22日(日)は、上北沢で行われたSGC例会に参加してきました。

先月と同じく、今回も前日が重たいゲーム会だったこともあり、少し遅れて会場入りした時には、頭が半分寝たような状態でした。この日は曇り空で妙に蒸し暑い陽気で、疲れた体にはちょいときつかったです。


Aton (アトン) / Queen
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待ち時間を利用して、以前から気になっていた2人用ゲームを遊んでみました。カードを使った陣取りの一種で、4つの寺院に、それぞれ出来るだけ自分のコマを多く置くことが目的になります。

寺院ごとに点数計算の方法が異なっていたり終了条件が複数あるなど、作戦の幅が広く取れそうなゲームで、ルールを読んだ時点では面白そうでした。

が、販売代理店が添付している日本語訳ルールに不備があり、ついでに僕も1箇所ルールを読み間違えてしまいまして、1回の得点計算後に協議終了となりました。思っていたより長いゲームで、考えどころがあるのか無いのか不思議な感覚のゲームでもありました。いずれにせよ、正しいルールでもう1回プレイしなければ。
http://www.boardgamegeek.com/game/19999


Stock Rush! A Week on Wall Street / Stock Rush, Inc.moon Gamer

てんこ盛りの投資ゲーム。4人。

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株式投資や金相場でお金を儲けるビジネスゲームです。モノポリー風にゲームは進みます。プレイヤーは手番で、12面体ダイスを振って盤上の周囲にあるマスを時計回りでコマを進めます。しかし、モノポリーに似ているのはここまです。

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プレイヤーは「TRADE」と書かれたマスに止まったら株の売買を行えます。銘柄は4社あり、株券は100株・1000株・1万株券があります。株価は1株ごとの単価が$1単位で決まっており、これは写真のような株価表示板を使います。見た目に派手な凝ったギミックですが、扱いづらいのが難点です。moon Gamer

株の売買は現金のやり取りの他に「空売り」が可能になっている点がユニークです。株式ゲームは世にたくさんありますが、このような信用取引をルールに取り込んでいるゲームは意外と少なかったりします。当然、空売りによって追うリスクも現実と同等で、利益は限定的ですが、損失には上限なしです。

もうひとつ面白い要素が「風説(Market Rumor)」です。カードによってある噂が市場に広まると株価に影響を与えます。基本的には株価が上がるか、それとも下がるかのどちらかです。風説が消えるまでこの影響は続きますので、乱数が多いこのゲームでは株取引の有力な参考材料になります。

その他、金相場があったり(投資家であるはずのプレイヤーが、なぜか金鉱まで掘りに行って、どうかすると遭難することまである)、新規公開株(IPO)やら連邦公開市場委員会(FOMC, Federal Open Market Committee)によって金利が上下したりと、思いつく限りの要素がぱんぱんに詰め込まれています。投資家になるための勉強にはなるかもしれません。

が、バランスはかなり無茶なことになっていて、ダイス運とカード運に翻弄され続けます。特に手元の現金を減らすマス(=税金)が多いのには辟易とさせられました。最大で半分も減ります。空売りするにも供託金が必要なので、そもそも現金が無いとどうにもならないシステムであるにもかかわらず、こうも無神経に現金を減らされてはゲームになりません(では現金を株式にしておけばいいと思うかも知れませんが、上にも書いたように『TRADE』マスに止まらないと株の売買が出来ないのです)。

もうひとつ気になったのは、ゲーム開始最初の手番で、カードを引くマスにダイスの目によってはコマが届いてしまうようになっていることです。カードの内容はわりと極端なものがあり、その内容によってはゲームが崩れてしまうことがあります。実際このセッションでは、誰も株取引をしていない段階で全銘柄の株価が3倍に跳ね上がり、そのために全員が空売りに走らざるをえなくなるという、絵に描いたような寒い展開に陥ってしまいました。

株式ゲームにギャンブル性を持たせることについては妥当だとは思いますが、乱数だけでかき回すシステムなので、ゲーム的な深みを持たせるには至ってはいません。面白そうな要素が詰まっているだけに大変に残念です。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/16396


Transsib / Winsome Games

列車輸送でセールスしましょう。ただし命がけでmoon Gamer 5人。

moon Gamer

イルクーツクからモスクワまで鉄道で移動しながら、途中の駅で商品を売却して利益を得ることが目的です。ただし列車には自分のセールスマンが3人しかいませんし、駅ごとに売却可能な商品と価格が変動します。

盤上には一本の鉄道(シベリア鉄道)と、いくつかの駅が描かれています。駅には赤い駅と青い駅があり、赤い駅の間に2つの青い駅があります。(赤-青-青-赤-青…)。ボードの周囲には車両が描かれています。車両はボードの左右に3両ずつ計6両と、その間をつなぐ車両(食堂車)が1両あります。

ひとつの車両には商品コマを置くカラフルな座席スペースと、セールスマンコマを置く緑色のスペースの2つの部分に分かれています。座席の色はプレイヤーの色に対応しています。例えば赤い座席スペースは赤プレイヤーの座席です。ゲーム開始時に、ここへ商品タイルを1枚ずつ置きます。1台の車両には、各プレイヤーごとに2つの座席があり、全部で6両ですので、1プレイヤーごとに12枚ずつの商品タイルが置かれることになります。

さてその商品タイルです。これは「赤い駅」で売却可能な商品です。青い駅では売却は出来ません。商品には6種類あります。赤い駅ごとに売却可能な商品が3~4種類が決まっており、売値も決まっています。例えば、Novosibirsk で『衣服』は3ルーブルで売れますが、Omsk なら6ルーブルで売れます。ただし「ウオッカ」だけは例外で、どの赤い駅でも売却可能ですが、売値はその都度ダイスで決められます(1~6ルーブル)。

赤い駅に到着した時、セールスマンが存在する車両にある、自分の色の座席に置いてある商品を売却することが出来ます。売却する商品はいくつでも構いません。セールスマンコマは各プレイヤーごとに3つずつしかなく、各車両には自分の座席マスは2つずつしかありませんので、一度に売却可能な商品数の最大数は6商品タイルです。

ゲームはまず、ラウンドの開始時に列車コマが1駅だけ動きます。現在の駅が青い駅であれば、プレイヤーはアクションを行います。プレイヤーの手番順はランダムに決まります。手番プレイヤーは2つのアクションが行えます。

 ・セールスマンの移動
 ・用心棒マーカーを置く
 ・用心棒マーカーを取る
 ・泥棒をする
 ・決闘をする
 ・パス

1個のセールスマンは、1アクションを消費することで隣の車両に移動することが出来ます。2つの車両を移動すると2つのアクションを消費します。ボードの反対側の車両に移動する場合は、食堂車を経由しなければなりません(食堂車への移動にも1アクション消費)。つまり移動はかなり不便です。

「用心棒マーカー」は、車両にある他人の商品タイル上に配置するためのものです。効果としては、用心棒マーカーが乗っている商品タイルが売却されると、その売り上げの半分をもらうことが出来ます。1アクション消費でセールスマンの置かれた車両で、1個の用心棒マーカーを置いたり、あるいは取ることが出来ます。

泥棒は、他人の商品タイルを盗むことです。1アクション消費でセールスマンの置かれた車両で、他人の座席上にある商品タイルを自分の座席に持ってきてしまうことが出来ます。ただし、これは次の赤い駅に停止するまでに1回しか行うことは出来ません。

最後が「決闘(バトル)」です。これは自動的に誘発されるケースと、自発的に行うケースがあります。

あるプレイヤーのセールスマンが「用心棒マーカー」を他人の商品タイル上に置いた時や、商品を泥棒しようとした時、その車両に、対象となった商品タイルの持ち主のセールスマンがいれば、自動的に決闘になります。ただし、決闘は手番プレイヤーのアクションを消費します(つまり決闘で手番が終了します)ので、手番プレイヤーの2アクション目に、決闘を誘発するようなアクションを行うことは出来ません。

決闘は、手持ちのルーブルを使って行われます。互いに秘密裏にお金を握り合って、同時に公開します。多く握った方の勝ちです。握ったお金は交換します。手番プレイヤーが勝てば、行ったアクションは実施されます。そうでなければアクションはキャンセルされます。もし、握ったお金が同額であれば、2人のセールスマンは食堂車に移動させられます(アクションもキャンセル)。

自発的な決闘もやり方は同じですが、結果が異なります。負けた方のセールスマンはゲームから取り除かれるのです。ただし、この場合は負けた方は勝ったプレイヤーが握ったお金を全額受け取って、相手に渡す必要はありません。同額を握り合ったら、やはり食堂車へ移動します。なお、食堂車では自発的な決闘を行うことは出来ません。

これを繰り返して、最終的に所持金の最も多いプレイヤーの勝利です。

頭が煮詰まりそうな生き残りバトルです。バトルが所持金(=勝利点)のシークレットビットだからということもありますが、熱い駆け引きが延々と続きます。最後には疲れてしまうくらい。次の赤い駅で高く売却可能な商品のある車両を中心にしてセールスマンがちょこまかと動くことになりますが、移動は不自由なため、次の次くらいまで読んだポジショニングも重要です。

ターン順がランダムに決まるというのがちょっと気になった点で、これによって先読みが難しくなり、また後先で有利不利がはっきりしすぎると思いました(たいていは先に動いた方が有利)。また、今回はセールスマンを除去する目的の決闘が終盤にしか発生しませんでしたが、序盤から果敢にバトルをしかけるのもアリでしょう。メンバーによってはかなり激しい展開になるタイプのゲームです。

今回は、最後から2つめの赤い駅でテレビ3台を売って荒稼ぎした Rael さんが飛び抜けました。モスクワに行くまでの車内では激しいバトルが繰り返され、最終駅(モスクワ)で宝石を売りまくった atog さんが猛追をかけましたが、これが今一歩及ばず、Rael さんの勝利となりました。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/1913


Tahuantinsuyu (タワンティンスーユ) / Hangman Games moon Gamer

ヴィンテージっぽいですが、2004年のゲームです。4人。

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インカ帝国の創世から没落までを描く帝国建設ゲームです。クレヨンを使います。

このゲームの進行は少し変わっています。まず大枠として、インカ帝国には4つの「時代」があります(『Pre-Empire』→『Early Empire』→『Middle Mipire』→『Late Empire』)。それぞれの時代は、いくつかある種類の『フェイズ』で構成されており、全体の長さやフェイズの組み合わせが「時代」によって異なります。と、書くと何だか面倒そうですが、ようするに、マップ上に印刷されている進行トラック通りにやれば良いだけのことです。

さて、そのフェイズには4種類あります。


◆Inca Phase(インカ フェイズ)

「労働者トークン」を受け取ります。労働者トークンは、この後の建設や地域の制圧等に必要な人的資源です。労働者トークンは自分が制圧した地域などから受け取ります。

◆Sun Phase(太陽フェイズ)

これは特殊カードを使用するフェイズです。詳細は略しますが、全員が何らかの特殊カードの影響を受けるようになっています。また、複数のカードの効果の影響を累積して受ける可能性もあります。また、このフェイズでプレイ順が決まります(点数が低いほど先にプレイする)。

◆People Phase(人民フェイズ)

このフェイズが「タワンティンスーユ」のメインです。人民フェイズでは2つのアクションを行います。しかし、手番最初のアクションは「道路建設アクション」でなければなりません。

この道路建設アクションは、マップ上の道に沿って、クレヨンを使って道路を建設します。このアクションでは2本の道路が無料で建設可能です。道路は、ゲームスタート時の地点から連続してつながっていなければなりません。また、他のプレイヤーの道路上に別の道路を建設することも不可です。

2アクション目は以下の中からひとつを選びます。

「地域制圧アクション」

ゲーム開始時には、マップ上の全てのエリアには「Local Culture(地方の小規模な村落)」を示すチップが配置されています。自分の道路が、その地域の境界線か内部に建設されていればこのアクションを選択可能です。地域に配置されている Local Culture チップ上に書かれた「Resistant」に等しい数の労働者トークンを支払うことで、その地域を制圧したことになります。チップを受け取り、そこに書かれているVP(勝利得点)をただちに受け取ります。

「都市建設アクション」

制圧した地域(誰が制圧したかには無関係)に「都市マス」があれば、6労働力トークンを支払ってそこに都市を建設し、「都市マーカー」を配置することが可能です。そしてただちに4VPを獲得します。

「寺院建設」

ある都市マーカー(誰が建設したかは無関係)に道路がつながっていれば、5労働力トークンを支払ってそこに寺院を建設し、「寺院マーカー」を都市上に配置することが可能です。そしてただちに3VPを獲得します。

「駐屯地建設アクション」

制圧した地域(誰が制圧したかには無関係)に「駐屯地マス」があれば、4労働力トークンを支払ってそこに駐屯地を建設し、「駐屯地マーカー」を配置することが可能です。そしてただちに3VPを獲得します。

「テラス建設」

これは自分の獲得した Local Culture チップ上に配置する特別なマーカーです。2労働者トークンを支払えば、テラスマーカーを Local Culture チップ上に配置可能です。そしてただちに1VPを獲得します。テラスのある Local Culture チップは、インカフェイズで追加の労働者トークンを生み出します。

「追加道路建設アクション」

1労働者トークンを支払うことで、追加の道路を1本引けます。

◆Sapa Inca Phase(サパ・インカ フェイズ)

得点計算の処理をここで行います。「都市(3VP)」「寺院(1VP)」「駐屯地(2VP)」に道路を繋げているプレイヤーは、VPを獲得します。ここでも、誰が建設したかは無関係です。つまり、建築物はすでに帝国のものであり、そこに誰でも道路をつなげていれば、このフェイズにVPを得ることが出来るのです。また「テラス」を持つ Local Culture チップを所有するプレイヤーは、それ1個ごとに1VPを得ます(これは自分だけ)。

このフェイズでは特殊カードの効果が消え(場からカード除去)、この時点で各プレイヤーが未使用の労働者トークンが捨てられます。

すでに書いたように、これらの「フェイズ」は「時代」ごとに異なった組み合わせで進行します。例えば『Pre-Empire』には「インカ」→「人民」→「人民」と進みます。『Early Empire』なら、「インカ」→「太陽」→「人民」→「太陽」→「人民」→「サパ・インカ」を1サイクルとして、これを3サイクル繰り返します(つまり『Early Empire』だけで18フェイズ)。

このようにしてゲームを進め、終了条件が満たされたら、最後に「サパインカ フェイズ」を行ってゲームは終了します。得点の高いプレイヤーの勝利です。

これは面白かったです。「タワンティンスーユ」は 2004年に発売されていたそうですが、不覚にも全然知りませんでした(しかもまだ普通に Funagain Games で売っています。なーんてこったい)。未開の地に道を延ばし、発見した地域を征服して労働者を増加させ、やがて都市を建設し、そこに立派な寺院を建てる… 開発建設によって段階的にインカ帝国が発展していく流れを自然に体感することが出来るようになっているのがまず素晴らしい。

道路による開発ルートは意外と多くあるので、序盤~中盤あたりまでは他人を妨害することより、協調しつつ得点を分け合うくらいの方がいいでしょう。もちろん、自分だけが得点可能な建設地が取れそうなのであれば、積極的にそれを狙いにいくべきです。また、地域の征服によって Local Culture チップを集め、労働者トークンを確実に増やすことを目指しましょう。どうしても良いチップが集められない時には、とりあえずチップにテラスを建てておけば、労働者トークンと得点の両方が(わずかではありますが確実に)入ります。

得点順位のよってプレイ順が変わるので、そのマネージメントも重要です。あえて点数を抑えておいて、プレイ順を先にしておくのは有効な作戦のひとつでしょう。しかし、プレイ順を先に取られて道路が塞がれてしまったとしても、あまり悲観することはありません。道路の複線は不可ですが、特殊カードの使い方次第で、孤立した都市や駐屯地へ経路を切り開く手段があるかもしれないからです。このように、一見すると狭くて窮屈なマップですが、取り得る選択肢は多くあるのです。

もっとも、土地が狭いことは確かなので、あまりのんびりしていると次々と行き先をふさがれてしまい、さすがにそれらをリカバリーするのはやっかいです。この適度な緊張感と人跡未踏の地を開拓する感覚の楽しさが上手にミキシングされ、優れた戦略ゲームとしてデザインされています。プレイ時間がやや長いことを差し引いたとしても、それだけの時間をかけて遊ぶ価値のある良作であると僕は思いました。

ちょっとだけ気になる点が2つほど。まず特殊カードの効果の差が極端であったこと。カードの使用にはコストを支払わないので、良いカードを獲得するには、それを引くかどうかの運だけで決まってしまいます。そして手に入れた時には使わなければ損です。一方、悪い効果のカードを他プレイヤーにぶつけられてしまうと、それを直接的に避ける手段がありません(こちらに都合の良いカードを自分自身に使うくらい)。これがこのゲームの華のひとつでもあるので、この大ざっぱな処理は少し残念です。

もうひとつはコンポーネントの問題で、クレヨンがとても使いづらかったこと。クレヨンが悪いのかマップが悪いのかわかりませんが、描いても色が着かないので何度も描き直していたりしました。ちなみに、地域の境界線に「緑」があるのに、クレヨンにも「緑」があるのはちょっとどうかと思いました。

このセッションは、中盤まで atog さんがぶっちぎりのトップで、他の3人はダンゴ状態でした。しかし終盤に入って ろしあ忍さんがぐーんぐん得点を重ねて、何と最後には1点差で逆転勝利を収めました。いやお見事でした。ゲームが終わるまで4時間近くかかりましたが、次はもっと短い時間で済ませることが出来るでしょうし、さらに楽しめるでしょう。ぜひぜひ再戦を希望します。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/11096


レポートは以上です。

帰りは、天気予報よりも早く雨が降ってきました。アフターは、上北沢に来るとよく寄る釜飯屋の座敷で、楽しいおしゃべりなど。座敷なので大声で騒げるのはいいかもしれない(さすがにゲームは広げませんでしたけど)。

ということで、お疲れさまでした>参加者各位
また、次の例会でお会いしましょう。moon Gamer