moon Gamer - ボードゲームブログ

テーブルゲーム(ボードゲームやカードゲームなど、電気を使わないタイプのゲーム)と、その周辺の話題を中心にした記事や写真を広く公開している個人ブログです。

タグ:レガシーゲーム

Full Metal Planete

4/20 (土) に、いたるさん、ふうかさん、かろくさんと僕の4人で、 Full Metal Planete / Ludodelire をプレイしましたのでレポートをお届けします。

moon Gamer

この日、本作をプレイすることになったのは、今年 2 月に初めてお会いしたいたるさんが、ゲーム倉庫の棚に置いてあった Full Metal Planete の箱を見るなり「やりましょう (0.2秒)」と提案されたことが発端です。

ルールをまだ訳していないことを告げると、翻訳もいたるさん自身が請け負うと即座に宣言されました。こうして、彼の並々ならぬ意欲に押される形でこの日のセッションが実現することとなった次第です。

国内で唯一と思われる Full Metal Planete のショートレビューが B級SFゲーム分科会サイトにあります。この記事を初めて読んでからというもの、僕はこのゲームに魅了され、あちこちのツテを頼りに世界中を探し求めて、ようやく入手したのは 2004 年の秋になってからでした。

[フルメタルプラネット / bqsfgage @ bgsfgame]
http://www.os.rim.or.jp/~bqsfgame/sub271.htm
※残念ながら一部のモダンブラウザではレイアウトが乱れるかもしれません。

本作は、公式にはフランスでのみ発売されたようです (1988年)。ですから、箱に入っているルールブックはフランス語のみです (タイトルが Planet ではなくて Planete なのはそういうことです)。幸いにして BGG には、有志によって英語に翻訳されたルールが置いてあります。しかし僕にはどうも敷居が高く思えて、ルールを和訳する作業をずっと後回しにしていました。

というよりも、このメタリックなコンポーネントを眺めているだけで十分に満足してしまい、実際にプレイしようとは考えなかった、と書いた方が正しいかもしれません。やたら広い (と、思い込んでいただけなのですが) ヘクスマップに小さなコマを並べ、ありふれたマルチゲームっぽいウォーゲームをやってしまうことで、Full Metal Planete に対する自分の高揚した感情が害されてしまうような気がしていたのです。

もちろんこれは、ルールをロクに読まず、単に見た目だけの印象で僕が妄想したに過ぎません。この考えが大きな誤りであることを、この日のセッションを経験して思い知らされました。これまでずっと本作のルールを翻訳しなかったこと、それにプレイしようとも思わなかったことのいずれも、心の底から後悔するほどに。Full Metal Planete は、ボードゲーム史にこのまま埋もれさせてしまうには余りにも惜しいと思える名作でした。

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概要:
ゲームの骨格はシンプルです。「鉱石」が豊富に存在するどこかの惑星を舞台にした争奪戦です。各プレイヤーは鉱石を収集し、それを母船まで輸送して積み込むことが当面の (そして得点効率が最も良い) 目的となります。

無防備であることは、この星では決して美徳とはなりません。武力は、この不毛な地において、あらゆる権利を主張するための強い根拠となります。かりそめの協調も時には必要ですが、紳士協定を破ることは勝利という目的を果たすための手段として認められています。

とはいえ、敵ユニットを破壊しても自分の得点には得点に結びつきませんし、自身の損害はそのまま得点の損失となります。しかも時間は限られています。ですからあまり戦ってばかりもいられません。そのプレイヤーの武力を低下させることで、鉱石輸送や防衛体制に深刻な影響を与えることに結びつけば、結果として彼の得点機会を奪うことくらいにはなるでしょう。

第 21 ターンか第 25 ターンのどちらかに、自分の母船へ鉱石と自ユニットをできるだけ積み込んで飛び立つ (ゲームから抜ける) ことができます。全員がそのようにしたらゲームは終了し、最後に得点計算を行って最大得点プレイヤーの勝利となります。

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アクションポイントと制限時間:
Full Metal Planete は、アクションポイント制のゲームです。特別な状況を除いて、基本的に 15 アクションポイント (AP) を持ち、何かひとつのアクションを実施するたびに AP を消費します。

「アクションポイント制」というとダウンタイムがよく問題になりますが、Full Metal Planete は、制限時間ルールを併用することでそれを解消しています。

各プレイヤーは手番ごとに 3 分間の時間が与えられ、その間に自分の望むアクションをできる限り行わなければなりません。この 3 分とは、キッチンタイマーなどで計測する現実の 3 分間です。手番中に 3 分が経過すると、そこで手番は終了します。

ただし、手番で未使用だったアクションポイントは、5 AP か 10 AP だけを次の自分の手番へ持ち越すことができます。余談ですが、これはアクションポイント制ゲームとしては少し珍しいルールかもしれません。この持ち越しルールは、単純に救済策であると同時に、戦術的に重要なオプションともなっています。

ウォーゲームにおいてはリアルタイムの制限時間ルールもまた珍しいルールです。しかもただ珍しいだけではなく、それをより効果的に表現するために周辺ルールが入念に整備されています。これには感心させられました。背景設定を生かしつつ無駄な要素は切り捨て、デザイナーがプレイヤーにこのゲームで何を楽しませたいのか、その意図がくっきりと伝わってくる良質でモダンなデザインとなっています。

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少ない乱数要素:
Full Metal Planete はサイコロを使いません。まさかとは思いますが、がっかりしましたか?

本作に導入されている乱数要素は、1ラウンドごとに (プレイヤーが 4 人なら 4 手番ごとに) ただ1枚のカードを公開して、潮の満ち引きの状態を決定することだけです。それは全体の環境が変化するだけですから、プレイヤーが行動した結果に関与するような性質の要素ではありません。端的に書けば、プレイヤーの手番が開始された後は乱数要素が全くないゲームなのです。

※潮の状態には「通常」「干潮」「満潮」があり、干潮では浅瀬が陸上となり、満潮では沼地が水上となります。通常では、浅瀬は水上で、沼地は陸上です。これを決定する潮カードは 15 枚あって、それぞれの種類のカードが 5 枚ずつあります。

手番でのわずか 3 分間で、プレイヤーは入り組んだパズルを解いていくように多くの判断を行い、そして実施していきます。これはユーロスタイルのゲームをプレイしている感覚に近いものがあります。ゲームの骨格はウォーゲームでも、そこにユーロゲーム的な要素を盛り込むことによってシナジーが生まれ、独特の面白さを表現した作品に仕上がっています。

戦闘ルール:
Full Metal Planete はウォーゲームで、手番が始まったら乱数要素はないと前述しました。では戦闘をどうやって解決するのか、それを簡単に説明してみましょう。

まず、プレイヤーが戦力として利用するユニットは 8 種類あります。これらのユニットは、種類ごとに異なる特性を持っています。このうち、敵ユニットを攻撃する機能を持つのは 4 種類のみです。攻撃能力を持つユニットは「射程」を持ち、離れた敵ユニットを攻撃することができます。

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代表的な攻撃ユニットである「戦車」を例に挙げましょう。「戦車」ユニットは「射程」が「2」です。自分のいるヘクスから 2 ヘクス先の敵ユニットを攻撃することができます。

しかしこのゲームは、攻撃能力を持つユニットがひとつだけでは敵ユニットを攻撃することは出来ません。必ず、攻撃能力を持つ自分の 2 ユニットを組み合わせなければ、攻撃を行うことが出来ません。

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2 個の自ユニットがあり、そのどちらのユニットにも射程内に含まれるヘクスを「射程圏 (Zone of Control = ZOC)」と呼びます。

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そしてこの射程圏にある敵ユニットを目標として攻撃することで、自動的に敵ユニットは破壊されます。

なお、攻撃を実施するには 2 アクションポイントの消費が必要です。

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原則として、敵の射程圏へ自ユニットを移動させることはできません。

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同様に、原則として、自ユニットによって形成された射程圏に、敵ユニットは移動することはできません。

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このルールには例外があります。敵ユニットを攻撃して破壊することによって、敵の射程圏が消滅するケースです。

これは言葉で説明するだけではわかりにくいので、右図のような状況を例に説明してみましょう。灰色のユニットは自ユニット、緑色は敵ユニット、ピンクのヘクスは敵の射程圏内です。

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攻撃を成立させるためには 2 個の攻撃ユニットが必要です。まずその 1 個目として自ユニット A を移動させ、目標の敵ユニット X を A の射程 (この例では 2 ヘクス) 内に入れます。

これによって自ユニット A は、敵ユニット X の射程内にも入りましたが、X と Y が形成する敵射程圏には入っていないので問題ありません。

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続いて、攻撃に参加させる 2 個目の自ユニット B を、1 個目の自ユニット A が目標にした敵ユニット X を攻撃目標として、その射程内に入れるよう移動します。

自ユニット B を右図のように移動すると、自ユニット A とのコンビネーションで射程圏が形成され、攻撃目標である X を攻撃することが出来ます。

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このとき、自ユニット B は、敵ユニット X と Y が形成する射程圏に侵入していますが、攻撃目標とした敵ユニット X を攻撃により破壊することで敵射程圏は消滅しますので、ルールによってこの攻撃は成立します。

まとめると、攻撃を行う 2 体目の自ユニットは、その攻撃によって敵ユニットを破壊した後に全ての敵射程圏から外れるのであれば、敵射程圏に侵入してその攻撃を行うことができます。これが敵射程圏内に自ユニットを侵入可能とする唯一のケースです。

以上のように、条件が全て満たされている状況で、攻撃に必要なアクションポイント 2 を消費すれば、攻撃は自動的に成功します。戦闘解決に乱数要素はありません。

無力化と捕獲:
攻撃の他に、敵ユニットに対する干渉として「無力化」ルールがあります。

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無力化は、自分の射程圏に敵ユニットを入れ、アクションポイント 1 を消費することで実施されます。無力化された敵ユニットは移動や射程圏の形成などの機能を失います。一方で、その無力化を実施している自ユニット 2 個も移動することはできなくなります。

無力化したとはいえ、射程圏内にある敵ユニットをわざわざ破壊しないで残しておくのはなぜでしょうか。その理由は幾つかあります。そのうちのひとつが、次に述べる「捕獲」を実施するために行うというケースです。

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「捕獲」とは、敵ユニットを自分のユニットとして支配してしまうことです。これは、攻撃能力を持つ自ユニット 2 個を、敵ユニットに隣接させ、アクションポイント 1 を消費することで実施されます。捕獲したユニットは、その手番中に自ユニットとしてすぐ利用することができます。

ユニットの種類:
前述の通り、Full Metal Planete には、以下のような 8 種類のユニットと鉱石があります。

Mother Ship
moon Gamer 母船 (母艦) です。ゲームは、母船をボード上に配置することで開始されます。母船はボード上を移動せず、自ユニットを無制限に積載することが可能です。3 つの「足」を持ち、その先には射程 2 の「砲塔」を装備しています。砲塔は固定装備ながら、無力化しないという特性を持つ強力な武装です。自分の母船を他プレイヤーに捕獲されるとゲームから脱落します。母船を捕獲するには 3 つの砲塔を全て破壊しなければなりません。

Crab
moon Gamer クラブ。通称「カニ」。クラブは、Full Metal Planete において重要な役割を果たしています。戦車・重戦車・ポンツーン、それに鉱石を 2 つも積載する能力を持っているからです。惑星上での鉱石輸送は、特に序盤から中盤にかけて、クラブが縦横無尽にボード上を駆け巡るでしょう。

Weather Hen
moon Gamer 通称「風見鶏」。あるいは「コンバーター」。風見鶏は2つの役割を持ちます。鉱石 (だけ) を 1 個 (だけ) 搭載して輸送可能なことと、搭載しているその鉱石を使ってクラブ・戦車・ポンツーンへ変換可能なことです。中盤以降は、保有戦車数によって武装しないと数で押されてしまいますので、また、風見鶏は次ターンの潮の満ち引きを知るためにも必要です。

Tank
moon Gamer 「戦車」です。攻撃の中核となる陸上ユニットです。射程 2 を持ち、山地では射程が 3 になります。各プレイヤーはゲーム開始時に戦車を 4 両ずつ保有しており、また風見鶏によって戦車を増産することも出来ます。攻撃と防御いずれにおいても、ゲームの展開に極めて大きな影響をもたらすユニットです。

Heavy Tank
moon Gamer 「重戦車」です。重戦車も戦車と同様に攻撃能力を持つ陸上ユニットです。射程は 3 あります。ただし山地へは移動することができません (重戦車を輸送する時も山地は通過できない)。各プレイヤーは重戦車をゲーム開始時に 1 両ずつ持っています。戦車や巡視船とを組み合わせると強力な布陣となります。

Speed Boat
moon Gamer 通称「船」、あるいは「ボート」。巡視船です。戦車が陸ならボートは射程2を持つ水上の攻撃ユニットです。Full Metal Planete のボードは海の面積がとても広く、また潮が満ちることで更に多くの部分が水上となります。各プレイヤーが保有するボートはわずか 2 隻ながら、行動範囲が広いためにその影響力は大きなものとなるでしょう。

Barge
moon Gamer 「艀 (はしけ)」です。我々の知る艀 (はしけ) は水上をのっそりとけん引されつつ移動する巨大な平底船ですが、この艀には航行能力があります。艀は 2 ヘクス分のサイズを持つ巨大な水上倉庫であり、巡視船と母船を除いた全てのユニットを輸送することが出来ます。積載量も多く、戦車や鉱石なら一度に 4 つも搭載できます。艀は水上ユニットなので、移動は水上に限られます。

Pontoon
moon Gamer ポンツーンです。通称「橋」あるいは「浮橋」。ポンツーンは 1 ヘクスサイズの軍橋として扱われます。ポンツーンが存在するヘクスは、そこに隣接するヘクスが陸上であれば、潮の満ち引きにかかわらず陸上として扱われます。架設したポンツーンは中立であり、それを誰でも利用することができます。また設置されたポンツーンは水上ユニットの移動を妨げます。

Ore
moon Gamer 鉱石です。通称「石」。鉱石を母船へ輸送し、それを持ち帰れば 1 個につき 2 点が得られます。自ユニットを持ち帰っても 1 ユニット 1 点なので、主要な得点源となるでしょう。また風見鶏によって、クラブ・戦車・ポンツーンを生産するための原材料ともなります。

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この日のセッション:
セッションに参加した全員が初プレイでしたので、最初の数ターンは無難に鉱石を黙々と拾い集める静かな展開が続く… のではどうも緊迫感に欠けるような気がしたので、序盤から無駄に波風を立ててみましたw

というのも、まだ手探り状態の第 6 ターンか 第 7 ターン目あたりに、ふうかさんが、艀 (はしけ) を僕の巡視船の航続範囲へ不用心に進入してきたような気がしたからです。それを見た僕はすかさず自分の手番で、その艀を巡視船で攻撃可能かどうかを調べてみました。当然ながら場にはかなりの緊張が走ります。

艀は大量輸送の要です。各プレイヤーは 1 隻ずつしか持たず、しかも再生産が出来ません。これが序盤で破壊されたり捕獲されたりしたら相当な痛手となるのだから緊張するのも当然です。結果的に、潮の状態がたまたま干潮だったこともあって、わずかに巡視船 2 隻の射程圏に艀は届かなかったので何事も起きませんでした。さてこれが満潮ならどうだったでしょうか。

ということで、この"事件"がちょっとばかり刺激になったせいか、その後は少しずつ緊迫した状態が高まっていくことになりました。そしてボード上の鉱石が少なくなってきたあたりで、ついにふうかさんとの本格的な交戦が始まってしまいました。ボード上に鉱石がないのであれば誰かから奪い取るしかないのですから、これはまあ予想された流れでもあります。

戦いが始まってすぐにふうかさんの戦車 1 両を捕獲したまでは良かったのですけれど、その後は間に海を挟んで、それぞれの対岸の山からの砲撃合戦となったために膠着した消耗戦となってしまい、状況は一進一退となります。互いに損害を積み重ねた後、どちらともなく休戦協定が結ばれ、この戦いは gdgd で終結することになりました。結果的にどちらがどれだけ得したのかはよくわかりませんけれども、恐らくは痛み分けだったのではないかと思います。

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一方、いたるさんとかろくさんも、陸と海のかなり広い範囲で交戦状態となっていました。いたるさんが大規模に攻勢を仕掛けてかなり押してしたような気がしたのですが、あるターンにおいて、最後の仕上げとばかりに大きな戦闘を行おうとした直前に無慈悲なタイムアップ!

今回のセッションで 3 分間の時間管理は、いたるさんが用意してくれたストップウォッチのような iPhone アプリを使いました。ゲーム開始時に、このアプリは最後の 10 秒 (5 秒だったかも) で「カウントダウン」する、という説明を僕らはいたるさん受けていました。

で、確かに残り時間が少なくなってカウントダウンが始まると、画面上では少し違ったエフェクトが表示されるようにはなっていましたけれども、予想に反してそれは無音だったのです www

この思わぬいたるさんのミスをきっかけににしてかろくさんが微妙に復活、そのまま戦いはずるずると泥沼化していったような… 面白いゲームだなあ www

その後いろいろありましたが、第 21 ターンでかろくさんと僕は早々に惑星上から母船を撤収、得点が少なかったふうかさんといたるさんは惑星に残ることになりました。

この時点でいたるさんのユニットは、かろくさんと戦いに明け暮れていたためボードのあちこちに散在しており、母船の周囲は手薄になっていました。もちろんこれを見逃すはずがないふうかさんは、大逆転を狙うチャンスとばかりに物量を投入し、いたるさんの母船めがけて進撃をかけ続けました。この激しい戦闘は最終ターンまで繰り広げられることとなります。

※敵の母船を捕獲すると、その船内に備蓄された鉱石や積載物を全て奪える上に、アクションポイントも増加します。一方、母船を奪われた方はゲームから脱落します。

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最後の最後であわや母船が奪われる寸前まで肉薄されたわずかに凌いで、いたるさんの母船は最終第 25 ターンで飛び立つことに成功しました (大きな損害を被ってはいましたけど)。長い戦いはこうして終止符が打たれることとなりました。

ゲーム終了後の得点計算で勝利したのは僕でした。鉱石の収集が多く、ふうかさんとの戦いで何台かの戦車を失う被害が出たものの、それを早めに休戦したおかげで早期撤収を効率よく行えたのが勝因だったかと思います。あのとき、ふうかさんが徹底抗戦の方針を貫いて戦いが長引いていたら、また違った結果になったかもしれませんね。

ルールの和訳:
このエントリーの冒頭に書いたように、Full Metal Planete のルールはいたるさんが和訳されました。それは以下で公開されています。

[Full Metal Planete日本語ルール / 卓游選科]
http://takuyu.blogspot.jp/2013/04/full-metal-planete.html

これから時間をかけて修正されていくとは思いますが、若干の誤字脱字等々がまだ残っているようです (例えばセットアップで各プレイヤーが受け取るボートの数は 1 ではなくて 2 隻です) 。

いたるさんと言えば、日本を代表するボドゲ和訳クリエイター (というようなことがどこかに書いてあったw) のお一人であることはみなさんよくご存じの通り。彼は、本作に複数存在する仏英訳や、有志が作成したオンライン対戦やソフトウェアのマニュアルなどを参考にこの和訳を制作したそうです。

ただ、複数の仏英訳はそれぞれの内容に微妙なゆらぎがあったようで、いたるさんはそのあたりを苦労して調整しつつ和訳を制作したのだそうです。ゲームに対するこの並外れた情熱は、是非とも見習いたいものです。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/20/full-metal-planete

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6日(土)は、一之江で行われた「レガシー&レアゲーム会」に参加してきました。昔のゲームやあまり見ないレアなゲームを楽しむことを主眼においたゲーム会で、不定期に開かれています。ただでさえマニアックなボードゲームの趣味の中でも、さらにニッチな道楽の世界なので、正直あんまり同好の士は多くないのですけれども、それでも毎回のように奇特な人が何人か集まるのがこのレガシー会です。

今回の参加者は、主催のatogさん、初対面で紅一点のIさん、枇杷さん、ぢ〜ぷさん、それに僕の5人でした。

Wunderwatschler / Edition Perlhuhn

押し出し連鎖。バックもあるよ。4人。atogさん持ち込み。

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プレイヤーは4個ずつコマを持っています。6面ダイスを振って、目が偶数なら前へ、奇数なら後ろへ、自分のコマを1個だけ進ませます。進んだ先に別のコマがあれば、今進ませたコマと同じ数のマスだけ、進んできた方向へ進ませます(以下連鎖あり)。コマをゴールさせるには、ちょうどの目が出なければなりません。ただし、後ろから他のコマに押し出されれば、ちょうどでなくてもゴール可能です。自分の4個のコマを誰よりも早くゴールさせたら勝利。

マスの総数が奇数ってのがちょっとした工夫で、つまり少なくとも1回はバックしなければ自力でゴールすることができません。このアイデアと組み合わせは意外と無かったかも。

Edition Perlhuhn 製のゲームには重いものもありますが、これは子供でも遊べる軽いレースゲームですね。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/18859/wunderwatschler

Coast-to-Coast Rails / (Self-published)

ここから5人。atogさん持ち込み。

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2009年発売の自費出版なマイナーゲーム。アメリカを舞台にした鉄道ゲームです。アメリカの西海岸と東海岸の都市を横断するように鉄道網を完成させることを目標にして、プレイヤーはそれを達成しそうな鉄道会社の株を買って儲けを狙います。各ラウンドではまず、すべての鉄道会社の株券を1社ずつ競りによって購入するフェイズから行われます。株券は競りを通してでしか入手できません。

その後で路線建設を行います。各プレイヤーは任意の鉄道会社の路線を1手番で2マスまで建設できます。株主であろうとなかろうと、どの会社の路線でも引けます。ただし筆頭株主には拒否権があって、その意向には従わなければなりません。路線建設の手番は、パスをしない限りは1ラウンドで何回も回ってきますので、そのたびにコストを支払うことで、路線をいくらでも長く延ばすことが出来ます。他社が線路を引いた土地への線路建設も可能です(追加コストの支払いあり)。もし、都市に線路をつなげたら、その鉄道会社の株価は、入った都市の価値(1〜3)だけ上昇します。

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こうして、規定のラウンドを消化するか、あるいは3社が大陸横断路線を引いた時点でゲームは終了するわけですが、路線建設ルールの自由度の高さから、今回はわずか2ラウンド目でゲームが終了しました。ゲームシステムそのものの筋はとても良くて気に入りましたが、終了条件の設定や路線建設ルールに詰めの甘さを感じ、今回のセッションに限って言えば消化不良感な印象は拭いきれません。

とはいえ、これは相当に自由度の高いゲームですし、こういう展開になることもデザイナーは当然考えて作ったものと思われます。なので、これをわかった上でプレイするとまた印象も変わるでしょう。ぜひもう一度、メンツと人数を変えてみて遊んでみたいゲームですね。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/41878/coast-to-coast-rails

Yukon Company / db-Spiele

Funaginで売ってたそうです。atogさん持ち込み。

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1999年発売。これまた手作り感あふれるコンポーネントの経済ゲーム。Dawson City から商品を仕入れて、それを4箇所ある Creek のうち1つの市場へ高値で売却して利益を上げます。扱われる商品には5種類あって、Dawson City には各商品の相場価格(プレイヤーが購入した時に支払う金額)が1〜7まで示され、4箇所の Creek にも各商品ごとに売却した時にプレイヤーが得られる金額が3〜10で示されます。ようするに安く仕入れて高く売るゲームです。

商品を売買するには手札からカードをプレイしなければなりません。カードには「1」〜「4」までの数値と、その数だけの商品が何種類か描かれています。カードに描かれた商品の種類と個数までしか取引することはできません。プレイヤーは、あくまで配布されたカードの内容に示された範囲内でしか行動が行えないのです。手札を改善するために、プレイヤーは自己資金を消費してカードを追加購入することも可能にはなっています。

商品を購入する場所は Dawson City だけですが、売却する場所は4箇所あって、それを Creek と言います。1ラウンドで売却可能な Creek は1箇所のみです。どうやって売却先の Creek を決めるのかというと、これもやっぱりカードで決めるのです。カードには Creek の名称がひとつだけ記載されていて、これを各プレイヤーが1枚ずつ伏せて出して同時にオープンします。そして最も数値合計の高い Creek がそのラウンドで売却可能な Creek となります。

このようなカードによる投票は、そのラウンドに発生するイベントカードでも行われます。そのラウンドで発生する可能性のあるイベントカードは、ボード上の「A」〜「D」の位置に4枚公開されていて、そのうちの1つが必ず起動します。どのイベントを起動させるかも、各プレイヤーによる秘密入札一斉公開方式で決まるのです。もちろん、カードには「A」〜「D」までのアルファベットひとつが記載されています。

ラウンドの最後には、別のカードによって売買相場が変動します。そして手札を2枚まで減らした後に4枚補充して次のラウンドへ移行します。ルールに定められたゲーム終了条件を満たせばここで所持金額を計算し、最も多いプレイヤーの勝利となります。

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与えられた条件(=手札)と現在の状況を元に最適な行動を計画したり、不運な状況を切り抜ける方策をひねり出したりと、悩みながらも道を切り開いていくかのような展開は面白かったですね。その一方で、手札にしろ相場にしろ乱数の幅が大きいこと、後半で離されるとちょっと追いつくことが難しくなること、そしてプレイタイムがやや長めなのが気になりました。

ああ、それともうひとつ。カードが薄くて柔らかいプラスチック製なのですが、これが見事にすべてが反っくり返っていまして、まあなんとかプレイしましたけど、これはまたどうしたもんでしょうねww
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/412/yukon-company

Keywood / R&D Games

Keyシリーズの源流。僕の持ち込み。

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R&D Games の デビュー作にして Key シリーズ最初の作品です。といっても恐らくは自費出版で、企業が絡んでいるとはいえ同人ゲームに近いと思われます。ボックスの表にはシリアル番号が書かれていて、それは200のうちの何番目かを示しています。つまり全部で200個しか生産されていないものと思われます。制作年は 1995 年です。

コンポーネントはどう好意的に見ても子供の工作レベルを越えておらず、たとえばゲームボードはイラストをモノクロコピーした紙を厚紙にのり付けしただけですし、タイルもまた同様です。これらに色は着いていない(何しろモノクロコピーなので)のですが、このゲーム本体の前の持ち主(僕は中古品を購入しました/それでもかなり高額でしたけど)が気を利かせて着色してくれたみたいで、オリジナルより多少はプレイしやすくなっています(なお、写真のお金は僕が別に用意したものです)。

ゲームは「Keywood」という人物(?)が荒廃した国を再建するために住民たちを移住させるという設定になっています。この新しい国には6つの村があって、ひとつの村には6軒の農家と2軒の店があります。住民は国境の村から入り、まずその村の空いている農家に置かれます。この住民を「農民」と言います。新しく移住してきた住民は無料で農民になれます。また農民は、村から別の村へ道沿いの移動することも可能で、その場合はコストがかかります。

この国の中央には「町」があります。町はひとつしかありません。ここは特別な場所で、ここに移動した住民は「議員」となります。村から町へ移動する時にはコストがかかりますが、村の選挙で選ばれた住民は無料で町へ移動して議員になります。

村ごとにある2つの店は、プレイヤーが「商人ライセンス」を競りによって獲得し、それを配置する場所です。商人ライセンスを村に配置した後、その村の農民からひとりを選んで店へ置きます。こうしてこの農民は「商人」にジョブチェンジします。まとめると、この国の住民は「農民(農家に置かれている)」「商人(店に置かれている)」「議員(町に置かれている)」の3種のいずれかということです。

農民と商人はそれ自体がプレイヤーの収入源となります。議員はこの国の重要な議案を成立させるために必要な住民です。議案には3種類あり「農民1人ごとに1Gの税金」「商人1人ごとに3Gの税金」「商人ライセンス1種類を取り消す」のいずれかです。これらの議案は議員を所有するプレイヤーが選択し、その後で議員によって投票が行われます(議員1人=1票で棄権無し)。もちろん、決定された議案に住民は従わなければなりません。

先に書いたようにプレイヤーの収益は所有する農民と商人によって決まります。その収益を増加させる手段が「市場ライセンス」です。市場ライセンスが配置された村の住民は、その収益が2倍になります。この市場ライセンスも競りによって獲得されるのですが、それは「村」ごとに行われます。その村の住民の所有者(プレイヤー)は、いくらを入札するかを(例えば話し合いで)決め、落札したらその金額を共同で負担して支払います。

こうして、ラウンドの最後に農民1人つき1G、商人はその村の農民1人つき1Gの収益を得ます。この時、もし議員の評決で決定した議案で税金が課せられているのであれば、このタイミングで支払わなければなりません。これらを規定のラウンドだけをくり返して、ゲーム終了時に所持金が最も多いプレイヤーの勝利となります。

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コンポーネントのしょぼさに比べれば、これが実にまともなゲームとして構成されているのがおわかりいただけるでしょうか。ただまあ、最初のラウンドは何をどうしてよいのか誰もわからず、全員が手探り状態ではありました。手番が一回りすれば、案外と見通しのよい構成になっているので、どう行動すべきはは何となくでもわかってくると思います。もっとも、どうすれば勝てるのか、あるいは負けている時に逆転を狙うにはどうしたらいいのか等々は1回のプレイだけではよくわからなかったです。

今回は時間の都合でショートゲームになりましたけれども、今度はきちんとフルゲームを楽しみたいと思いました。不思議でそして硬派な構成のゲーマーズゲームだと思います。もしよろしければ一度遊んでみませんか? このゲームのためにお時間を割くだけの価値はあると思いますよ。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/767/keywood

レポートは以上です。

参加したみなさまはお疲れさまでした。終わってみれば、もう近年まれに見る充実したゲーム会になりました。帰り道はとても寒かったけれども、気持ちはずっと高揚していました。あらためて、ボードゲームの世界の深さと広さを感じた1日となりましたよ。ぜひまたレガシー会をやりましょう!!

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7日(土)は、一之江ゲームクラブのレガシー&レアゲーム会に行ってきました。

このところ、地元SGCを除いてはサークルのオープン例会になかなか行けなかったのですけれども、やっと週末に1日くらいは時間が取れそうな状況に落ち着いてきまして、まぁ、これからスギ花粉飛散のシーズンになったらまた外に出かけるには不自由な日々が続くので、せめてその前に少し遊んでおきたくて一之江まで出向いてみました。

当日、会場ではレガシー卓が2つと18卓が1つ。普通のゲームも少し取り混ぜて遊んでみました。で、この日もデジカメを忘れてしまったので携帯で撮影しました。レタッチしましたけど画像が荒いわ色がボケてるわですいません。

Cloak & Dagger / Eye Spy Enterprises

これが元ネタだったのか。atogさん持ち込み。1990年製。3人。

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実は10日以上も前に「Zeitreise」というゲームを遊んだのですが、その元ネタとなったゲームです。…といっても現時点でそのレポートはまだ公開してはならないという謎のお達しがあって、元ネタと書いてもなんだかわからんと思いますけどね… 以下ゲーム概要。

まず小さくて薄いボックス20個(ゲーム内では"封筒"を表す)を、大きな箱の中に入れておきます。この"封筒"にはゲーム開始時に何も入れません(Zeitreiseではランダムに封入していました)。ゲームが進行するにつれ、これらの"封筒"内に"文書"カードが徐々に入っていきます。

"文書"カードには「X」「Y」「Z」の3種があり、それぞれ3枚ずつ計9枚があります(Zeitreiseではその数倍のカードがありました)。これら文書カードはゲーム開始時にシャッフルし、裏返しにして山札にしておきます。そして各プレイヤーは、この文書カードを操作する「スパイカード」を2枚ずつ手元に持ちます。各プレイヤーが所有するスパイカードはアルファベット1文字によって識別されるようになっています。

自分の手番では、封筒ボックスを秘密裏にひとつ選び、その中を確認することが出来ます。その時、自分の前にカード(スパイや文書)を持っていれば、それをその封筒ボックスの中に入れなければなりません。それで手番は終了です。

手札に何も持たず封筒ボックスを開けた時、その中に自分のスパイカードが入っているのであれば、そのスパイカード1枚と、箱に入っている別のカード(文書か他人のスパイ)1枚を取りだし、それを自分の前に置きます。この時、自分のスパイカードは表向きに、そうでない方のカードは裏向きにして置きます。これでもやっぱり手番は終了です。

同様に、手札に何も持たず封筒ボックスを開けた時、封筒ボックス内に何も入っていなければ、その封筒ボックスの番号(#1〜#20)を他のプレイヤーに公開し、文書カードの山札から1枚を取って、その封筒ボックスの中に入れます。入れた文書カードの種類が何かは手番プレイヤーは知ることが出来ますが、他のプレイヤーには新しく文書カードが加わったこと以外にはわかりません。

ゲームの目的は、任意の封筒ボックス内に、「X」「Y」「Z」の文書カードを3枚集め、その上で同じ封筒ボックスに自分のスパイカードも入れておくことです(ただし、他人のスパイカードが同じ箱に入っていてはダメです)。

後発の「Zeitreise」では、この他に特殊カードがいくつかありました。しかし「Cloak & Dagger」では、そのようなカードはすべてオプション扱いになっています。今回はシンプルな基本ゲームでプレイして感じたことは、カードの枚数が少なく、ゲームの要点がかっちり絞られていた「Cloak & Dagger」の方がずっと面白かったということです。

また「Zeitreise」ではプレイアビリティを損ねていた箱の大きさが、「Cloak & Dagger」ではコンパクトで扱いやすいサイズだったのも好印象です。このゲームでは「Zeitreise」の経験が生きたのかどうかわかりませんが、1枚のスパイカードが(他プレイヤーの妨害によって)行方不明になったにも関わらず、なんとかやりくりして勝利することが出来ました。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/12584

熟語ドミニオン(熟語トランプ) / ビバリー

すごろくや発の画期的ゲーム。3人。

moon Gamer

熟語トランプを使ったオリジナル応用ゲームとして、すごろくやブログ上で先日公開された「熟語ドミニオン」。ドミニオンを知らなくても2文字熟語さえ作れればプレイ可能です。ルールを読んだ時には、上級カードしか使わないし、何度もプレイすると熟語を覚えてしまうのではと心配だったものの、それがまるで杞憂に終わったどころか、こんなに面白いとはびっくり仰天です。おすすめ。ぜひやってみてください。

このゲームは調子良く高得点カードを次々ゲットして大勝利。連勝です。珍しい。
http://sgrk.blog53.fc2.com/blog-entry-1071.html

Trade / FX Schmid

正しいルールで。1974年製。4人。

moon Gamer

これまで何回かプレイしてきましたが、若干ルールが違っていてたようでした。申し訳ないです。それでもある程度は手応えのあるゲームだと感じていたのですけれども、今回正しいルールでプレイしたら、ああ、これはもう70年代のゲームとしてはトップクラスに位置する名作経済ゲームであると再認識しました。荒削りな部分をきちんとブラッシュアップしたら、今世紀でも十分通用すると思いますね。

このゲームは序盤でうまく機材の売却に成功してスタートダッシュしたものの、中盤でカード引きが悪くてやや伸び悩み、その間に他のプレイヤーの猛追を受けました。しかし終盤に大商いを決めて頭一つ飛び出し、それを終了まで維持したおかげで僅差にて勝利しました。おー、なんと本日3連勝ですよ。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/2319

Jailbreak (ジェイルブレイク) / Waddingtons Games(輸入元:河田)

2人用ゲーム。1982年製。

moon Gamer

時間が少なくなってきたので、僕が持ち込んだ2人用レガシーゲームをA葉某さんとプレイしました。一方が刑務所から脱獄する泥棒、もう一方がそれを阻止する警官となります。互いに手番では手札のカード1枚を場のカードに付けます。特定のカードをプレイすることで、「赤」や「青」の自動車をカード上に配置することが出来ます。

泥棒プレイヤー目的は、場の刑務所カードから「赤」の自動車を経由し、そうして端となるカードから脱出するルートを確保することです。このルートを4つ以上確保したら泥棒プレイヤーの勝利、2つ以下なら警官プレイヤーの勝利、3つなら引き分けです。なお、「青」の自動車はそのルートを遮断するために使えます。

このゲームでは警官プレイヤーを担当。幸運にも赤も青も自動車を配置するカードをたくさん引きまくることが出来たおかげで、ほぼ完封に近い勝利を得ました。おおお、なんと4連勝。もうこの1年くらいの運を消費したような気分です。
http://www.boardgamegeek.com/game/17735

熟語ドミニオン(熟語トランプ) / ビバリー

写真は撮りませんでしたが、最後の〆にA葉某さんと2人対戦。「熟語ドミニオン」は2人でも十分にいけます。上級カードひとつでこれだけ遊べるのだからお得感いっぱい。しばらくは熟語トランプを持ち歩くことにしましょう。ちなみにこのゲームは負けました。

レポートは以上です。
本日は何と言っても「Trade」の再発見に尽きます。同卓の方々にも好評でしたし、たまにこういうことがあるからレガシーゲームの魅力から離れられないのです。ネタはまだたくさんありますので、ぜひ機会を設けてまた遊びましょう>参加者ご一同様
本日はお疲れさまでした。本当に楽しい1日でした。

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10日(土)は、一之江で開かれた「レガシーゲーム会」に行ってきました。場所は、いつも一之江ゲームクラブで使用している会場を使い、しかも今回はその代表である atogさんの呼びかけで行われましたが、基本的には多くの知った顔ばかりで集まった気楽なプライベートゲーム会です。参加者は12名、うち3名が女性でした。

地元では朝から雨模様。一之江に到着した時にはまだ曇り空でしたけれども、夕方過ぎに帰る頃には本格的な雨が降っていました。


Zug Nach Westen / Mattel

とてもそうは見えませんけど、基本はスゴロクです。3人。1987年製。

moon Gamer

東端にある Chicago から出発し、西端にある Kansas City に自分の列車を到達させることが目的のゲーム。最初、すべてのヘクスタイルは裏返しに配置され、それを「技術者」コマを移動させてめくったり、方向転換したりすることが出来ます。この技術者コマはサイコロによって移動させます。技術者コマは6方向のいずれかにサイコロの目の数だけ移動させなければならず、1回の移動で1回しか曲がることが出来ません。

moon Gamer moon Gamer

技術者を移動させた後で、線路沿いに何マス先にでも自分の機関車を移動させることが出来ます。機関車は他のコマ(機関車や技術者)にいるマスに進入することは出来ません(技術者は他のコマを越えて移動可能)。不自由な移動しか出来ない技術者に翻弄されつつ、いち早くゴールを目指すこと

妨害要素や意外と複雑な線路の接続経路の設定など、テクニカルな要素がないわけではありませんが、サイコロ運とめくり運の比重はやっぱり大きくて、そのために収束性にもやや難があります。もっとも、テーマが鉄道路線建設ということもあり、不思議な味わいを持つゲームでもあります。少なくともスピードアップのアイデアは簡単に考えられるので、次にプレイする時までにはまとめておきましょうか。
http://www.boardgamegeek.com/game/1184


Hecht im Karpfenteich / sbv-Verlag moon Gamer

池の中で繰り広げられる食物連鎖。3人。1990年製。

moon Gamer

前回のレポートはこちらのエントリーをどうぞ。前回は4人でしたが今回は3人。3人ですとラウンドが3つになります。前回よりはずっと面白かったので、ひょっとしたらこれは良質な3人ゲームかもしれません(4人は4人で良いのですけれども、3人だと見通しが良くなって、そのためにガチ度が上昇するというか)。多人数アブストラクトとして、なかなかに良く出来たゲームです。

moon Gamer moon Gamer

今回は序盤(第1ラウンド)におけるコイの繁殖が極端に少なくなり(繁殖増加数は2~5匹でダイス判定)、さらに難易度が上昇してしまいました… あれこれ悩んでいるうちにひとり遅れを取ることとなり、まぁそれはしょうがないと後半に挽回を期しましたが、それにうまく乗じた他プレイヤーが効率的に自コマ(川マス)の繁殖を行って万事休す。あらら。
http://www.boardgamegeek.com/game/3198


Trade / FX Schmid moon Gamer

製造と配当と。3人。1974年製。

moon Gamer

これもまた久しぶりのプレイです。前回の簡素なレポートはここにあります。これもまた前回を遥かに上回る好印象なセッションでした。

製品を完成するには原料が必要で、それを市場から調達したり、あるいは完成した製品を売却するには、左となりのプレイヤーとカードによって「対決」する必要がある、という点が面白いところ。それによって、他人の手番で原料を購入可能になったりすることもあります。素朴なメカニクスではありますが、だからこそ駆け引きを熱くする要素にもなっているわけです。

moon Gamer moon Gamer

このセッションでは、ぎりぎりの初期資金で最大の製品を完成させて大商いを成功させたまでは良かったのですが、そこで得た資金の使い方がまずかった。また同じ方法で大きな製品を完成させようとして時間がかかり、しかも資金がショート気味になって自社株の売却で資金調達をした結果、他社に介入を許す展開になってしまいました。最終的には2位。でもとっても楽しいセッションだったので満足です。

昔のゲームなのでメカニクスの細かい部分に甘さが見えますけれども、経済ゲームとしてツボは押さえられており、そんなに古めかしさを感じさせないデザインがとても気に入りました。次は4人でプレイしたいような、でも3人で十分なような…
http://www.boardgamegeek.com/game/2319


レポートは以上です。まだ夕方でしたけれども、翌日もゲーム会の予定が入っているので早めに退散させていただきました。会場内ではatogさん卓でもさまざまなレガシーゲームがプレイされており、そのレポートはこちらのブログにまとめられています。

古いゲームには捨てがたい魅力を持つものが少なからずあり、そして独特の味もあります。それらを鑑賞し、そしてプレイする場を設けていただいたatogさんには心から感謝いたします。

また、持ち込んだゲームをプレイしていただいた方々にも感謝です。
そしてお疲れさまでした>参加者各位
また次の機会があることを心から祈っています。moon Gamer

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20日(日)は、上北沢で行われたSGCの4月例会に行ってきました。昨日に引き続き、マスクなしでのゲーム会参加です。まだ薬なしでは厳しいのですけれども、マスクはようやく手放せる時期になってきましたよ。長かった…


Tempus (テンパス) / Warfrog moon Gamer

複雑系ワレスのテンパス。4人。

moon Gamer

そういやすっかり存在すら忘れていた「テンパス」。mixi の長時間ボードゲームコミュで少し話題が出たので、久しぶりにプレイしてみました。前回プレイのレポート等はこちらをどうぞ。

そしてしばらくプレイしていて思い出してきました。このゲームは土地の争奪戦だということを。トークンの移動先は当然として、都市の建設予定地としても土地の確保は重要です。というのも、(自他を問わず)都市は隣接して建造することが出来ないためです。そして当然のように土地は狭く、計画的な都市建設の前に、競争相手との戦いに勝たなければならない状況もしばしば起こります。

「テンパス」における紛争は、人が生存するための土地確保がたいてい原因となります。山岳を除くあらゆる陸上の土地は得点源あり、さらに高得点となる都市の建設ともなるからです。このゲームにおける軍事力は、トークンと都市の価値、そして「発明カード」の存在です。発明カードはそれ自体に特殊効果がありますが、戦闘時には条件さえ揃えばそれで戦力を増加させることも可能なのです。

カードがなければ、単に自他のトークン数によって勝敗が決まります。手持ちのカードがない相手に対して戦闘を仕掛ける時には、単に多くのトークンによって攻め込むだけで確定した結果(=勝利)が得られます。したがって手札のカードが無くなると相手に対して大きなハンディになるということです。カードにはさらに時代の進歩時にも使用されるので、そのマネージメントは極めて重要です。

moon Gamer moon Gamer

「テンパス」は、ワレスがデザインしたシンプルな文明進化ゲームです。多くの競合要素が「土地」に集約されており、特定の種類の土地を適切なタイミングで多く持つことによって優劣が決まるというシンプルな判定を用いています。しかし進歩に関しては、ゲーム後半になるにつれて都市の比重が高くなり、最終的には大きな得点源になります。文明進化ゲームとして、このあたりの表現は実にスマートです。

ただ、都市も土地を基盤にしているわけで、結局は最後まで限られた土地を巡っての戦いが繰り広げられることになります。都市を建造可能な土地は終盤の入り口にさしかかる頃には枯渇するか、それに近い状態になりますので、その時点で負けているプレイヤーは、勝っているプレイヤーに対して争いを仕掛けない限りはどうにもなりません。このあたりのバランスとゲームの基本的構造は好みが分かれる点でしょう。

序盤からの計画性が極めて大事なゲームなのですが、それは最初のプレイ(あるいは久しぶりのプレイ)ではわかりにくく、このセッションでも中盤過ぎに都市の建設がままならなくなって愕然となった人が何人かいました。ルールによって都市は隣接して建造不可であり、また山地にも立てられないため、無計画に建造していると、ただでさえ狭い土地がさらに非効率に使われることになってしまうのです。

ルールの文面だけ見ると多くの要素がコンパクトに詰め込まれていて魅力的に見えるゲームではあります。しかし実際にプレイしてみると、勝ち筋のバリエーションが少なく、残念ながらデザイナーの狙いである「軽さ」は「薄さ」に感じられてしまいました。
http://ejf.cside.ne.jp/review/tempus.html


Winds Of Plunder (略奪の風) / GMT Games

海賊家業も大変だ。5人。

moon Gamer

ボードは大きく4つのエリアに分かれています。ひとつのエリアには3つの港があります。各プレイヤーは海賊船をひとつずつ持ち、それらいずれかの港に配置されます。プレイヤーの手番では、自分の海賊船を港から別の港へ必ず移動(航海)させなければなりません。どの港へ移動可能かは「風向き」によって決まります。

「風向き」は、プレイヤーの投票によって決まります(!)。各プレイヤーは保有している「風キューブ」を好きなだけ手の中で握り、全プレイヤーが一斉に公開します。そのラウンド中は、最も多くの風キューブを握っていたプレイヤーが希望する方向(東西南北)へ風が吹き、そして船の移動方向もそれで決まります(東西と南北の風では移動ルールが少し違うのですが略)。

海賊船を別の港へ移動させると、そこに配置してあるタイルに書かれた勝利得点(VP)とアイテムなどを獲得します。アイテムとは「武器」「乗組員」「食糧」の3種で、これらの個数はボード上で管理されます。それぞれのアイテムを最も多く保有していると特典となる能力を使えます(アドバンテージ)。

また「武器」を多く持っていると、他人の海賊船からアイテムやVPを奪うことが出来たり、あるいは寄港した港で「評判」を得ることが出来ます。「評判」を得た港には自分のキューブが置かれます。あるエリアにある3つの港すべてでに自分のキューブが配置されるとボーナス点が入ります。エリアごとに早く評判を得た方が、より高い得点が入ります。

moon Gamer moon Gamer

その他、手番ではアクションポイントを使ってカードを引いたり、あるいはそれを使ったり出来ます。GMTのゲームらしく、強力なカードをうまく使いこなすことも重要なテクニックです。アクションポイントは他に、風向きを決めるための風マーカーを補充したり、風向きの効果を一時的に変えてしまう「突風」などに使うことが出来ます。

ゲームは全部で9ラウンドです。最後に、未使用の風キューブやアイテムの保有量をVPに換算し、それをゲーム中に得たVPと合算して、その結果が最も多かったプレイヤーの勝利です。

「略奪の風」は、シミュレーションゲームを多数発売しているGMTが、2007年に発売したユーロスタイルな構造のゲームです。GMTが発売する軽いタイプのゲームには荒っぽい作りのものが少なからずありますけれども、「略奪の風」はよくまとまっています。全体的に競合要素が多く、そのおかげでゲーム終了まで緊張感が失われずに持続します。風向きを投票で決めることも含めて、それほど新しい要素はありませんけれども。

このセッションで僕は、序盤に他プレイヤーの多くが「武器」の収集に走ったこともあって、しばらく非武装に近い状態になっていました(海賊船なのに…)。しょうがないので他船を避けるように誰もいない港に寄港することで評判マーカーを効率的を配置する方針で進め、そのおかげで中盤過ぎまでVP的に優位に進めることが出来ました。

たださすがに終盤になって他プレイヤーから多くの干渉を被ることとなり、武装のない自分としてはかなり厳しい展開(抵抗する手段がない)になりましたが、VP的には全員がダンゴ状態となって接戦となってきました。最後は、OKさんが最終手番で高得点を獲得し、その結果2位をわずか3点差でまくり、トップで終了しました。僕は同点2位。トップと最下位は6点差くらいの僅差でした。

やや混沌として先が読みづらい内容が気になったものの、細かい点数を地道に積み重ねていき、最後に接戦になるあたりは僕の好みのゲームです。
http://www.boardgamegeek.com/game/7571


6-Tage Rennen / Holtmann VIP moon Gamer

ジャンピングチャ〜ンス(棒)。4人。

moon Gamer

これもまた久しぶりのプレイ。自転車レースがテーマのゲームです。前回のレポートはこちら。手番では手持ちのカード1枚で自転車を進め、進んだ先のマスに他の自転車がいれば、さらに前に進めます。

前回は8人プレイだったのでゲーム的にどうよ? という展開でしたが今回は4人。ちゃんと序盤から自転車レースっぽい駆け引きが繰り広げられて一安心。そしてちゃんと面白かったが素晴らしい。恐らく4~5人くらいが適正人数かと思います。

そして2ゲームやって連勝! 久々に気持ちのよい結果が出て大満足です。前回も8人プレイという点を除けば、どちらかと言えば印象が良かったので、僕と相性が良いゲームなんでしょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/515


Race for the Galaxy (レース・フォー・ザ・ギャラクシー) / Rio Grande Games moon Gamer

ということでこのゲームで〆ました。例会の残り時間も少なく、急いでゲームをプレイしなければならなかったので撮影もしませんでした。あわてていたこともあってミスが多く、結果は当然のように最下位でした… 次でまたがんばればいいや。


レポートは以上です。1日楽しませていただきましたが、持ち込みゲーム数が2点だけだったので個人的には少し物足りなかったかも。次回はもうちょっと余裕をもって準備を行い、4~5点は持ち込むくらいの勢いで行きたいです。ということで、お疲れさまでした。また次回例会でもよろしくお願いいたします。moon Gamer

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17日(日)は、千歳烏山で開かれたSGCの2月例会に参加してきました。

そろそろスギ花粉が飛び交う時期ですが、このところの東京は低気温な日が続いている関係で、本格的な飛散開始にはまだ至っていないようです。いずれにせよ、いよいよ体調管理が難しいシーズンに入ってきました。


Prophecy (プロフェシー) / Z-Man Games moon Gamer

標準ルール+バリアントのショートゲームで。4人。

moon Gamer

今回のメインとなった「プロフェシー」です。「タリスマン」スタイルなファンタジーボードゲームであり、そして同系統作品の中でもトップクラスの面白さと言ってしまいましょう。ショートバリアントながら3時間ほどかかりましたが、それでも最後は終わるのが惜しいとさえ思いました。大変に面白かったです。

注:写真の技能カードの置き方はルールブックと少し異なります。カードをスリーブに入れた関係でサイズが大きくなったために狭いスペースを有効活用するためにこのようにしました。

ボードには、25のスペースが周回するように配置されています。これら通常のスペースとは別に5つの「アストラルプレーン」スペースがあります。通常スペースは大別して山・森・平野の自然地形です。ここには「アドベンチャーカード」が最大2枚まで配置される可能性があります。

「アドベンチャーカード」には「クリーチャー(PCに敵対するモンスター)」と「機会」があります。多くの「機会」カードはプレイヤーキャラクター(以下PCと書きます)に利益をもたらします。しかし「クリーチャー」と「機会」が同スペースにあれば、クリーチャーをまず倒さなければなりません。

「クリーチャー」との戦いは「筋力」か「意志力」のいずれか(まれにその両方)で戦います。「クリーチャー」を倒すと「経験値」を獲得します。また、カードに特別な報酬が書かれていることもあります。逆に負けると生命点が1点減ります(たとえ意志力で戦っても)。

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さて、PCの数値パラメータは4つあります。まず「筋力」はPCの肉体的戦闘力を表し、また「生命力」をも表します。戦闘などでダメージを受けると筋力は減少します。筋力が「0」になっても特になにも起こりませんが、その状態でダメージを受けるとPCは失われます。「筋力」(と生命力)は赤いキューブで表され、PCは最大で8個のキューブを保持可能です。

2つめは「意志力」で、これはPCの精神的戦闘力を表し、また「魔法力」も表します。扱いは「筋力」と同じですが、「意志力」が「0」未満になっても、そのことでペナルティは発生しません。また意志力は青いキューブで表され、最大で10個が保持可能です。

3つめは「ゴールド」で、これは資金そのものです。そして最後の「経験値」は、クリーチャーを倒した時に受け取ります。経験値は「ギルド」から「技能カード」を獲得するために必要なコストとなります(経験値を支払って技能カードを受け取る)。いわゆるレベルはなく、技能カードの枚数でPCの基本的な能力が向上します。

PCは盤上にある5つのギルドのうち2つに所属しています。ギルドには最大で2枚の技能カードが配置され、それらにはさまざまな特殊効果や呪文(Spell)が記載されています。自分が所属するギルドからは、技能カードに書かれた「コスト」と同値の経験値を支払えば、その技能カードを獲得できます。

しかし、所属外のギルドからは、さらにコストと同額のゴールドを支払わなければ技能カードを獲得できません。各ギルドの技能カードにはそれぞれ特色があり、これによって緩やかにPCの個性付けがなされることとなります。

PCの能力を向上させる方法としては他に「アイテム」があります。これは武器や防具、それにポーションやスクロールなどです。これらは「村」や「都市」などで購入することが基本ですが、クリーチャーを倒すと報酬の一部として獲得する可能性もあります。

moon Gamer moon Gamer

各プレイヤーの手番では「チャンスカードを引く」「プレイヤーターン」「ラウンド終了処理」を繰り返します。「プレイヤーターン」は「移動」「戦闘」「オプション」で構成されます。カード効果などによって複数のターンが発生することもありますが、それらはまとめて「ラウンド」として扱われます。

「チャンスカード」とは、ようするにランダムイベントカードのことです。場にアドベンチャーカードや技能カードを追加するなどの他は、PCのダメージを回復や資金の獲得など、実はあまり悪いイベントは発生しません(経済危機というバッドイベントが1枚あるだけ)。

ラウンドの終了時に、PCは上限を超えたゴールド、経験値、アイテム、技能を捨てなければなりません。このルールによって、特に序盤から中盤にかけては、PCの能力に極端な差が付きにくくなっています。チャンスカードによる救済措置はゲームをより円滑に進行させる効果を生み出しています。

つまりプレイヤーは、目の前にある本質的な課題(武器や防具などのアイテムや技能カードの獲得など)の解決に集中しやすいようバランスが調整されており、それはファンタジーゲームの楽しさをより長い時間味わえるようにと工夫したデザイナーの穏和な方針です。誰だって退屈なケガの回復に手間をかけるよりも、少しでも強力なアイテムをPCに早く持たせたいと願うでしょう?

このため、同系統ゲームにありがちなように、ハードラックに陥ったが故に序盤から脱落してしまうような展開にはまずなりません。そしてこの導入部分の面白さは、そのままゲーム中盤以降へとも継承され、さらに多彩なオプションが加わってゲームはいっそう華やかに広がり始めます。この展開は実に見事で、デザイナーの優れた才能を感じました。

ただカード種類の多さとボードの微妙な狭さによってプレイアビリティは決して高いとは言えません。運の比重だってそれなりに高めです。しかしそんな欠点ですら愛おしく思えてしまうほど「プロフェシー」は面白いゲームでした。冒頭にも書いたように、終わってしまうのことが残念に思えてしまうゲームなんて何年ぶりだったでしょう。

moon Gamer moon Gamer

ゲームの目的は、盤上に5つある「アストラルプレーン」に突入し、そこにいる2体のガーディアン(強いです)を倒して「アーティファクト」を獲得することです。標準ルールではこれを4つ獲得したプレイヤーの勝利です。ただし、すべてのアーティファクトがプレイヤーの手に渡り、誰も勝利条件を満たしていない時には「最終戦争」というプレーオフに移行します。

「最終戦争」では、ある特定のスペースにすべてのPCが集結し、そこでPC同士の直接戦闘が行われます(ちなみに、通常のゲーム中でもPCへの攻撃は可能です)。最終戦争の間はスペース間の移動は行えません。そうして、勝利条件を最初に満たしたプレイヤーの勝利となります。

このセッションは、ルールブックに書かれた「最終戦争なし」バリアントでプレイしました。これはアーティファクトを2つ獲得したプレイヤーが直ちに勝利するショートシナリオです。短時間で済むと書いてありますが、今回は3時間ほどかかりました。とはいうものの、これは単にガーディアンの強さがよくわかっていなかったため、全員が慎重を期したからでしょう。慣れれば2時間ほどで済むような気がします。

「最終戦争」を導入したゲームはだいぶ長くなるでしょうが、それはそれで楽しそうです。丸1日時間をつぶしてでもプレイする価値のあるゲームだと思いますので、次はぜひたっぷり時間をかけて「プロフェシー」の世界を堪能してみたいものです。
http://www.boardgamegeek.com/game/8095


モンスターハンター・トレーディングカードゲーム / カプコン

スターターを使ってお試しプレイ。4人。

moon Gamer

少し時間が空いたので、YOKさんが持ち込んだモンハンのTCGをさわりだけ遊びました。TCG方面ではなかなか評判が良いゲームのようです。本当にさわりだけのプレイですからまだ何とも言えませんけれども、面白そうな手応えは感じました。スターターだけでもちょっと買ってみようかな?
http://www.capcom.co.jp/toyandhobby/monsterhunter_tcg/


Election X (エレクションX) / Intellect

3年半ぶりのプレイ。5人。

moon Gamer

1972年製のレガシーゲームです。この洗練されたシステムがこの時代のすでにあったということ自体が驚異的です。

このゲームを持ち込まれたのが別の方だったのですが、初プレイのインストということもあってルールが一部違っていたようです。僕はメンバーの中で唯一のプレイ経験者でしたが、久しぶりだったので違和感を感じつつも、残念ながらルール違いを指摘できませんでした。面白いゲームなのでぜひ再戦を希望です。
http://www.boardgamegeek.com/game/835


Yspahan (イスファハン) / Ystari Games moon Gamer

キャラバン走りすぎ。4人。

moon Gamer

いやー、負けた負けた。さすがに3桁の点数を取られたら追いつけません。僕は1週目で「昇降機(コマ+1)」と「バザー(得点+2)」が両方も取れたので快調かと思いきや、2週目で30点足らず(総計で40点未満)の点数しか伸びなかったのが致命的でした。キャラバン重視戦略は型にはまると点数に際限がなくなるので、走り出すと止まりませんね。まぁ、相手の手の内を見ることができたので、次はそう上手く行かせないようがんばりましょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/22345


レポートは以上です。

今回は何と言っても「プロフェシー」に尽きます。おかげでまた「タリスマン」や「ルーンバウンド」をもプレイしたくなりました。そういうゲームだけプレイするゲーム会ってのもアリかも(でもそれはさすがに1日じゃ足りないか…)。

補足。「プロフェシー」のレポート中の写真の1枚にある電動でサイコロを振るマシンは、当然ながらこのゲームの付属品ではありませんのでご注意をば。小型で使いやすいツールなので、これからもちょくちょく登場することになるでしょう。

本日はお疲れさまでした>関係者各位
また次回例会でよろしくお願いいたします。moon Gamer

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来る10/28(日)には、「第4回素人ボードゲーマーNo1決定戦」が開催されます。詳細は「ボードゲームのおもちゃ箱」にてご確認の上、興味のある方はお問い合わせください。参加申し込みはもう締め切られてしまったようですが、ひょっとして見学くらいはさせてくれるかもしれません。

で、その決定戦にデザイナー側として参加される常時次人さんがゲーム倉庫までいらっしゃいまして、自作ゲームのコンポーネントとして使用する木製キューブをお買い上げいただきました。ありがとうございました。昨年も同様に、タクヤさんにキューブをたくさん買っていただきましたね。

ということで、今回も買って終わりじゃつまらないので、2人用ゲームをプレイすることになりました。


Linop / FX Schmid

いきなりレガシーから。

moon Gamer

1979年製のレガシーゲーム。ランドルフが手がけた膨大な作品群の中でも、恐らく1、2を争うほどの短いルールです。いちおう駆け引き要素はありますが、全体的には「手を読む」というより、「正解手を探す」ような感じのゲームでしょうか。

先手・後手を交代して2ゲーム遊んで1勝ずつ。ただ最初の1勝は、こちらが正解手を発見し損ねたのを教えてもらったので、いいとこ0.5勝ってところですけど。
http://www.boardgamegeek.com/game/8912


Tortuga / Gigamic moon Gamer

カメのジャンピングゲーム。

moon Gamer

かわいいコンポーネントのアブストラクトゲーム。自分のカメを相手の「ベースキャンプ」まで到達させることが目的です。先日ヤフオクで落札して入手しました。これには出品者による自家製ルール訳が添付されていたのですけれども、文章中に原文に含まれない言葉が使われていたりして、どうも変な感じ。

もっとも、肝心の英文ルールも今ひとつ明瞭でないという、よくあるパターンでして… まぁこうなったらしょうがないので、ソロプレイを繰り返しつつ、不明瞭な部分を以下のように判断してプレイしました。

 1.1回の手番では自分のカメを1個だけ移動(移動は義務)
 2.カメのジャンプは、正面と左右前方のいずれかにのみ可能
 3.条件さえ合致すればジャンプの距離に制限はない
 4.1回の手番ではチェッカーのような連続ジャンプは不可

moon Gamer

あとはルール通りです。これが正式ルールかどうかはわかりませんが、自分としてはまぁ妥当じゃないかな、と思っております。

これも2ゲームプレイして1勝ずつ。こいつは上記のルールでプレイしたのであればけっこう面白いかも。特にジャンプを強制するルールがよく効いていて、勝った時には上質なパズルを解いた時のような爽快感があります(負けた時はなすすべもなく破れるということでもありますけど)。

あんまり研究するとすぐ定跡が出来そうなタイプのゲームなので、思い出した時にでも適当にプレイして長持ちさせることにしましょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/27938


24/7 The Game (24/7) / Sunriver Games

先日購入したばかり。2006年製。

moon Gamer

「1」~「10」までのタイルをボードに置いて「役」を作り、その合計得点を競うゲームです。タイルは同じ数字が4枚あります。場に置かれたタイルが3枚以上を連続した数字になったり、あるいは3枚以上の同じ数字のタイルが並んだり、列の合計値が「7」や「24」になったりすると得点が入ります。

moon Gamer

このゲームは2人専用ゲームではないのですが、ルールを読んだ感触として、2人プレイ(あるいは2チームプレイ)で十分に面白いような気がして本日のエントリーとなりました。

このゲームは1プレイだけ。なんと惨敗。手札に恵まれなかったというよりも、ポカが多くてまるで勝負になりませんでした。

1プレイのみの印象でしかありませんが、今後3人以上でプレイする機会があるかどうかは微妙です。2人ならまたやるかもしれません。また、場にタイルが埋まってくると、高得点の取り合いとなる大味な展開となりやすいような気がしました。それが逆転要素とか言ってしまえばそれまでですけれども。

ちなみに、このゲームにはバリアントが5種類、別ゲームが4種類もルールブックに記載されているので、これひとつでいろいろな遊び方が出来るようになっています。
http://ejf.cside.ne.jp/review/24-7.html


レポートは以上です。わずか1時間余りの間に5ゲームも遊びました。
わざわざおいでいただき、ゲームの相手までしていただいて感謝いたします>常時次人さん
決定戦もどうぞがんばってください。moon Gamer

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14日(日)は、地元は千歳烏山で開かれたSGCの10月例会に行ってきました。今回のメインも「1846 / Deep Thought Games, LLC」でした。このところこればかりが続いています。面白いんだからしょうがないですね。相変わらず勝てませんけど。

そして陽気はすっかり秋本番。やっと上着を着て外を歩けるようになりました。


1846 / Deep Thought Games, LLC moon Gamermoon Gamer

ミスが多すぎる。4人。

moon Gamer

このゲーム、けっこう回数をこなしてはいるのですが、相変わらずミスが多いので勝負にもなりません。ただ今回は前回の比べて最後までゲームに絡めたし、判断を誤ったポイントは把握することが出来たので、全体としては楽しむことが出来ました。いやほんとに。

今回は Big4 と MSR を両方持ったプレイヤーが現れました。これはびっくり。またゲーム全体の進行がかなり早くて、場に茶タイルが1枚くらいしか出てない状態でフェイズ3の列車が売り切れました。これについていくために半配当を繰り返していたのですが、これはやり過ぎだったようです。案の定、終盤の入り口で手元の現金がショートし、手持ちの株券不足が露呈。ここでゲームからは事実上脱落しました。

moon Gamer moon Gamer

勝敗はさておいて、このセッションでは面白い筋をあちこちで見ることが出来て面白かったです。プレイタイムも、初プレイ者がイタにも関わらず4時間ほどで収束しました。何度プレイしても(そして惨敗しても)飽きのこないゲームで、今後何年にもわたってプレイされることになるでしょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/17405


Mango Tango (マンゴ・タンゴ) / Piatnik moon Gamer
moon Gamer

場札を手札で競りを行い、落札者は場札を「評価カード」として残しておくか、あるいは捨てるかを選択します。場に残した「評価カード」が5枚になったらゲームは終了します。その時点での手札と場の評価カードを比較し、同色か同数値ならば得点を得ます。これを何ゲームか繰り返して合計得点を競います。

これ、意外と面白かったです。Piatnik だし、あまり期待しないでプレイしたからかもしれませんけど。駆け引き要素と運の比重のバランスがほどよくミックスされ、しかもテンポ良くゲームが進行するのが良かったです。複数回ゲームの得点合計を競いますが、最後のゲームは得点を倍にするとかした方が逆転要素が増大して面白いかもしれません。

http://www.ps-hiroshima.com/board/mangotango.htm


Infinity / Gamut of Games

久しぶりにレガシーだー。3人。atogさん持ち込み。

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発売元の Gamut of Games は、あの「カルテル」を発売していた会社です。Infinity は 1974 年に発売された古いゲームで、宇宙の創造から始まり、やがて星々が生まれ、それらに文明が発展していく過程を、簡単な手順で表現したゲームです。

各プレイヤーごとに同じ構成のタイルを持ちます。これを6枚まで手札として持ち、手番ではルールにしたがって場のマスにタイルを配置します。タイルの配置ルールはやや厳しくて、ワイルドカードのタイルなどの例外を除いて、必ず定められた順番に配置していなかければなりません。

タイルには「C」(Creation)、「G」(Galaxy)、「S」(Sun) 等々、宇宙の創造から始まり、銀河が構成されて太陽が出来て、惑星やそれに付随する衛星が生まれたりする過程が表現され、緻密で味のある美麗なイラストが描かれています。惑星の数が4つ以上になると、そこに生物が発生し、やがて人間が生まれ、徐々に高度な文明が発展していくことになります。

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このように魅力的なテーマを持ち、またタイルやボードのアートワークが70年代のゲームにしては飛び抜けて美しく、外見的には実に面白そうなゲームに見えます。しかし宇宙の創造からの時間経過を「タイルを順番に置く」というシンプルなルールで実現しているため、手持ち6枚のタイルの構成が悪いと、簡単に手詰まりとなってしまいます。

他人の捨てたタイルを使用することが出来たり、ワイルドカードを再利用することが出来るなど、手詰まりへの対応策が一応は用意されてはいますので、そのあたりを理解した上で計画的にプレイすれば、少しはマシな展開になるかもしれません。しかし少なくともこのセッションでは、それらがあまり上手く機能しなかったように思えました。

また得点ルールもあまり洗練されておらず、競技性は薄いです。全体的に教育的な目的で作られたファミリーゲームような印象を持ちました。
http://www.boardgamegeek.com/game/3552


Savannah Café (サバンナ・カフェ) / Descartes Editeur moon Gamer

カバ最強説? 3人。

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2001年発売のゲーム。能力の異なる3種の動物(ガゼル・ライオン・カバ)を率いて、いずれかのコマをゴールさせることを目指します。プレイヤー間の絡みが濃密なために微妙に重苦しいゲームではありますが、収束はしやすいので、通常はそれほどゲームが長引くことはないと思います。

このセッションでは「カバ」をゴールさせた atogさんが勝利しました。カバは最大でわずか2マスしか進みませんが、ガゼルやライオンと異なって後退することがなく、2マス進むカードの枚数も多いので、いつの間にか前にいたります。あなどれません。
http://ejf.cside.ne.jp/review/savannahcafe.html


レポートは以上です。

この日は「1846」の他にも新作やレガシーゲームも遊ぶことが出来まして、格別に充実した1日となりました。また次回もよろしくお願いいたします。moon Gamer

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22日(日)は、地元は千歳烏山で開かれたSGCの7月例会に行ってきた。

この日もショートスリーパーぶりを発揮して4時間ほどしか寝られず、まー起きてしまったものはしょうがないってことで、数日前に届いた「秒速5センチメートル」のDVD(しかも限定版)をリッピングしつつ鑑賞することに。で、勢いついでにこれをうっかり第3話まで続けて見てしまい、いろいろな意味で凹む。いや別にいいんだけど。ということで、世界で最もダメな日曜の朝を過ごし方をしたような気がしないでもない。

それで、その後に外に出たらまたこれが暑くて… 温度はともかくとして湿度にやられた。この日はこんな気分を象徴するかのような曇天模様な1日で、しかも降水確率40%という中途半端さがまた…。なんか蒸し暑くてめんどくさいので、今回のレポートはこの調子でやる(予定)。文体を変えるのもまた面倒だということがわかり、結局いつもの通りで。


Age of Empires III: The Age of Discovery / Tropical Games moon Gamer

いきなりメインディッシュっすか。しかも5人て。

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BGG でアメリカ人に妙にウケているこのゲームから入ってみたり。6月に購入して、訳が無かったのでプレイするのはもう少し先になるかなー、と、何となく英文ルールをパラパラとめくっていたら、記述されている英文がわりと平易であることに気づきまして、で、そのままの勢いで数日かけて翻訳(半分以上意訳だが)し、この例会に持ち込みました。

ボードの左側は新大陸(New World=アメリカ大陸)のマップで、全部で9つの地域に分割されています。ここに入植者(Colonists)を送り込むことが当面の目標になります。ボード上で行われるのは、いわゆる「ドイツ風陣取り」のエリアマジョリティです。得点機会において各エリアごとに入植者(と専門家)の数を比べ、各エリアで最多数プレイヤーは6点、次点プレイヤーは2点を獲得します。これは3ターンと6ターンの終了時と、ゲーム終了時の3回行われます。

ターンは8フェイズに分かれていますが、大まかには「イベントボックスにコマを置く」→「それを解決」→「収益」と処理します。「イベントボックス」とは、ゲームボードの右側にある8種類のアクション群のことで、手番になったら、プレイヤーはこのいずれかの「ボックス」へ、手持ちのコマをひとつ置きます。コマは各自が最小で5個(これはゲーム中に増加することがある)所有していて、全員のコマがなくなるまでこの手順を繰り返します。その後で、アクションボックスの上から順に手続きを順次実行します。

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「ケイラス」や「大聖堂」をやったことがある人なら、それに近いイメージであることは一目瞭然でしょう。それらとは異なるのは、すべてのアクションは複数のプレイヤーが関わりを持つことが可能で、ひとつのアクションの実施順番や判定方法が個別に決まっていることです。イベントボックスには以下のようなものがあります。

1.イニシアティブ(Initiative)

次のターンからの順番(ターンオーダー)を決めると共に、それとは別にプレイヤーへ少額の収入をもたらします。イニシアティブでは、後ろの順番になった方が多くの臨時収入があります。

2.入植者ドック/船着場(Colonist Dock)

すでに「発見(Discovery)」されている地域へ入植者を送り込みます。 「入植者ドック」には「プレイヤー数×2-1」マスのスペースがあり、プレイヤーのコマ(入植者か専門家)をそこへ配置します。配置された順番に、コマの所有者は発見済みの地域をひとつ選んで、そこへコマを移動させます。複数の手番を消費して、複数のコマを入植者ドックへ配置し、それらを別々の地域へ送り込むことも可能です。

3.交易品(Trade Goods)

盤上にある4枚の交易品タイルから1枚を選択して、それを獲得します(毎ターン4枚ずつの交易品がランダムに公開される)。複数手番で複数スペースへコマを配置可能。手元にある交易品は3枚か4枚1セットで収入となります。同種の交易タイルのセットは、より多くの収入をもたらします。

4.商船(Merchant Shipping)

ここはひとつのスペースですが、全員が(複数手番を用いて)複数のコマを配置可能です。ここに最も多くのコマを配置したプレイヤーは「商船」をひとつ受け取ります。次点以下は何ももらえません。

5.重要建造物(Capital Building)

「重要建造物」とは、つまり特殊効果のあるタイルのことを指します。各「時代(Age)」ごとに決まっている必要なコストを支払うことで購入可能です。「重要建造物」は高価ではありますが、その効果は実に強力なものがあり、これを効率的に購入することが戦略戦術の軸になるといっても過言ではありません。

6.発見(Discovery)

新大陸の未発見地域へ探索隊を派遣することが可能です。このスペースもひとつですが、全員が(複数手番を用いて)複数のコマを配置可能です。より多くのコマを派遣することによって、発見成功の確率を上昇させることが出来ます。派遣先の地域にいる原住民の勢力は実際に試みを行わなければわからず、これが大きいと発見が失敗することもあります。
発見に成功すると、臨時の収益(兵士がいるとさらに増加)、それに勝利得点と、最初にその地域へ入植者を配置する恩恵が得られます。発見された地域へは、以後、誰でも入植者ドック経由で入植者や専門家を送り込むことが可能となります。

7.専門家(Specialists)

特殊な能力を持つ入植者である「専門家(Specialists)」を、次のターンに受け取ります。専門家には「船長」「宣教師」「商人」「兵士」の4種で、「兵士」を除けば基本的にはターンごとに使い捨てです。

8.戦争(Warfare!)

「戦争」とは、ボード上の入植者を兵士(専門家)によって排除しようとする行動です。戦争には、ある地域だけを対象とする「single Battle」(無料)と、あるプレイヤーとすべての地域で戦闘を行う「full-scale War」(有料)の2形態があるというのも面白い点です。

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このゲームが BoardGameGeek にて高い評価を得ているのは、ゲームそのものが簡潔に良くまとまっていることは当然として、ようするにこれがアメリカ人の好みによく合っているからです。以下、「Age of Empires III」が好まれる理由を少し考えてみました

理由1.直接攻撃

エリアマジョリティゲームでありながら、強引な直接攻撃も可能というルールがこのゲームの大きな特徴です。しかも戦闘は2段階あり、資金さえ十分であればその規模を大きくすることも可能となっているあたりの煽り方がまた巧みな仕掛けになっています。

理由2.特殊効果

重要建造物(Capital Building)の効果が大きく、これなしで戦略の組み立ては考えられません。また、専門家(Specialists)の能力も実に使い勝手が良く、これもやはり作戦の重要な要となります。

理由3.アメリカ史

アメリカ史のルーツを扱ったゲームであり、アメリカ人にはとてもなじみのあるテーマであることも印象を良くしている要因のひとつでしょう。

このセッションでは、初プレイで成りゆきとはいえいきなりの5人プレイとなり、結果は同点3位。1位・2位プレイヤーとはかなり点差が開いてしまいました。プレイタイムは正味3時間ほど。いったん好循環に入ると、そのプレイヤーを止めるのがかなり難しくなるようで、つまり全員が序盤から強く意識して全体のバランスを見極める必要がありそうです。

特に、誰がどの Capital Building を購入したのかを洞察することは極めて重要です。上記で繰り返したように、このゲームのキモは Capital Building の特殊効果にあるからです。そしてゲームを支配するためにもやはり Capital Building のチカラが不可欠でしょう。これは高価で、しかも時代が進むにつれ価格が上昇していきますので、毎ターン確実に購入するためには、安定した収益を高いレベルで維持し続ける必要があり、各自の戦略にも少なからず影響を与えるでしょう。

このような特殊効果に依存したバランス取りについては異論もあるでしょうが、このゲームについては、自分の感覚ではほぼ許容範囲内でした(ひとつだけ気になったのが『Privateers(私略船)』で、これは初プレイ時や5人プレイ時では抜くか、あるいは効果を軽減した方がよいと思いました)。もっとも、当然ながら1回のプレイではわからないことも多く、ぜひとも再プレイをしたいところ。次は4人くらいがいいな。

最後に。2位プレイヤーの方は「このクラスの長時間ゲームに慣れていないけれども、このゲームはわかりやすくて面白かった」というような感想を述べていました。実際、盛り込まれている要素の多さに比較すると「Age of Empires III」の見通しの良さは特筆すべき美点です。最近のドイツゲームは、これよりも入り組んだルールのゲームがいくらでもあるので、重いゲームを好んでプレイする人なら、ルール全容を把握するのは簡単だと思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/22545


Ben Hur / Historien Spiele Galerie moon Gamer

ここからずっとレガシーのタ(ry atogさん持ち込み。6人。

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スケール(定規)で馬車を動かすレースゲーム。あとで思い出したけど、「カーウォーズ」とかこんな感じじゃなかったっけか?

手持ちのカードから1枚をプレイし、そこに書かれた長さの木片定規を使い、ルール通りの方法で自分の馬車を進めます。馬車の進行ルート上に他の馬車があれば、ダイス勝負で判定を行います。衝突させた方が勝てば、衝突された馬車と位置の交換を行います。

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他にも多少細かいルールがありますが、つまり「狭いトラック上で大きなコマを定規で動かしてレースする」というコンセプトのみでデザインされたゲームです。コマが密集すると衝突妨害合戦になって先に進まず、また先頭が大きくリードしてしまうと干渉することが出来なくなる等、パーティゲームとしてはともかくとして、競技性はそれほど高くはありません。

興味深いギミックは目を惹きますが、それにアイデアが追いついていない感じでした。
http://www.boardgamegeek.com/game/1396


Bockige Esel / Carlit

懐かしの「ウサギとカメ」がベースのロバレース。atogさん持ち込み。6人。

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ついでに「アベ・カエサル」も少し入ってるかも。

ロバはスタートからゴールを目指します。各プレイヤーは「オレンジ」コマを4つと、「エサ」4つを持ちます。これとは別に、特殊アクションのカードを数枚持ちます(カードの構成はプレイヤーごと同一)。自分のコマは、現在いるマスに指定された数だけ進むことが出来ます(前進数はボード上ではダイスの目で表現されています)。たとえば「2」のマスにいるコマは2マス進みます。ひとつのマスにはひとつのコマしか入れず、追い抜くことも出来ません(ナナメ移動は可能)。

コマを前進させたらエサをひとつ消費します。エサを補充するには、コマを1マスだけ後退させることで行えます。エサを補充するために後退するのは1マスだけです。マスには、所有するオレンジコマを失う代わりに大きく前進するものや、前進数をダイスを振ってその場で決めるものが何カ所かあります。

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手番中に、所有するカードを1枚だけ使用することも可能です。ゴールした時に、未使用のカードはマイナス点となるので、基本的には使った方がいいのですが、必ずしも良い効果もカードだけではないので、使いどころが難しいケースもあります。そしてゴールしたら、ロバの持つオレンジを得点とします。早くゴールした方が高得点となります。

ほとんどのマスの前進数は固定されており、しかもその数は少なめ。先に進もうにもエサはすぐに無くなります。なので、どうしても途中は渋滞となり、その混雑の中で細かい駆け引きが繰り広げられます。ただ、「後退」による補充が中心のリソースコントロールなので、爽快感は今ひとつでした。
http://www.boardgamegeek.com/game/30446


Hecht im Karpfenteich / sbv-Verlag

微妙なひねりとガチなメカニクス。4人。

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池の中での食物連鎖をうまく利用して、自分の魚(川マス)の数を増やすのが目的。

このゲームには3種類のコマがあります。すなわち「巻き貝」「コイ(鯉)」「川マス」です。プレイヤーごとに色が分かれているのが「川マス」で、それ以外のコマは全員が使用する共通色となっています。「コイ」と「川マス」は「魚」と総称されます。

このゲームの目的は自分の川マスを繁殖によって増加させることです。川マスを繁殖させるためには、コイを捕食しなければなりません。そのコイも繁殖によって増加し、そのためには巻き貝を捕食しなければなりません。まとめると「川マス」→「コイ」→「巻き貝」と捕食関係が決まっていて、その目的は繁殖です。

魚コマは捕食対象のコマと重なることで「満腹」状態となります。満腹でない(単独のコマ)魚は「空腹」状態です。空腹のコイは巻き貝を自由に補食することが可能ですが、空腹の川マスはボード上のコイが4匹以下だと補食することは出来ません。川マスが捕食するためには、まずコイの個体数を増やさなければならないのです。

魚は、満腹状態で「巣」に入ることで繁殖の準備が整います。この「巣」には、「川マス」用と「コイ」用とに分かれており、それぞれ3つずつボード上にあります。「巣」魚が入るためには、いくつかの条件を完全に満たさなければなりません(詳細略)。

さて、自分の手番では「7移動力」を使って魚コマ(自分の川マスか任意のコイ)を移動させます。1個の魚を7マス移動させても、7個の魚を1マスずつ移動させても構いません。そして、手番のいつでも、6つの「アクション」のうちひとつを選んで実施しなければなりません。アクションには「巻き貝(巻き貝コマを1個増加)」が2つ、「波(+7移動力/計14移動力)」、「パス(ターンをスキップする)」、そして「川マス繁殖」「コイ繁殖」の6つです。

ある「アクション」を選択すると、次の手番でそのアクションを選択することが出来なくなります。全員が6つのアクションを選択したら、1ラウンドが終了し、再び自由にアクションを選択することができるようになります。しかし6人プレイでは、なんとわずか1ラウンドだけで終了します。4~5人で2ラウンド。

「川マス繁殖」「コイ繁殖」を選択すると、条件がそろっている対象のすべての巣で、ルールにしたがって繁殖が行われます。川マスは、色の異なる(プレイヤーの異なる)2匹が満腹状態でひとつの巣に入っていれば繁殖の条件が成立します。その場合、ペアとなっている色の川マスコマを1個ずつ、空腹状態で巣に追加配置します(つまり満腹2匹が空腹4匹になります)。コイも2匹のコイが満腹状態でいる巣で繁殖が自動的に行われますが、増加する数はダイスによってで決まります。いずれにせよ、繁殖に関わった魚はすべて空腹となります。

各プレイヤーの所有する川マスはわずか6個しかありません。さらに多くの個体を増やすために、川マスはボードの所定の位置から「離脱」することが出来ます。離脱した川マスコマは、再び繁殖に利用可能となるのです。ゲーム終了時の得点は、ボード上と離脱した川マスコマの数の合計となり、それが多い方が勝利です(同点の場合はボード上の満腹状態の川マスが多い方が勝利)。

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隠された情報はありません。コイの繁殖数を除けば、ランダムな要素は一切ありません。そして他人との協力なしでは繁殖(=コマの増加=勝利条件)は行えません。最初のこのゲームを「ガチ」と書いたのはそういう意味です。アブストラクトと言えばこれほどアブストラクトなメカニクスもなく、しかもバランスの要の部分に微妙な乱数が絡んでいるので不透明感この上なしという…。

ではゲームとしてどうかというと、これが見事に1回のプレイでは到底わからない。コイの繁殖ダイス次第かもしれないし、最適な作戦を互いに取っていたら結局ドローになるような気もします(そしてこのセッションは、2人が同点トップでドローとなりました)。ううむ。他に類を見ないユニークで興味深いメカニクスであることは確かなので、再プレイはぜひやっておきたいとは思っております。
http://www.boardgamegeek.com/game/3198


Das glorreiche Manover (栄光ある演習) / Schmidt Spiele moon Gamer

そして〆。変則&やっぱりガチなレースゲーム。4人。

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個人的に2回目のプレイ。そしてわかった。これは間違いなく良いゲームだ。

前回のレポートとゲームの紹介はこちらのエントリーの下の方をご覧ください。一気に30~50マスも進むことが普通にあるという、一見するとかなり無茶な進行ボーナスのゲームなのですが、ヴァリアントルールを組み合わせることによって、奇妙な味のあるレースゲームとなります。

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今回は、自分のコマ(1・2・3の3個)が、その順番でゴールしたら、ゴールの最も大きな空いている数字の得点を得る、というルールを採用しました。このゲームは、スコアリングはどうであれ、このようにコマの数字と順位を関連づけた方が断然面白くなります。

ありがたいことに、このセッションもプレイヤー全員の好評を得ました。頻繁にプレイすることはないでしょうが、面白いゲームだと思うので、またそのうちひっぱり出して遊んでみたいと思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/14427


レポートは以上です。

今回は何と言っても「Age of Empires III」がプレイ出来たことにつきます。まだ骨の髄まで味わった気がしない(同卓メンバーにこの手のゲームが苦手な方もいましたし)ので、今後あちこちに持ち込んでみたいと思っております。どこかで見かけたらぜひお付き合いください。

今回もお疲れさまでした>参加者各位
また次回もよろしくお願いいたします。moon Gamer

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18日(日)は、上北沢で開かれたSGCの3月例会に参加してきました。今回はゲームをたくさん持ち込んで出入り自由なオープン卓を作ろう、ということではりきって会場に乗り込んだのですが、残念ながら参加者が9名と少なく、しかも他の1卓はメンツ固定卓だったこともあり、結局こちらも固定卓みたいな感じになってしまいました。

とはいえ、新旧併せてなんと8ゲームもこの卓で遊ぶことが出来たのはめっけものだったと言えましょう。いくつかの収穫もあり、大変に充実した1日となりました。

東京は先週から冬に戻ったような冷たい空気に包まれています。この日も晴天なれど風強く、朝からずっと肌寒い日和でした。会議室の暖房がまるで効かず、室内にいてもえらく寒かったです。


Portobello Market (ポルトベローマーケット) / Schmidt Spiele moon Gamer

やっと正しいルールでプレイ。4人。

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このセッションはえらく盛り上がりまして、おかげで一気にこのゲームに対する印象が三段階くらいアップしました。というのも、このゲーム中、ひっきりなしにおしゃべりが飛び交ったおかげで、わずか1手の凡ミスでゲームが壊れてしまうというようなことが無く、終盤までもつれにもつれた大熱戦になったからです(おしゃべりといっても人の手番に介入するような"助言"ではなく、互いに現状を確認しあうことと、そして場を盛り上げるヨタ話がほとんどでした)。

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序盤~中盤までは、まずスタンドが要所に配置され、その後で客が広場にぱらぱらと置かれるような流れに。そして右下の区画に黄のスタンドを集中し始めたあたりからゲームは動き始めました。当然ながら、ある区画の周囲に単色のスタンドが多く置かれるようになった場合、その色のプレイヤーが「X4」をまだ持っている場合は警戒しなければなりません。

そのアクションタイルが裏返されるか、あるいは配置されるまで、区画マーキングで漫然と高得点を取られることをなるべく阻止するバランス感覚を全員が持つように心がけるとゲームが締まります。時には「仕事」をして場を平たくすることも考えなければならないでしょう。

さてゲームは進み、中盤過ぎまで2人(黄・青)がトップ争い、その後を僕(緑)が追い、そしてだいぶ引き離されたプレイヤー(赤)が1人という形。ここで区画マーキングを巡って上位3人が互いに牽制をしている間に、最下位の赤プレイヤーがスタンドを独占した路地2本を作り、さらにそれにつながる広場に貴族を配置することに成功。ここで赤が大量得点を獲得して、一気に上位グループへ躍り出ました(1枚目の大きな写真は、そのあたりの局面)。

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さてゲームは進み、点数的に今度は僕(緑)1人だけが遅れることになってしまい、さすがにちょっと慌てました。もう残りの手番も2回くらいしかない状態だったからです。しかし落ち着いて盤面を良く見ると、貴族コマの両脇にある路地が空いているのを発見!

すかさずボビーを3区画くらい移動させ、その路地に手元に余っているスタンドを投入しました。貴族コマの路地は、完成しなくてもゲーム終了時に得点が入るので無駄にならないのです。で、これが地味に効いたようで、最終手番に頭一つ抜け出すこととなり、そのままトップで終わることが出来ました。やった!

細かいミスはあったものの、すべてのスタンドを無駄にしなかったこと、区画マーキングで合わせて40点を稼げたこと、そして貴族のいる路地でも得点を稼ぐことが出来たことなど、効率的に得点を上げることが出来たのが勝因だと思います。戦術論等、このゲームについて書きたいことはたくさんありますが、それは次回以降のレポートに回すことにしましょう。良作。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/27356


Giro Galoppo (レース・ギャロッポ/ギャロッポ・ギャロップ) / Selecta Spiel moon Gamer

大爆笑www 5人。

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乗馬の障害物レースがテーマのゲームです。セレクタ社のゲームをプレイするのはひさびさです。

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そしてうれしいことに、大当たりなゲームに巡り会うことが出来ました。これは面白かった。昨年6月に購入してからずっと倉庫に眠らせていたのがもったいないと思うくらいに。

各プレイヤーは「1」~「6」までのカードを持ち、1枚を選んで同時にオープン。その数だけ自分の馬を進めます。馬は、プレイしたカードの数字が少ない順に移動します(同値の場合は後ろから)。

もし、他の馬のいるマスに進んだ場合、「踏まれた」馬は、空いているスペースまで後戻りします。また、障害物のあるスペースに移動してしまった時には元に戻ります(1回休みと同等)。カードは使い捨てで、6枚すべてのカードを使ったら、またすべてを手札に戻して使います。

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これは面白いっ。真に良質な子供向けゲームは大人の鑑賞にも十分耐えうるものですが、これはそのお手本のような逸品。

カードの読み合いを熱く楽しんでもよし、飛び越えたはずの障害がまた目の前の現れる不条理感を楽しんでもよし。運とテクニックが混ざり合った不思議なレースの世界を堪能しましょう。写真のように、コンポーネントも素晴らしい出来です。

このセッションは5人でプレイしました。恐らくは人数が多い方が楽しいです。プレイタイムも短くて、障害物の位置を変えることで毎回異なった展開を楽しむことも出来ます。子供向けゲームとして秀逸なゲーム。本日の良作2つめ。moon Gamer
http://www.ps-hiroshima.com/board/girogaloppo.htm


Pompeii: The Last Days / Another Challenge Game

ポンペイ最後の日。atogさん持ち込み。5人。

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ゲームは3つの段階に分かれています。最初の段階は、ボードの周囲をダイスによって進み、そこで建物や人物カードを「購入」する段階。建物と人物には色があり、同色をセットにする必要があります。ひとつの建物には2人か3人の人物をセットにすることが可能です。購入したカードは他人と交換したり、売買したりすることも可能です。

ボードの周回を終えたプレイヤーは、ポンペイの街に入って2つめの段階に入ります。この段階へは、最初の段階で周回路で最後のマスに達したプレイヤーから順に以降します。つまり、まだ第1段階にいるプレイヤーと第2段階に入ったプレイヤーが一時的に混在することになります。

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第2段階では単に山札からイベントカードを引いてすぐにオープンします。これによってポンペイの街のあちこちに移動して、それによってお金を支払ったり、あるいは受け取ったりします。

もし、オープンしたカードが「Ultimate Die」の場合は火山が噴火し、いよいよ「ポンペイ最後の日」が始まります(第3段階)。このカードが引かれた時点でまだ第1段階にあるプレイヤーは自動的にゲームから脱落してしまいます。

最後の段階の手番が回ってきたら、まず火山噴火カードを引きます。ここには数字が書かれていて、それに対応した建物が即座に破壊されます。その建物カードを持っていたプレイヤーは、建物とセットになっている人物カードと共に捨てなければなりません。また、破壊された建物にたまたまプレイヤーコマがあれば、そのプレイヤーはゲームから脱落します(!)。

moon Gamer

この後でダイスを2個ふり、その数まで自分のコマをポンペイの街上で移動させます。自分の保有する建物カードと同じ番号の書かれたボード上の位置へ移動し、建物とセットにしてあった人物カードを1人指定します。そして、その後で門に移動すると、その人物カードに書かれた数値を得点として受け取ります。

これをくり返し、すべての門が破壊されるか、すべての人物が救助されるか、あるいは全員が脱落したらゲーム終了です。助け出した人物カードの得点総計が高い人の勝利です。

いくつかの要素が絡み合った脱出ゲーム。ポンペイの街に点在する住民たちを、火山によって徐々に破壊されていく街から助け出す、という構成のゲームは、3年ほど前に発売された「The Downfall of Pompeii (ポンペイ) / Amigo Spiele」を彷彿させます。あちらが1時間ほどで終わるゲームだったのに対して、こちらは2~3時間はかかる長時間ゲームです。

また、長いわりには運の比重は理不尽なまでに高めです。不運に見舞われると一発で脱落しますし。実際、このセッションで僕は、第3段階の序盤で火山弾の直撃をくらって即死亡しました。moon Gamer こういう状況を楽しめるかどうか、というゲームなんでしょう。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/4473


Look In / Edition Perlhuhn moon Gamermoon Gamer

典型的なパズルゲーム。atogさん持ち込み。5人。

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オレンジコマは六角柱で、側面の1つと上面に穴が空いています。中には鏡が斜めに1枚入っています。指定された「得点パネル」上に配置された黄色い大きな「得点コマ」を、コマの鏡を3枚以上を通過して「見る」ことが目的になります。

moon Gamer

右の写真は、3つのコマを使って反射させた2つの例です(クリックすると大きくなります)。最初に見る鏡は必ず「上」から見ます。視線は他のコマによって遮断されます。3つの鏡を使う前に視線が得点コマにぶつかってもダメです。

手番では、オレンジコマを動かすことが出来ます。1マス移動させるごとに1点を失います。また、オレンジコマは2つまで重ねることが出来ます。移動させた後は自由に方向や上下を決めることが出来ます。移動させずに、その場で方向や上下を変えるだけの場合は1点を失います。

得点コマを見る移動が行えたら、得点パネルに書かれた数値を得点として獲得します。使用する鏡の数が4枚以上になったら、1枚増えるごとに+2点をボーナスで受け取ります。最後に手番プレイヤーは、任意の得点パネル上に得点コマを移動させます。

Edition Perlhuhn のゲームはパズル色の強いものが多いのですが、これはその典型です。手番ごとに問題が出て、それを解いていくような感じ。まさしくパズル。人の手番では本当に何もすることがありません。それをさっ引いても中盤まではなかなか面白かったです。

終盤になって、オレンジコマのスタックが増え、高得点ラインが出来上がってくると、得点がいきなりインフレ状態になります。これを防ぐのは難しく、手番による有利不利がはっきりしすぎてしまいました。恐らく5人は適正人数ではなく、2~3人くらいでじっくり遊ぶのが良いでしょう。好きなタイプのゲームなので再戦したいなー。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/11301


Kabale und Hiebe (陰謀) / Hans im Gluck moon Gamermoon Gamer

特殊効果が満載の目的(得点)カード争奪戦。たまさん持ち込み。5人。

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場に並べられた目的カードを、手札の影響カードをプレイすることによって獲得することを目指します。特殊効果の使い方がポイント。

場には目的カード(得点源)を並べます。目的カードにはカードの種類と数値が書かれています。各プレイヤーは、それぞれが同じ構成の山札(影響カード)を受け取ります。各自山札をシャッフルした後、3枚を持って手札とします。

手番では1枚の影響カードを場の任意の目的カードへプレイします。目的カードごとに「列」を作るように影響カードを置きます(置かれた順番を明確にする)。今、プレイされた影響カードは裏向きにします。

裏向きの影響カードがある列に、新たに影響カードをプレイする場合は、元からあった影響カードを表向きにします。つまり、各列の最後尾の影響カードは裏向きに置かれていることになります。ここで表向きになった影響カードに、そのタイミングで適用する特殊効果があれば、それを実施します。

手番の最後に、自分の山札から1枚のカードを手札に加えて次の手番となります。これを続けて、すべての目的カードの列に、目的カードに書かれた数値と同じか、あるいはそれ以上の目的カードが並べられていたらラウンドは終了して得点計算となります。

各列ごとに並べられた影響カードの影響値をプレイヤーごとに合計します。それが多いプレイヤーが、その列の目的カードを獲得します。同点の場合は、列の上に影響カードがあるプレイヤー(=先に置いた方)に獲得権利があります。また、このタイミングで特殊効果を適用する影響カードがあれば、それを実施した上で計算を行います。

これで1ラウンドが終了します。場の影響カードは捨て札となり、新たに目的カードが場に並びます。これを6ラウンド繰り返します。最終的な得点は、獲得した目的カードの総得点で決まります。ただし、すべての種類の目的カードを獲得した場合は、その6枚1組の得点を2倍し、余剰カードの得点を差し引いて計算します。得点の多いプレイヤーの勝利です。

わりと昔からよく見かけるタイプのメカニクスではあります。この系統のゲームにおいて個性を持たせるには、やはりカードの特殊効果をどう作るかがポイントになるでしょう。そして「陰謀」におけるそれは、単体で一気に場を支配するような極端な効果は無く、複数が組み合わさることで面白く波及するように作られているのが特徴です。

そもそも手札が3枚しかないので、自分が思い通りに場へ働きかける形を作り上げることは運次第です。なので、特殊効果が多いわりには軽めのテイストで、気楽に遊ぶことが出来ます。新鮮味には欠けますが、戦略性はありますし、効果がねじ曲がって予想外な結末を楽しむだけでもOK。効果の優先順位等がはっきりとカードに情報として書かれていたらもっと良かったかも。

このセッションでは、全種類の目的カードをそろえたのが僕1人で、スコア的にも圧勝となりました。目的カードは数値の方に目が行ってしまいがちですが、得点的には種類をそろえるようにした方が効率が良いでしょう。moon Gamer
http://ejf.cside.ne.jp/review/kabaleundhiebe.html


Mmm... Brains / Twilight Creations, Inc.
moon Gamer

ほほう、これクニツィア先生ですか。たまさん持ち込み。5人。

脳みそを取り合うシンプルなゾンビダイスゲーム。最初は脳みそコマを取るゲームで、その後で他人の脳みそコマを減らすゲームなるという2段階構成。

ダイスは3回まで振ることが出来て、ふり直し時にダイスを残すことも出来るという伝統的な「ヤッツィー(ヨット)」システム。特にコメントのしようもないくらいの簡単ゲームでした。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/25623


Take It! (いただき!) / Schmidt Spiele

クニツィア再び。たまさん持ち込み。5人。

moon Gamer

10年ほど前に発売された「It's Mine!」のリメイク。「It's Mine!」はだいぶ前にやったことがあるようなないような…

ルールはとても簡単。決められたプレイヤーが山札からカードを1枚ずつ表向きにめくっていき、誰かが「いたたき!」と宣言すると、それまで表にしたカードを宣言した人がすべて受け取ります。なんと、これを繰り返すだけ。ありえないシンプルさ。

カードには1枚で得点になるカードや2枚ペアにして得点になるカードの他に、マイナスになるカード、一番多く持っていると得点が得られるカードなどいくつかの種類があります。パーティゲーム系のゲームとして考えても、かなり簡単な部類に入るゲームです。最後の得点計算がちょっと面倒かな?moon Gamer
http://www.mobius-games.co.jp/Schmidt/TakeIt.htm


Wabanti / Edition Perlhuhn moon Gamermoon Gamer

この思考ゲームゲームで〆。atogさん持ち込み。4人。

moon Gamer

コマは金属製のナットです。ダイスを使うパズルライクなアブストラクトゲーム。意外とイケるかも。

ボードはヘクスが敷き詰められています。いずれのかひとつの「サイド(辺)」を自分のサイドとします。ゲームの目的は、自分のサイドからコマを出すことです。

手番にダイスを5個振ります。各ダイスの出た目だけコマを移動させなければなりません。コマを進ませるには6方向のいずれかに直進させなければなりません。他のコマを越えることは可能ですが、移動先は空白のマスでなければなりません。また、移動後に隣接するマスに別のコマがなければなりません(コマが孤立したり、全体が分裂するような移動を行えない)。

もし、すべてのダイスの目が使えなかった場合、次の手番では、使えなかったダイスの数だけ、振るダイスの数を減らさなければなりません。こうして、最初に勝利条件を達成したプレイヤーの勝ちです。

見るからにアブストラクトっぽいですけれども、ダイスを使うのでガチな雰囲気は和らいでいます。ただ、4人は適正人数ではなかったかも。2人か3人で遊ぶともっと面白くなると思います。好きなタイプのゲームなのでまた遊びたいところ。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/3979


レポートは以上です。体調のこともあってアフターはパス。atogさんが持ち込んでいたマイナーゲームがあまりプレイ出来なかったのが心残りでしたけれども、また次以降の楽しみとして取っておきましょう。また次回もよろしくお願いいたします。moon Gamer

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