moon Gamer「Victory & Honor(勝利と名声と)」は、Jolly Roger Games という、あまり聞き慣れない会社が発売した変則トリックテイキングゲームです。

このゲームは4人でプレイしますが、2人組になってチーム戦をやった方が面白いとルールには書かれています。チーム戦の場合、向かい合ったプレイヤーがパートナーとなります。

テーマはアメリカの南北戦争で、その当時のかなり渋い写真がカードやボックスにふんだんに使われており、雰囲気は抜群です。が、ゲームシステムは歴史的な事柄とは、ほとんど関係ありません。

このゲームのカードには4つのカラーがあり、各カラーには「1」~「7」までの数字が書かれた部隊カードと「★」「★★」「★★★」と★印の書かれた将軍カードがあります。カードのランクは「★★★」がいちばん強くて「1」が最も弱いです。

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プレイヤーには「バトルボード」が1枚ずつまず配布されます。バトルボードには「左翼」「中央」「右翼」の3つのカード置き場(エリア)があります。

最初のプレイヤーは、エリアをひとつ選んで、手札から任意のカードを1枚出します。そうすると、今カードが置かれたすべてのエリアには、そのカラーのカードしか置けなくなります。

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例えば、最初のプレイヤーが「右翼」に「赤」のカードを置いたら、すべてのプレイヤーのバトルボード上の「右翼」エリアには、「赤」のカードしか置けなくなるのです。

これを示すために、すべてのエリアには該当する色のキューブを置きます。ここらへんが、トリックテイキングゲーム的な「マストフォロー」と言えなくもありません。

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この後、手番プレイヤーが置いたカードの位置によって、次のプレイヤーが決まります。

手番プレイヤーが「右翼」に置いたら、手番プレイヤーから見て右となり、「左翼」に置いたら同様に左となり、「中央」に置いたら向かいのプレイヤー(チーム戦の場合はパートナーです)に手番が移動するのです。

このようにプレイを続けていって、すべてのバトルボード上のすべてのエリアがカードで埋まったら勝敗判定をします。

これは「左翼」「中央」「右翼」の各エリアごとに判定します。最も高いランクのカードを出したプレイヤーが勝ち、そのエリアのカードをすべて獲得します。

基本的にはこれだけのゲームです。ただし、例外処理がいろいろあって、それがこのゲームの味付けと演出に一役買っています。

まず、色の確定したエリアに出さなければならないカードが手札になければどうするのでしょうか? その場合は、手札から任意の1枚を選び、それを裏返しにしてエリアに出すのです。これを「犠牲」といいます。犠牲カードは原則として勝敗判定で負けます。

さて、エリアは3つですから、バトルボード上に配置されないカラーも1つ出てきます(カードは4色です)。このカラーのカードを「伏兵」といいます。

もし、「犠牲」で出されたカード(つまり裏返しのカード)が実は「伏兵」であれば、勝敗判定時に、伏兵のカードで最も高いランクのカードが勝利するのです(伏兵でない色のカードは自動的に敗北)。

つまり「伏兵」とは切り札のことなんですね。切り札が未確定のままプレイが始まり、途中で明確になるというのはなかなか面白いというか、ひねくれたシステムですmoon Gamer

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他にも、「騎兵」「砲兵」「斥候」という特殊カードがあったり、ポイント計算がちょっと面白いルールだったりするのですが、詳細は省略します。

細部まで凝っているというか、トリックテイキングゲームの変形とはいえ、他に類を見ないユニークなシステムです。ルールを読んだだけでは、果たして勝ち筋がちゃんとプレイ中に読めるかどうかもよくわかりません。とにかく奇妙な、そしてとても興味深いゲームです。

= DATA =
 ◆タイトル:Victory & Honor(勝利と名声と)
 ◆メーカー:Jolly Roger Games
 ◆4人/30分以上