13日(土)は、西八王子の taroさん宅で開かれたゲーム会にお呼ばれされたので行ってきました。このゲーム会は、およそ20年ぶりにリメイクされた「Fury of Dracula (フューリー・オブ・ドラキュラ) / Fantasy Flight Games」をメインにして、ちょっと古めのファンタジー系ゲームを遊ぼうという主旨で開かれました。
参加者は taroさんの他に、一味さんと僕の3人です。少ないようですが、これは「フューリー・オブ・ドラキュラは3人が最もプレイバランスが良さそう」という taroさんの持論が元になっています。
Fury of Dracula (フューリー・オブ・ドラキュラ) / Fantasy Flight Games
ドラキュラを追う4人のハンター。追いつ追われつ。
プレイヤーの1人がドラキュラ伯爵を担当します。残りのプレイヤーは、欧州のどこかに潜んで闇から闇へと密かにさまようドラキュラを見つけ出し、その息の根を止めるのが目的です… と書くと、定番ゲーム「スコットランドヤード」を思い起こす方もいらっしゃるでしょう。確かに大枠の構造は似ていますが、こちらはさらに微に入ったルールが多数盛り込まれたゲーマーズゲームとして構成されています。
ハンターは4人います。これはプレイヤー数にかかわらず4人固定です。ハンターを担当するプレイヤー2人は、キャラクターを2人ずつ担当します。ハンターは「1」~「4」までの数値が振られており、これは行動する順番を表しています。ハンターにはそれぞれ固有の能力があり、体力も異なっています。
ハンターはマップ上の任意の都市に配置します。それぞれフィギュアがあるので一目瞭然です。また、ドラキュラ伯爵もどこかの都市に潜んでいます。ハンターもドラキュラ伯爵もマップ上の都市から都市へと移動を行います。
移動手段は「道路」「鉄道」「海路」の3つがあります。ただし、ドラキュラ伯爵は鉄道を使うことは出来ませんし、「海路」を使うとダメージを負います。ラウンドはまず、ドラキュラ伯爵の移動から開始されます。
ドラキュラ伯爵のフィギュアはマップ上には置かれず、ロケーションカードによって管理します。ロケーションカードとは、都市名と海域名の書かれたカードです。各都市と各海域について1枚ずつあります。このカードを裏返しにして経路トラックに配置することで、現在のドラキュラ伯爵の潜伏位置を示すわけです。ドラキュラ伯爵が移動を行うと、経路トラックには複数のロケーションカードが置かれることになります(最大で6枚/つまり過去6ラウンドの移動経路が示されるわけです)。
ドラキュラ伯爵は、ロケーションカードを経路トラックに置くと同時に、エンカウンタータイルをその上にやはり裏返しにして置くことも可能です。これはドラキュラ伯爵が仕掛ける「罠」です。もしエンカウンタータイルが置かれた都市にハンターが移動してきた場合、そのタイルを公開して「遭遇」の効果を解決しなければなりません。ここでいきなりドラキュラ伯爵のエージェントと戦闘になることもあります。
続いてハンター側の移動が順番通りに行われます。「道路」でつながっている隣接した都市へ移動するか、鉄道を使うか、あるいは海路を移動します。鉄道は遠くに移動する効率的な手段ですが、ダイスによる判定で全く移動不可能となる可能性もあるリスクを伴います。船を使って海上に出るとさらに遠くへ移動可能ですが、海路上ではドラキュラ伯爵を捕縛することが出来ませんし、都市上ので「補充(後述)」も行えなくなります。
移動した後、都市上のハンターは補充を行って、「アイテムカード」や「イベントカード」を獲得します。アイテムカードとイベントカードはそれぞれ、1人のハンターごとに3枚ずつまでしか持つことが出来ません。
また、イベントカードは必ずしもハンターが獲得出来るとは限らず、ドラキュラ伯爵が持ち去ってしまうこともあります(カードの裏のデザインが異なります/イベントカードを引くときには山札の一番下から取るので、事前にどちらが取るのかわからないようになっています)。
移動先の都市上でドラキュラ伯爵か、あるいはドラキュラ伯爵のエージェントと遭遇した場合は戦闘が発生します。戦闘はダイスとカードによって処理します。まず双方が戦闘カードを1枚裏返しにプレイします。ハンター側はアイテムカードを使うことも出来ますし、夜ならドラキュラ伯爵の選択肢が増加します。双方同時にオープンした後にダイスを振って、どちらがイニシアティブを取ったかを判定します。このダイスには状況によっていくつかの修正が加わります。
イニシアティブを取った方が、自分の出した戦闘カードに書かれた戦闘結果を相手に与えます。戦闘結果は相手のプレイしたカードによって結果が異なるようになっています。これにより、ダメージを負ったり、ドラキュラ伯爵に咬まれることもあります。ハンターの体力が0になるか、あるいは一定数咬まれると病院へ行って治療を受けなければなりません。
これを、ドラキュラ伯爵・ハンターのいずれかの勝利条件を達成するまで続けます。
ルールブックだけなら実質40ページ近くもボリュームがありますが、簡単な決まり事が広く浅く広がっている印象です。特殊効果のテキストがやや込み入っているものが多少あるくらいで、プレイそのものは軽めです。しかし意志決定の機会は多く、そのたびにあらゆる可能性を考慮した、実に悩ましい決断をしなければならないでしょう。ドラキュラ伯爵もハンターもそう簡単に勝てないようになっています。
ドラキュラ伯爵が残すエンカウンタータイルはハンターに取ってやっかいなシロモノですが、それはそこにかつて彼がいたという証拠を示すものでもあります。まさに命をかけてその足跡を何とか探り当て、推論を重ねてドラキュラ伯爵を見つけたとしても、戦闘で何とか一撃でもダメージを与えられなければ、それまでの苦労は水の泡と消えます。
ドラキュラ伯爵もたったひとりで4人を相手しなければならないというプレッシャーに打ち勝たなければなりません。対ドラキュラ用の武装アイテムはごまんとあり、それらをいくつも携えてマップ上で包囲網を形成されると、対抗する手段も限られてしまいます。特に不利となる昼間に戦闘を行うことはなんとしてでも避けなければなりません。夜になれば… そしてあのエンカウンタータイルにやつらがかかってくれれば…
「フューリー・オブ・ドラキュラ」は、生きるか死ぬかを賭けたスリリングな展開を楽しめる戦略的なゲームです。オリジナルの厳しいゲームバランスを調整したこのバージョンは、19世紀の全ヨーロッパを舞台にした壮大なチェイスと推理のゲームとして生まれ変わりました。多くの特殊効果さえ気にならなければ、良く洗練された歯ごたえのある面白いゲームとして楽しめるでしょう。
このセッションでは taroさんがドラキュラ伯爵を担当しました。ゲームの序盤でハンター側は、スペインとフランス方面で早くもドラキュラ伯爵を発見することに成功したものの、その後の戦闘で辛くも逃げられてしまいました。どうやら東欧方面にドラキュラ伯爵が移動したことを突き止めたハンターたちはすぐに追ったのですが、エンカウンタータイルへの対応がやや失敗気味(結果としてハンターが1人病院送りになってしまった)となった時点で厳しい状況に陥りました。
そのころドラキュラ伯爵は、バルカン半島方面から悠々と海路を通ってコルシカを経由しつつ大西洋へと抜けて逃げの体制を作っていました。そのあたりで嵐に見舞われてアイルランドに漂着するというアクシデントはありましたが、エンカウンターを達成して新たな吸血鬼を生み出すなど着々と吸血ポイント(ドラキュラ伯爵の勝利得点)を重ねて、最後は一気に勝利をもぎ取りました。
http://www.ps-hiroshima.com/board/furyofdracula.htm
König der Elfen (エルフの玉座) / Amigo Spiele
実は初プレイです。
もう7年近く前のゲームなのでご存じの方も多いかと思います。このゲームはネット上の評判も悪くなく、それどころか賛辞さえ聞かれる佳作ですが、なぜかここまでプレイ機会がなくて初プレイとなりました。他の2人も初プレイです。
「エルフの玉座」は、ゲーム大賞を取った「エルフェンランド」を下敷きにしたようなメカニクスを持っています。このゲームではプレイヤーの目的は「村」の巡回です。ただし、各ラウンド開始時には村はなく、各プレイヤーが自分の前に「村カード」を出していきます(設定フェイズ)。「村」は特定の地形の中にあり、それはカードに書かれています。
村は各プレイヤーは2枚まで(2人プレイ時には3枚まで)プレイします。2枚目以降の村カードを自分の前にプレイする場合には、前に置いた村カードの「左側」に置いていきます。この後の「移動フェイズ」では、自分の前に置かれた村カードの最も「右側」の村から出発し、時計回りの順で村を訪れていきます。
自分の村の最も左側に村へ移動を行ったら、左となりのプレイヤーの置いた村カードへ訪れることも可能です。このようにして、場の全てのプレイヤーが配置した村カードへ時計回りの順で移動することが出来ます。
村へ移動するためには「移動カード」が必要です。村に描かれた地形に対応した移動カードを手札から出さなければなりません。移動カードの種類によっては2枚の移動カードが必要になる場合があります。各村へ訪れることが出来れば、カードに書かれた数値と同じだけの報酬を獲得します。また、全プレイヤーの村に1回ずつ移動することが出来たらボーナスを受け取ります。
さて、少し戻って設定フェイズでは、手札の改善とアクションカードのプレイも可能です。手札は1ゴールドを支払えば山札から1枚可能です。ただし同じラウンドで2枚目を購入すると2ゴールド、3枚目は3ゴールドに値上がりし、3枚を越えて購入不可となります。山札から3枚を引いて手札に入れる選択もありますが、その後で4枚を捨てなければなりません。
アクションカードは村カードに対してプレイします。アクションカードをプレイしたら、自分のマーカーをその上に乗せておきます。設定フェイズで使用可能なアクションカードは、報酬を増加させる「お金カード」、他人から2ゴールドを奪う「泥棒カード」、移動の障害となる「障害カード」があります。
移動フェイズで使用可能なアクションカードもあります。「ボディガード」を使えば、「泥棒」「障害」を無視出来ます。「方向転換」を使えば、反時計回りに村から村へ移動することが出来ます。
全員の移動が終了したらラウンドが終了します。場のカードは全て捨てられますが、手札は次ラウンドに引き継がれます。これをプレイヤー数分だけラウンドを繰り返し、最終的に所持金の最も多いプレイヤーの勝利です。
「エルフェンランド」がある程度の協調が必要なゲームであったのに対し、「エルフの玉座」は直接攻撃プレイが続出するシビアなゲームです。シビアと言えば手札のマネージメントもなかなかに厳しくて、どうかすると移動時に一歩も進めない状態に陥ることも十分に考えられます。それだけに、うまく言ったときの喜びもひとしおだったりします。
このセッションは3人だったこともあり、一回りしてボーナスを獲得することが出来たかどうかが勝敗の分かれ目になりました。それを無難にこなして、高得点を叩き出した一味さんの勝利。少人数だと方向転換カードがあまり意味をなさないので、今度はもっと大人数で試してみたいですね。
http://ejf.cside.ne.jp/review/konigderelfen.html
Talisman (タリスマン) / Games Workshop
懐かしの第2版。
1983年製の第二版タリスマンです。この版はたくさんの拡張セットが発売されました。その後、近年になって第3版も作られましたが、そちらももう絶版のようです。
「タリスマン」は、ヒロイックファンタジーをベースにした複雑なスゴロクです。プレイヤーはキャラクター1体を担当し、サイコロを振ってコマを進めます。ボードはいくつかの層があり、各層をコマが周回します。最初は最も外側のマスを進みます。サイコロの目だけ必ず進ませなければなりませんが、移動方向は時計回りでも反時計回りでも構いません。
止まったマスに何か指示があればそれに従います。アドベンチャーカードを引いたり、ダイスを振って何らかの結果を適用することもあります。戦闘が発生することもあり、その場合はサイコロを使って即時結果を出します。
キャラクターにはたくさんの種類があります。基本的な数値能力は「Strangth(強さ)」「Craft(技能)」「Life(命数)」、それに資産である「Gold」です。これに「Object(所有物/アイテム)」を持ったり、仲間となる「Follower(従者)」を引き連れることもあります。
外側の層から1段階内側の層にキャラクターが入ると、さらに厳しい状況に置かれます。しかしそこでは「Talisman(護符/タリスマン)」を入手することも出来ます。これがないと、最も内側の層にある「Valley of Fire(炎の谷)」を入ることが出来ないので、ゲームに勝つことは出来ません。
そして最終地点にある「Crown of Command(統治の王冠)」にたどり着くと、凶悪な「統治の呪文」を唱えることが出来るようになります。これは50%の確率で、他のプレイヤーの Life を1ずつ減らしていくという恐ろしい効果があります(通常の状態では、各キャラの最大 Life は4です)。こうして、最後まで生き残ったキャラクターの勝利となります。
実はこのゲーム「終わらないゲーム」としても有名でした。終わらないというのは大げさとしても、まともにやるとかなり長い時間がかかるのが普通なのですが… この日の taroさんのダイスは神がかっていました。信じられない目を続出し、Strangth と Craft を合わせても10そこそこのドワーフが、なーんと開始からわずか1時間余りで「統治の王冠」へたどり着いてしまったのです。ありえないって。
いや、実はドワーフが内エリアに進んだ時には「自滅するだろう」とタカをくくっていたのが甘かったかも… いずれにせよ、それから30分も立たないうちに他の2人の Life を削られてしまい(いや、けっこうがんばったのですが…)、taroさんの圧勝。こんなシーンはもう二度と見られないかもしれませんね。いや、いいものを見せていただきました。
http://www.os.rim.or.jp/~bqsfgame/sub168.htm
Dungeonquest (ダンジョンクエスト) / Games Workshop
最後はこのゲームで〆ました。
完全な運試しゲーム。たしかずいぶん前にやったことがあるはずなんですが、記憶からすっぽり抜けています。テストプレイでの生存率が15%と堂々と書かれていまして、その場で生き残るだけでも苛酷で極端に偏ったバランスに意図的に構成されたゲームです。
プレイヤーはキャラクターを1人を担当します。このセッションでは、拡張セットで追加されたキャラクターも使いました。キャラクターには固有の特殊能力があります。手番で行うのは、フロアタイルを袋から取り出して、それをルールに沿って配置するだけです。そのタイルの種類によってさまざまなイベントが発生し、それを解決しなければなりません。モンスターが登場すれば戦闘に巻き込まれることがありますし、トラップの掛かったフロアでは運が悪いと一撃で死亡する(つまりゲームから脱落)ようなイベントがいきなり発生したりします。本当に問答無用です。
ボードの中央にはドラゴンが眠る宝庫があり、そこにたどり着ければ莫大な財宝が手に入りますが、運悪くドラゴンが起きてしまうと、全てを失ったあげくに甚大なダメージを喰らいます。首尾良く財宝を手に入れたとしても、元の地点に戻るのがまた困難を極めます。フロアタイルにはトリッキーな仕掛けが施されているものが多数あり、それをくぐり抜けるのは多くの幸運にも恵まれなければならないでしょう。
「生存率15%」が疑わしく思えるほどきついバランスのゲームなのですが、なぜかセッション中はずっと笑いに包まれていました。もう笑うしかないというか。 どんなことがあろうと一切の救済措置がない世界で「どーすんだよコレ」という絶望的な状況を楽しむという変わったゲームです。
この可笑しさは最近のゲームでは味わえない奇妙なテイストで、今やると逆に新鮮だったりします。いやほんとに。結局、2ゲーム続けてプレイされるほどみんな気に入ったのでした。
http://www.os.rim.or.jp/~bqsfgame/sub103.htm
レポートは以上です。
ちょっと体力的に自信がなかったこともあり、このあたりで、後ろ髪引かれる思いで帰宅させていただきました。この日は朝からしとしと雨模様で、しかも5月中旬とな思えないほど肌寒く、実際のところ体調もすぐれなかったためです。判断ミスで薄手の上着しか着ていなかったため、帰りの電車の中でも寒くて凍えていました。
本日はお疲れさまでした>taroさん・一味さん
またぜひお誘いくださいませ。
コメント
コメント一覧 (6)
どうもお疲れさまでした。「フューリー・オブ・ドラキュラ」はもっと手軽なゲームかと思っていたらさにあらず、重厚で渋い心理戦も楽しめる良作でしたね。面白いゲームをプレイする機会を作っていただいて感謝です。もし次にやるとしたら、やっぱりドラキュラでやってみたいです。
「多人数ソロプレイ風味」しかも「運の要素が少ない」傾向があるゲームはあまり好きではないのですが
ダンジョンクエストはなぜか別格。ゲームを通じて異国情緒が伝わってくるからでしょうか?
これにはまると他のダンジョンゲームが生温く感じられます。
元はノルウェーのゲームらしいですね。
ちなみに4人の冒険者を投入して25回プレイした記録が手元にあるのですが、23人帰還(そのうち宝庫にたどり着いたものは半数弱)となっています。
うーん、意外と生存率は高い?
○「運の要素が高い」
23人帰還→24人帰還の間違いでした、つまり24パーセントです。
記録を読み返すと、本当にありとあらゆる方法で冒険者が死亡しており、ある意味壮観です。
ルールブックの記述よりも死亡率が低いのは各モンスターの特性を把握した上でプレイしたせいもあるのだと思います。
(○○に出会ったら何もせずにじっとしているのが吉とか
××の場合はとにかく退却とか、参加した皆さんがよくわかっています)
また、とにかくデッドリーなダンジョンということが知れ渡っているためか
正午(=ゲームターンの中間点)が過ぎるとプレイヤーがそろって出口に向かい始めるのです。
この堅実さにはいろいろ教えられますが夢の無いプレイなのかもしれませんね。
24%でも生還率は低いと思いますよ(^-^; それが「高い」と感じられてしまうほど厳しいバランスのサバイバルゲームですね、これは。
以前は途中でお金さえ入れば直ぐに帰るプレイもあったのですが今は1回は宝物庫に入らないとチキンの称号を得てしまうので、それが私達の間で生還率を低くする原因だと思います。
まあ楽しめればいいんですよ、このゲームは。