9日(金)は、つなきさん宅にて開かれた「1861会」に参加してきました。平日にもかかわらずこのゲーム会に集まったのは、つなきさんの他に PHYさん、atogさん、それに僕の4人でした。

本日のメインとなった「1861: The Railroads of the Russian Empire / JKLM Games」は、「18xx」メカニクスを用いたバリエーションゲームのひとつで、モスクワを中心としたロシア(ロシア革命前のロシア)が舞台となっています。全体的に鉄道会社の「運営」部分に重きを置いたアレンジがなされており、広大なロシアの大地を背景にしたスケールの大きな構成になっています。発売は 2006年と最近ですが、少数限定販売のために入手はすでに難しくなりつつあるようです。

この日は気温がやや低めではありましたが、スギ花粉のシーズンまっただ中で飛散量も多めでした。体調管理がすこぶる難しい季節で、何とか無事に乗り切りたいものです。


1861: The Railroads of the Russian Empire / JKLM Games moon Gamermoon Gamer

プライベート・マイナー・パブリックと会社が3タイプがあります。

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マイナーカンパニーが成長して公共会社へとアップグレードしたり、マイナーカンパニー同士が合併を行ったりします。「1861」のルールを「1830」と比較すると以下のような違いがあります。

1.マイナーカンパニー

プライベートカンパニーとパブリックカンパニー(公共会社)の間に、「マイナーカンパニー」という特別な会社が存在するのが「1861」の大きな特徴です。マイナーカンパニーは、公共会社と同様に列車を保有し、運営(線路の敷設も含む)も行います。株価もあります(株券は無く、マイナーカンパニーの価値そのものを表します)。
マイナーカンパニーは小規模な運営を実際に行うことで収益を上げます。しかし、公共会社ほどには大規模な拡張は望めない(トークン数は本拠地+1個/株価の上限が低い等)上に、ゲーム終盤には国有化されてしまいます。したがって、より多くの利益を望むのであれば、「昇格」や「合併」によって公共会社に拡大してく必要があります。

2.ゲーム進行

株式ラウンドの後に1回目の運営ラウンドがあり、その後に「合併ラウンド(Merge Round)」が存在します。合併ラウンドでは、マイナーカンパニーが公共会社(パブリックカンパニー)に昇格したり、あるいは複数のマイナーカンパニーを「合併」してパブリックカンパニーを設立したりします。 合併ラウンドの後には2回目の運営ラウンドと合併ラウンドがあります。つまり「株式」→「運営」→「合併」→「運営」→「合併」が基本的なゲームの進行単位となります。

3.株券購入

公共会社が設立され、プレイヤーによって購入されなかった株券は会社が保有します。未購入株券は会社所有であり、その株券を購入する際には対価を会社に対して支払います。

4.株券売却による株価変動

パブリックカンパニーの株を、社長プレイヤー以外が売却しても株価は変わりません。社長が株を売却すると株価は1段下がりますが、何株売っても下がるのは1段だけです。

5.配当と株価変動

公共会社は部分配当(半配当)を行うことが可能です。内部留保か収益ゼロで株価が左へひとつ下がります。株価が上昇するためには、1株あたりの配当額が、現在の株価と同額以上でなければなりません(そうでなければ配当でも株価は上がりません)。
なお、マイナーカンパニーは必ず部分配当となり、ゼロ配当でない限り、株価は自動的に右へひとつ上がります。

6.融資

マイナーカンパニーや公共会社は銀行から融資を受けられます。完済するまで、運営ラウンドごとに利子を支払わなければなりません。

7.国有鉄道(ロシア帝国鉄道)

ゲームの中盤に入ると「ロシア帝国鉄道」が自動的に運営を行います。ロシア帝国鉄道はルールにしたがって列車を購入して運営を行い、実際に収益も上げます(ただし収益はすべて内部留保)。ロシア帝国鉄道が列車を購入することで、フェイズが進行することもあります。また、特定の条件下において、マイナーカンパニーやプライベートカンパニーを国有化して接収することがあります。

他にも、競りの方法や株価の売り切れ上がりルール等々、異なる点は多岐にわたります。一般的な「18xx」メカニクスの骨組みだけを流用して、数々のアイデアが意欲的に盛り込まれているような印象を受けました。株価は暴落することがないので安定しやすく、どちらかと言えば運営を中心した会社経営を行って競うような環境にチューニングされているようです。つまり、鉄道会社の運営面にフォーカスした「18xx」バリアントであると言えます。

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その象徴が「マイナーカンパニー」の存在でしょう。小規模な会社を創業させ、より大規模な経営体制をコツコツと作り上げていく過程は素直に面白いと思いました。しかしマイナーカンパニーを公共会社へ変換するタイミングは、このゲームの序盤において最大の山場であり、ひょっとするとゲームを通して最大の難所であるかもしれません。

マイナーカンパニーを公共会社へ変換するには、単独で公共会社に「昇格」するか、あるいは複数の会社による「合併」するかです。特に複雑な判断となって悩ましいのが「合併」です。自社だけではなく、他人のマイナーカンパニーとも行うことも出来ますし、3社以上の会社が合併しても構いません。

「合併」にはこのようにいくつもの選択肢があり、プレイヤーはそれぞれのパターンについて合理的な評価を下す必要があります。合併直後の結果をなんとか計算することは出来たとしても、それがどのような将来につながるかを正確に予見することは、プレイ経験を積みでもしない限りは困難でしょう。

もっとも、そうやって設立された公共会社の経営判断はそれほど難しいものではありません。というのも、他社の株価を直接下げる行為が行えないので株価対策の必要はなく、したがって盤上での展開がゲームの流れを決めるためです(見た目にわかりやすい)。

公共会社を設立に関して多くのパラメータと手続きが存在し、その過程が「1830」より複雑になっています。そして当然ながら、この意志決定の優劣によってゲームの勝敗が決まることになるでしょう。

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このセッションにおいて、その卓越した抜群のセンスを見せたのが PHYさんでした。大都市モスクワを中核にした公共会社を2社立ち上げ、それらをうまく切り盛りして経営することで、高収益体勢を作り上げました。この見事な必勝型の元をただせば、序盤で要となるマイナーカンパニーを高額で競り落としたことが発端となっていて、PHYさんの優れた戦略眼と先見の明にただ舌を巻くばかり。

結局、ゲームの後半は PHYさんのウイニングランを見学していたようなもので、結果も当然のように彼の圧勝でした。僕はといえば、途中からせめて最下位にならないようにがんばるのが精一杯の3位に終わりました。しかし、優れたプレイヤーのプレイングテクニックを間近で見ることが出来たのは僥倖で、良い勉強になったと思っております。ということで、何としてでも再戦希望。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/23817


Portobello Marke (ポルトベローマーケット) / Schmidt Spiele

余った時間を利用して短いゲームをプレイ。

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もちろん「ポルトベローマーケット」は良いゲームです。ですが、さすがに濃いゲームの後では薄く感じてしまったかもしれません。思っていたよりドライでガチなゲームで、それはうっかり人を選びそうなくらいのクセの強さを持っていたということは僕としては驚きではあったのですが、短時間で密度の濃い思考を巡らす楽しさが味わえるゲームはそうはありませんし、これからしばらくくり返しプレイしていきたいと思っております。

このセッションでは、中盤あたりにつなきさんの好手が炸裂し、その一手でゲームが決まってしまいました。厳しいゲームだなぁ。次は、さらにガチになるバリアントを試してみようかと。
2007/03/13 「ルールが間違っているのでは?」という指摘がミニ掲示板上でありまして、確認したところ確かに一部違っていました。大変に失礼しました。次は正しいルールでプレイしたいと思います。 http://www.boardgamegeek.com/game/27356


Auf falscher Fährte (乗り間違い) / Berliner Spielkarten moon Gamer

勝利条件が徐々に明らかになるトリックテイク。

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ありそうで無かった独自なアイデアの変則トリックテイキングゲーム。

カードの数字は「0」~「12」で、4つのスート(色)があります。カードはすべてを全員に配りきります。カードが配布された時点で、各プレイヤーは手札から1枚を選んで場に伏せて置きます。4人ゲームなら4枚のカードが裏返しに置かれることになります。

これでゲームスタート。ルールはノーマルなトリックテイクです。マストフォローで、切り札があります。切り札の色はランダムに決まります。ただし、トリックを取った方がいいかどうかは、ゲーム開始時にはわかりません。

第2トリックが終わったところで場のカードが1枚表にされます。以後、トリックが終わるごとに1枚ずつ場のカードが表にされます。すべての場のカードが表になったら数値を合計し、もし23以下ならこのゲームはトリックをより多く取ったプレイヤーの勝ちとなり、24以上なら取ったトリックの少ないプレイヤーの勝利(ミゼール)となります。

ゲームが終わったら順位によって得点が入り、何ゲームかやって得点が多い人の勝ちです。

これは軽くて、しかもちょっと変で良いトリックテイキングゲームです。ゲームはボロ負けでしたけれども。しばらくトリックテイクをやっていなかったので、その影響もあるかもしれませんが、この場は大変に楽しくプレイさせていただきました。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/1317


レポートは以上です。

長い時間にわたって満ち足りた時間を過ごすことが出来ました。仕事を都合を調整してまでして参加して本当に良かったと思います。「18xx」は、まだ昔の感覚が思い出せずに苦労しているのですが、この日だけでだいぶ取り戻せたような気がしています。またぜひお誘いください。よろしくお願いいたします。moon Gamer