25日(土)は、池袋で開催された袋小路の8月例会に行ってきました。18xx が絡まない普通のゲーム会って久しぶりなような…。というか久しぶり。ということで、購入したまま積んである新作とか、それに近いゲームばかりを何点か持ち込みました。余談ですが、土曜日のゲーム会って、準備が平日だけになるので、どうしても時間が不足しがちになり大変なんですよね。

にしても暑い… 微妙に混雑している京王線のエアコンがまたあんまり効かなくて、思わず弱冷房車に乗っちゃったか? と確認したくらい。池袋駅東口から会場までは交通量の多い明治通り沿いを重たい荷物を持って歩かなければならないのですが、この季節はクルマの排気ガスと排熱できついっす。いっそ憂鬱になるほどに。


Caylus Magna Carta (ケイラス・マグナカルタ) / Ystari Games moon Gamer

簡略化されたケイラス。4人。

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簡略化はされているけれども、こちらにはこちら独自の味があって面白かったです。

「ケイラス」では建物がゲームボードに印刷されていましたが、このゲームではカードによって新たに作り出されていきます。手番で建物を場に置くには、指定された資源コマが必要です。建物はカードで、手札として持っています。手番中にコスト1で山札から1枚購入して手札を増やすことが可能です。

さらに手番では自分の職人コマを1個、コスト1を支払って任意の建物に配置することも可能です。そうすることで、その建物の効果を使用する権利を得ます。「ケイラス」とは異なり、パスをしたプレイヤー数に関わらず、職人配置コストは1で固定です。

全員がパスしたら、行政官の任意移動(要コスト)があって、建物の効果を行政官のいる建物まで順番に適用していくのは「ケイラス」と同じ。微妙に異なる処理なのが「城」で、誰でも既定のコストを支払うことで名誉ポイントトークン(=得点)を獲得することができます。このトークンが無くなるとゲームが終了し、得点の高いプレイヤーの勝利です。

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「ケイラス」の枝葉をすっぱりと切り落とし、手軽にプレイしやすくアレンジされた良作です。似たようなコンセプトのゲームには「サンファン」がありますが、「ケイラス・マグナカルタ」はより元ゲームのテイストに近く、「ケイラス」入門用としても使えそうな感じ。プレイ時間が短いので、今後もプレイする機会がありそうなタイトルです。
http://ejf.cside.ne.jp/review/caylusmagnacarta.html


Age of Discovery (大航海時代) / Mayfair Games

インストから再挑戦。4人。

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あと、ゲームストアバネスト提唱のルールでプレイしました。

場は大きく3つに分かれます。まずは「遠征カード」置き場。全部で12地域があり、そこに船を遠征させることで得点獲得を狙います。2つ目は「交易権利書カード」置き場。交易は多額の資金を稼ぐ手段です。必要な船と多くの時間をかけることで、より大きな利益を期待できます。

そして3つ目が「船カード」。船は、上記のように「遠征(=VP獲得」と「交易(=資金獲得)」に必要なリソースの一種であり、その効率的な入手はゲームの戦略に深く関わっています。しかし船は実に高価で、しかも獲得時にランダム要素が入り込んでおり、購入機会に希望する船が必ずしも思い通りに入手できるとは限りません。

勝者は得点の多いプレイヤーです。得点は、遠征の他に「特別任務」という奇怪なルールによっても与えられます。これは、特定の条件を遠征地で満たした回数から導き出される係数だけ、完了した交易数が得点に加算されるというものです(条件達成係数×交易完了数)。必要条件はプレイヤーごとにランダムに決まり、難易度に差があります。今回はこの特別任務を全員共通の1種にする、というゲームストアバネスト案を採用しました。これはオリジナルルールよりも優れたアイデアだと思います。

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ルールはそれほど難しくはありません。ただし取り扱われる要素が多いので説明する事柄が多岐に渡り、インストには時間がかかります。基本的には時間管理のゲームのようで、投資(船・交易権利書・交易と遠征)にかける手番の回数とそこからリターンされる利益の効率に悩まされることになります。中間得点計算から最終得点計算までは思いのほか早く進行するので、ラストスパートを気持ちよく走り抜けるため、そこに至るまでに、いかにチカラを溜めておけるかが勝敗を分けます。

運の比重はけっこう高めで、そのあたりはアクションカードをうまく使って補完することになるでしょう。水準を超えた面白いゲームだとは思いますが、何度もプレイしたくなるような中毒性は薄い気がします。このセッションも、プレイ中は淡々をゲームが進みました。テーマ的に魅力もあり、気になっている人も多いようなので、またプレイしてみたいとは思っています。
http://ejf.cside.ne.jp/review/ageofdiscovery.html


Gangster / LudoArt moon Gamer

タイル配置と銃弾と。4人。

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ギャングによる「列」ごとの勢力争い。1発ずつ持つ「必殺」の弾丸の使いどころがミソ。

手番で行えるアクションは3つのうちのひとつです。すなわち、「ギャングをプレイする(ボードの空いたマスにギャングコマを配置)」「ギャング移動(ボード上のギャングコマを1マス移動)」そして「ギャング抹殺(手持ちの銃弾コマをボード上のギャングコマ上に置く)」のうちのひとつです。

ゲームの目的は得点の獲得にあります。得点計算は、ボード上の任意の1列(タテかヨコい)6マスが埋まるとその列は「完成」します。そして列が完成するたびに得点計算が行われます。まず得点計算を行う列にあるコマについて、カラーごとにPVを合計します(ギャングコマは『1』~『3』のパワーバリュー(PV)をそれぞれ持つ)。総計で1位のPVから2位のPVを減算し、それを1位のカラーを担当するプレイヤーの得点に加算します。

この時、同点1位のカラーが複数あると、それらはすべて得点計算から除外されます。そして残ったカラーのギャングコマ間で得点計算判定を行います。なお、「完成」した列に含まれるギャングコマは、プレイヤーアクションで移動させることができなくなります。

そしてお待ちかねは「抹殺」です。自分のギャングに隣接する別のギャングコマを、アクションを使って「抹殺」することができます。この時、手持ちの銃弾コマを抹殺したコマの上に置きます(4人プレイ時は、各プレイヤーは1発ずつの弾丸コマを持っています)。「抹殺」されたギャングコマは、得点計算時にPVの計算対象外となり、また移動も行えません。ただし、コマは抹殺されてもそのマスにはゲーム終了時まで留まり続けます。

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こうして誰かが17ポイントを獲得するか、36枚のタイルがすべて配置されたらゲームが終了です。先に17ポイントを獲得したか、あるいは得点の多いプレイヤーの勝利です。

これはまたシンプルでシビアなゲームでした。ゲームにちょっと詳しい人ならすぐにクニツィアの「市場のお店」をイメージするでしょうが、あれよりもこちらの方が全体的な見通しが良く、そのぶんだけ鋭利な厳しさを感じます。

特に必殺の「銃弾」の存在は緊迫感を高め、特異な味わいをゲームにもたらしています。ドライなメカニクスなので好みは分かれるかもしれませんが、僕は面白いと思いました。
http://www.boardgamegeek.com/game/25749


If Wishes were Fishes (大漁市場) / Rio Grande Games moon Gamer

釣った魚を市場へ売ります。4人。

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特殊効果やボーナス効果の多い大味なゲームと思いきや、考えどころの多い良作でした。

「海」に並べられた4枚の魚カードを釣って、それを市場へ売ることが目的です。手番では「魚を釣ってボートへ積む」「魚を釣ってその効果を使う」「ボートの魚を市場へ売る」のいずれかを行います。場の4枚の魚カードには「深さ」があり、より深い海から魚を釣るには、手持ちのミミズがコストとして(時に数匹が)必要となります。

市場は7つあり、それらはボードに描かれています。市場は魚の種類に対応していて、買い取る魚の種類は1市場につき1種類のみです。また、通常のアクションで市場に売却可能な魚は1匹だけです。魚を売却すると2ドル(=勝利得点)を得ます。その市場に仲買人コマがある場合、1匹につき1~3ドルのボーナスを得ます。そして、売却した市場へ「魚コマ」を置きます。

ある市場に配置された魚コマが、場に公開されている「市場満杯カード」に指定された限界数に達した時、その市場において得点計算が行われます。その市場に置かれた魚コマの数は最も多いプレイヤーと2番目に多いプレイヤーが「市場満杯カード」に書かれたボーナスを得ます。この処理が終了したら、次の「市場満杯カード」をオープンします(限界数とボーナス額が増える)。

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さて、このゲームの華が魚カードの特殊効果です。この効果によって仲買人を移動させたり、ボートを増やしたり、同種の魚を一度に売却することなどができるようになります。この特殊効果がなかなかよく出来ていて、うまく使いこなすには入念な準備と適切なタイミングを計らなければならないようにデザインされています。単に強力なだけの例外処理ではない点は大いに気に入りました。

とても面白かったので、ぜひまたプレイしてみたいゲームです。
ちなみに「ミミズ」コマはどう見ても毛虫では?moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/25584


Seismic / Atlas Games moon Gamer

地震とハイウェイ。3人。

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地震にハイウェイを破壊されようとも、負けずに建設し続けるタイル配置ゲーム。カルカソンヌっぽい?

場にはタイルが2枚公開されています。プレイヤーは手番で山から追加で1枚引いてオープンします。この3枚のタイルから1枚を選んで、場のハイウェイに接続していきます。場のタイルに新しいタイル接続するには、既存の道路の接続に矛盾がないように配置しなければなりません。そして配置したタイルの道路へ作業員コマを配置することが出来ます。

もし、引いたタイルが地震タイルであれば、San Andreas を中心から見て任意の一方向へ、指定された枚数のタイルが除去されます。除去されたタイル上の作業員も除去されます。

ゲーム終了時に、「完成」した道路は得点計算の対象となります。完成した道路とは、両端を交差点で挟まれた道路のつながりです。道路の長さと交差点に書かれた点数が、道路に配置した作業員の所有者に得点として入ります。最終的に得点の多いプレイヤーの勝ちです。

構造は明快でわかりやすいのですけれども、イラストが地味なこともあって少し単調でした。売りのひとつである「地震」も中途半端な場の破壊につながるだけで、カタルシスのようなものはあまり感じられず、したがって盛り上がることもなく…。残念。
http://www.boardgamegeek.com/game/22673


Banküberfall (銀行強盗) / Piatnik

クニツィアっぽい感じがそこはかとなく。3人。

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限定された情報を元に、できるだけ多くの取り分を取ろうと画策するゲーム。

場のアクションタイルを引いて、その指示にしたがいます。手札から銀行へカードを裏向きに置いたり、銀行に置かれたカードを密かに見たり、公開したり、あるいは「銀行強盗」を行います。いずれのプレイも強制です。銀行の前に置かれたカードは、その銀行の資産であり、プレイヤーの獲得目標です。

特定の銀行に対して「銀行強盗」が行われると、各プレイヤーはまず手持ちのコインを秘密裏に任意の額だけ握り、同時に公開します。ここで銀行のカードが公開されます。もしそこにキャラクターカードがあれば既定の処理を行います。そして、原則として握ったコインの少ないプレイヤーから略奪品の分配を行います。受け取る金額は、握ったコインと同額です。略奪品が不足していれば受け取れません。

ブラフとか、ハンドマネージメントとか、あるいは情報戦とか、簡素なメカニクスの中にもたくさんの要素がコンパクトに詰め込まれています。ただし、テクニカルな要素は希薄なので、プレイ感は軽めです。なので、恐らくプレイヤー数が多い方が面白いゲームのような気がします。今回のような3人ですと、プレイヤー間の絡みが限定されてしまって少し単調だったかも。
http://ejf.cside.ne.jp/review/bankueberfall.html


Gemlok (ジェムロック) / Pywacket

ダイスを使ったポイント獲得戦。4人。

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2人ずつ2チームに分かれて対戦しました。

各プレイヤーは8個のコマを持ち、まずそれらを任意のボードの端へ配置します。手番では特製ダイスを2個ふって、出た目にしたがって自分の任意のコマを動かします。「目」には、コマの進行パターンか「Gemlok」と書かれています。進行パターンであれば、その通りに自分のコマを移動させます。

2個のダイスの進行パターンをひとつのコマに割り当てても構いませんし、2つのコマに別々に移動させても構いません。移動中に他のコマを飛び越すことは出来ます。他のコマと同じマスに入った場合は「衝突」が起こります。「衝突」を起こしたコマは、元からいたコマを3マスまで他の空いているマスへ移動させることが出来ます(衝突の連鎖はなし)。

ダイスで「Gemlok」の目が出たら、自分のコマをひっくり返して「Gemlok」の面を向けなければなりません。「Gemlok」のコマは移動することが出来なくなりますが、「衝突」によって他のコマから強制的に移動させられることもなくなります。

これを10ラウンドか、すべてのコマが「Gemlok」になったプレイヤーが発生するまでくり返します。ゲーム終了時にコマがいるマスに書かれた数字を得点として獲得します。合計得点の大きなプレイヤーの勝利です。チームプレイの場合は、ペア同士の得点を合計して比較します。

ボードの中央に高得点ゾーンがあって、必然的に全員がそこを目指すような展開になりました。ダイスを使うゲームなので、あまり細かいことを考えずに、高得点マスをどんどん狙っていくのがいいようです。ただし、それにこだわって相手のコマの衝突ばかりを狙っていると、空白マスに無駄コマを大量に残したまま終わってしまうかもしれません。

まぁ、昨今のゲームに慣れた目で見ると、シンプルだしランダム要素も大きいため、同卓のプレイヤーからはあんまり評判が良くなかったのですけれども、まぁそれもしょうがないかな… もうひとつふたつ、何らかの要素があったらなぁ…
http://www.ps-hiroshima.com/board/gemlok.htm


Gangster / LudoArt moon Gamer

最後にこのゲームで〆。4人。

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さー帰ろうかと片付けの準備をしていたら、近くに手持ちぶさたな人がいたのでプレイ。ルールは簡単。ガチっぽいようでそうでもなく、でもやっぱり考えることは多い。そういうゲーム。

このゲームは、計画的にギャングを配置していかないと、どんなにがんばっても(勝利条件のひとつである)「17点」が取れない形に簡単に陥ります。ひとつの列に自分のギャングを集中投下すると一時的に得点は伸びますが、たいていは後半に息切れしてしまいます。これは完成した列のギャングが移動不可になるためです。

これを逆に利用する手も常に考えておくべきでしょう。相手のギャングを移動させることであえて列を完成させてしまって、それで多少得点を取られたとしても窮屈な形を強要するわけです。正確な得点計算と大局観を要求される高度な作戦ですが、こういうオプションがあるという点で「Gangster」は良作であると思っております。

このセッションでは序盤から弾丸が飛び交う物騒な展開に。ちなみに撃たれたのは僕のギャングです… 要所に3PVのギャングを固める悪形を咎めた見事な一手でした。気を取り直してがんばりましたが、やはり得点はまるで伸びずに終了。ううむ、くやしい。ぜひ再戦したいです。
http://www.boardgamegeek.com/game/25749


レポートは以上です。

今回の例会参加者は41名だったそうです。普段よりは少なめでしたが、それでもけっこうな人数ではあります。で、次の例会はなんと2週間後ですか。まだまだ残暑がきつそうな時期だなぁ… ともかくも、またその時にはよろしくお願いいたします。moon Gamer