1日(日)は、池袋にて開かれた袋小路の7月例会に参加してきました。言われて気がついたことですが、袋小路の(通常)例会は今回でちょうど40回目とのこと。素晴らしい。今後も紆余曲折あるでしょうが、このサークルが長く続くことを心から祈っております。

今回持ち込んだゲームは、いずれも個人的に未プレイなものばかりです。購入してからしばらく時間が経過しているゲームもあります。新作はともかくとして、90年代に発売されていたような中途半端に古いゲームは意外とプレイ機会を得るのが難しいことが多いので、今後も持ち込みゲームの中に少しずつ取り入れていきたいと思っております。

梅雨の晴れ間。少し蒸し暑い空気が街を包み込んで、いつの間にやらすっかり初夏の陽気です。


Jenseits von Theben (テーベの東) / Queen moon Gamer

リメイクの新作投入。4人。

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元は個人会社から毎年決まった数だけ少数限定生産されていた知る人ぞ知るゲームでした。しかしこのマイナーゲームが Queen によって見いだされてメジャーデビューを果たし、ついにはドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作にまで登り詰めたのです。

欧州各都市に散らばっている「知識」を収集し、それを元に遺跡を発掘することがゲームの基本的な流れです。「知識」は、カードに示された書籍マーク、アシスタント、現地住民からの援助などがあり、これらをより多く集めて、遺跡出土品(アーティファクト)の発掘を目指します。発掘作業に多くの時間をかければ、価値の高いアーティファクトを発掘する可能性が高まります。しかし、プレイヤーに与えられた時間は等しく2年間(52×2=104週)しかありません。知識を高めるにも時間がかかるのです。

遺跡の発掘は、袋に詰められた30枚のタイルをランダムに引くことで表しています。得点となる「アーティファクト」を引けばそれは引いたプレイヤーのものとなり、無価値の「がらくた」タイルは発掘後に袋に戻します。つまり、袋の中身は、アーティファクトが発掘されるごとにどんどん「薄く」なっていくのです。この発掘システムが「テーベの東」でデザイナーが表現したかったほとんどと言っていいでしょう。

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オリジナル版のルールとの違いはいくつもあります(例えば、発掘許可証を元に戻すタイミング・アクションの種類・ゲーム終了時の得点等々)。特に『展示』に関するルールは完全にリプレイスされ、オリジナル版にあった競合要素のひとつが消滅しています。しかしこれは英断でもあります。なぜなら、「遺跡発掘」に焦点を絞り込むことで遊びやすさが格段と上昇し、より多くの層にアピールすることが可能なファミリーゲームへと生まれ変わることとなったからです(またこの改変があるので、オリジナル版を手放す理由も無くなっています)。

運の比重はやや高めですが、もちろんコントロール出来ないほどではありません。遺跡発掘のロマンと悲哀をたっぷり感じさせてくれる独特な雰囲気を持った作品でした。
http://www.boardgamegeek.com/game/13883


Celtic Quest (ケルティック・クエスト) / JKLM Games

迫り来るローマの脅威。3人。

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「ケルティック・クエスト」には導入ゲームとして「ケルティック・トレーダー」という簡易ルールがあって、今回はそれを3人でプレイしました。

プレイヤーはケルト民族のひとりとなり、集落を巡って多くの名声を獲得することを目指します。「ケルティック・トレーダー」では、マップ上の資源チット(複数あります)を収集し、それを集落へ運ぶことで名声を得られるようになっています。資源チットはマップ上に落ちていて、そこへ自分のキャラクターコマを移動させることで拾うことが出来ます。自分のキャラクターコマを集落で移動を終了させると、保持している資源チットを名声ポイントに変換することが出来ます。資源チットには

これらキャラクターの行動に関わることはステータスとしてパラメータ化され、その数値は変動するようになっています。例えば、キャラクターの移動距離は「移動力」、資源チットの最大保持数は「運搬力」、資源チットを名声ポイントに変換する時のボーナスポイントは「交易力」です。そしてこれらは、既定の名声ポイントを消費することによって段階的に上昇させることが可能です。

また集落ごとに、どの資源チットが何ポイントの名声ポイントへ変換されるかが決まっています。そしてこの変換レートも変動するのです。ある集落で、ある種類の資源チットが名声ポイントに変換されると、その資源チットの変換レートが一段階下がります。また、資源チットが盤上に出現する処理の過程で、変換レートが上昇する可能性もあります。

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このように、集落は名声ポイントを獲得するための重要拠点なのですが、実はこれが無くなることがあるのです。一定の条件が満たされるか、特定のイベントチットの効果により、集落が「ローマ化」して消滅します。かなり思い切ったルールのようですが、これがこのゲームでは煩雑に起こります。実際、このセッションでは、6ヶ所ある集落のうち、なんと5ヶ所がローマ化して消え去りました。消えすぎ。ちなみに6ヶ所すべてがローマ化するとゲームが終了します。

ゲームが進むにつれ集落がローマ化して減っていくため、1回の手番で効率的な名声ポイントの獲得をするためにはパラメータの上昇が必然となっているわけです。ただ、その上昇曲線がやや極端で、一度でも離されると後から追いつくのが大変かな、という気はしました。導入ゲームなので、そのあたりのバランスは甘くなっているだけなのかもしれませんけれども。

やや変わったバランスを持たせたゲームで、プレイタイムもそれほど長くなく、終盤の大味な展開を除けば、自分としてはそれほど悪くない印象を持ちました。なので、そのうち基本ゲームまで進んでみようかと思っております。
http://www.boardgamegeek.com/game/19416


Cape Horn (ホーン岬) / Kosmos (Franckh-Kosmos) moon Gamer

ゲーム倉庫の底に積まれていたのを引っ張り出した。3人。

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シンプルなタイル配置系の水上レース。3人プレイがベストかも?

手番では手札から任意の枚数のタイルを空いているマスへ置きます。既存のタイルに隣接する場所か、あるいは条件が揃っていたら既存のタイル上に重ねて配置も可能です。その後で船を移動させます。船のあるマスにあるタイルに指定された方向へ、そこに書かれた数字だけ進みます。進んだ先のマスにはタイルが置かれていなければなりません。他の船を通過することは可能ですが、同一のマスに複数の船がいてはなりません。そして手番の最後に手札としてタイルを1枚だけ補充します。

この他、帆ポイントを使うと特別なアクションを行うことが出来ます。手番開始時に1帆ポイントが加わり、最大8帆ポイントまで蓄積可能です。1帆ポイントでパス、3帆ポイントで隣接マスへの移動、5帆ポイントで再移動が可能となります。さらにタイルの補充時に1帆ポイントを追加して支払うごとに、1枚のタイルを余分に引くことが出来ます(手札は最大6枚)。

ゲーム盤には決まったマスに「寄港地」があります。寄港地には「I」~「III」まであって、各数字ごとに3色あります。寄港地マスに到達すると、その寄港地の色マーカー(羅針盤マーカー)を獲得します。3色の羅針盤を獲得するか、あるいは2色の羅針盤を獲得してゴールラインを通過したら勝利です。

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これは面白かったです。思い通りになりそうでならないタイルを、あれこれひねくり回してパズルを解くように正解を探し、さらに他プレイヤーとの駆け引きにもうち勝たなければなりません。他人の置いたタイルも利用可能なのでコースは思ったより短く、勝ちに行く時には一気に、そうでなければ他人の動きは常に牽制するべきです。

ということで、僕は「ホーン岬」のスピーディな展開とプレイヤー間の濃密な絡み合いがすっかり気に入ってしまいました。メカニクスは素朴ともいえるほどのシンプルさで、ということはつまり、プレイヤーたちの性格や思惑によってゲームの印象が簡単に変わる可能性があるということです。なので、このセッションが実に面白かったことに、同卓でプレイしたお二人に感謝したいと思います。
http://ejf.cside.ne.jp/review/kaphoorn.html


Snake Lake (スネークレイク) / TENKIGAMES

ヘビのリンゴ争奪戦。3人。

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プレイヤーは7枚ずつのカードを持っています。これは自分の「ヘビ」の動きを決めるために使います。このカードは、自分専用のボード上にある「1」~「3」欄に裏返して配置しておきます。これは、今後3手番分のヘビの移動をプロットするために使います。自分の手番になったら、「1」欄のカードを表にして、そこに書かれたように自分のヘビを動かします。それが終わったら、「2」のカードを「1」へ、「3」のカードを「2」へ動かして、「3」に手札から1枚のカードを裏向きに置きます。

盤上のリンゴマーカーを獲得すると得点です。誰かのヘビの「頭」に衝突したり、あるいは条件を満たした上で盤外に出ても得点が入ります。しかしキノコマーカーはマイナス点となります。他のヘビの「胴体」に衝突したり、あるいは誰かのヘビの頭が自分のヘビの頭に衝突してくるなどしたら、ヘビは「気絶」します。「気絶」したヘビは得点を失うわけではありませんが、初期状態となってゲーム盤に再登場することとなります。

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スラップスティックなドタバタ感と思考要素が珍妙にブレンドされた、不思議な面白さを持ったゲームです。意図的に気絶させるテクニックを覚えると、リンゴの近くへ素早く移動したり、相手の意図をくみ取った上で先走りして待ちかまえてみたりと、思わず笑ってしまうようなシチュエーションがよく発生するようになります。リンゴの得点配分がやや大きいような気もしましたが、あらかじめそれを全員が理解しているのであれば、リンゴ争奪戦はいっそうヒートアップするに違いありません。

今回は3人でプレイで、狭いボードでテンポ良く進行しました。手番がすぐ回ってくるので先読みがしやすく、デザイナーが意図したプロットによる駆け引きの面白さが鮮明に感じられたような気がします。人数が増えるとまた印象が変わってくるのでしょうね。
http://ejf.cside.ne.jp/review/snakelake.html


Fangfrisch (魚海岸物語) / Queen

3人。あ、3人だと専用ルールがあるのか… 見落とした…orz

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クニツィアの「It's Mine」とか、そのあたりをベースにしたリアルタイムな競りゲーム。3人ルールをうっかり適用し忘れたので参考プレイということで。

手番では「仲買人」となり、山から海産物カードを1枚ずつめくって公開します。他のプレイヤーはそれらを見て、購入したくなったらベルを押します。カードが何枚であろうと購入金額は10ユーロです。また、仲買人は売却されたカードの枚数と同じだけユーロを銀行から受け取ります。

各プレイヤーは3つの「箱」が与えられます(そのうちひとつは氷の入った箱です)。カードを購入した後、それらの箱へカードを並べます。ただし、ひとつの箱には1種類の海産物しか配置することは出来ません。4種類以上の海産物を取ってしまったら、それらはゴミ箱へ廃棄しなければならないのです。

仲買人となった時、競りを行う前に自分の海産物カードを売却することが出来ます。この時、箱単位で売却しなければなりません。もちろん、多くの数の海産物を売却した方が大きな収入になります。

3人だったからか、あるいはルールが違っていたからか、そんなにきついバランスではなく、なんかのびのびとカードを集めまくることが出来ました。「It's Mine」にあるようなマイナスカードがないので、全体の見通しが良くなっただけ、他人との駆け引きが重視されています。なので、人数が多い方がより面白くなるのではないでしょうか。

まぁ、そこまで真剣に勝敗にこだわってプレイするよりも、ノリで買った売ったと大騒ぎしながら楽しむのもまた一興かと。
http://www.boardgamegeek.com/game/28218


Capone (カポネ) / Amigo Spiele moon Gamer

ギャングによる利権と命の取り合い。5人。

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そろそろ帰宅しようかと思ったら、このゲームが立ちそうだったので何となく参加。結果的に、ちょいと毛色の変わったゲームを遊ぶことが出来て良かったです(それにこれも未プレイでしたから)。

テーマはギャングの抗争ですが、ゲームの目的は合法活動への投資です。投資は10万ドルにつき1段階アップし、これが10段階目に達したら勝ちです。この資金を稼ぐために、ギャングの構成員とボディガードが街へ繰り出して非合法活動に精を出すことになります。

手札として5枚ずつ配布され、まずそれを1回だけ交換可能です。配布された5枚のカードだけでゲームが進行します。カードの大部分は「非合法カード」で、ボード上に多数存在する「商店」の名称と金額が書かれています。手番では手札からカードを1枚プレイし、それが「非合法カード」なら、自分の構成員かボディガードをボードの商店上に送り込むことが出来ます。

もし、これから送り込もうとする商店上に他プレイヤーのコマがあれば、その価値より高い金額になるように自分のコマを置きます。そうすると、元から置かれていたコマは除去されます。除去されたコマは、ボディガードなら後でお金で戻ってきますが、構成員なら港に沈められて二度と戻ってきません。moon Gamer

構成員の価値はそれなりに高く、生き残れば高収益を得ます。しかし、そうするためにはリスクを背負って盤上に配置しなければならず、そのギャンブルに負けたら構成員は文字通り海の藻屑と消えます。この命をかけたこのギリギリの駆け引きが「カポネ」の大きな魅力となっています。

おおざっぱでやや極端なバランスを持つゲームですが、それがギャングの抗争というテーマによく合っていて雰囲気は抜群に良く、このセッションも楽しく遊ぶことが出来ました。これもまたノリで遊ぶのが良いタイプのゲームでしょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/317


レポートは以上です。

今回持ち込んだゲームは5つだけだったのですが、箱がでかいものが多くて、キャスター付きスーツケースがはち切れんばかりでした。これから夏を迎えるにあたって、ゲーム会に行くのも大変な季節になります。思いっきり遊ぶためにも、季節の変わり目には体調管理に気をつけたいものです。試しに過去のエントリーを読んでみたら、昨年はこの時期に夏風邪をひいてました…moon Gamer

本日はお疲れさまでした>参加者各位
また次回もよろしくお願いいたします。moon Gamer