18日(日)は、地元は千歳烏山で開かれたSGC例会に参加してきました。参加者は14名前後ではなかったかと思います(3卓)。この例会も 僕は、例によって atogさんが用意してくれたちょっとマイナーなゲームを中心に楽しませていただきました。
Bolide / Ghenos Games

ベクトル制御系のレースゲーム。4人。

前回のSGC例会で「Tacara / Eggert-Spiele」というレースゲームをプレイしましたが、「Bolide」の移動方法はそれと似ています。ただし、こちらはコース上でもっと直接的にベクトルを操作・制御します。
コース上でクルマを走らせるには、クルマ本体のコマと、もう一つの丸いマーカーを補助的に使います(このゲームでは、そのどちらもマス目の交点に置きます)。マーカーから見て、タテ・ヨコ・ナナメに2マス以内の場所(交点)がクルマが次に移動可能な地点です。そのいずれかにクルマを移動させたら、クルマの移動元と移動先の位置関係と相対的に同じ地点に、移動先のクルマから見た位置へマーカーを移動させます。って言葉で説明してもわかりにくいので例を図解します。
1.クルマとマーカーがこのような位置にあったとします。●はクルマの移動可能範囲です。

2.クルマが図の位置に移動したとします。

3.クルマの移動元と移動先の位置関係(上に1マス・左に3マス)と相対的に同じ地点に、移動先のクルマを基準にしてマーカーを移動させます(現在のクルマの位置から上に1マス・左に3マスの位置)。

この移動メカニクスがこのゲームのほぼ全てと言ってもいいくらいです。他にもスリップストリーム・加速・急ブレーキ・衝突時の処理・ピットインでの回復など、レースゲームを構成するそれらしい細かいルールが盛り込まれています。スタートダッシュをダイスで判定するなど、リアルなレースというよりは、マリオカートなどビデオゲームの影響を受けている面もあったりします。
このゲームは4人でプレイし、1周するだけだったのですが、慣れていないこともあってたっぷり2時間近くもかかってしまいました。「Takara」もそうだったのですが、ベクトル制御系のゲームは時間のかかることが大きな欠点です。しかもこれでも短くした結果で、正式なルールでは2周するのです。そうするとさらに時間がかかりますね。だからと言って短いコースにしてしまうと、ベクトル制御の妙を味わうことが出来ません。このあたりのバランスやプレイアビリティを調整してくれたら、気楽に繰り返し遊べるゲームになったと思います。ゲーム自体が面白かったので、それだけが残念でした。
http://www.boardgamegeek.com/game/20865
Energie Poker / ASS

シンプルでハードな競りゲー。4人。

場にある5種類のエネルギーを競りによって獲得し、より多くのお金を儲けるゲーム。
ゲームは全部で10ターン行います。各ターンでは、5種類のエネルギーチップが指定された数だけ場に置かれます。各プレイヤーは、ターンごとに収集しなければならないエネルギーチップの個数が指定されており、まずはその数のチップを集めることが当面の目的になります。
毎ターンごとにプレイヤーに課せられる必要収集チップ数の合計は、盤上に置かれたエネルギーチップの個数と同じです。例えば、最初のターンにおいて、各プレイヤーはエネルギーチップを7個ずつ集めなければなりません。4人では7×4=28個です。そして盤上で競りにかけられるエネルギーチップの個数も28個なのです。
各プレイヤーは、ターンの開始時に獲得したいエネルギーに入札します。具体的には、欲しいエネルギーチップの個数を、エネルギーごとに数字カードによって秘密裏に指定します。入札時には、数字カードの他にお金を差し込むことも出来ます。お金は、そのチップを獲得するために余分に支払うお金です。この秘密入札は、このゲーム独自のついたてを使って行います。ついたての裏にポケットがあり、その中にカードやお金を差し込むことが出来るようになっているのです。
そして全員が一斉に入札を公開し、ルールにしたがって順にチップを獲得します。競りが終了した後、指定された数のエネルギーチップを収集することが出来なかったプレイヤーは、高いコストを支払ってエネルギーチップを購入しなければなりません。
他にもイベントカードなど細かいルールがあるのですが省略。10ターン終了時に最もお金を持っているプレイヤーの勝利です。なお、途中で破産したプレイヤーが発生したら、その時点でゲームは終了となります。
1980年のゲームですが、コンポーネントもルールもよくまとまっています。競りがシンプルであるが故にシビアな駆け引きが展開されます。また、古いゲームではありがちなことに、一度脱落気味になるともう復活することは不可能です。富めば富むほど入札にも有利になるので、この傾向はゲームが進むにしたがって顕著になります。なので、少なくとも資金ショートだけは気をつけつつ、資金総額で他のプレイヤーからあまり引き離されないようがんばるしかありません。
このセッションでは、序盤にちょっとした勘違いがあっていきなり多額の損失を出してしまいました… ということで、あとはゲーム終了までほとんど眺めていたようなものです。それが無かったとしても、今ひとつ相性のよろしくないゲームだったかも。
http://www.boardgamegeek.com/game/1013
Shocks & Scares / Gibsons Games

ボードを半周したら終わってました orz。6人。

作者は Francis Tresham。ご存じのように「1830」「Civilization (文明の曙)」「Revolution: The Dutch Revolt 1568-1648 (オランダ革命)」等々、フリーク向けの重厚な作品をいくつも制作しているゲームデザイナーです。しかしこのゲームは、かなり軽いテイストの作品に仕上げられています。1983年製。
簡単に言うと、株の売買によって利益を上げることが目的のゲームです。盤上には4つの会社があって、それぞれ異なる株価が設定されます。株価は「£1」「£5」「£10」「£20」「£50」「£100」「£150」「£250」のいずれかです。ルールにより、会社の株価は「£1」を除いて2社以上が同額になることはありません。
手番ではまず、自分のコマが止まっている会社の株価を市場価格で売買することが出来ます。その後でカードを引き、そこに書かれた数字の分だけマス目を進みます。マスはモノポリーのように盤をぐるりと周回するように配置されています。止まったマスに描かれた会社の株も売買可能です。特殊なマスに止まると、イベントとしてカードを引いたり、株価の操作ができたりします。
特殊なカードが引かれると株価の上下が発生します。詳細は省きますが、会社の株価は「上がりにくく」「下がりやすく」なっています。このあたりだけ辛うじて Francis Tresham っぽい感じ。で、これを繰り返して、初期資金の£150を£1500にしたらそのプレイヤーの勝利です。
あっけないほど簡単なゲームです。でも簡単すぎて面白さが伝わってきませんでした。6人プレイに問題があった可能性もあります。僕は半周でゲームが終わってしまいましたが、結局1周回った人もいなかったような… 運の比重がかなり高めなので、一種のパーティゲームとして軽く楽しむのがよろしいかと思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/750
6-Tage Rennen / Holtmann VIP

自転車レースゲーム。なんと8人。

会場内で余っている人がたくさんいたので、そのほとんどのメンバーが入ることとなり、なんと8人プレイが実現しました。しかし8人でプレイしたことが良かったかどうかは微妙…
各プレイヤーは「1」~「5」と「7」の数字カードを持っています。各数字ごとに枚数は決まっています。自分の手番でプレイヤーは1枚の数字カードをプレイします。その数字の分だけ、自分のコマをコース上で走らせます。数字カードは使い捨てで再使用は出来ません。1レースは1周のみです。
コース上に各マスには、いくつでもコマが入ることが出来ますし、追い越すことも可能です。数字カードを使って進んだ先のマスに別のコマがあった場合、今プレイした数字カードの分だけもう一度進みます。もしコマの数が2つ以上あったら、そのコマの数と数字カードを掛けた分だけ先に進みます(!)。
例えばこの時に「3」のカードを使ったとします。

自転車コマを3マス進めます。進んだ先には自転車コマがひとつありました。

よって、さらに追加3マス移動します。「3」のカードで6マス進んだことになります。

上にも書いたように、数字カードで進んだ先にコマが2個以上あれば、カードの数字とコマの数を乗算して先に進めます。上の例で、数字カードで進んだ先に2つのコマがあったのであれば、追加移動は「6」マスとなります。つまり「3」の数字カードで一挙に「9」マスも進んだことになるわけです。
数字カードは使い捨てで、手札の全てを合計しても1周するマスの数には不足しています。ですから、この追加移動をうまく使っていかないとリタイアしてしまうのです。若干の救済も用意されていて、特定のマスに停止することで手札を全て捨て、別のカードを7枚取ることが出来ます。ただし、ランダム性が高いのでどんなカードが来るかは運次第です。
ということで、序盤は互いに牽制しあいながら少しずつ先に進むことになるはずなのですが… どういうわけだかこのセッションでは、後続にまだコマがあるのにも関わらず、ひとつのマスに3台もコマが入ってしまうという事態が発生しました。慣れていないとは言え、ちょっとこれはありえないです。このため、その後の手番の人がどんどん先に進んでしまい、この時点で早くもゲームは壊れ気味になりました。
その後、ポジション的には接戦のような形になりましたが、手札の内容が違いすぎて実は勝負になっていなかったりします。結局、序盤で先に進めることの出来たプレイヤーのひとりがトップとなって最初のレースは終了となりました。正式ルールでは、この1周レースを6レースやってポイント勝負となります。
簡単に言うと、ブロックのない「アベカエサル」で、追加移動や手札交換のアイデアは面白いです。ただし8人は明らかに適正人数ではないとも思いました。4~5人くらいで再戦したいところ。
http://www.boardgamegeek.com/game/515
Blue Moon City (ブルームーンシティ) / Kosmos (Franckh-Kosmos)

良いセッションとなりました。4人。

前回のセッションでは、評価保留というややネガティブなことを書きましたが、このセッションでは楽しめました。同卓のメンバーにも好評で、2ゲーム連続してプレイすることとなりました。個人的には、ゲーム全体から受ける印象は最初のセッションとはそれほど変わりなかったのですが、前回のプレイ経験からコツがある程度つかめていたので方針が立てやすかったのと、ルール把握のストレスなくゲームに入りやすかったので、心理的にはリラックスしてセッションに臨むことが出来ました。
このゲームでは手番が回ってくる回数は思ったほどは多くはないので、1手番が及ぼす影響はゲーム全体で意外と大きいです。ですから、ひとつひとつのプレイは注意深くあるべきなのですが、それは深い思考を要するという意味ではなく、場の状況・手札・他のプレイヤーの動向などによって総合的に判断されるべきであろうということです。そして、特殊効果の効率的かつ積極的に行使することで、より効率的な収束方法(つまり勝利への方程式)を探索することが重要な要因にもなっています。
また、中盤を過ぎるとゲームはあっという間に収束へ向かいます。特殊効果には他のプレイヤーへの妨害を行う効果は無いので、一度トップ目に走られると一気にゲームは終わってしまうこともあります。序盤から中盤までのバランス感覚重視から一転して詰め将棋のような展開へ急速に切り替わる様相は、確かにダイナミックで面白いと思いました。ともかくも、またプレイする気にはなりましたので、どこかへ持ち込んで再戦してみることにしましょう。
http://www.boardgamegeek.com/game/21882
レポートは以上です。
会場の隣卓では、生物進化をテーマにした「American Megafauna / Sierra Madre Games」が数時間に渡ってプレイされていまして、端から見ていてもかなり面白そうでした。このゲームは僕も先日購入したばかりです。後でルールを確認したらわずか数ページほどだったので、こちらでも(いろいろな人を巻き込んで)訳を作ろうかと画策中です。
アフターは地元の「ペッパーランチ」にて。W杯の影響からかアフター参加者はわずか4人だけでしたが、ゲームに関わるマニアックな話に花が咲きました。
ヴィンテージから新作まで、ひととおりのゲームを遊べて充実した1日でした。
またどうぞよろしくお願いいたします。
コメント
コメント一覧 (6)
だから、もっと駆け引きができますね。
このゲームの凄さは詰め込まれた地質学的年代レベルでの進化のガジェットの豊富さなので、プレイに必要はなくとも用語集は目を通す値打ちがあります。読んで置くとプレイが数倍楽しめると思います。
「ブルームーンシティ」はコンポーネントの配色の不手際でかなり損をしていますね。雰囲気重視でデザインしたおかげでプレイアビリティが下がっているのは残念です。ゲームは初回プレイ時よりは面白かったので、その点が大きな収穫でした。
>>atogさん
今回も大変にお疲れさまでした。
6-Tage Rennen は人数を減らしてまた遊びましょう。
>>いしださん
お気遣いいただき感謝いたします。ひとまず本文だけでも訳してみて、その後でどうしようか悩もうかと思います。
慣性を表現した移動方法を持つゲームとしては、古くはGDWが出した宇宙戦ゲーム「ベクター」があり。
その後、ツクダホビーの一連のアニメシミュレーションゲームで宇宙戦闘の表現方法として採用されました。
従って、僕と同じようにツクダホビーの「ガンダム戦史」とかやりこんだプレイヤーならアッサリ遊べるだろうなーと思います。
だって、スクエアどころかヘックスマップ上で慣性移動しつつ、部位によるバーニア推進の違いを入れ、かつ、直接射撃とミサイル等間接射撃と遅延移動からの格闘戦を同時プロットの同時移動でプレイするんですぜ?
我ながら良く遊んでたなあと。ハイ。
GDWの慣性移動システムといえば「トリプラネタリー」ではありませんでしたっけ?