11日(日)は、新婚ホヤホヤ(死語)のカワサキさん宅で開かれたゲーム会にお呼ばれされて行ってまいりました。参加者はカワサキさんの他に、タクヤさん、A葉某さん、それに僕の4人でした(僕が帰った後にこいちさんが参加)。それぞれイベント等ではよくお会いするのですが、まとまった時間を取ってゲームを遊ぶことが少ない方々ばかりでしたので、数日前から入念に準備し、はりきって参加してきました。
この日、昼間は暖かいくらいの陽気で、また風も強く、そのおかげで飛び始めたスギ花粉が舞い散っていたようです。十分にケアして行ったので、そんなにひどくは症状が出なかったのは幸いでした。
Space Dealer (スペースディーラー) / JKLM Games


リアルタイムなSF&交易ゲーム。

プレイは同時進行で、砂時計(1分計)を使ってアクションを管理します。
ゲームの目的は、「商品」を「宇宙船」を使って、「需要」のある「他のプレイヤーの惑星」に運搬することです。そうすることで得点が入ります。「商品」は「自分の惑星」で「テクノロジーカード」によって生産することが出来ます。
「テクノロジーカード」を自惑星上で動作させるためには「発電所」が必要です。より強力な「発電所」を手に入れるためには、自惑星の「テックレベル」を上昇させる必要があります。「テックレベル」を上昇させると、生産力が増強したり、さらに新たな需要が発生させるような機会を得ることが出来ます。
このように、「スペースディーラー」には、プレイヤーが選択可能なアクションがいくつもあります。プレイヤーはまず、アクションに対して「砂時計(1分計)」を割り当て、その砂が落ちきった時点で、そのアクションを実行することが出来ます。砂時計は2つありますので、同時に2つのアクションに対して割り当てることが出来ます。
そしてこれらのプレイを全員が同時に行います。ゲームはノンストップで瞬く間に進行し、ちょうど30分を経過した時点で終了します。ですので、このゲームには、プレイタイム30分を計測するための音楽が入ったCDが同梱されています(もちろんストップウォッチやキッチンタイマーでも代用可能です)。
他のプレイヤーの惑星に配置されたテクノロジーカードには「需要」が描かれているものがあります。「需要」は商品の色で指定されており、他のプレイヤーが需要で指定された色の商品キューブを、その惑星へと運び込むことで得点を獲得することが出来ます。需要の商品はたいていが複数個・複数色で指定されています。
これらの需要は、一度満たされると(つまり誰かがその需要で得点を獲得すると)その後は誰も使えなくなります。早い者勝ちというわけです。限られた需要をいち早く満たそうとするために、「計画」→「生産」→「運搬」→「売却」と連なる一連の段取りを瞬時に立案し、それを正確に実施することで、厳しい商戦を勝ち抜いていくのです。
また、将来のために「拡充」も行うなど、先行投資も視野にいれた総合的な商略も必要となります。一般に、このようなアクションゲームは、反射神経だけを競うような構造の作品が多いのですが、「スペースディーラー」は、それらの単純なゲームとは一線を画した上質な戦略ゲームとしてデザインされています。
内容的にはとても面白そうなゲームで、実際にこのセッションは十分に楽しめました。が、ルールに曖昧な点があったのはちょっと残念でした(今回は事前にいくつかの「決め」を協議しておいたので実際には問題とはなりませんでしたけれども)。それと、プレイタイムの計測はCDの音楽を使った方が断然良いと思います。
http://ejf.cside.ne.jp/review/spacedealer.html
The Thief of Baghdad (バグダッドの盗賊) / Queen
衛兵に手引きされながら盗みに入ります。

カードマネージメントが主な宝箱獲得競争。
マップには、色の異なる「宮殿」が6つあります。「宮殿」には「衛兵」が最大で4人ずつ配置することが可能です。彼らが守っているのは、その中にある「宝箱」です。プレイヤーの目的は、この「宝箱」4つ(4人プレイ時)をいち早く獲得することです。
宝箱を獲得するには「盗賊」が必要です。面白いことに、プレイヤーは宮殿を守るべき「衛兵」と、その仇敵である「盗賊」を同時に扱います。「衛兵」にしろ「盗賊」にしろ、それを盤上で移動させるためには「カード(宮殿カード)」が必要です。
プレイヤーの手番で行うことが可能なアクションは以下の4つです。
A.盗賊を宮殿に送り込む
B.衛兵を別の宮殿へ移動
C.衛兵と一緒に別の宮殿へ移動
D.中立の衛兵を別の宮殿へ移動
プレイヤーは複数の盗賊コマを手元に持っています。これを宮殿に送り込むには、その宮殿に自分の衛兵がいることと、さらに自分以外の衛兵が少なくとも1つはいなければなりません。自分以外の衛兵コマ1個について、1枚の宮殿カード(送り込む宮殿と同じ色であることが条件)をコストとして支払えば、手元から盗賊コマ1個を送り込むことが出来ます(A)。
衛兵を別の宮殿へ移動させるにも宮殿カードを使います。移動元か移動先の宮殿と同じ色の宮殿カードを1枚支払えば、1個の自分の衛兵コマを移動することが出来ます(B)。また、衛兵の移動元の宮殿に自分の盗賊コマがあれば、1個だけ衛兵と一緒に移動先の宮殿に送り込むことが出来ます(C)。
中立の衛兵コマは黒い色をしています。これを移動させるには、移動元と移動先の宮殿の色のカードを1枚ずつ計2枚をプレイしなければなりません(D)。衛兵コマはひとつの宮殿に4個までしか置けませんし、他プレイヤーの衛兵コマを移動させることは出来ません。
宮殿に配置されている宝箱は、セットアップ時に4枚ずつ積み重ねられています。宝箱には「重さ」があって、「4」→「5」→「6」→「7」の順番で重ねられています。宝箱は、各宮殿に重ねられている一番上のコマから盗まれていきます。ある宝箱を盗むには、重さと同じ数の盗賊コマが必要です。自分の盗賊コマを集めることが出来たら、宝箱を取って自分の手元に置きます。また、それを行った盗賊コマも手元に戻します。
これらの「A」~「D」のアクションは、複数回行うことが出来ます。同じアクションを繰り返しても構いません。ただし、盗賊の送り込み(A)と盗賊の移動(C)は、合計して3回しか行うことは出来ません。
手番の最後に山札から宮殿カードを3枚引いて手札に補充します。なお、何もアクションを行わなければ4枚の補充が行えます。この時に限って、どの色の宮殿カードとしても使える「ダンサーカード」を1枚引くことが出来ます(4枚補充のうち1枚のみ)。
こうして、4つ(4人プレイ時)の宝箱を獲得したプレイヤーの勝利です。
例外の少ないクリーンなメカニクスが特徴のゲームです。すべてのアクションはカードをプレイすることによって実施されますので、プレイングはそのマネージメントが基本となります。
カード引きの流れが悪い時には、盤上を整えておくか、あるいは他プレイヤーの妨害に走るようにしてチャンスを待つことになるでしょう。妨害は、誰かに取られそうな金庫のある宮殿へ、自分や中立の衛兵を送り込むことで行えます。
終盤になると、このような牽制がよく発生し、自分の手番が回ってくるまでに状況が変わりすぎて先が読みづらいように思えました。だんだんと金庫も重くなることも、それを助長しています。ひょっとしてプレイヤー数が3人くらいだと、もう少し見通しの良くなって、より戦略的なゲームとして印象が変わるかもしれません。
このセッションでは、4人とも3つの宝箱を抱えて全員リーチの状況から膠着状態が続きましたが、辛抱強く最後まで粘り続けたA葉某さんの勝利となりました。
http://www.boardgamegeek.com/game/22278
Yspahan (イスファハン) / Ystari Games

どこへ持って行っても好評でうれしい。

このところヘビーローテな「イスファハン」。スピーディかつほどよく運の要素がまぶされていながら、考えどころも満載な戦略ゲーム。
「イスファハン」のセッションにおいて、大きな流れを決める要素に「キャラバン」があります。キャラバンにコマを少しずつ積み上げることで後半に大量得点を狙う作戦は、単独で達成するのが困難であるため、同調してくれるプレイヤーの存在が必須です。得点的に下位のプレイヤーが結託してキャラバンに投資し、上位プレイヤーの立場を脅かすような展開は理想型のひとつと言えます。
しかし、キャラバンにコマを送り出すには、行政官を移動させる共通アクションを選択するか、あるいはカードの効果を使う必要があります。後者はともかくとして、前者をわざわざ選択するのはなかなか勇気のいる決断とも言えます。キャラバンの効果はすぐには見えづらいですし、行政官を選ぶくらいならカードを1枚引いた方が良いと考える方が自然でしょう。
しかし、明らかに行政官を選択した方が良いシチュエーションもあります。得点の多くを商店から得ているプレイヤーが他にいて、そのプレイヤーが「バザー(完成したスークごとに+2点)を建設している時がある場合などです。特に、そういうプレイヤーがラクダを持っていない時には、スークの完成を阻む攻撃のチャンスでもあります。ラクダはリソースとしてだけではなく、このように防御にも役立つので、手元から枯れないよう留意しておくことは、さりげないテクニックとして覚えていて損はありません。
このセッションでは最初の週で「バザー」をいきなり建設したタクヤさんが大量得点を上げ、そのまま最後までトップを独走しました。最初の週で行政官を選択しておけば、この独走を止めるのに効きそうな状況があったのですが、そこでどうも判断を誤ったようです。もちろん、初プレイでありながら的確なアクションを選択し、ゲームを通して揺るぎないトップを固持したタクヤさんの素晴らしいプレイングが最大の勝因であることは強調しておきましょう。
ということで、まだ当面は「イスファハン」を楽しめそうです。
http://www.boardgamegeek.com/game/22345
ルールの達人 / 創作ゲーム(カワサキファクトリー)

カワサキさんの新作。

次のゲームマーケットで発売予定とのこと。
※このゲームは調整中であり、実際に発売されるゲームとは内容が異なる可能性があります。また、レポート中で書かれている用語は正式なものではありません。
カードには大きく2種類あります。数値の書かれた「数字カード」と、達成条件の書かれた「ルールカード」です。数字カードには数値の他に複数の色に分けられています。プレイヤーは、それぞれのカードを規定の枚数ずつ手札として持ちます。場には、数字カードとルールカードの山札があり、両方ともプレイヤー数分だけめくって、そのすべてを全員が見えるように置いておきます。
4人プレイの場合はダミープレイヤーが1人存在します。ダミープレイヤーはカードを持ちません。なお、場にオープンするカードの枚数にダミープレイヤーの分は入れません(4人プレイ時は、場に数字カードとルールカードを4枚ずつ計8枚を公開)。これで準備は完了です。
スタートプレイヤーから順に、自分の手前に手札から任意のカードを1枚ずつ表向きにプレイします。ここでプレイするカードは数字カードでもルールカードでも構いません(詳細後述)。ただし、ルールカードは、まだ他人がプレイしていないルールカードのみプレイ可能です。そのようなルールカードを持っていないのであれば、手札のルールカードをすべて公開した上で、任意のルールカードをプレイします。
手番プレイヤーがカードをプレイしたら、それと同じ種類のカード(数字かルール)を、場に公開されているカードから1枚を選んで手札に補充します。全員が1枚ずつ、数字カードかルールカードをプレイしたら、ダミープレイヤーがプレイしたとして数字カードを1枚めくって公開します。
続いて再びスタートプレイヤーから順に、自分の手前に手札から任意のカードを1枚ずつ表向きにプレイして行きます(2巡目)。この時にプレイ可能なカードは、1巡目で自分がプレイしたカードとは異なる種類のカード(例えば、1巡目が数字カードなら2巡目はルールカード)です。ここでも1巡目と同じように、プレイ後は場からカードを補充します(※なので、2巡目を終えた段階で場のカードはすべて無くなります)。
全員が2巡目のカードをプレイしたら、自分がプレイしたルールカードに記載された条件が達成されているかを個々に判定します。達成されたのであれば、自分がプレイしたルールカードを得点として獲得します(そうでなければ捨てます)。次はスタートプレイヤーを左隣に移動させて、同様の手順を繰り返します。これを規定回数だけプレイしたらゲーム終了です。
ゲーム終了後に得点計算を行います。基本的には、獲得したルールカード1枚につき1点です。この他に、獲得ルールカードの組み合わせや枚数によってボーナス点も入ります。それらの合計点が多いプレイヤーの勝利です。
得点ルールや勝利条件が未確定のままゲームを開始し、進行するにしたがって決まっていく(あるいは変化する)というタイプのゲームはすでにいくつかあります。「ルールの達人」がそれらと比べて優れているのは「シンプルである」という点に尽きます。同系統のゲームはたいてい、大量のルールバリエーションを用意することでボリュームを持たせていることが多いのですが、「ルールの達人」は、それらの複雑な要素をばっさりと切り捨て、気軽に誰でも遊べる間口の広いゲームとして構成されています。
実際、このゲームのルールはとても簡単で、例外はほとんどありません。プレイ中のテンポも良く、適度に悩ましく、そして適度に笑えるという、まさにカワサキファクトリー・ブランドの特徴がよく表れた上質な作品であると言えましょう。このセッションは、大いに楽しませていただきました。まだ細かいところは調整中とのことで、完成が実に待ち遠しい作品です。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~k-saki/
Stimmvieh (政治献金ゲーム) / BeWitched Spiele
あれ? 4人でも面白いじゃん

ベストが5人プレイだと思いきや、このセッションでは普通に面白かったです。カードの出現パターンが良かっただけなのか、それとも? いや、ほんとに不思議なゲームだ。
今回は2回ゲームをやって、そのトータルで勝敗を決めました。僕は最初のゲームではひたすら献金集めにだけ走って100金オーバーを達成。2ゲーム目は、方針を変えて票集めに走ったのですが、献金がまるで集まらなかったために沈みました。カウンティングをもっとマジメにやっていれば… 票集めに走った時には、各プレイヤーの得票数くらいは確実に把握していないと勝敗に絡みようが無くなります。当然か…
ところで、ルールブックには書かれていないのですが、ゲーム終了時に得票数で上位に入って献金額が倍になることを「当選」、そうでないことを「落選」と言うようにしています。そう表現した方がわかりやすいですからね。
http://www.boardgamegeek.com/game/2733
Shear Panic (シアーパニック) / Mayfair Games
ビッグサイズなフィギュアがまたよく出来ています。

羊をうまくコントロールして、より多くの得点をたたき出すゲーム。思ったよりアブストラクトっぽい内容でした。
4人プレイ時、各プレイヤーは自分の「羊コマ」を2個ずつ持ちます。ゲーム開始時に、まず中立となる「黒い羊」コマを置き、その周囲を取り囲むようにプレイヤーの羊コマを配置します(配置順はルールに定められていて、3×3に並べます)。羊コマには「方向」があり、すなわち頭のある方が「前方」となります。ゲーム中、すべての羊コマは同じ方向を向きますが、方向が変わることもあります。
各プレイヤーは「コントロールマット」を1枚ずつ持ちます。これには7種類のアクションがマスの中に書かれています。アクション種類によっては複数のマスに同一のアクションが描かれていて、マスは全部で「12」あります。
プレイヤーは手番において、自分のコントロールマットからひとつのアクションを選択し、それを実施します。選択したマスにはチップを配置して、以後、そのアクションはゲーム終了まで実行することは出来ません。
アクションはすべて場の羊コマを操作するものです。羊コマを移動させたり、他の羊コマを押したり(スラム)、ジャンプしたり、ひとつの辺に寄せたり、あるいは方向を90度変えたりします。こうすることで、羊コマの群れはさまざな隊形を作ります。この隊形がルールに規定された状態になっていれば得点を獲得します。
ところでこのゲームは、進行するにしたがって羊コマがいくつかの種類の「コース」を通り抜けることになっています。コースには4種類あって、各コースを順番に通過します。プレイヤーがアクションを選択すると「タイマートラック」上でマーカーが1~3マス進みます。このマーカーの進み具合によって、羊コマがどのコースを走っているのかが定義されるのです。
例えば、最初のコース(タイマートラックの『1』~『12』まで/4人プレイ時)では、手番で自分の2つの羊コマが隣接することによって得点が入ります。2つめのコースではタイマートラックの2つの箇所にしか得点機会がなく、その時点で群れの「前」にいた方がより多くの得点が入ります。4番目のコースに至っては、最前列の羊コマがゲームから除去されてしまいます。
このように、ゲーム中に得点方法が次々と変わるのが「シアーパニック」の大きな特徴です。ですので、臨機応変に羊コマのポジション取りを考えるあたりがゲーム性の柱になっているはずなのですが、これがどうにも難しかったです。
というのも、実施可能なアクション数が徐々に減って選択肢が少なくなることと、次の手番が回って来る間にたいてい場の状況が一変しているからです。だから結局は、手番ごとにその場しのぎのアクションを選択するしかないという局面が多く発生することになります。悩ましい要素はてんこもりといえなそうなのですが、常に混沌状態なだけ、という気もしました。
また、フィギュアも細部まで良く作り込まれてかわいらしく、なのでライトなゲームかと思っていたら、どうも少し違っていたのには少し戸惑いを覚えました。
上で詳しくは書きませんでしたが、他にも羊コマが群れから離れてしまった場合の「再集結」や、タイマートラック上で特定のマスにマーカーを停止させると追加でスラムアクションが行えたりと、プレイ中の選択肢は多く、それに伴ってルール的なボリュームもけっこうあります。
ライトユーザにはこのルールのボリュームが負担になるでしょう、フリークは戦略性の乏しさを不満に思うでしょう。商品として、ターゲットの客層を絞り切れていないようなアンバランスさが感じられます。
とはいえ、このセッションはそれなりに楽しかったです。中盤まではトタバタと動きの激しいだけのゲームでしたが、最後はきっちり先読みと駆け引きの入った普通のゲームに変貌しましたし。これは本日のメンツにも恵まれたということもあるでしょうね。
http://www.boardgamegeek.com/game/18866
レポートは以上です。
ここで僕は時間切れ。合流したこいちさんと入れ替わるような形で帰宅しました。ゲーム会はこの後も夜を徹して朝方まで続いて行われた模様。みなさん元気というか、気合い入りまくりです。その熱気のおかげで僕の方も特に疲れもなく、実はそのままずっとゲームをやっていても大丈夫だったんじゃないかと感じたくらいです。
みなさま、どうもお疲れさまでした。楽しい時間を過ごせました。
またぜひお誘いください。
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