18日(日)は、上北沢で開かれたSGCの2月例会に参加してきました。今回は少し長いゲームをプレイしたいなー、という気分だったので、紆余曲折のタイトル選びの末に、選挙ゲームの大作「Die Macher(ディ・マッヒャー) / Moskito」と、帝国主義下の欧州で投資家たちの暗躍を描いた話題作「Imperial (インペリアル) / Eggert-Spiele」の2作をチョイスしました。どちらも長時間ゲームではありますが、なんとか駆け足で例会時間内(8時間)で遊んでしまおうというわけです。
「ディ・マッヒャー」は、2年半くらい前にプレイした時には、それほど時間がかからなかった(この時は5人プレイで3時間足らずにて収束)のを覚えていまして、今回も、軽くプレイするのが好きな人が集まれば、それほど長くはかからないだろうと踏みました。さらに人数を4人に減らせば万全だろうと。ということで、事前にそういうプレイスタイルの方々に声をかけさせていただいて、メンバー固定卓を作りました。
「インペリアル」の方は、実は今回プレイ予定に入れていなかったのですが、ルールをざっと読んだらそんなに難しくない(というか簡単)だったし、評判通りになかなか面白そうな内容だったので、勢いだけで「ディ・マッヒャー」と一緒にプレイすることにしまいました。「インペリアル」はターンが不定長だし、何より未プレイなので、どのくらいで終わるかよくわからないという不安はありましたけれども、まー何とかなるさ、という、根拠なしに楽観したまま勢いだけでこの企画を始めちゃいました。
この日、会場内では別卓で「18xx」のバリエーションタイトルが、やはりメンバー固定卓として終わりまで立っていました。2つの固定卓に入れない他の参加者の方々にはちょっと不便な思いをさせてしまったかなーと反省しつつも、セッションの方は大いに楽しませていただきました。
前日の夜から雨模様だったので、この日も午前中は雨が降っていました。例会が始まる頃にはほとんどあがって、おかげでスギ花粉もあまり飛ばなかったみたいです。
Die Macher(ディ・マッヒャー) / Moskito
選挙ゲームの金字塔であり、偉大なる基準。4人。
異才・カール=ハインツ・シュミールによって世に送り出された選挙ゲーム「ディ・マッヒャー」の初版は 1986年に Hans Im Glück 社から発売されました(ちなみにこの初版はけっこうなプレミア価格で取引されている模様)。その後 1997 年に Moskito 社によってリメイクされ、このバージョンは国内にも入ってきて、日本語ルール付で販売されていました。さらにアメリカでは、アメリカの選挙事情にローカライズされたバージョンが少数ながら発売されていたりします。
場に4枚の「地方選挙ボード」を組み合わせるようにして並べます。このうちの1枚が次の選挙が行われる地方を表しており、その他の3枚は次以降に順番に実施される選挙実施地方を表しています。地方選挙ボードには、その地方における各政党の状態(人気・得票率・メディアへの影響度・選挙集会数)の他に、住民たちが支持する政策がカードの形で4枚提示されています。
争点となる政策は7種類あり、それぞれについて是か非かのいずれかが示されます。各政党ごとにも、これらの政策に対するスタンスが政策カードによって示されます。当然ながら、住民が支持する政策が、政党の主張する政策と合致していれば選挙において有利となります。
地域住民と政党との主張が異なる時の対応と対策には、いくつかの手段があります。「党内会議」フェイズでは、党の掲げる主張を少しだけ変えることが出来ます。また、その地方の「メディア」を支配下に置くことによって、世論をやはり少しだけ変えてしまうことも出来ます。メディアをコントロールするには少なからず資金が必要です。
あるいは党役員の運動によって、党の印象を高めたり、あるいは他の党に悪い印象を植え付けることも出来ます。選挙集会を多く開くことも、票に繋がる大事な選挙活動です。これらにもやはり、その規模に応じた資金の動きがあります。
地方選挙が終了すると、住民たちが支持した政策は地方議会において採択され、支持された政策として扱われます。これらのうちいくつか(最大2つ)の政策はを連邦議会へと送りこまれます。ただしこれを行うのは選挙に勝利した党です。つまり単純に党利党略の都合だけで連邦議会の政策は決まっていくことになります。
受け取り方によっては際どい政治的要素を扱ったゲームと言えなくもありませんが、その処理は極めてドライであり、システマティックにゲームは進みます。あらゆる政治的な思想や風刺は完全にオミットされていますが、現実の選挙システムを下敷きにしていることには変わりなく、その雰囲気はたっぷりと味わうことが出来ます。発売から20年以上もの間、ずっと高い評価を受け続けていることも十分にうなずける、グレードの高い戦略ゲームです。
このセッションでは、最初の地方選挙で大きな議席を獲得した政党が、そこから得た豊富な資金源を背景にしてキャンペーンの前半を有利に進めました。強大な1つの与党に対して複数の弱小野党が立ち向かうという、どこかの国みたいなことに。
こりゃひょっとしてゲームが壊れたか? と思うこともありましたが、最後の2選挙において野党側が連勝し、連帯して連邦議会の政策を調整することで与党を反主流派に追いやったのが効きました。連邦議会との政策一致がまったくなくなってしまった与党はわずかに点数が伸びず、最後の最後で最大野党の逆転勝利となりました。いや、実に面白いゲームでした。
後日、BoardGameGeek を見てみたら、作者によるバリアントやショートゲームのアイデアがあり、これがなかなか良い感じなので、次はそのうちのいくつかを採用してみようと思います。特に、地方選挙カードが出現する順番を調整するルール(議席の小さな地方から選挙が始まり、大きい議席の地方へと移行する)は必須かなぁと。
他にも、政治献金カードの使い方や、スタートプレイヤーの決め方にやや冗長感があったので、このあたりを少し工夫したい気持ちも。とにかくまたいずれぜひ再プレイしたいゲームです。
http://www.boardgamegeek.com/game/1
Imperial (インペリアル) / Eggert-Spiele
帝国主義時代の欧州にて、諸国の紛争がテーマ。4人。
しかしプレイヤーの立場は金融投資家(Financial Investor)です。巨億の資金力をバックにした政治的影響力を駆使し、国際紛争の黒幕として国家をコントロールすることで己の資産の増大を企みます。
ボードには6つの国家(イギリス・フランス・ドイツ・オーストリア・イタリア・ロシア)と、その周囲にいくつかの諸国があります。主に行動するのは「国家」の軍隊です。軍隊には「歩兵」と「艦隊」があり、歩兵は陸地を、艦隊は海域を移動したり、戦闘をしたりします。それぞれの国家は5つのエリア(地方)に分割されており、そこには「工場」を建設することが可能です。「兵器工場」では歩兵、「造船所」では艦隊を生産することが出来ます。
これらの行動を行うには資金が必要です。資金を国庫に貯めるには「収税」を行うことの他に、「債権」によってプレイヤーが自らの資産を投資することでも行えます。ある国家の「債権」を他のプレイヤーよりも多く所有しているプレイヤーは、その国家の「政府」、すなわちコントローラーになります。つまり、その国家の行動をすべて支配することが出来るのです。
国家を担当するプレイヤーは、「ロンデル」の中でコマを動かすことによってアクションを選択します。アクションには「工場」「生産」「購入」「移動」が国家の軍事行動であり、「税収」は国土や占領地から税金を得ます。そして「投資家」アクションによって、債権の利子を得たり、あるいは新たな債権の購入を行うことが出来ます。
プレイヤーの目的は資産を増やすことにあります。国家の衰勢の行方は、プレイヤーにとって直接的には関係ありません。しかし、自分が債権を購入し投資した国家から、元本以上の利益が生み出されるようにうまくコントロールすることは求められます。具体的には、「投資家」アクションによって、プレイヤーが所有する債権に書かれた「利息」を、債権の発行元である国家の国庫から受け取れるように画策するのです。
債権の利息は国庫から受け取るのですから、その国庫の資金が枯れていると受け取れません(出費になることすらあります)。ですので、その前に「税収」を行っておく必要があり、「税収」でより多くの資金を国庫に入れるためには、国家が軍事行動によって収税力(工業力と税収地域の拡大)を上昇させていなければならないのです。
当然ながら、それを他のプレイヤーが黙って見ているわけはありません。税収が行われる前に税収源となる占領地や工場への攻撃は当然行われるでしょうし、他プレイヤーが債権を購入することで政府の権限を奪われてしまうこともあるでしょう。あるいはそうでなくても、儲かりそうな国家の債権を、便乗する形で他プレイヤーに購入されて、そちらにも利益の一部が流れていってしまうかもしれません。
このように、盤上に展開される国家間の争いは、プレイヤーの資産を増加させるための手段である、というのが「インペリアル」の大きな特徴です。国庫とプレイヤーの資金を明確に分離して管理することや、国家のコントローラーが債権の多少によって変わること、さらに国家の運用がコントローラーに任され、その運用益によって少しずつ利益を重ねていくことなど、一見するとゲームの基本的な構造は「18xx」シリーズとよく似ています。
しかし明らかに異なっている点もあって、例えば債権は売却することは出来ません(増資のみ可能)。ですから、投資先の国家選定には慎重な情勢判断が必要ですし、一度選んだからには大胆かつ徹底した行動が求められます。盤上の状況は、ほんの少しのきっかけでダイナミックに変化しますので、時勢の波を正確に予測することは時に困難を伴いますが、それにうまく乗ることこそが勝利への道であることは言うまでもありません。
このセッションの序盤において印象的だった国家がイタリアでした。イタリアのコントローラーは軍事力を最小限度に抑え、勢力範囲の拡大をあまりしない代わりに、「税収」→「投資家」をこまめに繰り返すことで、投資家たるプレイヤーへ収益を確実にもたらしました。歩兵や艦隊が少ないと維持費を支払う必要がないので、見た目よりも収益率は高くなります。
イタリアの周辺国家であるドイツはイギリスを一触即発の状態でしたし、オーストリアはロシアとバルカン半島の覇権を争っていました。まるで真空状態に置かれたかのようなイタリアは、目立たないながらも着実に利益をもたらしていたのです。
イタリアの戦力が不完全な状態の間、国力を着実に伸ばしていったのはフランスでした。フランス軍はスペイン経由でアフリカまで到達し、大きな勢力圏を確立します。ここから欧州は、先の見えない激動の時代に突入して行きます。
イタリアで小銭を稼いでいたプレイヤーは資金力に物を言わせ、次は北海周辺で紛争を続けていたイギリス・ドイツ両国の政府を同時に牛耳る行動に出ました。この結果、それまで膠着と消耗の戦いが続いていたスカンジナビア半島の2国はドイツとイギリスが分け合い、北海とバルト海はドイツが占有することとなりました。ドイツの権益が大きいのは、もちろんこのプレイヤーがドイツの債権を多く持っていたからです。
中盤過ぎまで国力を大きく伸ばしたフランスは、それを見たオーストリアとイギリスによって支配地が切り取られてやや苦しい形になりました。やがて、再度コントローラーの変わったイギリスが躍進し始めます。フランス栄光の時代はついに去り、大艦隊を持つイギリスが時代の寵児としてめざましい発展を遂げることになります。
この後、地中海でイタリア艦隊を蹴散らしたイギリスは、フランスとイタリアの利権の多くを奪い去る形で国力を一気に「25」に伸ばすことでゲーム終了条件を満たし、そしてイギリスの債権を多く持つプレイヤーの勝利でゲームは幕を閉じました。見応えのある見事なゲームでした。
ありそうで実はあまり無いタイプの戦略ゲームで、個人的にはかなり気に入りました。4人というプレイ人数はやや適正を欠いていたような気もしましたが、それでもこれだけ面白いのですがら相当なものです。今度は3人か、あるいは5人でプレイしたいと思っています。![]()
http://ejf.cside.ne.jp/review/imperial.html
レポートは以上です。
「ディ・マッヒャー」はインスト1時間にプレイが2時間半弱、「インペリアル」もインスト+プレイ時間が3時間強で終わりまして、めでたく当初の目的を達成することが出来ました。お付き合いいただいたみなさまには心から感謝いたします。ありがとうございました。
ところで、会場の利用時間がまだ少し余っていたので、写真のような少し変わった2人用ゲームが立っていました。タイトルは「Buy or Sell / KMS Industries Inc. Scientifc Games Div.」で、何と 1967年製のヴィンテージゲームです。持ち込んだのはもちろん atogさん。
プラスチック製のタイルを並べて株価チャートを作って行くという珍しいテーマのゲームです。コンポーネントも良い感じ。これはよいものを見させていただきました。
本日はどうもお疲れさまでした>参加者の方々
また次回もよろしくお願いいたします。

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