3日(日)は、地元は千歳烏山のゲーム倉庫にてゲーム会を開きました。集まってくれたのはふうかさん・karokuさん・侍さんで、自分を入れて計4人。遊んだゲームは、昨年のエッセンでふうかさんが購入したワレスの新作2点でした。

この時期、ゲーム倉庫はえらく寒くなるので、この日は始終エアコンとハロゲンヒーターをフルパワーで回しながらのプレイとなりました。それでも外の気温が10度を割っていたこともあって、何とか室内全体が暖まるまで数時間かかったような… 真夏でもヒンヤリしている環境なのでゲームを保管するにはいい環境なのですけれども、残念ながら人間にはあんまり優しくありませんww

Last Train to Wensleydale (ウェンズリーデイルへの最終列車) / Warfrog

このアートワークはないわ…

moon Gamer

ワレスのまた一風変わった鉄道ゲームです。プレイヤーは設立したての弱小鉄道会社を経営する立場になります。まず線路を敷設して列車を購入し、盤上に散らばっている石・チーズ(いずれも貨物)や乗客をそれらに積み込むことで得点を得ます。得点源はすべて盤上に見えているものだけなので、ようするにそれを取り合うゲームです。

たいていの鉄道ゲームでは、路線そのものはプレイヤー固有か、あるいは共有の交通インフラ資産として扱われます。このゲームでの路線はプレイヤー固有の排他的なインフラとして扱われるまではいいとして、それが負の資産であるという点がちょっと変わっています。プレイヤーが運営するのはあくまでも弱小鉄道会社の黎明期であって、経営的に厳しい状況であることが前提となっているわけです。

そしてこれはゲーム終了まで変わらない摂理であり続けます。それどころか、ゲーム終了後の得点計算の時点ですら、自分の路線1本ごとにマイナス1ポイントのペナルティが付いてくるのです。それではプレイヤーはどのように振る舞うべきでしょうか?

このゲームにはゲーム開始時から2つの巨大鉄道会社が存在します。これらはプレイヤーの管轄外であり、自ら線路を敷設することはありません。プレイヤーが敷設した路線は、これらの大会社に譲渡することが可能となていて、そうすることで弱小鉄道会社は負の資産から解放されるようになっているのです。ルール上、これは「買収」と呼ばれていますが、路線を手放したとしても金銭的な見返りは一切発生しないので、実質的には「譲渡」です。

つまりプレイヤーは、鉄道を敷設して商品を運びまくって儲けるだけ儲けたら、後はその路線を大会社に「くれてやって」、うまく逃げ切ることを目指すのです。もちろん無制限に売却(=譲渡)が可能なわけではなく、そうするために大会社へのコネクションが必要ですし、他にも会社経営をする上で政府に対する影響力や列車を購入するための資金力も重要な要素として絡んできます。

ルール的にはどこかで見たメカニクスの組み合わせではありますが、それをうまくまとめて独自の味を醸し出すデザインテクニックは素晴らしく、実際にプレイしていてもとても楽しかったです。まあこれは今回のメンバーが楽しい人たちばかりだったということでもあります。

後で冷静になってこのゲームを俯瞰すると、荒削りというか大ざっぱな部分も目につきます。ワレスが頭の中で考えていた理想的な構成とは少しばかりずれて表現されているようにも思えてなりません。なので、緻密さやキレ(←このところ最も嫌いな言葉/余談)をゲームに求める方には向いてないかもしれませんね。

このゲームで僕は、ボード隅のチーズを取りまくってのんびり構えていたら、いつの間にか周囲を囲まれてしまって外に抜けられなくなり、結果として尻つぼみになって得点が伸びませんでした。トップはkarokuさんで、得点的には圧倒的とも言える大勝利。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/39927/last-train-to-wensleydale

Steam Barons (スチームバロン) / Warfrog

Steam でも蒸気の時代とも違います。

moon Gamer

次も話題作の「スチームバロン」です。スチームの名前が付いている通り、内容的には拡張セットです。実際にも、スチーム本体が無ければ遊べません。ゲームはスチームの拡張マップとして遊ぶ方法と、株式市場ルールという実に魅力的なオプションがあります。

株式市場ルールを採用すると「会社」というシステムが導入されます。会社は株式を6〜8株保有していて、これを株式市場へ売却することで運営資金を捻出します。会社は路線を敷設したり、あるいは商品を運送するなどの運営を行って業績を上げ、その利幅によって株主や会社本体に現金の形で利益をもたらします。そしてそれぞれの会社を運営する権利を持つのは、筆頭株主であるCEO、すなわち社長プレイヤーです。

会社の運営資金と個人の資金は厳密に区別され、線路の建設コストは会社資金から支払われます。資金が不足したら、必要な分に限って株式売却を行って資金調達を行うことが出来ます。ここまで書くとさすがにこれは「18xx」を強く意識した構造であることは一目瞭然でしょう。18xx がそうであるように、スチームバロンでも筆頭株主でありさえすれば2社以上の運営を行うことも可能です(つまり1ターンにあるプレイヤーが2回以上の路線建設の機会が回ってくることがある)。

一方でスチームから削られたルールもたくさんあって、例えばアクションは存在しません。ゲームの目的は個人資産の獲得であって勝利得点ではなく、したがってその記録も行いません(勝利得点トラックは別の用途に使用します)。商品は後から追加されることもなく、商品運送時に他社の路線を使用することもできません(路線は会社固有の排他的交通インフラ)。またエンジンレベルもないので、運送ルールの則っていさえすれば、運送距離には最初から制限がありません。

会社の業績は商品を運送したリンク数で決まります。商品は1会社につき1ターンに最大2個まで運べますので、その距離の合計値が業績となり、会社間の業績順位によって株価が変動します(株式の売買で株価は変動しない)。また、どれだけの長い距離を運んだかによって(つまり業績の大きさに応じて)、1株あたりの配当金・会社へのボーナス・社長ボーナスが自動的に決まります。

moon Gamer

スチームバロンのルールで唯一気に入らない点があるとすれば、それは会社のプレイ順番を決める処理でしょうか。何しろ順番を毎回ランダムに決めるという適当さで、そのために路線建設や商品輸送の細かい駆け引きがすべて運任せになってしまっています。例えば、順番はずっと固定で、商品輸送を1回パスすることで次ターンの会社順番が最初になるとか、あるいは会社資金で順番の競りを行うなどのローカルルールを検討したいところです。

BGGの情報によれば、テストプレイ段階では会社の順番は業績順で決まっていたそうです。しかし意図的に業績を減らすようなテクニックが多用されたり、次ターンの状況を予測しやすくなったために現在のルールに落ち着いたとか。そもそも現実の株価動向は予測しがたいものですから、このルールは理にかなっているというのがワレスの主張です(それが妥当かどうかはあなたの受け取り方次第)。

moon Gamer

このゲームで僕は、序盤から会社を無理に2社取りに行って自滅してしまいました。まだはっきりわかったわけではありませんが、第1ターンの競りで順番の早い会社が落とせなかったのであれば、現金をそのまま持っておいて、次のターンに業績が伸びそうな会社の乗っ取りを狙うとか、あるいは複数会社の株券を持って配当金を狙う方がより優れた作戦でしょう。

惨敗しましたけれども、スチームバロンは良いゲームでした。これはスチームの拡張でもなければ18xxの代替でもなく、どちらのプレイ感覚とも似て非なるゲームであるというのが個人的な印象です。ぜひまた機会を作って再プレイしたいゲームですね。

なお、ルールに1点だけエラッタがありました。社長プレイヤーがすべての持ち株を売却した時、他のプレイヤーがその会社の株を持っていて、筆頭株主が複数存在した場合は、元の社長プレイヤーから時計回りに見て、最も近いプレイヤーが新たな社長となります。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/56890/steam-barons

レポートは以上です。

この日のゲーム会はゲームそのものより、メンバーに恵まれたことに尽きます。最高に楽しい時間を過ごすことが出来たことを心からしあわせに思います。またぜひ千歳烏山においでくださいませ>参加者各位