2日(土)は、千歳烏山はゲーム倉庫にてゲーム会を開きました。参加者は、かゆかゆさん・月斎さん・ブンケイさん、それに僕の4人です。ちょっとばかり重たいゲームをプレイしたい気分だったので、そのようなゲームを中心にこちらで選定させていただきました。快く応じていただいた参加者のみなさんには心から感謝いたします。

酷暑が大げさでも猛暑くらいはあるくらいの真夏の1日。湿度えらく高し。


Das Ende des Triumvirats (三頭政治の終焉) / Lookout Games

お蔵だし。3人。

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月斎さんが遅れて到着することになっていたので、他の3人で先行してこのゲームをプレイしました。古代ローマ帝国を舞台に、シーザー・ポンペウス・クラッサスによる権力闘争をテーマにしたゲームです。2~3人用というちょっと珍しい人数構成のゲームで、恐らく3人がベストでしょう。このプレイ人数のために、だいぶ前に購入したまま積みゲーと化していたのですが、今回めでたく崩すことに成功。

ただ… 今回は日本語ルールと英文ルールを突き合わせての確認に少し手間取ったこともあって、最初の1年のみの参考プレイとなりました。その問題となったルールが、毎年末に行われる執政官の選挙に関するものです。

添付されていた日本語ルール(ゲームストアバネスト製)P5「ELEGOO(選挙)-執政官の選出」には以下のように書かれていました。

> >ELEGOO(選挙)-執政官の選出
>フォーラムの自分のエリアに最も市民コマを置いているプレイヤーが執政官に
>選出されます。同数の場合、より近くに手番を行ったプレイヤーが勝ちます。

当日、このルールについてかゆかゆさんから異論が出まして、確かに言われてみると奇妙なルールではあります。特に年に2回しか手番のないキャラクター(例えば最初の年ではクラッサス)が、このルールではさらに不利に扱われてしまいます。

そこで、その場で BoardGameGeek へアクセスし、そこで公開されていた英文ルールをダウンロードして確認したところ、やはりこれは逆の意味ではないかということになりました。つまり、選挙時に市民コマが同数の場合、選挙が行われた時点を基準にして、そこから最も以前にその年で最後のターンを行ったキャラクターが当選する、ということです。

もちろん、BGG の英文が正しいとは限らないので、このゲーム会の翌日にゲームストアバネストへ直接質問を投げたところ、実に素早い対応(ホントに早かった)で回答をいただきまして、やはりそういうことらしいです。Z-Man Games サイトにある公式英文ルールには、このルールは以下のように書かれているそうです。

The Player who now has the highest number of yellow Citizens in his section of the Forum, is elected Consul. In case of a tie, the tied player who least recently had a turn wins the tie, and becomes Consul.

なお、BGG で公開されている訳には以下のように書かれています。こちらの方が表現としてはわかりやすいかも。

The character who know has the highest number of citizens in his section, is elected Consul. In case of a tie, of all the characters tying the one is elected whose last turn is longest past.

このルールにしたがえば、年に2回しか手番のないキャラクターは、市民数がトップタイでも選挙に勝ちます。例えば、最初の年でクラッサスは、市民コマ数がトップタイでも選挙に勝てます。これなら納得のバランスです。

ということで、実際にゲームをプレイしたのですが、1回目はセットアップにミスがあったためにやり直し(いちおうかゆかゆさんの勝利)。2ゲーム目の1年目終了時点(最初の選挙の終わり)で時間切れで中断となりましたが、そこではまだ誰も勝利していない状態でした。

勝利条件が3つ(実質4つ)あり、場の状況はすべて公開されているため、誰かが少しでも有利な状況になると、それを他の誰か(時には2人)がつぶしにかかる、ということが繰り返される展開になるでしょう。つまり、プレイヤーにバランスを大きく依存しているタイプのゲームであり、三つ巴の混沌とした状況をより強調するようなアイデアをいくつか組み合わせた構造が「三頭政治の終焉」の大きな特徴です。

戦闘ルールなど直接攻撃もあり、上記のように最初から最後まで露骨に「出る杭を打つ」システムなので、人を選ぶゲームかもしれませんね。いくつかのミスが出てしまいましたが、僕はかなり面白いゲームだと思いました。他のお二人はそうでもなかったみたいですけど…。機会があればまた3人でぜひプレイしたいです。
http://ejf.cside.ne.jp/review/dasendedestriumvirats.html


Wealth of Nations (国富論) / TableStar Games

ここで月斎さんが到着して4人が揃いました。

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蒸気の時代を背景に、大国リーダーとなり、生産と国際貿易で経済大国となることを目指すゲームです。ボックスには120分と堂々と書いてありますので、ユーロスタイルなゲームとしては長時間ゲームの部類になるでしょうし、実際そうなりました。

「国富論」には6種類の「産業(Industry)」が登場します。それらは六角形タイルの色や「丸(Dot)」の構成によって区別されます。各産業は、それぞれ対応する「市場(Market)」を持ちます。市場ボードはゲームボードの周囲に並べて置かれます。

六角形の産業タイルには「丸(Dot)」が描かれています。完全な丸は、その産業タイルが生産物を産み出す能力を表します(ひとつの完全な丸が1生産能力です。)。産業タイルには「完全な丸」や「不完全な丸」が描かれていています。不完全な丸とは、タイルの端で一部が欠けている丸のことで、これだけでは生産能力にはなりません。

複数の産業タイルを隣接するように組み合わせて配置することで、不完全な丸を完全な丸として扱えるようになります。そうするとその生産タイルの「ブロック(隣接し、丸を共有する同種同所有者の産業タイルグループ)」ごとに生産能力が上昇します。簡単に言えば、完全な丸の数だけキューブが生産されるのです。

産業タイルは「生産物(Commodity)」を生産します。しかし、それには別の生産物がコストとして必要です。基本的には、産業タイルのブロックごとに「エネルギー(青)」がひとつと、そのブロックにある産業タイルの枚数と同数の「食料(黄)」が必要です。また、産業タイルのブロックが「機械化(Automate)」されていれば、食料の代わりにブロックごとに「鉱物(白)」がひとつだけでコスト支払いが済みます(エネルギーは必要)。

若干の例外もあって、「農場」の産業ブロックは、1個のエネルギーだけで「食料(黄)」を生産します。また「発電所」の産業ブロックは、タイル数だけの「食料(黄)」(機械化されていれば『鉱物(白)』1個)があれば「エネルギー(青)」を生産します。

さてそろそろややこしくなってきたと思いますが、このあたりはプレイエイドにまとめられていて、また産業タイルの色と生産物の色が同色で対応しているので実は迷うことはありません。ちょっと煩雑なのが、産業タイル自身を生産するコスト(複数の生産物の組み合わせ)ですが、これもプレイエイドにキレイにまとめられています。

さてゲームは、「貿易フェイズ」で幕を開けます。これは、市場経由で生産物を売買したり、あるいは他のプレイヤーとの交渉で、生産物の交換や売買が行えます。市場で生産物を売買すると、その相場価格が上下します。

ちなみに、市場にはプレイヤー間で取引する際に使用する相場価格も書かれています。最初はただのおせっかいかと思ったのですが、このゲームは他人と生産物のやり取りを頻繁に行うため、このような公平な基準があった方が交渉がスムーズに済むという大きなメリットがあります。

続いて「開発フェイズ」です。ゲームボード上の空いたマスに「国旗」コマを「労働者(赤)」1個のコストで配置したり、新たな産業タイルを必要なコスト(生産物)で支払って配置したりします。新たな産業タイルは、自分の国旗コマが配置されたマスにしか置けません。また、国旗コマは、自分の国旗コマに隣接した空いたマスにしか置けません。

では他人に囲まれたら終わりかというとそうでもなくて、「産業の移動」というアクションも選択可能です。これは「資本(黒)」を支払うことで、3枚までの自分の産業タイルを、他の空いたマスか、すでに自分の国旗が配置されたマスへ移動することが可能というものです。開発フェイズでは、自分の産業ブロックを「機械化」することも可能です(コストは必要)。

最後に「生産フェイズ」を行います。これは前述したように、自分の持つ産業ブロックごとにエネルギー・食料(あるいは鉱物)を組み合わせて支払うことで、そのブロックの生産能力分の生産物を得ることができます(『銀行』の産業タイルは生産物ではなく現金を得る)。これをくり返し、最終的に生産物を換金し、その金額と自分の所有する産業タイルの枚数、それに約束手形(借金)をVPに変換して、それが最も多いプレイヤーの勝利です。

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典型的な拡大再生産型のゲームです。その上で、他プレイヤーとの交渉に大きなウェイトが占められているのが特徴です。たいていの国は少なくともひとつの豊富な生産物があり(それはセットアップで選択する産業タイルで決まります/詳細略)、それが主な輸出産業となります。それによって他国と交渉し、別の生産物を揃えることになるでしょう。そうでなければ市場から買うことになりますが、需要の高い生産物は割高となりますので、物々交換で済むならそうしたいところです。

序盤~中盤は自国だけで必要な生産物をすべて揃えるのは不可能というか、非効率です。複数種の産業を回転させるには、相応のエネルギーと食料が必要であり、そのどちらも自国で賄うように産業を興すよりは、それを持つ他国との折衝を行った方が互いに効率的です。そういうバランスになるように調整されたゲームです。

「国富論」のもうひとつの大きな特徴が「乱数がない」ことです。ゲームが開始されたら、スタートプレイヤーを決めること以外に一切のランダム要素がありません。もちろん一発逆転のイベントなどありませんから、国家をより豊かにするためには、コツコツと下から地道に積み上げていくことになります。

一度トップに先行されるとそれを止める手段が「交易を行わない」くらいしかなく、直接的に「叩く」手段がありません。つまりそうならないよう互いに気を配っておかなければならないのです。逆にゲームから脱落気味となっても何ら救済手段はありません。絵に描いたようなゲーマーズゲームと言えるでしょう。

このセッションで僕の国は、最初に豊富な農業基盤を持って、余った食料を他国とエネルギーと交換したり、あるいは市場げ流すことで拡大を図りました。ただここで「鉱山」と「学校」の2つの産業にほぼ同時に手を出したのがどうやら失敗だったようで、たちまちエネルギー不足に陥ってしまいました。十分な産業基盤ができるまでは、身の丈にあった国造りをしないと実に簡単に行き詰まります。

ここで上手く立ち回ったのが月斎さんで、セットアップで「農場」と「工場」を確保し、相場の高い「資本(黒)」をうまく活用しつつ資金を貯め続けます。そしてここ一番という時に借金を重ねて「銀行」を設立。これで毎ターン$90の収入が確約されました。仮に他国がこの後に一切交易をしなかったとしても追いつくのが難しい状況になり、話し合いの結果、この時点で月斎さんの判定勝ちということで終了しました。

「国富論」は、コンポーネントの派手さに比べて、地味な作業をくり返し行うストイックなゲームだという印象を受けました。ゲームの要所というか、デザイン意図がどのあたりにあるのか、一度プレイしてみないとわかりづらいと思うので、最初のゲームは練習くらいに考えた方がいいと思います。ということで、そのうち再戦することになるでしょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/32666


Agricola (アグリコラ) / Lookout Games moon Gamer

今日もどこかでアグリコラ。4人。

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このところ自分の周囲では「アグリコラ」旋風が吹き荒れております。週末には全国のどこかでプレイされているんじゃないでしょうか。てことで、この日も当たり前のようにエントリーさせていただきました。参加者全員がルールを把握しているのでインストもなし。なんて素晴らしい。

さて今回は、職業・小さな進歩のいずれも「E」「I」「K」に分け、各自が好きな配分で手札を取れるようにしてみました。例えば「Eを4枚、Iを1枚、Kを2枚」等々。先に配分を宣言してから取ります。カードの効果でゲーム中にカードを引く時にもこの配分は任意です。そして僕は、前回のプレイで気に入った「K」の7枚引きを選択しました。職業・小さな進歩いずれもです。

受け取ったカードの内容から、今回は酪農に少し重きを置いた方針を取ることにしました。4回目にして初めての酪農プレイです。序盤早々に大きな進歩の「かまど」を取り、「羊使い(羊を取ると+1頭追加)」によって羊をメインの食料源にすることにして、「鴨の池」「ミツバチの巣」を補助食料として確保しました。これで序盤を何とかくぐり抜け、おかげで7ラウンドには新たな子孫を増やすことができました。

この後、場では木材需要が高まったので家をレンガに改築しました。が、肝心の柵がなかなか作れない… 何とか最初の柵を作ったものの、そのあとしばらく農場の大部分のスペースは空いたままでした。この先どうなるかちょっと心配だったのですが、運良く木材を大量入手したことで大きな柵が完成し、ここで初めて最後までしのげそうな形が作れました。

酪農プレイは農耕プレイと異なり、ある一瞬から劇的に農場の様子が変わるのですね。その理想型を頭に思い浮かべながら辛抱しつつ、一気に形を作り上げた時はなかなか爽快でした。

moon Gamer moon Gamer

ゲーム終了時、子孫は何とか5人に増えたものの家はレンガ止まり。農地にも2つの空白地がある状態でしたが、ウシ・ブタの頭数とカードのボーナス点によって相殺以上の成果となり、結果は37点で同点トップ! タイとはいえ、初めてこのゲームでトップを取りました。いやーうれしいなぁ。
http://ejf.cside.ne.jp/review/agricola.html


Nefertiti (ネフェルティティ) / Rio Grande Games moon Gamer

正しいルールで。4人。

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前回のプレイレポートは、こちらのエントリーをどうぞ。前回のプレイでは付属の日本語ルールでプレイしましたが、今回その中にいくつかの不備が発見されました。もっとも、少し変な日本語ルールでプレイしても「ネフェルティティ」の本質的な面白さは何ら変わらず、これが優れたゲームであることには違いはありません。

こちらで気がついた日本語ルール(iOGM製)と原文との違いは以下の点です。

  • 市場が休業すると手番プレイヤーは1デベンをもらえるというルールが日本語ルールにはありますが、英文ルールにはそのような記述はないようです
  • 英文ルールには、他のコマが置かれていない市場へ、最初に家来コマを置くと1デベンをもらえるというルールがありますが、日本語ルールにはその記述がありません
  • 英文ルールでは、「ルクソール」の市場(2つとも)で休業判定を行い、休業しなかったのであれば、ダイスをそのプレイヤーの前に置いておくとあります。そして、次のそのプレイヤーの手番終了時まで、誰もルクソールの市場に家来コマを配置しなかった(まだそのプレイヤーの前にダイスがある)のであれば、ダイスを振ってルクソールの市場の休業判定を行うと書かれています。日本語ルールではこの部分が抜けています
  • 英文ルールでは、「盗賊」は休業している市場からしかカードを取ることができないと書かれています。日本語ルールではどの市場からも取れてしまいます

このセッションでは、かゆかゆさんが贈り物カードの独占を2種も行って、それを他のプレイヤーが咎めなかったために大量得点をゲット。圧勝となりました。
http://www.boardgamegeek.com/game/35435


三角貿易 / CORE HOUSE moon Gamer

このゲームで〆です。3人。

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ここで月斎さんが抜けまして(お疲れさまでした)、最後にこのゲームをプレイしました。ここにきて3人専用のルールが発見されたりして、すいませんほんとに(3人の場合は扱う商品数が4つではなく3つになる)。細部は荒削りですけれども、同人ゲームとしては卓越した内容を持つ作品です。ルールで最も気になるスタートプレイヤーの移行ルールは、適当にアレンジして遊んでみましょう。

そしてこのセッションでは、このゲームでやっと勝つことができました。いったい何度目のプレイなんだかもう忘れましたけど、これは素直にうれしいです。
mo-i(あっとまーく)jcom.home.ne.jp / CORE HOUSE 一瀬様


レポートは以上です。やはり重ためのゲームは疲れますね。最後は全身の力が抜けたような状態でした。暑かったせいもありますけど。午前中から夜まで、長時間の間お付き合いいただきまして本当にありがとうございました>参加者各位
またぜひ遊んでくださいませ。moon Gamer