24日(土)は、つくばはおのさん宅で開かれた自宅ゲーム会まで行ってきました。参加者は、おのさんの他、康さん・T.V.Flipperさん、それに僕の4人です。
この2日くらい前から喉の痛みがあらわれて微熱もあり、僕の体調は決して万全ではなかったのですが、クスリやサプリメントをがぶがぶ飲みまくり、何とかこの1日だけは体を持たすことが出来ました。このところ体調が良かったこともあり、ちょっと油断したらこのありさまです…
Fischmarkt (フィッシュマーケット) / Clementoni
漁船のお魚を買い取って売ります。
Clementoni社の新作競りゲーム。港に水揚げされた魚を競りによって漁船から買い上げ、互いに交渉して魚を売買を行い、最終的に所有する魚をお客に売って利益を上げるというのが大まかな流れ。
ラウンドの開始時に魚カードを3枚ずつ船に配布します。船はプレイヤー数だけ使います(今回は4隻なので場の魚カードは総計12枚)。魚カードは全10種で、大きくわけて2色(灰色と茶色が4種ずつ)と色のないカード(2種)があります。
ラウンドの開始時には他に、それぞれの色の魚がいくらで売却可能かが書かれているカードが秘密裏に配られます。場には、お客カードがプレイヤー数だけ公開されます。これらの情報をふまえて、秘密入札一斉公開な競りを行います。競りは漁船ごとに50ユーロを分配する形で行われます。漁船ごとに入札額が大きかったプレイヤーがその漁船の魚カード3枚を獲得します。
お客カードには各色ごとに1種類ずつ(つまり2種類)の魚が書かれており、これが売却可能な魚の種類を表しています。このお客カードは、競りが終わった後に、山札から1枚を追加した上で、ランダムに各プレイヤーへ1枚ずつ配布されます。受け取ったお客カードに書かれた2種類の魚だけが、このラウンドで売却可能なのです。つまり、競りが終わるまでは漁船から購入した魚カードを売却することが出来るかどうかはわからないというわけです。
売却することが出来ず売れ残ってしまった魚カードは廃棄され、しかも1枚ごとに5ユーロの罰金がかかります(限定的な回避方法あり・後述)。そこで交渉になるわけです。競りの後、購入した魚カードはプレイヤー間の自由交渉で交換や売買可能となります。
これが終了した後、最後に自分の持つお客カードに書かれた魚カードを所有していれば、それを売って利益を得ます。売却額は、ラウンド開始時に配布された価格カードに書かれています。色の付いていない2種類の魚カードは、それらとは無関係に固定額で販売可能です(売却額が魚カードに書いてあります)。
売れなかった魚カードは5ユーロの罰金を支払って廃棄することになりますが、「氷マーカー」を使って一時的な保存が可能です。1つの氷マーカーで保存可能な魚は1種類のみです(枚数は制限なし)。保存期間は次のラウンドまで。氷マーカーは各プレイヤーが2コずつ持っていて使い捨てです。
この後で、50ユーロを超える利益は専用トラック上で記録します。そして全員が手元に50ユーロだけ残して次のラウンドに入ります(競りは、毎ラウンド全員が50ユーロずつ所有している状態で行われるわけです)。これを4ラウンド繰り返し、最も利益を上げたプレイヤーの勝利です。
不安定なランダムな要素が多い競りゲームです。どの魚カードが入手出来るのか、それをいくらで売れるのか、そもそもお客は来るのか… それらは読みというより、ギャンブルに近い感覚です。ゲームの技術的な補填として自由交渉があり、それ自体は魚市場でのやりとりに雰囲気が似て楽しいです。まぁ、一発逆転があると言えば聞こえがいいのですが、運だけでも勝ててしまうバランスは問題があるかも。
このセッションで僕は、最終ラウンドに何もかもがうまくいってぼろ儲けとなり、大差で勝利しました。
http://www.boardgamegeek.com/game/22233
Mykerinos (ミケリノス王) / Ystari Games
「ケイラス」に続く Ystari Games の新作です。
プレイヤーは考古学者になります。エジプトの遺跡を発掘し、それを博物館に展示することで得点となります。しかし、遺跡の発掘も博物館の展示も、プレイヤーは互いに競い合わなければなりません。
遺跡は4つの「エリア」に分かれています(最終ラウンドは6エリア)。1つのエリアは2枚のタイルで構成され、それぞれのエリアは隣接しています。ほとんどのタイルにはパトロンを示すマークがひとつ描かれています。
ラウンドの開始時に各自8つのコマがストックから手元に補充されます。前のラウンドからコマが残っていればそれも使えます。これら手元のコマを使って遺跡の発掘を行うのです。手番では1~2個のコマを遺跡に配置します。置けなかったり、置きたくない場合はパスをして抜けます。全員がパスをしたら、各エリアでコマの数をカウントします。
それぞれのエリアにおいて、最もコマを配置したプレイヤーは、そのエリアのタイルを取るか、あるいは博物館にコマを置くかを選択します。エリアのコマ数が同数の時には、早くパスをしたプレイヤーに優先権があります。エリアには2枚のタイルがあるので、コマ数2位のプレイヤーにも同様の恩典があります(タイルが余っていれば3位以下のプレイヤーでも恩典を受けられる可能性があります)。
獲得したエリアのタイルを裏返すとパトロンのタイルとなります。最終的にパトロンタイルは1枚ごとに1点となりますが、博物館にコマを配置することで、その価値をさらに高めることが出来ます。また、パトロンタイルは、それぞれ固有の特殊効果を持っています。自分の手番でコマを配置する代わりに、所有する1枚のパトロンタイルの効果を使うことも可能です。パトロンの効果を使うと、より多くのコマの配置・博物館へのコマの配置・配置不能なマスへの配置等が行えます。
ドイツゲームの本流ともいえる陣取りメカニクスで、限られた資源と機会で最大の利得を上げることを狙うゲームです。単なる陣取りとしてだけではなく、平面的なポジション争いも盛り込んであって、実に深みのある作品に仕上げられています。ルールもさほど難しくありませんし、プレイタイムも60分ほどで終わります。しかしゲームは大変にシビアで、遺跡と博物館のどちらを優先するべきかは常に悩まされるでしょう。コマの配置は早い者勝ちだし、遺跡で負けるとパトロンの獲得が遅れます。
このセッションは初プレイだったので、パトロンの特殊効果の大きさを把握するのに時間がかかりました。プレイ経験のあるプレイヤーが序盤でパトロンを多く獲得して優位を確保し、結局はゲーム終了までその形のまま押し切られました。偶然要素が少ないので、一度離されると追いつくのは難しいゲームだと思います。
パトロンの特殊効果はどれも強力ですし、最終ラウンドはエリアが増えることもあり、その所有数がそのまま勝敗に繋がりやすくなっています。その点に注意しつつ、大きく離されないようにプレイを進めるべきでしょう。いずれにせよプレイ経験の差が出やすいゲームであるので、初プレイ者には5点ぐらいのハンデをあげてもいいような気がします。
http://ejf.cside.ne.jp/review/mykerinos.html
http://www.boardgamegeek.com/game/21441
Seeräuber (海賊組合) / Queen
あえて言おう。>これが年間大賞の最有力候補であると!(注:微熱あり)
あんまり僕がこのゲームを誉めるので、他の3人はちょいと引いていましたが。
各プレイヤーは海賊コマを5個持ちます。コマには「2」~「5」と「?」があります。これは海賊の強さではなく、お金を強奪する金額を表しています。プレイヤーにとって数値の大きな海賊コマが有能であることは違いありません。これらのコマを自分の前に公開して置きます。
手番では、自分のコマを他のコマに重ねることが出来ます。海賊コマを重ねることで「襲撃グループ」を組みます。襲撃グループは複数のプレイヤーのコマから成っていても構いません。また、襲撃グループにひとつのコマを重ねても構いませんし、襲撃グループを別の襲撃グループに積み重ねても構いません。襲撃グループのコマを動かすことが出来るのは、その一番上のコマ(リーダー)の持ち主だけです(例外あり/詳細略)。リーダーの下に積み重なったコマは見ることは誰も出来ません。
場には「船」が公開されています。「船」には、その船を襲撃するために必要な海賊の数(積み重ねられた海賊コマの数)と財宝が書かれています。財宝にはお金とアイテムの2種類があります。
そして手番では、コマを重ねて襲撃グループを組む代わりに、その襲撃グループによって船を襲撃することも出来ます。船を襲撃するためには、襲撃グループのコマの総数が船に書かれた必要人数と同じかそれ以上でなければなりません。海賊の数さえ満たせば襲撃は自動的に成功します。まずリーダーコマの持ち主が船に描かれているアイテムを獲得します。もし船にアイテムが2つあれば、上から2番目のコマの持ち主も残ったアイテムを獲得します。その後で財宝を分配します。
財宝の分配は、まずリーダーを「除いて」行います。リーダー以外のコマは、そこに書かれた数値だけお金を受け取ります(『?』の海賊コマは船ごとに受け取る財宝が異なっています)。それらの財宝を支払った後に、残った金額をリーダーの持ち主が受け取ります。もし支払うべきお金が不足している場合は、リーダーの持ち主が他のコマの持ち主に所持金から補填する形で支払わなければなりません。
これを船が無くなるまで続けます。ゲームが終了したらアイテムの種類ごとに獲得枚数を比較します。各種類ごとに最大枚数を所有するプレイヤーが、アイテムに書かれた数値だけお金を受け取ります。最終的に最もお金を多く所有するプレイヤーの勝利です。
僕にとって、このゲームがこの日最大の収穫になりました。これは面白かったです。繊細な駆け引きと計算が渦巻くユニークなアイデアで構成されたマネー&メモリーゲームです。もっとも「記憶」の要素はかなり薄く、リーダーが財宝の分配で赤字が出たとしてもアイテムを優先的に受け取れるので、最終的にそれでプラスの収支になるかもしれません。海賊コマの運用についての考え方はいろいろあって、いくつかの作戦も考えられるでしょう。
さすがはドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた作品だと思いました。題材が「襲撃」であることやリメイクということで若干不利な立場ではあるでしょうが、「海賊組合」が大賞に選ばれたとしても僕は不思議には思いません。
http://www.boardgamegeek.com/game/22287
http://jirai.blog62.fc2.com/blog-entry-86.html
Augsburg 1520 (アウグスブルグ) / Alea
これはフルカラーのプレイエイドが欲しくなりますね。
アレア・ブランドの新作ゲーム。ゲームの本質はちょっと変わった競りを軸とした開発・発展系のゲームです(テーマは大富豪の立身出世ですけれども)。
ゲームの目的は「名誉ポイント」をより多く獲得することです。これは階級のひとつである「身分」を上げれば、毎ラウンド獲得することが出来ます。「身分」が高ければ高いほど、一度に入る名誉ポイントは高くなります。
では「身分」を上げるにはどうしたらよいのでしょうか? それは自らの「役職」の影響で集まってきた貴族を「財力」で購入し、特権を獲得することで可能となります。この「役職」「財力」も「身分」と同じく「階級」です。3つの階級を上げることで、ゲームをより有利に進めることが出来るわけです。これらをふまえて、ゲームの流れをご説明いたしましょう。
ラウンド開始時に貴族カードが「役職」で規定された枚数だけ配布されます。配布された貴族カードから必要なカードを自己資金を支払って購入し、それを手札に入れます。この後、この貴族カードによって競りを行います。競りはボードに描かれた5人の貴族について1人1人順番に行います。
ある貴族の競りで入札に使うことの出来るのは、その貴族と同じ貴族カードかワイルドカードだけです。入札は「枚数」で宣言します。前の人と同枚数ビッド(フォロー)か、1枚以上多く(オーバービッド)をするか、あるいはパスをします。パス以外で全員が同じ枚数になったら競りは終了です。例:自分が「2枚」と入札し、他のプレイヤー全員が「フォロー」か「パス」したなら、貴族カード2枚で判定に入ります。
複数のプレイヤーが同枚数の貴族カードを入札した場合、数値の大きい貴族カードを持つ方が落札します。落札したプレイヤーは、場に並べられた「特権カード」を1枚選択します。1枚の特権カードには3つのことが書かれていますので、そのうち2つを選んで獲得します。
特権カードによって得られるもので、最も基本的な特典が「階級」です。すでに書いたように階級には財力・身分・役職の3種類あります。これらはゲーム的に「毎ラウンドごとの現金収入」「勝利得点の獲得」「毎ラウンド配布される貴族カードの枚数」を表しています。階級の高さは階級タイルによって表されています。ちょっと面白いのは、高い階級タイルには枚数に制限があることです(枚数は人数によって異なる)。場から無くなった階級タイルを獲得した場合、他のプレイヤーから奪い取って自分のものにします。
高い特権を取ると、さらに特別な「権利タイル」を獲得する機会を与えられます。権利タイルにはいろいろありますが、ゲーム的に重要なのは、得点の上限を超えることの出来るタイル「教会」「大聖堂」タイルでしょう。「教会」がなければ25点までしか名誉ポイントは上がりません。同様に「大聖堂」がなければ「45点」までです(『大聖堂』だけでは25点の壁は越えられないことに注意)。
ざっと説明すると以上のような感じです。アレアらしく扱う要素やそれに関与するするルールが多くて複雑そうに見えますが、本筋となる部分(競りと3種の階級獲得合戦)については、やりながらでも覚えられるほど素直です。プレイヤーが得るモノで、得たことによって不利益を伴うこともないため、有利不利が場を見れば一目瞭然という見通しの良さも特筆すべき点でしょう。それだけに、一部タイルの視認性が悪いのが気になりました。
オリジナルのセットには入っていないプレイエイドがメビウスの訳には添付してあって、それ自体は実に素晴らしいのですが、カラーイラストで説明されないと結局はわかりにくいのが欠点です。また邦訳について言えば、訳語の選択にもやや疑問があるように思いました。
ところで4人のセッションが終わった後に、少し時間が空いたので2人プレイも試してみました。さすがに2人だと進行はかなり早くてあっという間に終わります(ラウンド数も短いですし)。ゲームの深みは2人プレイでは感じることは出来ませんでしたが、ルールを習得するための練習と考えればいいかも。ちなみに「アウグスブルグ」の箱に書かれたプレイタイムは「25~75分」とあり、確かに2人プレイであれば30分以内で終わりますね。
http://www.boardgamegeek.com/game/21892
Was'n das? / Ravensburger
お題をヘンテコなコンポーネントで何とか作り上げて、それを他の人が当てるコミュニケーションゲーム。ルールの運用が怪しかったので詳しいレポートは避けますが、とてもユニークなパーティグッズなのは確かのようです。
ただ、相変わらず僕はこの手のイマジネーションを膨らますタイプのゲームが大の苦手(僕がRPGをやらない理由もそれです)なのと、このあたりで体調が崩れてきたのがあって、今ひとつ楽しめませんでした。すいません。
http://www.boardgamegeek.com/game/22340
Taj Mahal (タージマハル) / Alea
最後はこのゲームで〆ました。
久しぶりにプレイしました。が、内容はさんざんでした。そりゃもう自己嫌悪に陥るくらい。
7ラウンドで大きな競りに負け、カード資産が極端に減ってからはもうじり貧で、心理的には半ばモラル崩壊を起こしていました。実際の形勢も、トップの康さんがこの時点で点数的に他を大きく引き離しており、もはや他の誰にも勝利はありえない形になっていました。「タージマハル」は、ひとたび誰かに点数が大きく入ったり、競りで狙っているものが複数のラウンドでバッティングしまくると極端に場が偏るような気がします。
ただ僕にも反省すべき点が多くあって、ここで諦めてしまうより少なくとも2位は狙ってプレイするべきだったなぁ、と。こんなことで言い訳するのはみっともないのですけれども、体調的に不調なこともあって粘りに欠けてしまったのは悔やんでも悔やみきれないところ。ゲームですから勝ち負けはつき物だとしても、負け方が悪かったのは自分の責任です。一緒にプレイしたみなさまには大変に失礼しました。
http://ejf.cside.ne.jp/review/tadschmahal.html
レポートは以上です。
体調はだんだん悪くなってくるばかりなので、アフターの食事は遠慮してお先に失礼させていただきました(実際、この後数日に渡って寝込むことになります)。ともかくも、素晴らしいセッションとゲームに恵まれた充実の1日となりました。最後の「タージマハル」は個人的にダメダメなセッションとなってしまいましたが、ゲームそのものの面白さは堪能しましたし、次への課題が出来たということで(無理やりにでもに前向きになってみる)。
自宅を開放していただいたおのさん(とそのご家族)には心から感謝いたします。
本日はどうもお疲れさまでした>参加者ご一同様
またぜひ遊びましょう~
コメント
コメント一覧 (2)
私も頒布会の関係でノミネート作は5つすべてやりましたが、個人的な好みでは
海賊組合はかなりのツボでした!
お互いのモロな干渉がありながら手軽なルール(その場でルールブックを初めて開いてゲームが終わるまで1時間ぐらいでした)が良い感じです☆
これをやるまでは大賞は手間がかかってもおkならブルームーンシティー?有力は郵便馬車?と個人的には思ってましたが箱庭度が低く手軽というのは大賞でも全く不思議じゃない気がします。
ちなみにプレイ当日私も風邪気味でした(笑
風邪を引いてると面白さが倍加するとかそんなことはないですよね?(笑
元のゲームをやったことがないからということもありますけれども「海賊組合」は新鮮な驚きを感じました。大賞うんぬんはともかくとして、長く遊ばれて欲しいゲームのひとつです。風邪の影響はたぶんないと思います(汗)。