「Elements (エレメンツ)」は、今から10年ほど前に Adlung-Spiele から発売されたカードゲームです。
当時、一部で好評を博したものの、特に国内ではそれほど大きな話題とはならず、多くのゲームと同様に、歴史の中に自然と消えていったゲームのひとつでした。
それが今年になって B2FGames LLC によって再販され、再び注目を集めようとしています。このエントリーでは、この「エレメンツ」についてレビューしてみましょう。
カードは大別して2種類あります。
これは「元素(エレメント)」を模したカラーカード。場に常に置かれ、並んだ位置でランク(強さ)が決まります。
※このゲームには5つの元素が登場しますが、仏教や道教における五大元素とはあまり関係がないように思います。
こちらはナンバーカード。
カラーカードと同じく5色あり、各色は「0」~「10」まで11段階のランクがあります。つまりナンバーカードは全部で55枚あります。
プレイヤーが扱うのはこのナンバーカードのみで、その他、特殊なカードは一切ありません。
準備として、まず場にカラーカードをランダムに横に並べます。そしてカードの列の左端に「ゲームの箱」を置きます。この箱に近いカードほどランクが高い(強い)カラーとして扱われます。
5人でプレイする場合、ナンバーカードを11枚ずつ全員に配りきります。
※このエントリーでは5人プレイ時の例のみを書きます。3~4人でプレイする場合についてはルールブックを参照してください。
このゲームは2つの段階があります。
まず、カラーカードのランクを確定し、それと同時に、プレイヤーが獲得する目標となる得点カードを決定します。
続いて、その得点カードを変則的な競りによって1枚ずつ獲得します。
◆最初の段階◆
スタートプレイヤーから順に、各プレイヤーは、手札から1枚ずつ、場のカラーカードの下にナンバーカードを裏返しにして出します。これによって、カラーカードとナンバーカードの「組(ペア)」を作ります。
すでにナンバーカードが置かれている(=ペアになっている)カラーカードに対しては、ナンバーカードを出すことは出来ません。空いているカラーカードの下にのみ出すことが出来ます。なお、プレイヤーが出すナンバーカードは、カラーカードと同じである必要はありません。
全員がカードを1枚ずつ出し終わったら、場のナンバーカードを表に返します。
この時、場のカラーカードとナンバーカードは、写真のように上下でペアになっているということに注意してください。
そして、ナンバーカードの数値の大きい順に、各ペアのカードを並べなおします。
大きなナンバーカードを持つペアを箱に近い場所へ並べるようにします。同じ数値の場合は、並べ直す前に箱に近かったペアを優先して箱の近くになるよう並べます。
この処理により、カラーのランク(強さ)が変化します。箱に近いペアのカラーカードほど強いランクとなります。
この後、「0」のナンバーカードは場から捨てます。そして、箱から最も遠いペアのナンバーカード(最も数値の低いカード)から競りを行います。
◆競りの段階◆
この段階の目的は、場のナンバーカードを獲得することです。
これは、ランクの低いナンバーカードから順に1枚ずつ、競りによってカードの獲得者を決めます。この獲得したナンバーカードが得点となるのです。
競りの手順は以下の通りです。
最初のプレイヤーから順に、手札から任意のカードを1枚ずつ表向きにプレイするか、あるいはパスをします。
続いて、さらにもう1枚のカードを順にプレイするか、あるいはパスをします。
1巡目でパスをしたプレイヤーは、ここでカードをプレイすることは出来ません。
最後に、2枚のカードをプレイするか、あるいはパスをします。
1巡目か2巡目でパスをしたプレイヤーは、ここでもカードをプレイすることは出来ません。
カードをプレイするのは任意で、パスすることも出来ます。途中でパスした場合、そのナンバーカードの競りでもう追加のカードをプレイすることは出来なくなります。
注:パスをした場合でも、追加のカードプレイが不可になるだけで、
次の強弱判定には参加することが出来ます。
注:3回目のカードをプレイする際に、手札に1枚しかカードがない時には、
追加でカードをプレイすることは出来ません(パスするしかありません)。
3回の手順で全員がカードをプレイするか、あるいは全員がパスをしたらこの競りは終了します。
ここで、全員がプレイしたカードの強弱を比較します。原則として、同じ色か、同じ数字の枚数が多い方が勝ちます。
枚数が同じ場合は、数字の方が強いと判定します。
同色の枚数が同じ場合は、ランクの高い色の方が勝ちます。
この例では、赤よりも黄の方がランクが高いので、黄の組み合わせが勝ちます。
枚数が同じ数字の組み合わせは、数値の大きい方が勝ちます。
枚数が同じ色の組み合わせは、それぞれの組み合わせの中で最大の数値を比較して、それが大きい方が勝ちます。
右の例では、最大数値が「9」と「7」を比較するので、上の組み合わせが勝ちます。
こうして、最も強い手をプレイしたプレイヤーが、対象となっている場のナンバーカードを獲得します。獲得したカードは裏返しにして保管します。
次のナンバーカードの競りは、前の競りでカードを獲得したプレイヤーがスタートプレイヤーとなります。こうして、場のナンバーカードが無くなるまで、順番にこれを繰り返します。これで1ゲームが終了です。獲得したナンバーカードは得点として記録し、その後で捨てます。
また、各プレイヤーは次のゲームを行う前に、手札のカードを好きなだけ捨てることが出来ます。このようにして捨てられたすべてのナンバーカードをよく混ぜ、各プレイヤーの手札が再び11枚になるように配ります。場のカラーカードはそのままの状態にしておきます。
これで次のゲームが始まります。プレイヤーの数と同じだけゲームを繰り返します。最終的に、獲得した得点累計の高いプレイヤーの勝利となります。
お手軽なルールながら、悩ましくもコミカルなハンドマネージメントをわずかな時間で楽しめるカードゲームです。運の比重はやや高めですが、カウンティング等、ゲーム的なテクニックを駆使する場面も多々あります。3~4人プレイではダミープレイヤーが登場し、コミカル度はさらに上昇するのではないでしょうか。
= DATA =
◆タイトル :Elements (エレメンツ)
◆デザイナー:Marcel-André Casasola Merkle
◆メーカー :B2FGames LLC / Adlung-Spiele
◆3-5人/12歳以上/30分程度
◆関連サイト:
http://www.b2fgames.com/
http://www.boardgamegeek.com/game/1680
コメント
コメント一覧 (2)
この手のゲームは好きなのでGMで買い損ねたのが悔やまれます・・・・
通販で・・・その前にたまってるゲームが先ですが(笑
コメントありがとうございます。
いいゲームなんですよー。細くても長く売れて欲しいと思います。