2007年12月16日

西八王子ゲーム会 / Successors 会 (12/15)

15日(土)は、西八王子は taroさんの自宅で開かれたゲーム会に参加してきました。参加者は taroさんの他に、カエルさん、一味さん、それに僕の4人です。メインのゲームは「Successors (サクセサーズ) / Avalon Hill」。ちょうど10年前(1997年)に発売されたゲームです。そういえば発売元のアバロンヒル社は、この翌年にハスブロー社に買収されました。当時は衝撃的なニュースでしたが、今となってはなんだか遠い昔のことのようです。

この「Successors」は発売当初、ルールブックに不明瞭な点が多くあったため、その内容が十分に理解される前に不名誉な評価を市場から下されてしまいそうになった不幸な作品でもあります。多くのエラッタを経て、現在はルールが明瞭化が進んだこともあり、BoardGameGeek の評価値も概ね高いレベルで安定しています。ですが、今でも発売当初の悪いイメージが払拭しきれていない人もいるようです。

エラッタや新ルールを加味するなどして、すでにルールは第2版となっていますが、今回のセッションでは、これら多数のエラッタが適用された初版ルールでプレイしました。自分以外の参加者はすべて2〜3回プレイ経験があったので、ルール的な問題点はほとんど発生しませんでした。また、ほとんどのルールは「どこかで見たような」感覚で読めたほどスタンダードな構造のカードドリブンだったこともあり、初プレイの自分も、ルールを習得すること自体にはそれほど苦労しませんでした(ちなみに、ウェブ上で公開されている訳は使っていません)。

問題があったのはゲームの方ではなく自分の体調の方でして…。ここ数日、風邪のひき始めのような感じの頭が熱っぽい状態が続いていたので、前日は安静の時間を多く取って体調を整えました。この日、ゲーム開始から数時間は比較的大丈夫だったのですけれども、思いも掛けず長時間ゲーム(なんと8時間超)となってしまったこともあり、終盤はちょっと疲労気味でゲームに食らいついている状態でした。

冷たくて乾燥した空気と高い青空が広がる典型的な東京の冬の一日。


・Successors (サクセサーズ) / Avalon Hill

久しぶりのウォー&マルチ。

「Successors」は、アレキサンダー大王(アレクサンドロス3世)が急逝した後に勃発した後継者争い、いわゆる「ディアドコイ戦争」をテーマにしたヒストリカルシミュレーションゲームです。軸になるメカニクスはカードドリブンシステムで、デザイナーは傑作「ハンニバル」の Mark Simonitch と、70年代から100を優に超えるゲームを世に送り出してきた Richard H. Berg の両巨頭による合作です。
ボードには、歴史の教科書によく出てくるアレキサンダー大王の勢力範囲が描かれています(最東部はメディア付近で、それより東はありません)。陸地はエリアに分割され、エリア内には「大都市」「小都市」「城塞」等のスペースがあります。スペースは通路によって接続されています。

ほとんどのエリアには複数のスペースがあり、その過半数に自分の「守備軍」マーカーを配置したら「支配」したことになり、エリアごとに配分された得点が加算されます。エリアの支配から、いくつかの条件を満たすとボーナス点が入ることもあります。得点はこの2種類のいずれかです。

守備軍マーカーを配置するならカードで行えますが、敵対する勢力や中立勢力の守備軍マーカーを除去したり、配置し返したり、あるいは敵からそうなれないように守るには「戦闘ユニット」が必要です。戦闘ユニットは自発的に移動せず、それを行うには「部将」が必要です。

「部将」は各プレイヤーに2人ずつ(4人プレイ時には計8人)与えられます。なんと、これらはゲーム開始時に各プレイヤーへランダムに配られます。部将ごとにセットアップに位置と保有戦力が異なっており、ゲームごとに異なる状況で開始することになるでしょう。

この「部将」こそが、急逝したアレキサンダーの後継者としての立場を狙う重要人物たちです。しかし最初は母国マケドニアの忠臣という立場を取っていますが、各地で自分の勢力を徐々に広げ、自らの「正統性」を主張する地固めを行います。

「正統性」は、勝利得点とは別に管理される重要なステータスです。各地にいる王位継承者や重要人物を支配下に入れたり、あるいは結婚したりすることにより「正統性」は高まります。正統性が高いと、より強力なマケドニア兵の雇用が行えたり、サドンデス勝利に有利に働いたりします。

また「忠臣」である立場のプレイヤーに対しては軍事的に直接行動を取ると、正統性が低下することがあります。ただし、勝利得点が最も多いプレイヤーは「簒奪者(王位を狙うもの)」として扱われるために大義名分が成立し、彼に戦闘をしかけてもこの罰則はなくなります。

このゲームには、移動も戦闘も不確実な要素に満ちあふれています。単に移動をするにしても、ダイスと部将の能力によって2〜4まで変化します。戦闘はさらに不安定で、倍の戦力でぶつかれば(負ける可能性はまだありますが)とりあえずは安心という感じでしょうか。そしてその結果はとてつもなくブラッディで、勝利者はほとんど被害が発生せず、敗北者はほぼ全滅に近い被害を被ります。

つまりプレイヤーは、史実通り相当に不安定な状況に置かれており、大局的にも混沌かつ流動的な展開となりやすくなっています。これは史書から読み取れるディアドコイ戦争の雰囲気が実に生き生きと醸し出されており、制作者たちのコンセプトが適格に表現されている作品でした。

今回のメンバーの中では僕1人が初プレイだったので、序盤からとりあえずあちこち動いてみて、その様子を探ってみました。地中海は見た目よりも狭いとか、あるいは迎撃の重要性やエリアの守り方など、(失敗を重ねつつも)何とか把握はできたような気がします。少なくとも次のゲームでは、今回よりはうまくコマを捌けると思います。

カードドリブンで最重要なカードも、このゲームはそんなに種類が多くないため、全体を把握するのはわりと容易でした。このように、戦術的なことはすぐに結果が適用されることもあって見た目にもわかりやすいのですが、一方、先を見越した長期的な展望を考えて行動を選択するのは相当に難しいタイプのゲームだとも感じました。

というのも、「Successors」は極めて戦略的自由度の高いシステムだからです。プレイヤーの保有する部将は、ルール範囲内において、どれも行動選択に制限がありません。乱数が大きく影響するとはいえ、プレイヤーの形成判断と決断のタイミングが、ゲームの流れを作り出す極めて重要な因子となっているのです。いいゲームです。

もっともラウンドごとの移動範囲はダイスで決まりますので、いつでも最適な選択を実施できるわけでもありません。が、たとえハードラックに陥ったとしても、重要拠点とそこに至るまでに道のりは部将が密集し、たいていは緊張感にあふれたつばぜり合いが盤上で繰り広げられています。つまり、最終盤でもない限りは、他の選択肢は残っているものです。

さて、ゲームの細かい展開はさておいて、結果的には2位(だったっけ?)に終わりました。これは最後の最後で使ったカードによってたまたま得点を稼ぐことができた幸運のためでしょうね。最後のターンは全員が勝利の可能性があった大接戦となり、随所で派手なイベントや戦闘が乱舞する激しい展開となりました。

あまりの熱戦のために、ゲーム時間が予想よりもかなり長くなってしまったのはご愛敬というか(サドンデスルールがあり、それが適用されるともっと早く終わります)。とにかくも、想像を超えて面白いゲームだったのは大収穫でした。終盤は体調的なこともあってだいぶ疲れてしまいましたが、休日の1日をつぶす価値のある作品でであったことは間違いありません。

特に中盤まで(1〜2ターン)のゲームメイクしていく過程は、背筋がぞくぞくするほどの面白さを堪能しました。戦略面は当然として、臨機応変に部隊の運用が可能な迎撃ルールや、多彩な兵種を運用する戦術的な用兵要素も、シンプルなルールの中にたっぷり盛り込まれており、密度の濃い世界をじっくりと味わい、そして楽しむことができました。

ただ正直なところ、乱数の幅が広くてカオティックな構造なために、それなりに人を選ぶゲームだとも思いました。だからこそ、これを楽しめる環境がこんなに近くにあったのは幸運だったといえましょう。ということでぜひとも再戦を。今からマップを眺めて作戦研究をしておきましょうか。 http://www.boardgamegeek.com/game/68


体調的なこともあって、この日はアフターをキャンセルしてすぐ帰りました。本来なら「Age of Empires III」をプレイする予定だったのですが、時間的に難しくてこれはまた後日ということに。

ところで、このセッションで「Successors」が大いに気に入ったので、帰宅してからこの当時の史料を何冊か注文しました。また、さすがにこの時代の文書はネット上にもかなりあるので、今はそちらで予備知識を蓄えているところです。

ということで、本日はお疲れさまでした。
楽しい1日を過ごすことができたことを感謝します。
またぜひ遊びましょう。  

2006年10月22日

第2回「Here I Stand」会 (10/21)

22日(土)は、西八王子にて開かれた「Here I Stand / GMT Games」会に参加してきました。このゲームは先月にもプレイされまして、ゲーム会としては2回目です。前回のレポートとゲームの紹介などはこちらのエントリーをどうぞご覧ください。

参加者は前回と1人だけ入れ替わっていますが、今回もしっかり6人揃いました。まずはお部屋を提供していただいた taroさん、一味さん、ファラオさん、カエルさん、PHYさん、そして僕です。

このゲームはルールブックの和訳がクロノノーツにて公開されています。これがなかなかの力作なのですが、どうも急いで仕上げたようで、残念ながら誤訳や誤変換がところどころにあります。また、発売元の GMT よりエラッタがいくつか出ていますが、和訳ルールはそれに対応していません。

幸いにして和訳ルールはPDFで公開されていましたので、そのテキストを抽出した上で、自分なりに再編集してみました。もちろん間違いの訂正やエラッタにも出来る限り対応させています。手間がかかる大変な作業でしたが、ルールを読み直す作業がついでに行えたので効率は悪くなかったかも。

午前11時30分ごろから準備を始め、ルールの確認などしつつ12時30分ごろからゲームは開始されました。そして終わったのは22時30分過ぎ。実に10時間にも及ぶ長時間のセッションとなりました。


Here I Stand / GMT Games

1532年シナリオ。6人。
宗教改革の時代の流れから言えば、序盤の終わり頃といったあたりです。ゲーム的なシチュエーションとして大きな特徴は、ドイツ全土はプロテスタント化していて、さらにプロテスタント勢力に地上部隊が存在することです。したがってマップ上のすべてで軍事的な衝突が発生する可能性があります。

今回、僕の担当はハプスブルグ家でした。この勢力の特徴は「首都が2つあること」と「勢力範囲が分断されていること」です。欧州の西方端に位置するスペイン全土はいいとして、ウィーンを中心としたオーストリア周辺の勢力範囲下はオスマン帝国と対峙している軍事的緊張の高い地域だったりします。また、オランダのアントワープ周辺にも勢力があります。アントワープはキースペースなので大変に重要な地点なのですが、ここほど守りにくい場所もありません。

ゲームが始まるとすぐ、ハプスブルグ家はオスマン帝国軍のうずたかく積まれたハイスタックへの対応に追われることになりました。前回のセッションでは、オスマン帝国プレイヤーのダイス目が極端に悪くて、イスタンブール周辺に軍勢が張り付いていたのとは大違いです。有能で獰猛なオスマン帝国の指導者であるスレイマン1世は、部隊統率力が「12」もあります(他勢力の指揮官は6〜8くらいです)。部隊の移動や戦闘の集中運用に大きな制限のあるこのゲームでは、その存在自体が大きな脅威となっているのです。

さらに西方では、イングランドが宣戦布告を行使し、本格的にアントワープ攻略体制に突入しました。アントワープを単独で守るのは至難のワザに思えたので、僕はすぐに救出を諦めてしまいましたけれども、この局面では、腰の重かったフランスを説得するとか、あるいはローマ教皇と一致団結して何かしでかすとか、何か反撃する手はあったかもしれません。淡泊な対応は、やや悔やまれる判断ミスでした。

もっとも、協力相手候補のローマ教皇の方も、プロテスタント勢力相手に、相変わらずいつ果てるともない宗教論争を繰り返していましたので、そちらはそちらで大変そうではありました。状況は一進一退を繰り返していて、ターンごとに欧州の大きく宗教的勢力図が書き換わっていました(実はこのあたり、あんまり詳しくチェックしなかったのですけど…)。

その後、途中経過では実に様々なことがあったのですが、結局はオスマン帝国が陸に海に大躍進する展開となりまして、ハプスブルグ家の勢力をウィーンから押し出してジ・エンド。これにて最後のターンを待たずして、オスマン帝国の勝利をが確定しました(ポイントで判定勝利)。

ハプスブルグ家は、ゲームを通じて地勢的に苦しい形でゲームを進めなければならず、外交において技巧的に立ち振る舞うことが要求されます。ハプスブルグ家が弱体化するとオスマン帝国が台頭してくるのはマップを見れば一目瞭然ですから、逆にこのあたりを交渉材料にして、もう少し上手く時間稼ぎをする必要があったのでしょう。同盟ルールをもっとも活用しなければならないのはハプスブルグ家であり、特にローマ教皇との連携をもっと早めに取るべきでした。

このゲームはこれで2回目のプレイですが、このような複雑で微妙なバランスオブパワーの妙を、僕はどうもまだ完全に理解することが出来ていないような気がします。ゲームが始まってしまうと、カードの強力な効果に対応して捌いていくのに精一杯で、細かい外交のアヤをコントロールする技術を修得するには至っていないということです。全体的に運の比重が高いので、近い将来の予測すら立てづらく、その中で細かい外交を行うはそもそも困難であるということもあります(ま、これは言い訳ですが…)。

ただこのゲームは、言葉で語り尽くせない摩訶不思議な楽しさや奇妙な魅力を持っています。好き嫌いだけを言うなら、間違いなく好きなタイプのゲームなのです。これは僕だけではなかったようで、前回のセッションをきっかけにして、宗教改革の歴史的なバックグラウンドを調べた人も何人かいました。そうすると、「Here I Stand」が当時の歴史的状況をマクロ的な視点から眺めつつ、精密な手法で再現している良作であることが実によくわかるのです。

このように、「Here I Stand」は、主にシミュレーション性を重視して設計されているため、ゲーム性をある程度犠牲にしている箇所もあります。例えばイングランドがそうです。この国は単独でも他の勢力と組んでも、何か大きなことを起こすのが難しい状況に置かれています。これは歴史的にイングランドがそういう時期だったためで、ゲームにおいても手札が少なめに設定されていたり、ヘンリー8世の後継者(勝敗に大きな影響を与えます)がランダムで決まってしまうという問題を抱えています。

しかしながら、これは歴史シミュレーションゲームとしては、ゲームデザイナーによる極めて正しいアプローチなのです。ですが、実際にこの長時間ゲームをプレイするプレイヤーの心理として、そういうことを十分に理解した上でなければ、単に理不尽に苦しい状況に置かれているだけと感じてしまうこともまた理解出来ます。普段は競技性の高いゲームをプレイしている人ならなおさらでしょう。

繰り返しますが、「Here I Stand」は歴史シミュレーションとして完成度の高いゲームとして実に見事に仕上げられています。当時の各勢力のリーダーが持っていたジレンマを、ここまで緻密に表現していることだけでも称賛に値すると僕は思います。濃密な歴史ドラマを体感することの出来る稀少な力作として、そのあたりに楽しむポイントを置いて味わっていただきたいところです。若干バランスの偏った勢力もありますが、絶対に勝てないほどではありません(それでも理不尽に感じるなら、開始時のポイントを増減して調整すればいいのです)。

ところで2回目のセッションで新たな(そして正しい)ルール解釈も出てきたりしました。どうもまだルール運用も不安定なので、もし次のセッションがあるなら、もう少し整理したリファレンスを作りたいと考えています。
http://www.boardgamegeek.com/game/17392


レポートは以上です。みなさん疲労困憊状態ということもあってアフターはなし。長時間に渡ってお付き合いいただきましてありがとうございました。本当にお疲れさまです。またぜひお付き合いください。  

2006年09月17日

「Here I Stand」会 (9/16)

−聖書に書かれていないことを認めるわけにはいかない。
−私はここに立っている ('Hier stehe ich')。
−それ以上のことはできない。神よ、助けたまえ。
 1521年、ヴォルムス帝国議会への召喚において、
 自らの主張を撤回するよう求められた際に放った
 マルティン・ルターによる拒絶の返答。

多くの先駆者がそうであったように、宗教改革の中心となったマルティン・ルターもまた、多くの苦悩と挫折にまみれて生きた人でした。理想と現実、伝統と革命の狭間で、自らの信念を貫いて時代の潮流を変えたその人は当初、きまじめな一介の司祭に過ぎませんでした。

優れた見識を持つ神学者でもあった彼は、「買うことで煉獄の霊魂の罪の償いが行える」という贖宥状のあり方を嘆き、それについて自らの素朴な疑問を呈した1通の書簡を書き上げました。1517年のことです。これが後の世に言う「95ヶ条の論題」です。この書簡が人々の間に急速に広まり、やがて歴史の流れを大きく変えてしまうスイッチとなることなど、書いた本人はもちろん、他の誰もが予測することは出来ませんでした。

95ヶ条の論題… 聖書に対する深い洞察に裏付けされた多くの提題は、特に貧困にあえぐ農民層に大きく支持されました。そしてこの当時において、絶大な権力を持っていたローマ教会の威信をも否定する巨大なうねりとなって、欧州全域は激動の渦の中に飲み込まれていきます。宗教改革の狼煙はこうしてあがることとなりました。

「私はここに立っている」 それは、ルターの魂の叫びであり、神の心の琴線に触れた瞬間でもあったのです。


Here I Stand / GMT Games
1517年シナリオ。6人。

16日(土)は、西八王子にて開かれた「Here I Stand / GMT Games」会に参加してきました。「Here I Stand」は、16世紀、中世末期の欧州における宗教改革の時代をテーマにしたカードドリブンメカニクスのマルチプレイヤーゲームです。

参加者は、お部屋を提供していただいた taro さんの他、かゆかゆさん、一味さん、ファラオさん、カエルさん、そして僕の6人です。8月から準備を進めて、やっとこの日に(このゲームの最適人数と思われる)6人プレイを実現することが出来ました。

「Here I Stand」には「勢力」が6つ登場します。いずれも、16世紀当時の欧州で主要な勢力です。このような、いわば主権国家が欧州で出現し、中世の封建国家における君主が権力基盤を拡大し、何とか安定化したのは、ルターが「95ヶ条の論題」を発表するのに先立つわずか数十年余りの間のことでした。

まずは「フランス」。フランスは14〜15世紀にかけて、海を隔てた隣国イングランドとの百年戦争(と、その後の国内統治強化によって)イングランド王とブルゴーニュ公勢力の排除に成功し、強固な国家体系を確立しました。その「イングランド」は、百年戦争の直後に勃発したバラ戦争の後、ヘンリー7世の巧妙な貴族政策が功を奏し、テューダー朝による絶対権力の基盤を作り上げました。

他方「ドイツ」では、13世紀以降、小さな地方国家の集合によって構成されていました。これが「領邦」であり、それらが主権国家の役割を果たしていました(本ゲームにおいてドイツは、プロテスタントの中枢勢力として扱われています)。

彼らのような主権国家にとって大きな障害となったのは、それぞれの国内における「ローマ・カトリック教会」(およびその周辺勢力)でした。悪名高き「十分の一税」はその典型で、教会の利害が国家の利害より優先されることも決して珍しくはなかったのです。

これらの国家勢力との関係の中で、最も大きな影響力を持っていたのが「ハプスブルグ家」です。ハプスブルグ家は、13世紀にはルードルフ13世が神聖ローマ帝国皇帝となったのを端緒として、主に政略結婚を繰り返すことで所領を拡大し続けました。このゲームに登場する時期のハプスブルグ家はまさにその絶頂期であり、領主として1519年に神聖ローマ帝国皇帝となった「カール5世」が登場します。皇帝に即位した時、彼はまだ19歳の青年でした。

一方、ハプスブルグ家は欧州各地に所領を分散して保有していたため、それを守るための戦いに明け暮れていました。世を「95ヶ条の論題」が席巻した頃、ハプスブルグ家はフランスのヴァロア家と激しく長く続いていた戦いのさなかでした。しかも東欧では、ハプスブルグ家の牙城とも言うべきウィーンに迫りくる「オスマン帝国」の脅威にもさらされていたのです。

1520年、「オスマン帝国」の君主(スルタン)であるセリム1世が没し、その王子であるスレイマン1世が跡継ぎとして即位します。彼はこの時、26歳の若き貴公子でした。しかし、即位してすぐに内部で反乱が発生し、その対応に、己の力量を世に問われる形となりました。そして翌年、反乱軍は一気に鎮圧・掃討され、スレイマンは順調なスタートを切りました。

この時期、ストレイマンの誇る軍事力は、オスマン帝国の長い王朝の歴史の中で最も強大であったと言われています。スレイマンは、この充実した戦力を背景に無数の外征を行っており、まさに彼らの伝統的なガーズィー(戦士)の精神を継ぐにふさわしい勇敢で荒々しい君主でもあったのです。即位後、最初の親征はベオグラードが目標となり、それはバルカンからハンガリーへ攻め上るための戦略拠点でもありました。

さて、再び欧州に目を向けてみます。

当時、カトリック教会は明らかに腐敗していました。しかしそれは、この時代が特にひどかったというわけではなく、それはずっと続いていた悪しき伝統のようなものでした。当時のローマ教皇であるレオ10世が、サン・ピエトロ大聖堂を改築するために発行した「贖宥状」も、実はこの時に初めて作られたわけでもありませんでした。

贅沢を好み、果てしなく浪費を続けた悪名高いレオ10世も、その周囲を取り巻く枢機卿たちが私腹を肥やして何とも思わなかったことと同様に、堕落したローマ教皇庁の象徴するありふれたひとつの現象でしかなかったのです。しかし、それらが宗教改革の大きなきっかけとなったのは厳然たる事実であり、そしてそれが故に彼らは歴史に名を刻まれることとなります。

その第一歩が、マルティン・ルターによって書かれた「95ヶ条の論題」であることはすでに述べた通りです。この反乱のマニフェストを作り、あるいは支持した人々に対して、ローマ教皇庁は素早く、そして厳然とした態度と対応を取りました。なぜなら彼らは「異端」であったからです。こと「異端」に関する限り、カトリック教会は百戦錬磨の強者揃いでした。中世を通じて多くの異端が現れては、結局はローマ教皇の前に、そのすべてが鎮圧されていったのです。経験の差は歴然としていました。

そして実際、「プロテスタント」たちはこの先も世代を超えてずっと、長く厳しい戦いを強いられることになるのです。その最終局面は、「95ヶ条の論題」からほぼ1世紀後に始まった三十年戦争であり、それがハプスブルグ家の敗北によって終結する1648年ごろになってやっと、プロテスタント諸派が「ひとまず生き残る」ことが国際的にも保障されるようになりました。

このように、実に130年以上にも及ぶ大きな歴史ドラマにおいて、その初戦から中盤あたりまでを総合的に追うことをテーマにしたゲームがこの「Here I Stand」です。

「Here I Stand」の進行は、基本的にはそれほど複雑ではありません。まず、カードや追加の人物に関する処理(カード補充フェイズ)が行われた後、予め定められた時間の範囲で外交を行います(外交フェイズ)。外交は厳密にルールで定められており、規定された現状変更や同盟の締結、和平交渉、そして宣戦布告が行われます。

次いで、限定的な兵力の展開(春期兵力展開フェイズ)を行った後に、いよいよこのゲームのメインとなるアクション実施の機会を得ます(アクションフェイズ)。規定された固定順(インパルス順と言います)で、各勢力はカードプレイを行ってアクションを行います。

アクションには複数の種類があり、大まかに分類して、兵力(陸軍・海軍)に関わるものと、その他のアクションです。その他には、新大陸への航海(植民・探検・征服)と宗教的な諸活動である聖書の翻訳(プロテスタントのみ)・宗教論争の実施(プロテスタントとローマ教皇のみ)・サン・ピエトロ大聖堂の建設(ローマ教皇のみ)・イエズス会大学設立(ローマ教皇のみ)があります。

これらアクションを実施するためには「コマンドポイント」を消費しなければなりません。アクションごとに必要なコマンドポイント数は決まっています。いくつかの例外を除けば、コマンドポイントを支払える限り、同じアクションを1手番で何回でも行えます。コマンドポイントはカードに書かれています。

手番になったらカードを1枚プレイし、それをイベントとして使うか、それともコマンドポイントとして使うかを任意に選択します。原則として、1枚のカードはそのどちらかにしか使えません。アクションとして使った場合は、テキストに書かれたイベントを実施します。

移動アクションを行った結果、同盟していない勢力のユニットが同一スペースに存在した場合、戦闘が発生します。戦闘は陸上でも海上でも発生し、大まかな処理の手順はどちらも同じです。陸上での戦いは、敵の戦力削減と共に、政治的支配の確立が大きな目的となります。

またそれとは別に、宗教的な論争もアクションとして行われます。政治的支配とは無関係に、地域はプロテスタントかカトリックのいずれかを信仰しています。信仰によって政治的支配は変わりませんが、信仰は変わることがあります。しかし信仰を変えるにも軍隊の存在は有利に働きます。宗教論争は苛烈で、大きくな敗北を被ると宗教家が火あぶりに遭うことすらあります。

各勢力には、史実に則った特殊ルールがあります。例えばイングランドでは(史実がそうであったように)ヘンリー8世は最大で6人の女性と婚姻を結ぶ可能性がありますし、ローマ教皇は条件さえ整えば「破門」を宣告することが出来ます。このように、史実を知っていると思わずにやりとするようなルールやカードテキストが随所に散りばめられていて面白いです。

ただ、史実に則った妥当なルールであるとはいえ、細かすぎる例外処理が多いのもまた事実で、もうちょっとスマートにまとめてくれたら… と感じる部分も少なくありません。デザイナーの細かいこだわりをも感じさせるルールは膨大で、そのためにプレイへのハードルがやたら高くなってしまっているのはちょっと困りものです。

とはいえ、宗教改革の時代をここまで壮大なスケールで総合的に扱ったシミュレーションゲームは本場アメリカでさえ稀少であり、シミュレーションゲーム史に残る祈念碑的作品ではあることは確かでしょう。

この日は「1517年シナリオ」を行いました。これは「95ヶ条の論題」が発表され、宗教改革の起点となった年です。まだ盤上にプロテスタント勢力はわずかで、ここから徐々に布教する(サイコロ判定)ことでプロテスタントの信仰者を増やしていくことになります。ローマ教皇はそれを阻止することは当然として、ハプスブルグと戦争状態になっているフランスとの攻防も何とか対処しなければなりません。

「陽の沈まぬ帝国」であるハプスブルグは、その名の通り最初から広大な領土を保有しており、そのために初期の手札の数も多いのですが、問題は山積みです。まず東欧ではオスマン帝国の大勢力が攻め上がってくるのは時間の問題です。スペインでも、フランスがいつ何をしでかすかわかりませんし、イングランドの軍勢が海を越えてやってくるかもしれません。地中海はやがてオスマン帝国の謀略によって海賊の天国となります。

イングランドはイングランドで、後継者に男子がなかなか産まれないという悩みを抱えています。うっかりメアリー(あの『ブラッディ・メアリー』のモデルとなったメアリー1世)が後継者になったりすると、行動に大きな制約が科せられてしまうのですが、こればかりは運を天に任せるしかありません。

このセッションでは当初、オスマン帝国がハンガリーを攻め、それが欧州の勢力図に大きく影響を与えるはずでした。しかしオスマン帝国プレイヤーのダイス運が悪く、ここで手痛い大敗北を喫して戦線は大きく後退、変わってハプスブルグが東欧で勢力を拡大し続けることになりました。この後もオスマン帝国は陸から海から、次々と攻撃を仕掛けるのですが、どうしたことかほとんど勝てません(ダイス15個振って、ひとつも5・6が出ないことも…)。

ドイツ周辺ではプロテスタントとローマ教皇が激しく論争を繰り返し、一進一退を繰り返していました。どちらかと言えばプロテスタント側が優勢だったようです。フランスはローマ教皇+ハプスブルグとの果てしない戦いに明け暮れていまして、なかなか厳しい情勢となっていました。イングランドはアムステルダムをハプスブルグから奪い去った後は、戦力を着々と整え、その間にどうにか健康な親王が誕生しました。

結局、このセッションは、ルールの確認等にかなり時間がかかったこともあり、8時間ほどを費やして4ターン終了まで行われました。この時点でプロテスタントが何と24VPも取っていたことが判明して一同唖然。これはサドンデス勝利にわずか1VP足りない(他の勢力と5VP差に必要)だけで、うっかりすると本当にゲームが終わっていたことになります。うーむ。

1517年シナリオの前半だけプレイしてわかったのは、これは歴史的興味を満たすことを主眼に置いたシナリオであるということです。つまり、宗教改革がいかにして起こり、それがどのような状況で広まっていったのかを再現することに重きを置かれており、ゲーム的な楽しさは二の次になっているように思いました。勝敗を楽しみたかったら、余計な手続きのない「1532年シナリオ」や「トーナメントシナリオ」をプレイするべきなのでしょう。

最後までプレイ出来なかったのでお試しプレイっぽくなりましたが、それでもこの重厚で複雑なゲームをプレイすることが出来たことに、参加者全員が満足していました。これだけで終わらせるにはもったいないということで、必ず再戦を行おうという決意を固めて、本日はお開きとなりました。

長い時間、本当にお疲れさまでした>参加者各位
ぜひまた「Here I Stand」をプレイする機会があることを心から願っています。  

2006年06月18日

Twilight Struggle会(6/17)

17日(土)は、西八王子で開催された「Twilight Struggle会」に参加してきました。これは「ハンニバル会」「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ会」と同じく、taroさんが主催したオンリーゲーム会です。もちろんテーマは「Twilight Struggle (トワイライト・ストラグル)/ GMT」。以前と同様に、このゲーム会も公民会の会議室を借りて行われました。

参加者は、taro さん・つなきさん・ファラオさん・phy さん・U西さん・yamatoさん・手稲さん・つん坊さん・一味さん・K野さん、それに僕の11人です。

ということで当日の会場では、最大で同時に5卓の「Twilight Struggle」が並んでプレイされていました。すごい。また、1ゲームがわりと短い時間で終わることもあり、全員が組み合わせを変えて何ゲームも繰り返しプレイしていました。例えばファラオさんはこの日1日だけで7ゲームも遊んだとのことです。僕はやや遅め(午後1時くらい/ゲーム会開始は午前10時)に会場に入ったのですが、それでも3ゲームほど遊びました(最後の1ゲームは時間切れで途中終了でしたけど)。


・Twilight Struggle / GMT Games

東西冷戦時代をテーマにしたカードドリブンな戦略ゲーム。2人。

「トワイライト・ストラグル」は、第二次世界大戦が終了したあたりから、およそ半世紀に渡って全世界で繰り広げられた、アメリカ合衆国(資本主義陣営)とソビエト連邦(共産主義)との熾烈なイデオロギーの対立となった「冷戦(冷たい戦争/Cold War)」をテーマにしたシミュレーションゲームです。

ゲームは全部で10ターンあります。正確に割り当てられているわけではありませんが、1ターンは3〜4年ほどを表しています。ゲームを通して、大きく3つの時期に分かれています。

1〜3ターンまでは「Early War」です。戦後からポーランド問題・ベルリン封鎖を経て、超大国の対立という冷戦構造が全世界へ広がっていった時代を扱っています。

4〜7ターンまでは「Mid War」です。スターリン死後、一時的な雪解けの時期を経て、キューバ危機やベルリンの壁が作られて緊張が高まった時代です。ゲーム的にはさらにデタント(緊張緩和)の時代まで包括しています。

8〜10ターンは「Late War」は新冷戦時代です。ソ連のアフガニスタン侵攻によって再び世界は緊張を高め、中東での紛争が頻発した時期です。しかし80年代に入って冷戦は加速度的に終焉へと向かい、91年のソビエト連邦は解体で完全に終結したのでした。

基本的なシステムはカードドリブンメカニクスです。手番では1枚ずつカードをプレイし、それのオペレーション値(OP値)として使うか、あるいはイベントとして使うかを選択します。各ターンでは6〜7のアクションラウンドあり、1ラウンドで交互に1枚ずつカードをプレイします。なお、各アクションラウンドはソ連プレイヤーが先攻で固定されています。

カードをオペレーションとして使う場合、以下の4つからひとつを選びます。

  1. 影響マーカーの配置 Placing Influence Markers
    1オペレーション値ごとに1影響値を、ルールで規定された国へ配置します。複数の国に影響マーカーをばらまいてもいいですし、ひとつの国に集中して置いても構いません。ある国に対して、一定の影響値を置いた陣営は、その国を「支配国」として扱うことが出来ます。

  2. 影響度の排除 Realignment Roll
    1オペレーション値を使うことで敵陣営の影響度を下げる試みが行えます。これはダイスを使った判定になります。自陣営の影響度は増えませんが、複数の国で試みることが可能です。

  3. クーデター試行 Coup Attempt
    1国を選び、そこでクーデターを起こすことが出来ます。その国の政治的安定度(Stability Number)と敵陣営の影響度が関連し、それにダイス振って成否を判定します。クーデターによって、支配状態が一気にひっくり返ることもあります。

  4. 宇宙開発競争 Space Race
    原則として1ターンに1回ずつ「宇宙開発競争」を試みることが可能です。宇宙開発には「0」〜「8」までの段階があり、新しい段階に入るためには、条件に合致したオペレーション値を持つカードをプレイした上で、ダイスによる判定をクリアしなければなりません。宇宙開発で相手陣営よりも先の段階に進むと、ゲームでより有利になる恩恵が受けられることがあります。

オペレーションとしてカードを使ったとしても、そこに敵陣営のイベントが書かれていたらそれは実施されます(たいていは自分の陣営に不利になるイベントばかりです)。これがかなりきついルールで、このために不本意なイベントを起こさなければならないことも頻繁に発生します。

冷戦の時代は双方の陣営が軍拡を続けていました。その最たる存在が核兵器です。超大国が保有する核兵器の総数は人類を何回も滅亡させてしまう過剰な規模にまで膨らんでしまい、次の世界大戦の勃発は地球の破滅をも意味していました。このため、核戦争を抑止力として利用し、実際にはその行使をギリギリの瀬戸際で回避する外交的な駆け引きが冷戦を通して行われることになりました。「トワイライト・ストラグル」では、この緊張を「DEFCON(デフコン/Defense Readiness Condition)」の段階という手段で簡潔に表現しています。

デフコンの初期値は「5」です。これは世界がまだ平和であるという段階を表します。しかし陣営にとって重要な国家(Battleground)でクーデターが発生したり、あるいはイベントの結果などによってデフコンは低下します。もし「1」になってしまったら核戦争が勃発してゲームは強制的に終了します。この場合、核戦争になった瞬間に手番となっているプレイヤーが敗北です(非手番プレイヤーは勝利します)。

デフコンが低下すると、クーデターや影響力の低下オペレーションに強い制限が加わります。自分の手番で「1」にしてしまうと負けなので、あえてデフコンを低下させて手番を終わらせることで、相手の行動選択を狭めて束縛することはこのゲームで常套手段です。まさに人類の滅亡と背中合わせという綱渡り状態で覇権争いが繰り広げられるのです。

このゲームの目的は、敵陣営よりも大きな得点(VP)を獲得することです。ゲーム中には得点カードやイベント、あるいは必要軍事作戦値(詳細略)などによってVPのやり取りが頻繁に行われます。双方の陣営の得点差が20VP以上になるとサドンデスとなり、得点の大きなプレイヤーの勝利でゲームは終了します。デフコンによる強制終了も起こらず、10ターンが終了したらやはりルールにしたがって計算を行い、VPの大きな陣営が勝利となります。

「トワイライト・ストラグル」の勝敗バランスはソ連が有利に傾いています。特に序盤の「Early War」はソ連側に有利なイベントが多く、その傾きが強烈です。「Late War」まで持ち込めればアメリカ陣営も勝負の形にまで持ち込むことが可能となるので、そこまで粘り強く、せめてサドンデスで負けないよう凌いでいくという耐える姿勢が必要でしょう。

この日の最初のゲームはアメリカ陣営を担当しました。初ゲームということもあり、イベントの感触やゲームの流れを把握しつつプレイしたのですが。「Mid War」に入って2ターン目くらいでサドンデス負けとなってしまいました。続いて対戦相手を変え、気を取り直して2ゲーム目もアメリカを担当。今度こそはとはりきって臨んだにもかかわらず、カードの引きが悪すぎで「Mid War」の最初のターンでサドンデス負けを喰らいました。

こうなったら意地でも行くぜっということで、3ゲーム目もアメリカ担当。やっとこれでアメリカの粘り方がわかってきました。一時的に自分に不利になるとわかっていても敵の使い捨てイベントカード(強力です)はあえて使ってしまうとか、そうでなくてもカードのうまい捨て方や後に回す処理方法もいくつか編み出しました。このセッションでは、カードやダイスに多少恵まれたこともありますが、Late War の直前ターンまで何とかたどりつたところで、時間切れにて協議終了となりました。

バランスは確かにアメリカにやや不利なのは間違いないようです。とはいえ、対応策がないわけでもなく、ソ連が一方的にラクという訳でもありません。いずれにせよ、イベントカードの効果はド派手なものが多く、一瞬のプレイングミスは致命的な結果にすぐに結びつきます。まさに真剣勝負のツバ競り合いというわけです。

プレイに先立ってイベントカードのテキストを予習しておくことはまず必須でしょう。得点カードは当然見ておくべきとして、マップ上のどの国でどんなイベントが発生するかまで把握することも大切です。その情報を頭にたたき込んでおけば、影響力マーカーの配置・排除、そしてクーデター等の細かなオペレーション方針が自ずと決まります。

運の比重は確かに高いのですが、それだけのゲームではないこともまた確かです。実際、技巧や大局観に基づいた大戦略は確かにあり、経験の差だけではないプレイヤーの実力差も存在します。カードを使ったゲーム特有のシチュエーションの多彩さも見事で、プレイヤーは次々と降りかかる未知のトラブルに対して、限られた手札と手番でどのように打開するかを柔軟な思考で考え抜かなければなりません。それほどバランスが良くないゲームでありながら、この血路を開く過程の図抜けた面白さが欠点を補って余りあります。

個人的な感覚ではありますが、冷戦の時代に生まれそして育った人間として、イベントカードの効果に感情移入しやすいという点もまた「トワイライト・ストラグル」の大きな魅力です。ルールが簡単でプレイ時間も短いため、手軽な戦略ゲームとしてアメリカでもかなりの人が繰り返しプレイしているそうです。日本でもシミュレーションゲーム系のブログでプレイ報告が続々と書かれています。恐らくこのまま年単位で長くプレイされていくことでしょう。さらに定番ゲームとして定着するには、VPの初期値などでバランスを調整していく必要はありそうです。
http://www.boardgamegeek.com/game/12333


レポートは以上です。

何だか1日があっという間に過ぎ去りました。
翌日にもゲーム会の予定が入っていたので、アフターは失礼させていただきました。送迎のクルマの中でtaroさんと「トワイライト・ストラグル」についてちょこっとだけ話をしたりして、この素晴らしいゲーム会の余韻にひたりつつ帰宅の途につきました。

参加したみなさん、本当にお疲れさまでした。
またぜひ遊ばせてください。  

2006年05月14日

西八王子ゲーム会 (5/13)

13日(土)は、西八王子の taroさん宅で開かれたゲーム会にお呼ばれされたので行ってきました。このゲーム会は、およそ20年ぶりにリメイクされた「Fury of Dracula (フューリー・オブ・ドラキュラ) / Fantasy Flight Games」をメインにして、ちょっと古めのファンタジー系ゲームを遊ぼうという主旨で開かれました。

参加者は taroさんの他に、一味さんと僕の3人です。少ないようですが、これは「フューリー・オブ・ドラキュラは3人が最もプレイバランスが良さそう」という taroさんの持論が元になっています。


・Fury of Dracula (フューリー・オブ・ドラキュラ) / Fantasy Flight Games

ドラキュラを追う4人のハンター。追いつ追われつ。

プレイヤーの1人がドラキュラ伯爵を担当します。残りのプレイヤーは、欧州のどこかに潜んで闇から闇へと密かにさまようドラキュラを見つけ出し、その息の根を止めるのが目的です… と書くと、定番ゲーム「スコットランドヤード」を思い起こす方もいらっしゃるでしょう。確かに大枠の構造は似ていますが、こちらはさらに微に入ったルールが多数盛り込まれたゲーマーズゲームとして構成されています。

ハンターは4人います。これはプレイヤー数にかかわらず4人固定です。ハンターを担当するプレイヤー2人は、キャラクターを2人ずつ担当します。ハンターは「1」〜「4」までの数値が振られており、これは行動する順番を表しています。ハンターにはそれぞれ固有の能力があり、体力も異なっています。

ハンターはマップ上の任意の都市に配置します。それぞれフィギュアがあるので一目瞭然です。また、ドラキュラ伯爵もどこかの都市に潜んでいます。ハンターもドラキュラ伯爵もマップ上の都市から都市へと移動を行います。

移動手段は「道路」「鉄道」「海路」の3つがあります。ただし、ドラキュラ伯爵は鉄道を使うことは出来ませんし、「海路」を使うとダメージを負います。ラウンドはまず、ドラキュラ伯爵の移動から開始されます。

ドラキュラ伯爵のフィギュアはマップ上には置かれず、ロケーションカードによって管理します。ロケーションカードとは、都市名と海域名の書かれたカードです。各都市と各海域について1枚ずつあります。このカードを裏返しにして経路トラックに配置することで、現在のドラキュラ伯爵の潜伏位置を示すわけです。ドラキュラ伯爵が移動を行うと、経路トラックには複数のロケーションカードが置かれることになります(最大で6枚/つまり過去6ラウンドの移動経路が示されるわけです)。

ドラキュラ伯爵は、ロケーションカードを経路トラックに置くと同時に、エンカウンタータイルをその上にやはり裏返しにして置くことも可能です。これはドラキュラ伯爵が仕掛ける「罠」です。もしエンカウンタータイルが置かれた都市にハンターが移動してきた場合、そのタイルを公開して「遭遇」の効果を解決しなければなりません。ここでいきなりドラキュラ伯爵のエージェントと戦闘になることもあります。

続いてハンター側の移動が順番通りに行われます。「道路」でつながっている隣接した都市へ移動するか、鉄道を使うか、あるいは海路を移動します。鉄道は遠くに移動する効率的な手段ですが、ダイスによる判定で全く移動不可能となる可能性もあるリスクを伴います。船を使って海上に出るとさらに遠くへ移動可能ですが、海路上ではドラキュラ伯爵を捕縛することが出来ませんし、都市上ので「補充(後述)」も行えなくなります。

移動した後、都市上のハンターは補充を行って、「アイテムカード」や「イベントカード」を獲得します。アイテムカードとイベントカードはそれぞれ、1人のハンターごとに3枚ずつまでしか持つことが出来ません。

また、イベントカードは必ずしもハンターが獲得出来るとは限らず、ドラキュラ伯爵が持ち去ってしまうこともあります(カードの裏のデザインが異なります/イベントカードを引くときには山札の一番下から取るので、事前にどちらが取るのかわからないようになっています)。

移動先の都市上でドラキュラ伯爵か、あるいはドラキュラ伯爵のエージェントと遭遇した場合は戦闘が発生します。戦闘はダイスとカードによって処理します。まず双方が戦闘カードを1枚裏返しにプレイします。ハンター側はアイテムカードを使うことも出来ますし、夜ならドラキュラ伯爵の選択肢が増加します。双方同時にオープンした後にダイスを振って、どちらがイニシアティブを取ったかを判定します。このダイスには状況によっていくつかの修正が加わります。

イニシアティブを取った方が、自分の出した戦闘カードに書かれた戦闘結果を相手に与えます。戦闘結果は相手のプレイしたカードによって結果が異なるようになっています。これにより、ダメージを負ったり、ドラキュラ伯爵に咬まれることもあります。ハンターの体力が0になるか、あるいは一定数咬まれると病院へ行って治療を受けなければなりません。

これを、ドラキュラ伯爵・ハンターのいずれかの勝利条件を達成するまで続けます。

ルールブックだけなら実質40ページ近くもボリュームがありますが、簡単な決まり事が広く浅く広がっている印象です。特殊効果のテキストがやや込み入っているものが多少あるくらいで、プレイそのものは軽めです。しかし意志決定の機会は多く、そのたびにあらゆる可能性を考慮した、実に悩ましい決断をしなければならないでしょう。ドラキュラ伯爵もハンターもそう簡単に勝てないようになっています。

ドラキュラ伯爵が残すエンカウンタータイルはハンターに取ってやっかいなシロモノですが、それはそこにかつて彼がいたという証拠を示すものでもあります。まさに命をかけてその足跡を何とか探り当て、推論を重ねてドラキュラ伯爵を見つけたとしても、戦闘で何とか一撃でもダメージを与えられなければ、それまでの苦労は水の泡と消えます。

ドラキュラ伯爵もたったひとりで4人を相手しなければならないというプレッシャーに打ち勝たなければなりません。対ドラキュラ用の武装アイテムはごまんとあり、それらをいくつも携えてマップ上で包囲網を形成されると、対抗する手段も限られてしまいます。特に不利となる昼間に戦闘を行うことはなんとしてでも避けなければなりません。夜になれば… そしてあのエンカウンタータイルにやつらがかかってくれれば…

「フューリー・オブ・ドラキュラ」は、生きるか死ぬかを賭けたスリリングな展開を楽しめる戦略的なゲームです。オリジナルの厳しいゲームバランスを調整したこのバージョンは、19世紀の全ヨーロッパを舞台にした壮大なチェイスと推理のゲームとして生まれ変わりました。多くの特殊効果さえ気にならなければ、良く洗練された歯ごたえのある面白いゲームとして楽しめるでしょう。

このセッションでは taroさんがドラキュラ伯爵を担当しました。ゲームの序盤でハンター側は、スペインとフランス方面で早くもドラキュラ伯爵を発見することに成功したものの、その後の戦闘で辛くも逃げられてしまいました。どうやら東欧方面にドラキュラ伯爵が移動したことを突き止めたハンターたちはすぐに追ったのですが、エンカウンタータイルへの対応がやや失敗気味(結果としてハンターが1人病院送りになってしまった)となった時点で厳しい状況に陥りました。

そのころドラキュラ伯爵は、バルカン半島方面から悠々と海路を通ってコルシカを経由しつつ大西洋へと抜けて逃げの体制を作っていました。そのあたりで嵐に見舞われてアイルランドに漂着するというアクシデントはありましたが、エンカウンターを達成して新たな吸血鬼を生み出すなど着々と吸血ポイント(ドラキュラ伯爵の勝利得点)を重ねて、最後は一気に勝利をもぎ取りました。
http://www.ps-hiroshima.com/board/furyofdracula.htm


・König der Elfen (エルフの玉座) / Amigo Spiele

実は初プレイです。

もう7年近く前のゲームなのでご存じの方も多いかと思います。このゲームはネット上の評判も悪くなく、それどころか賛辞さえ聞かれる佳作ですが、なぜかここまでプレイ機会がなくて初プレイとなりました。他の2人も初プレイです。

「エルフの玉座」は、ゲーム大賞を取った「エルフェンランド」を下敷きにしたようなメカニクスを持っています。このゲームではプレイヤーの目的は「村」の巡回です。ただし、各ラウンド開始時には村はなく、各プレイヤーが自分の前に「村カード」を出していきます(設定フェイズ)。「村」は特定の地形の中にあり、それはカードに書かれています。

村は各プレイヤーは2枚まで(2人プレイ時には3枚まで)プレイします。2枚目以降の村カードを自分の前にプレイする場合には、前に置いた村カードの「左側」に置いていきます。この後の「移動フェイズ」では、自分の前に置かれた村カードの最も「右側」の村から出発し、時計回りの順で村を訪れていきます。

自分の村の最も左側に村へ移動を行ったら、左となりのプレイヤーの置いた村カードへ訪れることも可能です。このようにして、場の全てのプレイヤーが配置した村カードへ時計回りの順で移動することが出来ます。

村へ移動するためには「移動カード」が必要です。村に描かれた地形に対応した移動カードを手札から出さなければなりません。移動カードの種類によっては2枚の移動カードが必要になる場合があります。各村へ訪れることが出来れば、カードに書かれた数値と同じだけの報酬を獲得します。また、全プレイヤーの村に1回ずつ移動することが出来たらボーナスを受け取ります。

さて、少し戻って設定フェイズでは、手札の改善とアクションカードのプレイも可能です。手札は1ゴールドを支払えば山札から1枚可能です。ただし同じラウンドで2枚目を購入すると2ゴールド、3枚目は3ゴールドに値上がりし、3枚を越えて購入不可となります。山札から3枚を引いて手札に入れる選択もありますが、その後で4枚を捨てなければなりません。

アクションカードは村カードに対してプレイします。アクションカードをプレイしたら、自分のマーカーをその上に乗せておきます。設定フェイズで使用可能なアクションカードは、報酬を増加させる「お金カード」、他人から2ゴールドを奪う「泥棒カード」、移動の障害となる「障害カード」があります。

移動フェイズで使用可能なアクションカードもあります。「ボディガード」を使えば、「泥棒」「障害」を無視出来ます。「方向転換」を使えば、反時計回りに村から村へ移動することが出来ます。

全員の移動が終了したらラウンドが終了します。場のカードは全て捨てられますが、手札は次ラウンドに引き継がれます。これをプレイヤー数分だけラウンドを繰り返し、最終的に所持金の最も多いプレイヤーの勝利です。

「エルフェンランド」がある程度の協調が必要なゲームであったのに対し、「エルフの玉座」は直接攻撃プレイが続出するシビアなゲームです。シビアと言えば手札のマネージメントもなかなかに厳しくて、どうかすると移動時に一歩も進めない状態に陥ることも十分に考えられます。それだけに、うまく言ったときの喜びもひとしおだったりします。

このセッションは3人だったこともあり、一回りしてボーナスを獲得することが出来たかどうかが勝敗の分かれ目になりました。それを無難にこなして、高得点を叩き出した一味さんの勝利。少人数だと方向転換カードがあまり意味をなさないので、今度はもっと大人数で試してみたいですね。
http://ejf.cside.ne.jp/review/konigderelfen.html


・Talisman (タリスマン) / Games Workshop

懐かしの第2版。

1983年製の第二版タリスマンです。この版はたくさんの拡張セットが発売されました。その後、近年になって第3版も作られましたが、そちらももう絶版のようです。

「タリスマン」は、ヒロイックファンタジーをベースにした複雑なスゴロクです。プレイヤーはキャラクター1体を担当し、サイコロを振ってコマを進めます。ボードはいくつかの層があり、各層をコマが周回します。最初は最も外側のマスを進みます。サイコロの目だけ必ず進ませなければなりませんが、移動方向は時計回りでも反時計回りでも構いません。

止まったマスに何か指示があればそれに従います。アドベンチャーカードを引いたり、ダイスを振って何らかの結果を適用することもあります。戦闘が発生することもあり、その場合はサイコロを使って即時結果を出します。

キャラクターにはたくさんの種類があります。基本的な数値能力は「Strangth(強さ)」「Craft(技能)」「Life(命数)」、それに資産である「Gold」です。これに「Object(所有物/アイテム)」を持ったり、仲間となる「Follower(従者)」を引き連れることもあります。

外側の層から1段階内側の層にキャラクターが入ると、さらに厳しい状況に置かれます。しかしそこでは「Talisman(護符/タリスマン)」を入手することも出来ます。これがないと、最も内側の層にある「Valley of Fire(炎の谷)」を入ることが出来ないので、ゲームに勝つことは出来ません。

そして最終地点にある「Crown of Command(統治の王冠)」にたどり着くと、凶悪な「統治の呪文」を唱えることが出来るようになります。これは50%の確率で、他のプレイヤーの Life を1ずつ減らしていくという恐ろしい効果があります(通常の状態では、各キャラの最大 Life は4です)。こうして、最後まで生き残ったキャラクターの勝利となります。

実はこのゲーム「終わらないゲーム」としても有名でした。終わらないというのは大げさとしても、まともにやるとかなり長い時間がかかるのが普通なのですが… この日の taroさんのダイスは神がかっていました。信じられない目を続出し、Strangth と Craft を合わせても10そこそこのドワーフが、なーんと開始からわずか1時間余りで「統治の王冠」へたどり着いてしまったのです。ありえないって。

いや、実はドワーフが内エリアに進んだ時には「自滅するだろう」とタカをくくっていたのが甘かったかも… いずれにせよ、それから30分も立たないうちに他の2人の Life を削られてしまい(いや、けっこうがんばったのですが…)、taroさんの圧勝。こんなシーンはもう二度と見られないかもしれませんね。いや、いいものを見せていただきました。
http://www.os.rim.or.jp/~bqsfgame/sub168.htm


・Dungeonquest (ダンジョンクエスト) / Games Workshop

最後はこのゲームで〆ました。

完全な運試しゲーム。たしかずいぶん前にやったことがあるはずなんですが、記憶からすっぽり抜けています。テストプレイでの生存率が15%と堂々と書かれていまして、その場で生き残るだけでも苛酷で極端に偏ったバランスに意図的に構成されたゲームです。

プレイヤーはキャラクターを1人を担当します。このセッションでは、拡張セットで追加されたキャラクターも使いました。キャラクターには固有の特殊能力があります。手番で行うのは、フロアタイルを袋から取り出して、それをルールに沿って配置するだけです。そのタイルの種類によってさまざまなイベントが発生し、それを解決しなければなりません。モンスターが登場すれば戦闘に巻き込まれることがありますし、トラップの掛かったフロアでは運が悪いと一撃で死亡する(つまりゲームから脱落)ようなイベントがいきなり発生したりします。本当に問答無用です。

ボードの中央にはドラゴンが眠る宝庫があり、そこにたどり着ければ莫大な財宝が手に入りますが、運悪くドラゴンが起きてしまうと、全てを失ったあげくに甚大なダメージを喰らいます。首尾良く財宝を手に入れたとしても、元の地点に戻るのがまた困難を極めます。フロアタイルにはトリッキーな仕掛けが施されているものが多数あり、それをくぐり抜けるのは多くの幸運にも恵まれなければならないでしょう。

「生存率15%」が疑わしく思えるほどきついバランスのゲームなのですが、なぜかセッション中はずっと笑いに包まれていました。もう笑うしかないというか。 どんなことがあろうと一切の救済措置がない世界で「どーすんだよコレ」という絶望的な状況を楽しむという変わったゲームです。

この可笑しさは最近のゲームでは味わえない奇妙なテイストで、今やると逆に新鮮だったりします。いやほんとに。結局、2ゲーム続けてプレイされるほどみんな気に入ったのでした。
http://www.os.rim.or.jp/~bqsfgame/sub103.htm


レポートは以上です。

ちょっと体力的に自信がなかったこともあり、このあたりで、後ろ髪引かれる思いで帰宅させていただきました。この日は朝からしとしと雨模様で、しかも5月中旬とな思えないほど肌寒く、実際のところ体調もすぐれなかったためです。判断ミスで薄手の上着しか着ていなかったため、帰りの電車の中でも寒くて凍えていました。

本日はお疲れさまでした>taroさん・一味さん
またぜひお誘いくださいませ。  

2006年03月20日

ハンマー・オブ・ザ・スコッツ会 (3/18)

18日(土)は、西八王子にて開催された「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ会」に参加してきました。これは、かつて僕の参加した「ハンニバル会」と同じく taroさんの主催で、参加メンバーもほぼ同じメンツです。

もちろんハンニバル会と同じく、公民館の会議室を終日借り切って「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ」だけをひたすらプレイするという単一タイトル限定のゲーム会です。参加者はトータルで9人で、最大3卓が同時に立っていました。

「Hammer of the Scots (ハンマー・オブ・ザ・スコッツ) 」は、13世紀末のスコットランド独立戦争がテーマのシンプルなシミュレーションゲームです。一見馴染みがなさそうなテーマですが、この古い戦いを背景にした映画「ブレイブハート」はご存じの方も多いでしょう。この映画は1995年に公開され人気を博し、アカデミー賞5部門を受賞した名作です。この映画の主人公ウィリアム・ウォレスは実在の人物で、「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ」でも重要なユニットとして登場します。

このゲームは「スコットランド」と「イングランド」の双方に分かれて2人でプレイします。特徴的なのは部隊を表すユニットが木製の「ブロック」になっているというという点です。シミュレーションゲームの世界ではよくこれを「積木システム(積木ユニット)」などと言われることが多いのですが、まずはこれについてざっと説明してみましょう。

積木の部隊は右図のように立てて使用します。通常は、そのコマの片面にだけ部隊の情報が記載されており、所有者の側にだけそれが見えるように配置します。相手はコマの裏(普通は無地)しか見えず、戦闘になって初めて相手の部隊の情報が明確になります。

シミュレーションゲーム的には、戦場の霧(相手側の戦力把握が実際に戦ってみるまでは困難であるということ)を表現する手法のひとつである「アントライド・ユニット(戦力未確認ユニット)」の極めてシンプルな実装例です。

この積木システムは、各部隊の戦力が段階的に減少してくようにデザインされるのが普通です。コマの各辺には「戦力」が書かれており、どの辺を上にして置くかによって、そのコマの現在の戦力を表します。例えば、戦闘の結果としてダメージを負えば、そのコマの戦力は減少し、コマを「回転」させてそれを表示するのです。

「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ」の発売元のコロンビア・ゲームズは、これを「ブロックゲーム(Block Game)」と呼び、それをほぼ専門に制作している珍しいパブリッシャーです。「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ」は、コロンビア・ゲームズのラインナップの中でも屈指の高評価作品となっています。

・Hammer of the Scots (ハンマー・オブ・ザ・スコッツ) / Columbia Games

僕が到着したのは午前11時30分過ぎくらい。
事前にルールブックを通読してきましたが、初プレイなので taroさんにインストをお願いしました。これが意外と長い時間がかかって50分間くらいだったでしょうか。「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ」はウォーゲーム系としてはシンプルなルールなのですが、スコットランド側とイングランド側で異なる細かい処理がいくつかあって、それをひとつひとつ口頭でていねいに説明していたらうっかり長くなってしまったようです。いや、ほんとにお疲れさまでした>taroさん

ハンマー・オブ・ザ・スコッツのマップボードは、スコットランドの大部分とイングランドの北部が描かれています。ユニットを配置するのは陸上のみで、多数の「エリア」に分割されています。

このゲームではエリア単位で移動・戦闘・補充などの基本的な処理が行われます。各エリアには「城塞」のアイコンと数値によって経済的な価値が示されており、ゲームでは戦力の回復などを行う「補充ポイント」や、ユニットが冬営可能な「スタック制限」(いずれも後述)を意味しています。

14箇所のエリアには貴族の領地であることを示す「紋章」が描かれています。この紋章のあるエリアを制圧したり、あるいは貴族の部隊を戦闘によって全滅させることで、その貴族を自分の陣営に引き込むことが出来ます。そしてこのゲームの目的は、ゲーム終了時までにゲームに登場する全14の貴族のうちより多くの貴族を自分の支配下に置くことにあります。

ゲームはカードを使用することで進行します。ゲームの進行単位は「年(Year)」で、それは各プレイヤーごとに最大で5つのターン(双方で最大10ターン)をプレイします。年の開始時にそれぞれ5枚ずつのカードが配布されるところからゲームは始まります。

カードは「1」〜「3」までの数字が書かれた20枚と、特殊なイベントが書かれた5枚とがあります。各ターン開始時に手札から1枚のカードを双方が秘密裏に選択し、それを同時に公開します。この数字の大きい方から手番を行います(同値はイングランド先攻)。ただし、イベントカードがオープンされたら、それから実施します。

自分がプレイした数字カードは、それがこの手番で行動させることの出来るグループの数を表しています。あるエリアに存在する全てのユニット(部隊)はひとつのグループと見なされますので、例えば「2」のカードをプレイしたら、2つの別々のエリアにあるグループを行動させることが出来るということになります。

ユニットには「移動力」が設定されています(ほとんど『2』)。この移動力の数だけエリアを移動することが可能です。ただし、エリアとエリアの境界線には1手番で通過可能なユニットの上限(6ユニットか2ユニット)が決まっていますので、それの数を超えて移動させることは出来ません。

互いにユニットを移動させた結果、同じエリアに敵味方のユニットが存在していれば戦闘となります。ユニットには「A」「B」「C」の3つのランクがあり、まず「A」から戦闘の処理を行います。同じランクのユニットが攻撃・防御に存在した場合は防御側のユニットから戦闘処理を行います。「A」〜「C」までのユニットが1回ずつ行うことを「戦闘ラウンド」といいます。

戦闘結果は、1ユニットずつ解決します。そのユニットの「戦力(Strength)」の数だけサイコロを振り、「戦闘力(Combat)」以下の目だけ相手に損害を与えます。損害を受けた側は、ルールにしたがってユニットの「戦力(Strength)」を低下させなければなりません。

もし貴族ユニットが戦闘中に全滅してしまった場合、ただちに最低戦力(1)で敵側に寝返って、次の戦闘ラウンドから寝返った側のユニットとして戦闘に参加します。まるで将棋の駒のようです。

ユニットは戦闘を行う代わりに退却も可能です。いずれにせよ、そのエリアから一方の側のユニットしかいない状態になるか、あるいは3ラウンド終了まで戦闘は継続します。戦闘に勝利した側は、戦闘に参加したユニットを「再編成」して、隣接エリアを含めてユニット配置を調整することが可能です。

これを繰り返し、双方のプレイヤーが5枚のカードを使い切るか、あるいはカードを同時に公開した時にどちらもイベントカードだった場合に「年(Year)」が終了します。ここから「冬営(Wintering)」という補充・再配置・再編成を行います。ここでは多数の処理を行いますが、ポイントになる部分をかいつまんで。

まず貴族のユニットは自分の領土(エリア)に戻ります。その際、そのエリアに敵の軍隊がいた場合は、現在の戦力で敵に寝返ります。勝利条件に絡むこともあり、貴族の領土の支配はとても重要な意味を持っています。

イングランド軍は歩兵と貴族以外のユニットは全て「解散」して本国に戻ります。ようするに盤上からいなくなります。残った歩兵や貴族はエリアに書かれた「城塞」の数値(補充ポイント)を使って戦力の回復を行うことが出来ます。ただし、エリアで冬営可能なユニットの個数は城塞の数値までです。それを超えて残っているユニットは除去しなければなりません(スタック制限)。

ひとつだけ例外があって、イングランド軍はエドワード1世のユニットが盤上にある時にだけ、そのエリアにスタック制限を無視して何個でも残ることが出来ます(エドワード1世のユニットが2年連続の冬営をすることは不可)。

さらにイングランド軍は「徴募」によってイングランド北部エリアに大量に新しいユニットが完全戦力で登場します(ただし、エドワード1世が冬営してれば徴募は出来ません)。1年が終わるたびに、全軍単位で再編成されるのがイングランド軍の特徴です。

これに対してスコットランド軍は、エリアの補充ポイントを利用して新たなユニットを盤上に登場させます。補充ポイントはユニットの戦力回復にも使われますので、そのマネージメントは極めて重要です。新しくユニットを登場させる場合でも、スタック制限は守らなければならないので、最後のターンでうまくユニットを展開しておかないと、思うようにユニットが増えずに苦労することになるでしょう。

こうして、規定のターン終了後に、自分の支配している貴族の多い方が勝利です。同数(双方が7貴族支配)の場合は、ウィリアム・ウォレスのユニットが除去されていればイングランド軍の勝利で、そうでなければスコットランド軍の勝利です(註:勝利条件について付属の日本語ルールが誤っていますのでご注意ください)

この日、僕は3ゲームを行いました。残念ながら全敗でしたけれども、3戦目の途中までは誤った勝利条件でプレイしていたので、その条件下では2戦目は勝利でした。なので、この結果はあまり気にしないことにします。当日は「ダイスの目が悪い」とぼやきっぱなしでしたけれども、後で振り返ってみると、ダイスの出目をとやかく言う以前の反省点が山のようにあって実に恥ずかしい限り。

このゲームは、特にユニットの移動と冬営でゲーム的なテクニックを駆使することで、保有ユニットのより効率的な拡大再生産を行うことが出来ます。これらのルールを十分に理解して実際に盤上で実現するには、事前の十分な研究を行うとか実戦経験を積み上げるなどの取り組みが必要です。見た目以上に実力の差がつくゲームなのです。

また、スコットランドとイングランドの置かれている立場がルールによって異なっているのが実に面白かったです。目指す目標(勝利条件)は双方で同じであるにも関わらず、それを実現するための戦略や軍の運用方針の根本が大きく違っているのです。この日も僕はスコットランド軍を担当した後にイングランド軍を担当したのですが、まるで別のゲームをプレイしているかのような、一種のカルチャーショックを味わいました。


レポートと簡単なレビューは以上です。

「ハンマー・オブ・ザ・スコッツ」は、この時代の戦いの一端を知ることの出来るエキサイティングな思考ゲームです。同系統の作品と比較しても、ライトでありながら、戦略性とゲーム性のバランスが取れた素晴らしいウォーゲームではないでしょうか。サイコロを使う機会が多いので、ゲームの流れに乱数の影響が少なからず関わってきますが、それが全てではないことはすでに述べた通りです。

研究しがいのある優れたゲームですので、次にこのゲーム会が開かれる時には、しっかり予習してから戦いに臨みたいと思います。参加者のみなさま、本当にお疲れさまでした。またぜひ誘ってください。
http://www.boardgamegeek.com/game/3685  

2005年06月26日

ハンニバル会 (6/25)

真夏日となった25日(土)は、西八王子で開催された「ハンニバル会」に参加してきました。これは、「Hannibal: Rome vs. Carthage (ハンニバル) / Avalon Hill」 だけをひたすら遊びまくるという趣旨のゲーム会です。

「ハンニバル」のプレイ回数は、すでに両手両足の指でも足りないという taro さんが発起人となり、わざわざ公民館の会議室を借りて開催され、延べ7人が集まりました。最大で3卓同時に「ハンニバル」卓が立っている光景は、なかなか壮観な眺めでした(実は8人集まる予定だったので、4卓立つ可能性もありました)。ちなみに「ハンニバル」は2人用ゲームです。

参加者は、主宰の taro さん・つなきさん・ファラオさん・phy さん・U西さん・yamatoさん、それに僕でした。

「Hannibal: Rome vs. Carthage (ハンニバル) / Avalon Hill」は、1996年に発売されたヒストリカル・シミュレーションゲームです。紀元前218年〜紀元前201年にローマ帝国とカルタゴの間で行われた第二次ポエニ戦争をテーマとしており、シミュレーションゲームの中では「古代戦」という時代区分に属されることが多い時代です。

ポエニ戦争を知らなくても「ハンニバル」という名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

落日の古代帝国・カルタゴを代表する将軍で、その優れた軍事能力と悲劇的な末路は、ドラマチックな歴史ロマンとして後世の記録に残っています。それらは、多くの歴史家や小説家の想像力や知識欲を刺激するには十分な魅力にあふれていたようで、2000年以上経過した今でも、彼は伝説めいた名将として伝えられています。

さて、ゲームの「ハンニバル」です。このゲームの大きな特徴は、多くの判定や行動にカードを使うことにあります。特に「戦略カード(Strategy Card)」の運用は、「カードドリブン(Card driven mechanics)」と呼ばれる独創的なメカニクスが採用され、後発のシミュレーションゲーム作品にに多大な影響を及ぼしました(※なお、カードドリブンの始祖は、1994年に発売された『We the People / Avalon Hill』だと言われています/異説あり)

ターンの始めに、プレイヤーには6〜9枚の戦略カードが配布されます。戦略カードには1〜3の「作戦ナンバー」と「イベント」のテキスト(特殊効果)が書かれています。プレイヤーは自分の手番になったら、手札の戦略カードを1枚プレイします。

手番プレイヤーが戦略カードをプレイしたら、続いて対戦プレイヤーが戦略カードを使います。これを双方の手札が無くなるまで繰り返すことでターンが進行します。ゲームは全部で9ターンを行います。

戦略カードをプレイした時、カードの「作戦ナンバー」と「イベント(特殊効果)」のどちらを使うか宣言します。両方とも1手番で使うことは出来ません。

「作戦ナンバー」を使えば、将軍と戦闘ユニットの移動や兵力の補充などが行えます。より大きな数字の作戦ナンバーの方が、作戦の適用範囲が大きくなります。一方、「イベント」を使えば、ルールの枠を破壊する特殊な効果をすぐに発揮することが出来ます。

「イベント」は確かに強力ですが、勝利を確定的にするためには「作戦ナンバー」を使用した兵力の展開と運用も必須です。悩ましいことに、作戦ナンバーの大きな戦略カードは、イベントの内容も強力になっています。しかし一度に使えるのはそのどちらかだけで、戦略カードは使い捨てなのです。

プレイヤーは、戦略カードのどの機能をどのタイミングで使うか、ゲーム中ずっと苦慮することでしょう。そしてこれこそが、カードドリブンの真髄であり、面白さの根本になっています。

この日、僕は少し遅れての参戦となり、カルタゴとローマと立場を変えて2ゲームを楽しみました。参加者の中には4ゲームもプレイした人もいたようです。ちなみに僕は初プレイで、taro さんに綿密なインストをしていただきました(もちろん事前にルールは熟読して行きました)。

使用したルールは、2nd Edition Rule(第2版)です。初版とは一部のルールが変更となっており、またルールの明確化や初版エラッタの反映が行われています。また、豊富なプレイ経験から taro さん考案のローカルルールも採用しました(詳細略)。

僕がカルタゴを担当した最初のゲームは、慣れないこともあって序盤から苦戦が続き、不運も重なったこともあり、何と5ターンにはハンニバルが戦死してしまいました。言うまでもなく、ハンニバルはカルタゴの主力であり、盤上を支配する最強の将軍です。しかも6ターン目にローマは、大スキピオことスキピオ・アフリカヌスが、大戦力を引き連れて増援として投入されるのです。

こらもうダメかな、と思っていたのですが、自軍支配下の数はまだ勝っていたので、何とか同点勝利(ゲーム終了時に政治的に重要な地方の支配下数が同じであればカルタゴ勝利)を目指して、粘って逃げ切りを狙うことにしました。

しかし、ハンニバルを討ち取って士気上がるローマ軍は、カルタゴの本拠地であるアフリカにスキピオ・アフリカヌスと共に大兵力を上陸させ、大規模な侵攻作戦を展開してきました。

カルタゴの将軍は必死の防戦を繰り返しましたが、最終ターンにヒスパニック地方(スペイン)に続々とローマの将軍を上陸させるに至り、カルタゴの敗北が決定的になったと思われたのですが… この瞬間、カルタゴは起死回生の「停戦(TRuce)」カードをプレイし、敵軍の侵攻作戦を政治的に止めることに成功したのです。ローマ軍は停戦協定を破棄する手段がなく(手札に停戦を打ち消すカードが残っていなかった)、この時点でカルタゴの辛勝が確定しました。

2戦目は立場を変えてローマ軍を担当しました。軍の行動に柔軟性のあるカルタゴ軍とは異なり、ローマ軍には大きな足かせがいくつも課せられています。また、将軍の能力も低めにレーティングされている者が多く、戦術レベルではカルタゴの優秀な将軍に対して不利な立場となることがよくあります。

反面、ローマには、戦況にほとんど影響を受けずに毎ターン増援が一定数送られてくるというタフさがあります。つまり打たれ強いのです。中盤まで、多少不利になったとしても、少なくともスキピオ・アフリカヌスが登場する6ターンまで辛抱することが出来れば、その後はハンニバルに対しても十分に対抗することが可能となるでしょう。

…なんですが、序盤でハンニバルが大活躍してしまいまして… 1戦目を遥かに凌駕する不運が重なったこともあり、ゲーム途中でローマの投了となりました。不覚。ローマ軍の運用にはややクセがあって、慣れるとかなり面白そうなのですが、経験豊かなプレイヤー相手に立ち回るのは、やはり難しかったようです。

ということでハンニバル漬けの1日となりました。このゲームはかなり入手難(しかも相当なプレミア付)になってしまっているのですが、会場にはどうにかして購入されたいくつもの「ハンニバル」が広げられていました。

今回のハンニバル会は2回目(1回目はGWに開催されたらしい)とのことですが、早くも3回目の開催日や参加者拡大の話が飛び交っていました。いやー、ものすごい勢いです。

もちろん僕はこのゲームをとても気に入りました。カード運によって展開がかなり左右されてしまうゲームではありますが、その流れに乗ってうまく運用する技巧もまた必要です。激しいカードの打ち合いには、将来の行動が裏付けになっていないと効果は半減してしまうでしょう。

多彩な効果を持つ多くのカードのおかげで作戦の幅が広がり、プレイするたびにゲームの展開が大きく異なることも見逃せない特徴です。実際、会場でいくつものゲームを目の前で見ましたが、これが同じゲームかと思うくらいに、それぞれ展開が異なっていました。これは、「ハンニバル」が繰り返しのプレイに耐えうる優秀なゲームであることの証でもあると思います。

ということで、充実した1日となりました。また再戦することを心から楽しみにしています。
素晴らしいゲーム会の企画にお誘いいただきまして感謝いたします>taro さん
そして参加者のみなさん、どうもお疲れさまでした。またぜひやりましょう。  

2005年04月09日

西八王子ゲーム会 (4/9)

9日(土)は西八王子にてプライベートなゲーム会に参加してきました。メンバーは taro さん・かゆかゆさん・ファラオさん・yamato さん、そして僕の5人です。

僕以外は朝の10時からやっていたそうですが、こちらは例によって花粉症の影響もあり、午後1時前くらいに遅めに合流し、午後7時過ぎくらいまで遊ばせてもらいました。

・Meisterdiebe (盗賊の親方) / Zoch Verlag

引き出しと3種の宝石。

ツォッホらしい豪勢なコンポーネントが評判となった異色作。「宝石箱」にある12個の引き出しに隠された宝石を取り合うアクション&記憶ゲーム。

ひとつの段には4つの引き出しがあり、それぞれの段は右にも左にも回転します。引き出しには短い引き出しと長い引き出しがあり、長い引き出しの奥には、もうひとつの小さな秘密の仕切りがあります。

引き出しにはもうひとつ特徴があり、上下にひっくり返しても中に物が入れられるような構造になっています。ですから、宝石箱そのものもひっくり返せるようになっています。

各プレイヤーには「白い布」と「黒い布」がそれぞれ配られます。最初に白い布の上にいくつかの宝石を乗せた状態でゲームは開始されます。白い布の上の宝石は「ニセモノの宝石」で、ゲーム終了時にはマイナス点となります。黒い布に宝石があれば、それは本物の宝石なので得点になります。

この他にも別の用途として使われる「赤い布」が1枚あります(場に1枚のみ)。

もうひとつ、面白い仕掛けとして「キャラクターカード」の存在があります。キャラクターは全部で6種類あり、各キャラクターに対応したカードを1枚ずつ計6枚をプレイヤーは持っています。キャラクターはそれぞれ個別に特殊な能力を持っています。

プレイヤーはラウンドの開始時に、手札から任意のキャラクターカードを1枚選び、それを公開することで、そのラウンドではプレイしたキャラクターの特殊能力が使えるようになります。

キャラクターの能力は大別して、「引き出しの宝石を取って自分の黒い布に置く者」「ニセモノの宝石を引き出しにしまう者」「人の落とした宝石をかすめ取る者」の3種に分類されます。

プレイヤーの手番は、選択したキャラクターによって順番が決まります。自分の手番でまず、任意の引き出しをひとつ選び、それを開けることが出来ます。

この時、引き出しの下側の仕切りに宝石が入っていた場合、開けたとたんに宝石が落下してしまうことがあります。

このような場合、落ちた宝石は「赤い布」に置かれます。さらに、宝石を落下させたプレイヤーはキャラクターカードの特殊能力を使用することも出来なくなります。

宝石が落下しなければ、ここでキャラクターカードの特殊能力を使用することが出来ます(宝石を取ったり、罠のアラームを仕掛けたり、奥にある秘密の仕切りを見たり…)。

その後で、「一番上の段か、1・2番目の段を90度左右どちらかに回転」「宝石箱の方向を変えずにひっくり返す」を、この順番で1回ずつ行うことが出来ます(やらなくてもよい)。

ラウンドの最後に、落下してしまった赤い布上にある宝石を取れるキャラクターがあれば、ルールにしたがって獲得する処理が行われます。

大ざっぱに言えばこんな感じのゲームです。誰がどの引き出しで何を行ったかを覚えておくことは当然のごとく重要なのですが、回転したりひっくり返されたりするのでなかなか大変です。この上さらに特殊能力の駆け引きなども絡むため、意外と重層的で盛りだくさんのゲームです。

そのため、プレイ時間がやや長めになってしまっているのはちょっと残念な点です。この日のゲームも1時間以上に渡ってプレイされました。最初から最後まで抜群の記憶力を発揮した yamato さんの圧勝でした。

・シティー・プラン / Hammer Works(創作ゲーム)

ゲームマーケット2005で発売された注目の新作カードゲーム。

建築と政権公約の達成で、より魅力的な街作りを目指します。まず最初に発電所カードが1枚ずつ配布されます。発電所カードには供給電力が書かれています。ゲーム途中で電力が不足してきた場合は、後で追加の発電所を建設する必要があります。

建物は、それごとに指定されている消費電力が供給されなければ建設することは出来ません。建設コストの支払いは、手札からカードを捨てることによって行います。建物カードの中には、建設コストを軽減したりゲーム終了時のポイントを増加させる効果を持つものもあります。

場には「収入カード」というボーナスカードが置かれています。そこに書かれた条件を誰かが達成すると、ボーナスとしてカードを引けます。これは達成したプレイヤーだけではなく、その他のプレイヤーも達成度に応じてカードを引きます。

さらに「マニフェストカード」を引くことも出来ます。マニフェストカードに書かれた条件をゲーム終了時までに達成していれば、追加で得点を獲得します。

誰かが10件目の建物カードを建設したラウンド終了時にゲームは終了します。建物カード・マニフェストカード・その他のボーナスポイントを加算して、最も得点の高いプレイヤーの勝利となります。

多人数ソロプレイっぽい感じはしますが、街に建物を建てて発展させていく過程は純粋に楽しいです。誰がどの収入カードを取りに行っているのかを見極めて、その後追いをするのも重要なテクニックですね。ただ、「補助金」のボーナスが大きすぎるという意見も出ました。

良いゲームだと思います。うっかり買い逃したのが悔やまれます( ノД`)シクシク…

・The Patrons of Venice (ヴェニスのパトロン) / Toccata Games

リクエストがあったのでプレイ。どんなゲームかは、こちらでどうぞ

いつの間にかルールが微妙にバージョンアップしてます。

初プレイの人が多かったので、しばらくはまったりと進行。このゲームは「Reserve(予約)」アクションに対するの考え方がメンバーによってかなり違うのですが、今回はわりとこれが重視されていました。

僕は Canvas を中心にゲームを組み立てていたのですが、不運なことに途中で極端な Hemp 不足に陥りました。それでも何とか Wagon 生産にまでこぎ着けたのですが、その後で資金がうまく回らずに終盤で息切れを起こし、7点にて終了。

5人でも4人でも楽しいゲームですが、いずれも終盤は詰め将棋のようになります。そのあたりの立ち回り方は、もうちょっと研究の余地がありそうです。

・Galopp Royal (ギャロップ・ロイヤル) / Goldsieber

実は初プレイ。5人。

まぁ何度も書いてますが、僕はMTG全盛時期に発売されたドイツゲームのプレイ率は低くて、この「ギャロップ・ロイヤル」も今回が初プレイです。持ってはいるんですけどね。

御輿の担ぎ手が4人必要で、まずそのメンバーを集めるための競りが行われます。担ぎ手には1〜5マス進む能力を持つ者の他に、2歩戻ってしまう者や、2歩進んで誰かを2歩戻す策士な担ぎ手もいます。出来れば変な担ぎ手は選びたくないところですが、競りにかけられている担ぎ手の正確な能力は限定的にしかわからないようになっていますので、他のプレイヤーのビッドの様子などから判断するしかありません。この奇妙で独特な競りの感覚は面白いです。

レースはダイスによって行います。変な担ぎ手を取らされても、ダイス運さえ良ければなんとかなるかもしれません。1〜3位まで着順に応じて賞金がもらえます。

最下位となったプレイヤーは、次のレースが始まる前に、全プレイヤーの担ぎ手を1人ずつ捨てさせる権利を得ます。他のプレイヤーの強い担ぎ手は捨てさせて、自分は弱い担ぎ手を捨てればいいわけです。ここらへんのバランスの取り方は、いかにもドイツゲームらしい感じで好感が持てます。そして次のレース前にはまた競りが行われます。

ゲームは全6レースで構成されます。後のレースほど賞金額が高くなります。最終的に所持金の最も高いプレイヤーの勝利です。

なるほどこういうゲームでしたか。運の要素はやや強い感じではありますが、考えどころも多くありますし、ダイス勝負のレースは白熱して面白いです。良いゲームでした。また遊んでみたいですね。

レポートは以上です。
翌日も別所で朝早くからゲーム会の予定があったので、体力温存のため、このあたりで帰宅させてもらいました。「盗賊の親方」が無事遊べたし、他のゲームも心から楽しむことが出来て大満足なゲーム会となりました。
またぜひ遊びましょう〜>ご一同様