12日(土)は袋小路例会に参加してきました。この日は朝から曇り模様のじめじめ空気で、どんよりと流れる灰色の厚い雲の色を見ているだけでも憂鬱になりそうな空模様でした。不快指数はガソリン料金並に上昇しようかという勢いで、道の上に立っているだけでも地表からの熱気で汗が吹き出してくるという、アスファルトを道路に敷き詰めることを考え出した奴にイヤミのひとつでも言いたくなるような東南アジア的亜熱帯陽気は、僕のヒットポイントを遠慮無く確実に削り取っていきます。

しかも、午後から雨が降り出しますよという、ありがたみのひとつもない無慈悲な天気予報がネットで流れていまして、おかげで出かける直前になって、折りたたみ傘にしようか、それとも普通の傘にしようかという、実にくだらないことで10数分も悩み出す始末で、いったいオレは何がしたいのか自分でもよくわからないという… 結局、備えあれば憂いなしという格言にしたがって普通の傘を持って出かけました。そして池袋についたら雨がさっそくポツポツと降ってきまして、歩いている最中には本降りになったので、傘に関しては正解だったわけですが。

ただですね、憂いも無かったし備えも万全だったのは確かにそうだとしても、だからと言ってゲームが詰まったでっかくて重たくてデコボコしたバッグを脇に抱えつつ、生暖かーい湿り気たっぷりな空気の中を傘を差しながら歩くという行為がラクになるはずもなく、こういう嫌なタイミングの予報に限って当たるってのは普段の行いがアレだからなのかねー、などと、因果応報の妄想が前世の因縁にまで及んだあたりで何とか無事に会場にたどり着くことができました。あーしんど。

とか、こんなくだらないグチをぶつくさ言っていたまでは良かったのですが、会場でゲームをしばらく遊んでいたら、外がいきなり激しい雷雨に見舞われまして、おまけにそれが原因で山手線が3時間半にわたって止まるというシャレにならない事態になっていました。そうなる前に僕が会場にたどり着いたのはまことに幸運と言えましょう。これもやはり先祖の(ry

えー、ところで今回の例会は「納涼例会」という企画だったようで、涼しげな服装で来場すると参加費無料という、実にこのサークルらしいノリでいい感じです。会場には浴衣や甚平姿の方がたくさんいました(でも外は雷雨…)。時間も朝の9時からやっているという気合いの入りよう。僕は上のように朝方にメランコリー状態だったので来場が遅れましたが、それでも午後1時過ぎにはゲームを始めていました。いつものペースってことですね。


Terra Nova (テラノバ) / Winning Moves moon Gamer

おい、それは俺の土地だぜ。3人。

moon Gamer

メビウス便新作をいきなり試してみました。面白いゲームというのは、ルールブックを読んだだけでも何となくオーラが感じられるものですが、このゲームはまさにそれでした。アブストラクトゲーム好きとしては、こういう作品はたまりませんね。

マップ上はヘクスで敷き詰められています。ヘクスには地形があります。ゲームはそこへ各自のコマを配置することから始めます。ゲーム開始時、各プレイヤーにはプレイ人数に応じた数のコマが与えられます(3人プレイ時は10個ずつ)。これをプレイ順に1個ずつマップ上へ配置します。1マスにはひとつのコマしか入りません。全部のコマの配置が終わったら、プレイ順に手番を回します。各手番では3つのアクションを行います。アクションには2種類あり、1アクションごとにどちらかを選びます。

1.自分のコマの移動
最初のアクションは必ずこれを選択しなければなりません。自分のコマのうちひとつを選び、6方向のいずれかに一直線に移動させます。移動距離は1マス以上で任意です。自分のものも含めて、他のコマや境界マーカーのあるマスに入ったり、飛び越えたりすることは出来ません。

2.境界マーカーの配置
コマを移動させたあとに、その移動させたコマに隣接する空いたマスに、境界マーカーをひとつ配置します。手番で行う3アクションのうち、2アクションを使って2つの境界マーカーを配置することも可能です。

境界マーカーによって外から入ることが出来ない閉じられた領域が出来たら、そこが「エリア」であるかどうかをチェックします。「エリア」であるためには、そこに含まれる地形の種類が3種類以下でなければなりません。4種類以上の地形が含まれた領域はエリアではありません。エリアが形成されたのであれば、そこで得点計算を行います。そのエリア内に含まれるコマの数を比べて、最も多く置いたプレイヤーが得点を得ます(同点トップが複数いれば端数切り捨てで分割する)。

得点はエリアに含まれる土地の種類とヘクス数(マスの数)で決まります。土地の種類が3種類であれば、そのエリア内のヘクス数が得点になります。2種類であればヘクス数の2倍、1種類のみであればヘクス数の3倍が得点に計上されます。そしてエリア内にいる全てのコマをゲームから除去します。

これを繰り返し、マップ上の全てのヘクスがエリアに分割されたか、あるいはコマを動かすことが可能なプレイヤーが1人だけになったらゲームは終了します。得点の多いプレイヤーの勝利です。

偶然要素は全くありません。ひたすらコマの移動と境界マーカーの配置を繰り返し、細かいテクニックを積み上げて場を作り上げていくタイプのストイックなゲームです。メカニクスはシンプルで、プレイヤーはすぐにゲームに集中することが出来るでしょう。コマの数が多い序盤は特にそうなのですが、変化が多くてやや長考気味になるのは致し方ないところ。ダウンタイムが気になるのであれば、4人でプレイするより2~3人でプレイするとよいです。

ということで、意図的にこのセッションは3人でプレイしてみました。これは正解だったと思います。プレイヤーが思考に沈む時間は随所にありましたが、そうするにふさわしいゲームなので僕は全く気になりませんでした。

気になったのはスコアリングルールです。地形の種類によって得点が異なるのはいいとして、それが2倍・3倍になるのは少し大きすぎるような気がしました。このルールがあるために、1手のミスが大きく響いてしまってゲームが崩れることがあるような気がします。このセッションがまさにそれで、序盤に数十点も一気に獲得したプレイヤーが、最後までその点差を守りきって大勝していました。

まぁこれはこちらのミスですからしょうがないのですけれども、いずれにせよ何となくプレイしてしまいがちな序盤はかなり重要で、大きな得点をつかむチャンスでもあります。碁のように、隅や端は囲いやすくすぐに得点計算に結びつきますから、そのあたりも細心の注意を払ってプレイするべきでしょう。ゲーム後半になっていろいろなテクニックが発見され、勝敗はともかくプレイしていて面白かったです。

こういう細かい純粋な技巧と手練のゲームは好みがきっぱりと分かれるでしょうが、僕は大変に気に入りました。この手の思考ゲームが好きな人を集めてまたぜひ再戦したいです。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/20022


ZwergeZocken (こびとのトランプ) / ZauberZwerg Spieleverlag

変則トリックテイク。4人。

moon Gamer

というか、いろいろなトリックテイキングゲームの変則ルールを集めて、がんばってまとめてみましたっていうデザイン。トリックテイキングの面影は、全員が順番に1枚ずつカードを出して、そこでトリックの勝敗を判定するという点にあるくらいです。

まず、このゲームにはスートがありません。大別して数字カードとアクションカードに2種に分かれています。またその中には「こびと」が描かれているカードがあり、さらに「こびと」は8種類が存在します。同じ種類の「こびと」を3枚以上集めると得点になります。しかしそうでない半端な枚数の「こびと」や、それ以外のカードはマイナス点になります。変則ゲームなのに、その上ミゼールでもあるわけです。

アクションカードには4種類の効果があったり数字カードは状況によって数値が変わったりと、たくさんの要素が盛り込まれています。ただしこのゲーム独自のアイデアではなく、どこかで見たようなルールばかりです。元ネタを探すのも一興かもしれません。インスト時点では何が何やらさっぱりわかりませんでしたが、そのうち「こびと」の行き先に気をつけていれば何とかなるということに気がつきました。プラスになる可能性は「こびと」カードが少なくとも3枚取れるかどうかということだけだからです。

あんまり真面目にコツコツやるよりも、一寸先が闇の何だかよくわからない雰囲気を楽しむくらいのノリで取り組んでみましょう。moon Gamer
http://ejf.cside.ne.jp/review/zwergezocken.html


Number One (ナンバーワン) / MESPI moon Gamer

黒い「玉」がコトリと裏に落ちます。4人。

moon Gamer

ルールがあいまいな点は適当に解釈しました。ギミックは豪華。しかしかなりガチなアブストラクトゲーム。とにかく攻撃が基本。

ゲーム開始時に盤上の穴に黒い「玉」を入れます。「玉」は碁石のような形状で穴にすっぽり入ります。穴に入った「玉」は上から押すと下に落ちるようになっています(スポンジで軽く固定されているのです)。

プレイヤーには3つのコマが与えられます。コマの大きさはそれぞれ違っています。一番小さいのが「1」のコマ、中くらいのが「2」のコマ、そして最も大きなコマが「3」のコマです。手番ではそれらのコマを全て移動させなければなりません。ただし、3つのコマをどの順番で移動させても構いません。

「1」のコマは1マスだけ、「2」のコマは2マス、「3」のコマは3マス移動します。複数マスを移動するコマは、移動途中のマスに「玉」が入っていなければなりません。そして移動先のマスの「玉」を落としてコマをセットします(通過したマスの『玉』はそのまま)。他のコマのいるマスに入ったり、それを飛び越えることは出来ません。

もし、あるコマが移動することが出来ない時やしたくない時には、各コマごとに1度だけ玉の無いマスへ移動することが可能です。その場合にはコマをひっくり返し、マークのある側を向けておきます。マークのある側が上になったコマが移動不可能になった時にはゲームから取り除きます。全てのコマが失われたり、「1」のコマを失ったプレイヤーはゲームから脱落します。

こうして「1」のコマを最後に移動させたプレイヤーの勝利です。つまり、「1」のコマを残して最後まで生き残ったプレイヤーの勝利です。

これも運の要素は皆無の思考ゲームです。それのぞれのコマは移動距離の違いから運用に差が自然に出てくるのが面白いです。例えば「3」のコマは相手のコマに接近して動きを封じる突撃部隊ですし、「2」は柔軟に動くことが出来るバランスがいいコマなので守りの要となります。「1」はもちろんキングですので専守防衛。

終盤はパズルを解くような展開になりますが、変化は終わりに近づくにつれて少なくなってきますので、プレイ時間もダウンタイムも長くありません。「玉」を下に落とすというギミックのおかげでプレイアビリティも見た目も良く、総じて良いゲームだと思いました。箱がでかくて重いので持ち運びには不便です。moon Gamer
http://www.ps-hiroshima.com/board/numberone.htm


Mykerinos (ミケリノス王) / Ystari Games moon Gamer

人と場所を間違えなければ面白いんですよ。3人

moon Gamer

実はこの日、別の箱がでかいゲームを持ち込む予定だったのですが、雨だったので大型のキャスター付きのバッグが使えず、代わりに持ち込んだのがコレでした。

エジプトの考古学者となり、遺跡発掘やら博物館展示やらをやって得点を競うゲーム。テーマはそんな感じですが、実際の内容はちょっと変わった陣取りとリソース管理をミックスした、いかにもドイツゲーム風といった趣のゲームです。

このセッションは3人で、僕以外のメンバーは初プレイでした。ドイツゲームに慣れたお二人だったのでシステムはラクに理解してもらえたようですし、面白さの勘所も掴んでもらえました。ただ勝敗となるとそうはいかなかったようで、経験の差から僕がわりと離れた点数で勝利となりました。3人だと獲得するタイルの枚数が多くなり、特殊効果の使い方や得点計算の考え方が、実は4人プレイよりも技巧的になるような気がします。moon Gamer
http://ejf.cside.ne.jp/review/mykerinos.html


Das glorreiche Manöver (栄光ある演習) / Schmidt Spiele moon Gamer

この日の〆にて最大の収穫。3人。

moon Gamer

ダイスもカードも使わないスゴロク。これもルールがあいまいだったので適当にアレンジしたりバリアントを組み合わせて遊んでみました。まったく期待しないでプレイしたのが奏功したのかもしれませんが、少なくともレースゲームが好きな人ならきっと面白がって遊んでくれると思います。イケます。

まず盤の定められた位置に「白」「黒」「灰色」のマーカーを置きます。これはボーナスマーカーです。各プレイヤーには、プレイ人数に応じたカラーコマが渡されます(3人プレイ時には4個ずつ)。自分のコマには異なる番号が振られています(3人プレイ時には『1』~『4』までのコマ)。セットアップにだけダイスを使います。ダイスを使うのはここだけです。これでランダムにスタート位置を決めてからゲームスタート。

moon Gamer

手番では、自分のコマの中に、進ませることが可能なコマを、任意の順番で全て進ませなければなりません。進むマスの数はそのコマの順位と同じです(ダイスやカードは一切使いません)。現在の順位が1位のコマは1マス、2位のコマは2マス… 以下同様です。

あるマスに複数のコマが重なっていても、順位は1つしかカウントしません。例えば、1位のマスにコマが3つ重なっていたとしても、その直後のマスにいるコマの順位は2位です。

ひとつのマスには3つのコマまで入ることが出来ます。後からそのマスに入って来たコマは、元のコマの上に重ねて置きます。他のプレイヤーのコマの下敷きになっている自分のコマは、手番で進ませることは出来ません。また、ひとつのマスに4コマ以上重なるような移動も行えません。

高い段に重なっているコマは移動距離が増えます。2枚のコマが重なっている場合、上のコマは移動距離が2倍(順位×2倍)となります。3枚のコマが重なっている場合は、移動距離が3倍(順位×3倍)です。

さらに、「白」マーカー上にあるコマは移動距離が2倍、「黒」マーカー上では3倍になります。これは上記の段差ボーナスに加えられるます。例えば、「黒」マーカー上で2つのコマが重なっている時に順位が4位であれば、移動距離は24マス(黒マーカー3倍×段差2倍×順位4)となります。

moon Gamer

ゴールには「1」~「12」までの数字が書かれたマスがあります。基本ゲームでは、最初にゴールしたコマは「12」、次にゴールしたコマは「11」のマスに入り、それが得点になる、というルールです。しかしそれではボーナスを使い切れるかどうかだけの単純な流れになってしまうので、バリアントルールを採用しました。

このバリアントは、ゴール時にマスに入るやり方は変わりませんが、コマに書かれた数字が意味を持ってきます。ゴールしたコマの順位がそのプレイヤーにとってコマに書かれた順位と同じなのであれば、そのコマが得る得点は倍になるというルールです。例えば、トータルで3位(10点)であっても、そのプレイヤーが最初にゴールしたコマであり、しかもそのコマに「1」と書かれていれば20点となるのです。

このルールを採用したことによって、ゲームはがぜん引き締まりました、それぞれのコマのポジションを管理することが重要となり、ボーナスを適度に利用しながらコマを上手くコントロールする技巧的なゲームに早変わりしたのです。ボーナスはインフレ気味なので、調子に乗ってうっかり黒マーカーに乗ったりすると、後ろにいて欲しい大きな番号のコマがとんでもない位置まで飛ばされて唖然とすることも。

ドイツゲームのレースゲームとしては典型的なルールの組み合わせなので斬新さには欠けますが、バリアントを使った3人プレイでは戦略的なスゴロクとして十分に及第点のレベルに達しており、良作だと思いました。バリアントルールは他にもありますので、今度はそちらでも試してみたいです。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/14427


レポートは以上です。
この時点で午後6時を回ったあたりでしたが、残念ながら早めに帰りたい事情があり帰宅しました。

来た時には気分的に沈んでいた状態でしたが、いくつかゲームをやったらそんなものはカミナリ様と一緒にどこかへ吹き飛んでしまいました。たまたま今日遊んだゲームが当たりばかりだったこともありますし、会場の雰囲気が良くて心の底からリラックス出来たってこともあります。なんかね、いい人ばかりなんですよ、ここ。

初参加者も何人かいたようですし、そのたびに主催者やボランティアが仕切って卓に入れたりとか、そのあたりの運営もお見事です。こういう運営側のボランティアにしても、ゲームを持ち込むサプライヤーにしても、そして普通に遊んでいるプレイヤーにしても、それぞれがそれぞれの立場で、純粋にゲームを楽しそうに遊んでいる姿を見るのはとても気持ちいいです。

やっている本人たちはまるで意識していないと思いますが、これはオープン例会を開くゲームサークルの理想形のひとつでしょう。あくまでも自然なスタイルでありながら、初心者からベテランまで並列に幅広く受け入れ可能なゲームサークルってのはそうはありません。

場内を見渡すと、「蒸気の時代」の拡張マップや「1830」のような重たいゲームが遊ばれていたり、そうかと思えば「こんなもの、どんなもの?」や「八百長クイズ」のような軽いゲームもあったりして、バラエティに富んだゲームが所狭しと並んでいました。雨やコミケの影響で人はやや少なめでしたが、それでも30~40人くらいは集まっていたような。

短い時間でしたが、参加出来たことを嬉しく思います。
また例会でお会いしましょう。moon Gamer