本日も倉庫整理で見つけた本。

1988年刊。著者のデビッド・パーレットは数学者で、昨日紹介した「Hare and Tortoise(ウサギとカメ)」のゲームデザイナーでもあります。
他にもいくつかのゲームデザインを手がけていますが、それよりもトランプゲームの研究者としての方がずっと有名です。
たとえば Amazon で、"David Parlett" で検索をかけると、カードゲーム(トランプ)関係の著作が何冊もヒットします。
ところでこの本が発売された当時、すでに日本ではファミコンの一大ブーム下にありました。テーブルゲームの世界は、ややブームが下降気味となっていたシミュレーションゲーム・台頭し始めてきたテーブルトークRPG(TRPG)・そして「モンスターメーカー」から始まったオリジナルカードゲームが三つ巴でそれぞれがんばってはいましたが、アナログゲームにとって相当に厳しい時代を迎えつつありました。
「トランプゲーム大百科」はそんな逆風の中、トランプ解説本の決定版として、「火吹き山の魔法使い」など多数のゲームブックを手がけていた社会思想社から発売されました。

本書は8500円もする高価な本でしたが、その値段以上の価値を持つ資料性の高さは、実に凄まじいものでした。
バリエーションも含めると300をはるかに超える種類のトランプルールが、500ページ以上にわたって各系統ごとに整然と分類され、そのほぼすべてがプレイ可能な解説までされているのです。まさに一生もののトランプ本と言えます。
ただし、訳文が硬くて図表類が少ないために、ややわかりにくい印象を受ける点は否めません。
それを気にしたのかどうかはわかりませんが、訳者の松田道広氏は後年になって、面白くてプレイしやすいトランプゲームだけに絞って解説した「面白いトランプ・ゲーム(ちくま文庫)」という本を書いています。
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http://www.davidparlett.co.uk/books/
(一番上のThe Penguin Encyclopedia of Card Games )