Viva Pamplona! (ビバ・パンプローナ!)は、ヴォルフガング・クラマーがデザインした、ちょっと変わったレースゲームです。
このゲームは1992年に発売されましたが、残念ながら日本にはあまり入ってきませんでした。ただ、ネットオークションではよく見かけますので、入手自体はそれほど難しくはありません。
このゲームのテーマになっているのは、スペインの「牛追い祭り」ことサン・フェルミン祭です。日本でもよくニュースなどで迫力ある映像が流れるのでご存じの方も多いでしょう。白装束に赤いスカーフを付けたたくさんの人たちが、暴れまくっている闘牛に追われつつ、狭い路地の中を駆け抜けるという奇祭です。
さて、このゲームでもたくさんのコマと闘牛が登場します。各プレイヤーは3個のコマを持ち、それらをスタート地点に置きます。
ゲームマップは、現実の牛追い祭りがそうであるように、闘牛のいる囲い場付近からアリーナ(闘牛場)まで、1本のルートが設定されています。ルートはスゴロクのようにマス目で分割されています。
プレイヤーは手番になったらサイコロを2個ふります。サイコロは6面体ですが、数字の目と矢印「→」がある特殊なサイコロです。2個のサイコロは、それぞれ矢印の数が異なっており、これもちょっとしたひねりになっています。
1回の手番では、(3つあるコマのうち)2個のコマしか動かすことが出来ません。サイコロの目が「2」~「5」の場合、その目の数だけマス目を移動させなければなりません。1つのコマを2回動かしたり、1つだけしか動かさないというようなことは出来ません。
もしサイコロの目が矢印「→」であれば、コマを「0」~「6」まで、任意の数だけ進めることが出来ます。「0」ということは「進ませない」ということです。矢印「→」の目の時だけはこれが出来ます。
2個のコマを移動し終えた後、他のプレイヤーのコマより自分のコマの方が数が多い時は、他のプレイヤーのコマをそのマスから「追い出す」ことも出来ます。追い出されたコマは、そのマスから1つ進むか、後退させられます。
これを全てのプレイヤーが繰り返します。この後で闘牛が移動します。
闘牛の移動はカードによって行われます。カードを1枚めくって、そこに「1」~「5」までの数字が書かれていれば、そのマスの数だけ闘牛を移動させます。この場合はこれでターンが終了し、次のコマの移動が開始されます(闘牛が移動した先では何も起こりません。)。
カードに「Torro Grieft An!」と書かれていた場合、闘牛は移動させないで得点計算を行います。
闘牛と同じマスにいるコマがあれば、その勇気を讃えられ、その持ち主は3点を受け取ります。1マス前なら2点、2マス前なら1点です。しかし闘牛よりも後ろのマスにいるコマは、臆病者として、1マス離れているごとにマイナス1点されてしまいます。
ゴールであるアリーナのルールがまた少し変わっています。まず、闘牛がアリーナのマスに入ったら、それでゲームは終了です。その次点でアリーナにたどり着けなかったコマには得点が入りません。
闘牛がゴールする前に、最初にアリーナに到達したコマは「1」点がもらえます。2番目に到達したコマは「2」点、3番目は「3」点… と、遅くなるほど点数が高くなります(最大で12点)。
しかし闘牛が先にゴールしてしまえば0点です ゴールのタイミングは「闘牛よりも先に、でも可能な限り遅く」ということなんですね。
他にも特殊なマスのルールがありますが省略します。こうして最も高い得点を獲得したプレイヤーが勝利します。
ニュース画像で見る「牛追い祭り」の雄牛は、あっちにこっちに暴走してヒヤヒヤさせられますが、このゲームの闘牛もそんな感じです。
ゲームの展開はサイコロとカード次第なので、それほど戦略性はありませんが、ファミリーゲームとしてわいわい楽しむには問題ないと思います。
全体として、牛追い祭りの面白そうなエッセンスを切り出して、巧みにまとめ上げられている作品だとと思いました。お手軽でありながら悩みどころも考えどころもしっかりと盛り込まれており、このあたりはさすがクラマーといったところでしょうか。
= DATA =
◆タイトル :Viva Pamplona! (ビバ・パンプローナ!)
◆デザイナー:Wolfgang Kramer
◆メーカー :FX Schmid
◆2~6人/8才以上/45分程度
コメント
コメント一覧 (2)
牛が猛烈に駆け抜けていったり逆に全く動かなかったりと、カードの巡りで展開が大きく左右されてしまうという少し時代を感じさせる作りなので、大らかな気持ちで与えられた状況を楽しむことが必要とされますが、それを差し引いても充分楽しめるゲームだと思います。
他のプレイヤーを「それはチキンだなあ」と囃し立てながらわーわー遊ぶと楽しいですよ。