取って頭の痛い問題です。単に個人資産を増やすだけなら「分配」すれればいいのですが、そうすると大国の国庫はやがて枯渇し、運営に大きな支障をきたします。

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しかも時代が進めば進むほど、国庫の負担額は大きくなるのです(作業員や給水施設の価格が上昇する)。このため、後半は大国の土地を売却して、国王を他のプレイヤーに譲り渡してしまうのも手です。その際には、国庫を出来るだけ枯渇させた状態であることが望ましいです。ただ、これは非常手段で、通常は可能な限り大国を運営し続けていく方が良いと思われます。

終盤に近づくにつれ、土地の価格は高騰し始めます。実はこの土地の価格がゲーム終了時の資産計算時に大きな比重を占めることが今回のセッションでわかりました。このゲームを端的に述べると、土地を購入資金を獲得するための方策として大国の運営を行うという構造になっていると言えるかもしれません。

今回は初プレイだったこともあり、メンバー全員がどこにどの程度まで踏み込んでいいものやら、その案配を探りながらの慎重な進行となりました。しかしゲーマーズゲームとして十分に手応えのある密度の濃い作品であることは十分に感じられましたし、セッション後は充実した満足感に満たされました。

相変わらずコンポーネントがしょぼくてプレイアビリティが低いのと、計算が若干面倒だということが気になったのですが、高いレベルでまとまっている良作ではないでしょうか。「1830」の単純なクローンではなく、これはこれで独自の優れたアイデアが数多く盛り込まれているという点も気に入りました。

なおルールで「運河」は、水性ペンで直接ボード上に書いていくようになっているのですが、このセッションでは自作した竹製スティックで代用してみました。少し長かったので、それを少しばかり調整しさえすればまったく問題ないみたいです。ゲーム的にも、通してプレイした後でわかったことがありますので、ぜひまた再プレイしたいです。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/2396


Bus (バス) / Splotter Spellen

頭がカオス状態。

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「バス」は、街にバス路線を巡らせ、それを使って出来るだけ多くの乗客を運送するゲームです。

ゲームは大きく2つの段階に分かれています。まずは「アクションの選択」フェイズです。ここではファーストプレイヤーから順に、アクションマーカーを専用のボードに配置することで、後で実施したいアクションをひとつ選択します(選択したアクションはもっと後の段階で実施します。ここでは選択のみ)。

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手番が回ってくるごとにアクションをひとつずつ選択可能です。同じアクションを何度選択しても構いません。アクションの中には1人だけしか選べないものもあります。各プレイヤーは少なくとも2つのアクションマーカーを使わなければなりません。

アクションマーカーは各プレイヤーごとに20個ずつあります。このアクションマーカーは全て使い捨てで、これを使い切ったプレイヤーはゲームから抜けます。つまりゲームを通して各プレイヤーは20アクションずつ行うことになります。1ラウンドで実施可能なアクションの回数はマーカー数を上限として制限はありません。

アクションには「路線(バス路線を設定する)」「バス(新たなバスを1台作る)」「乗客(乗客コマをステーション上に配置)」「建物(新たな建物を配置)」「時計(時間を止める!)」「運行(バスを運行して乗客を運ぶ)」「1(次ラウンドのファーストプレイヤーになる)」があり、その順番で実施されます。

「乗客」は、特定の「建物」に移動しようとします。それぞれの乗客が移動しようとする建物は「時間」によって異なります。この世界の「時間」は「家(夜)」「オフィス(昼)」「パブ(夕)」の3つがあり、その時間帯に対応する建物に乗客は移動します。

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乗客は交差点に配置され、その交差点に目的の建物があれば、そこに乗客が入ります。ひとつの建物には1つの乗客しか入りません。もし、目的の建物が交差点になければ、乗客はバスを使って別の交差点に移動しようとするのです。この乗客の移動が「運行」であり、「運行アクション」で乗客を運びます。

時間はラウンドごとに変わりますが、「時計アクション」を実施したプレイヤーは、時間の進行を一時的に停止させることが出来ます(!)。時間を停止させたらペナルティとして-1点のマーカーを受け取ります。

運行アクションによって乗客を目的の建物に運ぶことが出来たら1点です。最終的にこの点数の高いプレイヤーの勝利となります。

運の要素がまったく介在しない、胃がキリキリと痛むかのような厳しいゲームです。乗客を思ったようにコントロールすることは難しく、他のプレイヤーの動向が大きく影響するので、効率的に得点を重ねるためには、相当な読みと計画性が必要です。4人プレイでも2時間はかかるので人を選ぶタイプのゲームではありますが、優れた思考ゲームだと思います。

この手のアブストラクト風ゲームは好きなのですが、「ウル1830BC」の準備とプレイですっかり体力を奪われてしまったこともあって、セッションはまるでいいところがなく惨敗でした。後で思い出してみると、絶望的な状況でも実は手があったように思ったので、次の機会を待ってまたチャレンジしたいと思います。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/552


Oraklos (オラクロス) / Splotter Spellen

最後はこのゲームで〆ました。

moon Gamer

机上に多数のコマがぶちまけられ、そこから自分の前に並べられたカードに描かれた配列をいち早く探し出すリアルタイムゲームです。3ヶ月ほど前にプレイしたばかりなのに、もうルールを忘れてしまっているくらい印象の薄いゲームで、疲れていたこともあってあまりふるわずに終了。moon Gamer
http://ejf.cside.ne.jp/review/oraklos.html


レポートは以上です。

この日はとにかく「ウル1830BC」に尽きます。久しぶりに準備段階から思い入れたっぷりに力を入れ、セッションも十分に堪能することが出来てよかったです。ただ、そのために余力が無くなってしまい、この日にプレイ予定だった「カンヌ」のルール読み込みの時間が取れず、結局プレイ出来なかったのが心残りとなりました。でもこれでまた、次のスプロッター会を開く口実にもなったのでいいのかな。moon Gamer

朝からみなさん本当にお疲れさまでした。
またぜひ遊びましょう。moon Gamer