4日(土)は、「一之江ゲームクラブ」の例会に参加してきました。一之江ゲームクラブは、atogさんがこの6月に設立したばかりのオープンゲーム会です。クラブの運営に関する各種連絡等は mixi のコミュニティを使って行われています。

[一之江ゲームクラブ] ※要mixiアカウント

http://mixi.jp/view_community.pl?id=2303630

ここの特徴は、何といっても実質的に「18xx」に特化しているということです。昔から「18xx」に造詣が深いatogさんだからこそ出来たことであり、また周囲がそれをよく理解しているからこそ人も集まってきます。この日も17名の参加者があり、会場内では4卓のゲーム(もちろんそれらすべて18xx系ゲーム)が立っていました。

今後も継続してこの傾向が続くかどうかはわかりませんが、しばらくはこの熱気が治まりそうもありません。個人的願望としても、出来るだけ長く続いて欲しいと思っております。

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ところで本日のプレイ予定のゲームは「1846 / Deep Thought Games, LLC」でした。Deep Thought 製の18xxバリエーションのひとつで、デザイナーは「ファースト・フーズ・フランチャイズ」「王への請願」「マジェラン 」等を手がけた Thomas Lehmann です。

プレイ前の情報では、比較的短時間で終わるタイプのゲームということだったのですが、さてどうだったでしょうか。

梅雨も明け、このところ東京の夏らしい激しく蒸す陽気が続いています。会場が駅から近くて良かった…


1846 / Deep Thought Games, LLC moon Gamermoon Gamer

これは良い18xx。5人。

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アメリカ北西部が舞台の18xxです。「1830」でおなじみの鉄道会社もいくつか登場します。
まずは「1830」とのルールの違いについて、以下に大まかにまとめてみます。

1.株券は会社が保有
Deep Thought 製の 18xx の多くがそうであるように、「1846」では、設立時に会社が株券を保有しています。会社が保有している株券を購入すると、その購入代金は会社の資産となります。また会社保有株券も配当の対象となります。

2.会社は社長株券の購入で運営可能
20%の社長株券があれば会社は設立され、そのまま運営が可能となります。

3..線路敷設に$20のコスト
黄タイルの配置やタイルのアップグレードに$20のコストがかかります。山岳地帯やトンネル・橋梁の開通によってさらにコストがかさむこともあります。これが「1846」の大きな特徴のひとつで、会社の運営に大きく関わるルールです。

4.複数タイル配置ルール
タイル配置は、1回の運営ラウンドで「黄タイル2枚配置」か「黄タイル1枚配置+タイルアップグレード1枚」のいずれかを行うことが出来ます。もちろんいずれも必要なコストの支払いが必要です。

5.列車のフェイズアウト
フェイズが進行すると、古いタイプの列車が廃棄されるルールは「1846」にもあります。しかし、このゲームでは、まず「フェイズアウト」という段階を経て廃棄されます。例えば、フェイズ1の列車である「2列車」は、フェイズ3で「フェイズアウト」となります。

フェイズアウト列車は裏返しにされ、その会社の次の運行ラウンド終了時に廃止されます。つまり1回だけは運行することが出来る可能性があります(さらにフェイズが進行すると運行出来ないこともある)。フェイズアウト列車は列車の保有制限に入らず、また、フェイズアウト列車は売買の対象にすることは出来ません。

6.N/M列車
フェイズ2以降の列車には2種類の選択肢があります。例えば、フェイズ2では「4列車」と「3/5列車」の2種類です(ひとつの列車カードにこれらが両面印刷されている)。後者のフォーマットで書かれた列車を「N/M列車」と言います。これは「M個の都市に訪問可能で、そのうちN個の都市から収益を得る」という機能があります。

7.株価チャートは1次元
株価チャートは、一般的な「18xx」が2次元の表であるのに対して、「1846」は1次元の表です。

8.株価の「売れ残り下がり」
株式ラウンド終了時、バンクプールに株券が1枚でもある会社の株価は1ランク下落します。もちろん、すべての株券をプレイヤーが所有している会社の株価は1ランクアップです。

9.その他
プライベート会社の入手方法は競りではなく、ランダムに配布されたカードから1枚を選択するという方法です。他にも、運営ラウンドで会社が自社保有株券の売買を行えるとか、運行ルートが東西盤端を含んでいるとボーナスがあるとか、細かな違いがあります。

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最初にルールを通読した時には、一般的な「18xx」の要素を単純化して、手頃な短時間ゲームとして構成したのではないかという印象を持っていました。しかし実際にプレイしてみたら、「1846」は要素を省略したのではなく、無駄をそぎ落として濃縮したデザインであることにプレイヤー全員がすぐに気がつきました。

マップは狭く、タイル配置にコストがかかるため、これだけでも会社間の競争や駆け引きは熾烈となります。また、列車の枚数の少なめでフェイズ3以降の列車価格は急激に上昇する等々、会社の運営に厳しい条件がこれでもかというくらいに揃っています。

そのため「1846」は、その見た目とは裏腹に決して初心者向けではなく、むしろプレイ経験者が濃厚なエッセンスを楽しむタイプのゲームであると思いました。ゲーム全体のスケールが抑えてられているため、特にプレイヤー間の絡みにおいて密度を濃くする方向でまとめあげられた 18xx であると言えます。

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このセッションでは僕はいきなりの2社経営(NYCとC&O)に挑みました。が、これは無理筋だったようです。このゲームで2社経営をするには、恐らくインフラを共有しやすいように距離的に近い会社を選択するべきです。まぁ、それがわかった頃には手遅れだったわけですが…。そういうことで、2ターン目で早くも歯車がかみ合っていないことがわかってしまいました。

これを修正しようとあれこれ動きすぎ、結果として非効率でちぐはぐなプレイになってしまい自滅。で、勝負は早々に諦めて、運営でいろいろと実験をやってみることにしました。おかげでいろいろなことがわかり、「1846」の魅力を再確認することが出来たのは収穫だったと思っております(ま、ただの負け惜しみではありますけど…)。ちなみに勝利したのは atogさんです。お見事でした。

ところで、プライベート会社との絡みがありますが、地勢的にいくつか有利そうな会社があるような気がします。マップが狭いこともあり、5人プレイはかなり難易度が高いように感じました。少なくとも「1846」に慣れたプレイヤーでなければ難しいセッティングだと思います。また5人プレイは時間がかかるので、次は少ない人数でチャレンジしてみたいですね。再戦熱望です。
http://www.boardgamegeek.com/game/17405


レポートは以上です。

インストを除けば、インストを除く実質的なプレイ時間は6時間ほどでした。実はこの日、僕は8時くらいで帰るつもりで予定を組んでいたため、最後の1ターンは省略するような形となりました(こんなに時間がかかるとは思ってもいなかったので…申し訳ないです)。ただ、最終ターンを行ったとしても、atogさんの勝利は揺るぎないだったかと思います。

ところで、最初に書いた通り、この日の例会では他の卓でも「18xx」が立っていました。せっかく写真を撮ったので以下に掲載して、このエントリーの〆としましょう。

1841 / Deep Thought Games, LLC
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イタリア北部はミラノ周辺が舞台の「1841」。「18xx」バリエーションの中でもかなり重厚な内容を持っているようです。3人でプレイされていました。
http://www.boardgamegeek.com/game/1447

18EU / Deep Thought Games, LLC
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欧州を舞台にした「18EU」。一之江ゲームクラブに参加するなら、このゲームはぜひ嗜んでおきましょう。5人でプレイされていました。
http://www.boardgamegeek.com/game/1447

1830 / Avalon Hill
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そして本家(?)である「1830」も5人でプレイされていました。
http://www.boardgamegeek.com/game/1447