9日(土)は、池袋で開催された袋小路の3月例会へ参加してきました。本日持ち込みゲームは4点で、そのうち購入時に和訳が付いていないゲームが2点ありまして、それらについてリファレンスを作ろうと思い立ったのが例会の前日でした。これがSGCや自宅ゲーム会だったらそんなことはしなかったと思うのですが、袋小路ならやっておいた方がいいだろうと判断したわけです。

ところが時間の配分がどうもうまくいかなかったようで、結局当日の午前3時までリファレンス作成に時間を取られてしまいました。そして寝不足のまま翌朝起きて、だる過ぎる体でこの日の花粉飛散予想をネットで調べてみたら、当然のように「非常に多い」と。しかもこの先一週間ずっと。眠いとロクなことを考えないもので、ここで思わずモチベーションが崩壊しそうになるのを何とか堪えつつ、とにかく荷物をまとめて電車に飛び乗り、会場までたどり着くことができました。

ということで、スギ花粉の飛散はこれからピーク時期を迎えます。立体マスクとユーカリオイル、それに目薬は手放せません。


Pandemic (パンデミック) / Z-Man Games moon Gamermoon Gamer

畏るべき感染病との戦い。4人。

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人類を襲う4種類もの致命的な感染病に立ち向かうためにチームを組み、全世界を飛び回って感染が拡散するのを抑え、そしてそれぞれの感染病に対する特効薬を開発します。「Pandemic (パンデミック)」は、プレイヤー全員が同じ目的を持つ仲間となり、限られた時間の中で、互いの能力とリソースを上手く活用して、共同の勝利を目指す「協力ゲーム」です。

一般にこのタイプのゲームは、展開に多様性を持たせるためにルールやカードの種類が多かったり、プレイ時間も比較的長いものが多いのですが、「Pandemic (パンデミック)」はコンパクトにまとまっていて、プレイ時間も1時間かそこらで十分に終わります。それでいて極めて緊迫感のある展開と、それを全員が知恵を絞ってギリギリのラインでクリアしていく過程が存分に楽しめるような仕掛けが随所に盛り込まれています。良いゲームです。

詳細はまた別途書くことにしますが、感染病の蔓延を表す感染病キューブの配置とリシャッフルルールにさりげない工夫がなされていて、一度病原体に犯された都市は、それを駆除したとしても再び感染源となりやすい状況に置かれます。どの都市の感染カードも1枚ずつしかなく、またカードはランダムに引かれるのですが、すべての都市が同確率で主要な感染源となるわけではなく、そうなりやすい都市とそうでもない都市とが、ゲームをプレイするたびに変わるようになっているのです。

これはプレイヤーにとっても方針を決めやすく、また問題を解決する糸口ともなります。プレイヤーは何らかの「役割(Role)」を担っていますので、その特殊効果をどのように使うべきか、カードの出現状況をヒントにして、プレイヤー間で真剣な話し合いが行われるでしょう。「イスタンブールで疫病が発生した。Medic(衛生兵)は現地に向かって感染キューブの駆除を急げ。Dispatcher(運行管理者)はその移動サポートを。Operations Expert(熟練工)はすみやかに現地近くに研究所の建設を。Scientist(科学者)は特効薬開発に必要なカードの色を至急全員に報告せよ」等々。

畏るべきは、「感染の爆発(Outbreaks)」という現象で、ある種類の感染病キューブが都市に3個を越えて配置されると発生します。爆発は近隣の都市へ感染病キューブを配置となり、さらに爆発自体が連鎖して発生することもあります。この爆発的大流行が8回起こるとゲームに負けます。また、ある種類の感染病キューブが枯渇してもやはり負けです。ついでにいうとプレイヤーカードの山札が無くなっても負けです。限られた時間の中で、効率的に感染病キューブを除去し、そして特効薬を発見しかなければなりません。

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なお、勝利条件は、4種類の感染病すべてについて特効薬を発見することです。このセッションでは3種類まで見つけたのですが、最後の最後で中東付近で疫病の大発生が起こり、それによって黒キューブが枯渇したことで人類は滅亡してしまいました。ああ…。初プレイということもあって感染病キューブの広がる速度が感覚的につかめなかったことと、役割分担によるパートナーシップが今ひとつ機能していなかったことが敗因となりました。

結果は残念なことになりましたが、同卓の方々にゲームの評価は上々でしたので良しとしましょうか。とても面白いゲームですので、今度こそクリアを目指してまた別の場でがんばって人類を病原体から救済しようと思います。なお、最後になりましたが、このゲームの翻訳を提供していただいた Mark さんには深く御礼申し上げます。
http://www.boardgamegeek.com/game/30549


Chang Cheng / TENKIGAMES moon Gamer

最後にモンゴル軍が攻めてきます。4人。

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モンゴルとの国境沿いに壁を敷き詰めて「万里の長城」を建設し、より高い名声を獲得するのが目的です。長城作りに貢献するとより高い名声を得られますが、最後の最後でモンゴル軍の標的にもなりやすくなるというあたりがミソ。また、最初はゲームボードが2枚だけですが、最終的には4枚まで拡大します(4人プレイ時)。 写真は2枚から3枚に拡大した時点のものです。

手番では「1枚壁(Single-Wall)」を2個配置するか、アクションカードを2枚配置するか、1枚壁とアクションカードをひとつずつ配置するか、あるいは2枚壁(Double-Wall)」か「塔(Tower)」をひとつ配置するかのいずれかです。中国側の州に属するすべてのマスに壁が配置されたら「完成」し、ただちにその州で得点計算を行います。

得点は、その州の得点価値を、そこに最も多く壁を配置したプレイヤーに対して与えます。同点トップでも減点なしで対象プレイヤーにすべて与えます。得点計算時、その州に配置されたアクションカードもまた公開され、その効果によって得点価値や壁の最多判定に影響を及ぼすかもしれません。

3つの州が「完成」するたびにボードが1枚拡張されます。ボードは最大で4枚まで配置されます。そしてそれらボード上のすべてのマスに壁が配置されたらゲームは終了します。ここでクライマックス! 中国領土の反対側、つまり壁の向こう側からモンゴル軍が攻めてくるのです。ここではモンゴル領の州単位で壁の最大多数判定が行われ、該当プレイヤーはモンゴル兵タイル上にある数値だけ失点します。

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メカニクスはシンプルなエリアマジョリティです。ランダムに割り振られる隠されたパラメータがありますし、アクションカードもバッティングしただけで消滅するので、要するに運の比重は割と高め。ただそのおかげで軽いテイストに仕上がっています。サクサクとテンポ良く進行し、プレイ時間も短めです。何より、見えない情報があるだけに悩ましいし、テクニカルな要素も駆け引き要素もそれなり盛り込まれているしで、まとまりの良い佳作だと思いました。

最後にモンゴル軍による怒濤の攻撃によって得点がどんどん減っていくのが何だか可笑しくて、セッションではゲラゲラ笑ってしまいました。中国側とモンゴル側で州の境界が微妙にずれているので、このあたりも勝敗のアヤになったりします。アートワークがやや貧弱なのが惜しい感じですけど全体的な雰囲気はとても良く、多くの人が楽しめるようにデザインされた間口の広い作品ではないでしょうか。
http://www.boardgamegeek.com/game/29903


Race for the Galaxy / Rio Grande Games moon Gamer

ヘビーローテというより定番化しつつある。4人。

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ゲーム本体は月斎さん持ち込みでした。そしてなんと、カード全部に日本語シールが貼ってありました。有志の手作りだそうですけど、これはすごい。おかげでものすごくプレイしやすかったです。これらの和訳データは以下のサイトにて公開されています。これは相当な力作です。本体をお持ちの方はぜひアクセスして、ありがたく使わせていただきましょう!

[仕事だったり趣味だったり(よそじ桜吹雪編)] ※(2008/03/08)のエントリー

http://logicwolf.sblo.jp/article/12030154.html
※和訳文書を見るためには MS Word が必要です。

で、今回も軍事国家の道をひたすら突き進むことになったのですが… うーむ、Consume Power を持つカードを1枚も引けないってのはどういうこと? 1回デッキが回り、2回目の最後になってもどういうわけだか商品の売り先となるワールドがまったく引けない。こういうこともあるんだねぇ…。しょうがないので軍事力をひたすら伸ばし、軍事ワールドだけで勝負をかけました。幸いにして「Galactic Imperium」も引けたし。しかし後半にやっぱり息切れして力尽きました…。
http://www.boardgamegeek.com/game/28143


Big Points (ビッグポイント) / Schmidt Spiele moon Gamer

これは素晴らしいアブストラクト。4人。

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手番になったら、5色あるコマのから任意の1個を選んで、それを進めます。進める先は、現在位置から進行方向に見て最も近い同色のチップ上です。そして止まった位置の前か後ろにあるチップを1枚取ります。

進めようとするコマの先に同色のチップがなければ、そのコマはゴールします。最初にゴールしたコマは4点の位置に、2番目にゴールしたコマは3点の位置へ、以下同じように進め、5番目にゴールしたコマは0点の位置に置かれます。

そしてこれが、そのコマの色と同色のチップ1枚分の得点となります。例えば、赤コマが1位の時、赤チップを2枚持っていれば8点となります。もちろん0点のチップには得点が与えられません。

その他、特殊なチップもありますが略。最終的に得点合計の多いプレイヤーの勝利です。これは素晴らしい。こんなにシンプルなルールなのに、切れ味の鋭さに驚嘆しました。アブストラクトなゲームが好きな人ならぜひ。なんとなく「ツタンカーメン」を思い出しましたけれども、あの名作と十分に張り合える面白さを感じました。
http://www.boardgamegeek.com/game/34004


Uptown (アップタウン) / Funagain moon Gamer

軽い、しかし悩ましい。4人。

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タイルをルールにしたがって1枚ずつ配置し、盤上のグループ数が最も少ないプレイヤーの勝利です。「グループ」とは、タテヨコに隣接したひとまとまりのタイル群のことを指します。

他プレイヤーが配置したタイル上に自分のタイルを置くこともできます。これを「ヒット」といいます。ひとつだけ制限があって、ヒットすることによってグループを分断してはなりません(グループ数を増加させてしまうようなヒットは行えない)。

これもまたえらくシンプルなルールのゲームではありますが、局所的な陣取りと大局的な戦略とをバランスよく考えて打つことを、実に自然な流れでプレイヤーに考えさせてくれる良作思考ゲームです。「ヘクス」や「ツィスト」のような連結ゲームの味わいがあり、一方でランダム要素があるのでそんなには重くはなりません。箱が小さく5人でも遊べるというのも地味に長所ですね。
http://ejf.cside.ne.jp/review/uptown.html


レポートは以上です。

体調が悪いのを押して出かけただけのことはありました。プレイしたゲームは全部面白く、もうこれは大収穫といってもいいでしょう。次から次へとゲームを遊んでいたらいつの間にか外が暗くなっていまして、あっという間に楽しい時間が過ぎ去ったような感じです。

また次に参加する際には、どうぞよろしくお願いいたします。moon Gamer