28日(土)は、袋小路の「重たいゲームの特別例会」に参加しきました。みなさんご存じ通り、袋小路は、門戸を大きく開いている日本有数のメガゲームサークルであり、通常の例会では比較的軽めのゲームが遊ばれることが多いです。しかしゲームに慣れ親しんでいくにしたがって、長い時間がかかっても、あるいはルールが多くても、どうしても遊んでみたいというゲームが誰でも増えていくものでもあります。

そういう需要に応えたのが、年に2度くらいのペースで開催されているこの「重たいゲーム」専用の特別例会です。時間も朝の9時~21時30分までと長めに会場を押さえてあり、重たいゲームをまる1日楽しめるような環境になるよう配慮されています。

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さて、今回僕が事前にがんばって準備を進めたのが「Roads & Boats /Splotter Spellen」です。再販されたのかされるのかわかりませんが、そういう話も出ているようです。このゲームは、資源を産出してそれを工場に運んで加工し、より価値の高い生産物を作るという、開拓・発展がテーマの箱庭系ゲームです。

Splotter の初期のゲーム(1999年初版発売)で、精密でありながらプレイアブルな開発ゲームとして、主にフリークたちに注目されました。しかし、発売数が少なくてすぐに市場から消えてしまい、しばらくは知る人ぞ知る幻のゲームでした。BoardGameGeek での評価は一貫して高く、8点前後に貼り付いたまま何年もキープし続けています。

ちなみに2年半ほど前、某サークルで「R&Bやりませんか?」と提案したら軽くスルーされまして(泣)、それでケチがついたのか、以来ずっとプレイする機会がないままでいました。ところが数ヶ月前から、僕の周囲の別方面のゲーム仲間の方々が、このゲームを注目するようになりまして、それでやっと僕も自分のセットを使ってプレイする気になった次第です。


Roads & Boats /Splotter Spellen moon Gamermoon Gamer

全て手動な箱庭ゲーム。3人。

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ゲームは「カタン」のようなヘクスタイルを敷き詰め、その上に透明なプラシートを覆い被せるようにしてから、それをテープで留めてセットアップします。このプラシートの上には、ゲーム中にマーカーペンによって「道路」が引かれます。

ゲームは「(再)生産フェイズ」「移動フェイズ」「建設フェイズ」「ワンダーフェイズ」で構成されます。まず何かが作り出され、その後で盤上でさまざまなモノの移動が行われた後に、それらを利用した建設が実施されます。そして最後に「ワンダー」の建設を任意で行います。

何かを生み出す「生産拠点(Puroducer)」には2種類あります。自然の資源(産物/Goods)を産出する「第一次生産拠点(Primary Producer)」と、産物を投入(インプット)することで、別の生産物を作り出す(アウトプット)する「第二次生産拠点(Secondary Producer)」です。例えば、第一次生産拠点のひとつである「きこり(Woodcutter)」は、「森」で「丸太(Trunks)」を産出します。「丸太」ひと山を第二次生産拠点の「製材所(Sawmill)」に投入することで「木板(Board)」が2枚産出されます。

これらの産物を運搬したり、投入したり、あるいは産出された産物を受け取ったりする役割を果たすのが「輸送隊(Transporter)」です。輸送隊には何種類かありますが、大きく陸上用と水上用に大きく分類されます。

陸上用輸送隊は、「ロバ」を除いて道路上しか移動することが出来ません。「ロバ」は陸上であれば道路の無くても隣接ヘクスに移動可能です。この「道路」は、建設フェイズにおいて、プレイヤーが資源を投入して作ることが出来ます。前述したように「道路」はプラシート上にマーカーペンで実際に線を引いて表します。道路はヘクスの中央から中央へと引かれます。「川」を越えるためには「橋」を別途資源を支払って作らなければなりません。

水上用輸送隊は、「海」か「川」、あるいは「海岸」上に停泊することが可能です。海岸上や川にある水上用輸送隊は、陸上と産物のやり取りや、そのヘクス上での建設などが可能となります。

それぞれの輸送隊は専用の工場で生産することが出来ます。これも建設フェイズで、必要な資源を支払うことで建設しますが、より上位タイプの輸送隊を製造する工場を建設するためには、それに対応する「研究(Research)」を先に行っておかなければなりません。「研究」によって、より高度な輸送隊の生産拠点や、特殊な鉱山を発掘することが可能になります。「研究」には「ガチョウ」2羽と「紙」1枚が必要です。どうも「ガチョウ」は実験動物のようですね。moon Gamer

さらに「ワンダー(Wonder/驚異・不思議)」の建設に寄与することで得点を獲得することが出来ます。ワンダーの建設には産物が必要です。ワンダー建設が完了することでゲームが終了します。もちろん得点の多い人が勝利です。

このゲームの大きな特徴は、「建築物は公共のものである」という点です。ボード上で建設された建物は、誰が建てたものであろうと、誰もが自由に利用することが出来ます。第一次生産拠点はオートマティックに産物を毎ターン生み出します。第二次生産拠点であれば、誰がそこへ資源をインプットしても、アウトプットを得ることが出来ます(ただし、生産拠点の種類ごとに、ひとつのターンで産出する産物の上限数は決まっています)。

一方、輸送隊は所有者が明確に決まっています。輸送隊が運搬している産物も、その輸送隊のものであって、強引にそれらを奪い取ることは決して出来ません。

他人の動きを制限するには「壁(Wall)」を使います。ヘクスとヘクスの間(辺)に「壁」を作ることで、その「壁」の所有者以外の通行をストップさせることが出来ます。当然ながらこの「壁」は破壊することも可能で、このゲームでは唯一とも言える直接攻撃手段です。これに対抗するために「壁」は余分なコストを支払うことで2重・3重に強化することも可能です。

もうひとつ特徴的なルールが「競合(Conflict)」です。実はこのゲームの各フェイズは、全プレイヤーが同時にプレイを行います。生産や産出において「誰が最初に行うか」という順番が問題になった場合は、全て「競合」ルールによって一本化した判定が行われます。端的に言えば、ゲーム内の実行優先順位は、決められたプレイ順にしたがって処理されるようになっています。

そのプレイ順はターン開始時に変えることが可能です。これはルールで決められた処理で実施されます。「競合」ルールは、このゲームにおいて駆け引きの重要な要因のひとつとなっています。

「全員同時プレイ」という混乱しそうなシステムであるにもかかわらず、単純明快な「競合」ルールによって優先順が機械的に決められているので、この点においては一切の紛れがありません。しかも同時プレイの効果によって待ち時間がほとんどないというのは特筆すべき点でしょう。長い時間のかかるゲームなのに、ゲームは息つく暇もなくどんどん流れていきます。

盤上で大量のコマを少しずつ操作して、徐々に拡大再生産の規模を広げていくさまは、まるで小さなジオラマや箱庭を丹念に作り上げていくようでもあります。資源の循環があり、効率的に開発・発展させていくための道筋がシステムで用意されていて、プレイヤーはそれらの情報を元に、時には他人と衝突しながらも、思うがままに世界のありようを設計し、それらを少しずつ育て上げていきます。その創造の過程は純粋に楽しく、実に面白い作業です。

しかし、それ以外の自動的に行われる手続きや処理の多さにはちょっと参ってしまいました。第一次生産拠点には、毎ターン自動的に産物がにじみ出てきます。第二次生産拠点のタイル上に産物が落ちていれば、それらは自動的に加工されます。それらはゲームの重要なテクニックとしても使えますが、細かくて種類の多いコマのやり取りを、プレイエイド片手にボードとストックを行き来しながら煩雑に行わなければならず、この手間はけっこうなストレスになりました。

また、僕の持っているセットに付属していた透明プラシートが、経年劣化のための波打ってしまっており、これがプレイアビリティを一層下げる結果ともなりました。コンポーネントの問題は他で代用するアイデアが浮かびましたが、自動処理を効率的に行うには慣れるしかないのでしょう。今回は3人プレイでしたが、僕としてはこれくらいの人数でいっぱいいっぱいです。

このセッションでは、慣れないやや複雑なゲームだったためか、全員が序盤でプレイングミスを連発してどうなることかと思いました。少ししたら落ち着いたのですが、それでも思った以上に時間がかかりそうだったため、2時間を経過したあたりで無理を言って協議終了とさせてもらいました。インスト+セットアップに1時間ほどかかっているので、主観的には3時間以上の時間を費やしたことになります。

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基本的には同時プレイということもあり、他プレイヤーの行動に対する厳密なルールチェックが難しい(というか無理)ため、その場でインストして行うにはあまり向いていないゲームだと思いました。遊ぶならプレイヤーは事前にルールを読み合っていた方が良いでしょう。

ということで、このゲームの日本語訳ルールを写真のようにまとめてみました(ピンク色っぽいチャートは BGG で配布されているプレイエイド)。これは現在調整中ですが、後日 pgdb に登録する予定です。

ともあれ、楽しい要素が盛りだくさんで、ものすごく好きなタイプのゲームであることには違いなく、今後も長くプレイし続けていきたいゲームです。であるからこそ、戦略だけに自然と集中することの出来る気持ち良い環境を作り上げる工夫を考えたいと思います。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/875


Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers moon Gamer

最後の最後で… 4人。

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18世紀前後の英国運河開発史をテーマにしたゲームです。個人的には今回で3回目のセッションとなります。 前回のレポートと簡単なレビューは、こちらのエントリーをどうぞ。

さて、前回のレビューで省略した「最終ラウンド」についてちょっと説明しましょう。このゲームの終了フラグが立つのは、「(人数に応じて)指定された得点に達したプレイヤーが出現した」か、あるいは「契約書の最後の5枚が場に出た(=契約書の山札が無くなった)」時です。まず、終了フラグが立ったラウンドは最後までプレイした上で、そこからさらに2ラウンド(2手番ずつ)をプレイします。

ちなみに、このゲームのスタートプレイヤーは「赤」プレイヤーであるとルールで決まっています。ですから、ラウンドの最後は赤プレイヤーの前のプレイヤーの手番が終了した時点、ということになります。

そして最後のプレイヤーの手番が終了した後、未完成の運河の得点計算をします。さらにこの後には「商品の減少(Goods Decline)」という特殊なラウンドが開始されます。これは、盤上にある商品トークンを可能な限り輸送するだけのラウンドです。

「商品の減少」ラウンドでは、最も小さな番号のエンジニアカードを所持するプレイヤーから番号順に手番を回します。1手番では、盤上の商品を1個だけ輸送します。もちろんこのラウンドでも、通常の商品輸送と同じように得点が入ります。ルールに則って可能な限り商品を輸送したら、これでやっと最終ラウンドが終了します。

最後に、達成した契約書の枚数の多少によってボーナス点が加算されます。4人ゲームの場合、最多契約者は10点ですが最下位は1点しか入りません。実はこれもなかなか大きな点数となります。

というように、点数を獲得する手段は各種あり、最終ラウンドまで気を抜けないというスリリングな面を持ち合わせた良いゲームです。ルールがちょっとばかり長くてインストで説明することは多いのですが、それらはとても理解しやすい構造になっていますので、実際にゲームが始まったら全貌を理解することは容易かと思います。

このセッションで僕は、前2回の経験を生かして、マップ中央の都市周辺に運河を建設するような契約を取ることを心がけました。また、議会に置かれたカードの関係でそれが難しい時には、とりあえずどこでもいいからシティを押さえておいて、ゲーム後半にそれが上手くつながったらラッキー、くらいの気持ちでプレイしました。

また、エンジニアは前半に「Brindley(直線路カードで水路タイル配置可能/別名ロックマン)」や「Telford(水路カード1枚で水路タイル配置可能/別名アクアマン)」等を利用して、少ない手札で効率的に運河の建設に努めるようにもしました。

このこともあって中盤までは点数的にかなり優位に立ちました。中盤を過ぎてからは、他のプレイヤーが慣れてきたこともあって、かなりポイントを詰められてしまいましたが、マップ上の運河の接続状況や商品の配置も良好な形となっていたため、実はかなり楽観視していました。最終ラウンドに入っても状況はそれほど変わらず、3ゲーム目にしてやっと勝てたかな? と、ここでうっかり安心したのが大間違いの始まりで…

何を血迷ったのか、最終手番の第3フェイズ(最終フェイズ)で建設カードを取ってしまうというあり得ないミスをしでかしてしまったのでした。ここはどう考えても商品輸送に決まっています(建設カードを取っても手番がもう回ってこないので無駄)。おかげで輸送によって入るはずだった5点を失ったばかりか、2位のプレイヤーにその商品を運ばれて5点を入れられてしまいました。順位的には辛うじて2位でしたが、勝てたゲームをしょうもないミスで失った痛恨の一局でした。とほほ…moon Gamer

まぁ勝敗はともかくとして、3ゲーム目にして僕はようやく「カナルマニア」の戦略の立て方がわかってような気がします。前回は議会の巡り合わせの悪さを嘆きましたが、今回はそれはそれとして別のことを考える余裕がありました。そして1手でも間違えると勝てないという厳しいゲームであったことがわかっただけでも収穫です。

どうしても2時間はかかってしまうゲームなのですが、ルールは「乗車券」っぽい感じでそれほど難しくはなく、気楽に再プレイを考えられるあたりがまたいいですね。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


レポートは以上です。

まだ時間的には余裕があったのですが、体力的に自信が無かったので、少し早めに上がりました。実は2日前に、ほぼ持病とも言える腰痛(+背筋痛)症状が出てきまして、この日は湿布と鎮痛剤で痛みを抑えつつゲームを遊んでいたのでした(アホですな)。

そういうこともあって早めに帰ったのですが… 歩いている最中に、背筋痛がどんどんひどくなってきてしまい、池袋駅に着いた頃には立っているのがやっとの状況にまでなってしまいました。この状態で駅の階段を重い荷物を持って上り下りする自信がまったく無かったため、しょうがないので地元までタクシーに乗って帰りました。体調が良ければアフターまで付き合う予定だったのに残念です。

僕の体調は置いておくとして、この特別例会では「1830」「1890」「タイタン」「ケイラス」「電力会社」などの卓があちこちで立っていて大盛況でした。問題が無かったわけではありませんが、この会自体はおおむね成功だったと言えましょう。次回開催時には、ぜひまた参加したいと思います。
どうもお疲れさまでした&ありがとうございました>参加者各位 moon Gamer