3日(日)は、池袋にて開かれた袋小路の6月例会に参加してきました。この日は電車の乗り継ぎが良すぎて、開始時間より少しばかり早めに会場に到着。最初のうちはそれほど人が集まってもいなかったのですが、気がついたら会場に人があふれかえっていました。今回は参加者数がいつもより多くて、ついにはテーブルが足りなくなるまでに至ったようです。参加者数はなんと63名。袋小路の例会参加人数の新記録を達成したとのこと。

この日の降水確率はきっぱり0%。昼間は歩いていると少し汗ばむくらいの陽気でした。


The Thief of Baghdad (バグダッドの盗賊) / Queen

今年のSDJノミネート作。4人。

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前回のプレイレポートはこちらのエントリーをどうぞ。ノミネートに入って再注目されたようで、別の卓でもこのゲームが立っていました。

ゲームの目的は、宮殿に置かれている「宝箱」を規定数(プレイ人数によって異なる)獲得することです。これには「盗賊」が多数必要です。そして盗賊を宮殿に送り込むためには、自他の「衛兵」の存在と、コストとしてカードの支払いが必要となります。とにかくこのゲームでは、何のアクションをするにしても、正しく対応した種類のカードが不可欠です。

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ランダムに補充されるカードに翻弄されつつ、自分の利益を追求するか、あるいは誰かの妨害に走るか、シンプルなルールで悩ましげな要素が満載のゲームです。

ただし、カラフルなコンポーネントのイメージとは異なり、イベントなどの派手な要素は一切なく、こつこつと細かい利益を地道に積み上げていくタイプの、どちらかと言えば地味なゲームでもあります。

このセッションではカードマネージメントを見事に失敗。moon Gamer 終盤になって少ない手札で効率的な盗賊コマの投入を試みましたが、結局それも切れ筋だったようで、ひとりだけ金庫2枚のままゲームエンドを迎えることになってしまいました。がっかり。moon Gamer

他のプレイヤーの動向にもよりますが、序盤には「ノーアクションで4枚補充(1枚はダンサーカード)」を繰り返して、まずは手札をある程度集めておいた方がいいのかも。
http://www.boardgamegeek.com/game/22278


Zooloretto (ズーロレット) / Abacus moon Gamer

こちらも今年のSDJノミネート作。4人。

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先日のメビウス便で届いた新作です。タイトルから連想されるように、ベースになっているのは「コロレット」です。

場にプレイヤー数だけ「トラック」があり、それぞれのトラックには3つのスペースがあります。手番では「タイルを引いてトラックに置く」「トラックを取る」「コインを使用したアクション」のいずれかを選択します。トラックを取ったら、そこに乗っているタイルを自分の動物園に、ルールにしたがって配置します。動物園には複数の「オリ(檻)」があって、それらが動物タイルで埋まるとボーナスがもらえることがあります。

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それぞれの「オリ」には1種類の動物しか配置することが出来ないというのが、このゲームのジレンマと駆け引きを構成する要素になっていて、これは"原作"ともいうべき「コロレット」に通じる面白さになっています。

「ズーロレット」ではさらに、コインによる特殊アクションを盛り込むことによって多くの選択肢をプレイヤーに与え、より柔軟な作戦を取ることが出来るようになっており、ゲームの奥行きを広めることに成功しているように思いました。

自分としてもわりと好きなタイプのゲームで、心底楽しんでプレイしていたのですが、このセッションではどうもいつの間にやら大きく何か間違えていまして… あれー? とか気がついたらもはや取り返しのつかない事態に… うーん。呆然としていてもしょうがないので、途中でいろいろと動いてみたものの、もはや点差を縮めることすら望めないポジションのまま終了という結果に終わりました。9点ってなんだそのどあほなスコアは。moon Gamer

ま、とにかく面白いゲームだということがわかったので、どこかで再ゲームしますか。しかし初見のゲームに弱いな…>自分
http://www.boardgamegeek.com/game/27588


・(タイトル不明) / 創作ゲーム

moon Gamer

ここで同卓の方が自作した創作ゲームをちょこっとだけプレイ。4人。まだ作り込んでいる途中とのことでしたので、コメントはなしで。少し変わったバッティング系のカードゲームでした。


Tal der Abenteuer: Die Schatzsuche im Himalaja
(冒険の谷 : ヒマラヤに眠る財宝の探索)
/ Parker Spiele

ボードの表→裏と2ゲーム行います。4人。

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こちらのベースはあの「ハニーベアー」です。盤上にはコマが4個(4色)あって、これは誰のものでもありません。各色のコマに対応した色のカード(と全色対応のワイルドカード)があって、ゲーム開始時に11枚ずつ(4人プレイ時)配られます。

手番ではカードを1枚プレイして、それに対応した色のコマを、カードに指定された歩数だけマスを進めます。途中、タイルの置かれたマスに入ったら、その指示にしたがいます。タイルの効果は、後からそのマスに入ったコマでも使用可能です。そしてどれかのコマがゴールしたらゲームはひとまず終了です。

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終了したら、全員が手持ちのカードを公開します。それぞれのコマがどのエリアにいるかを見て、そのエリアの点数が、コマと同じ色のカード1枚あたりの点数として換算します。例えば、2点のエリアに「青」のコマがあったとして、手持ちのカードに3枚の「青」カードがあれば6点となるわけです。これを全色のカードについて換算します。

1ゲームが終了したら、ゲームボードを裏返して2ゲーム目を行います。2ゲーム目は1ゲーム目とルールはほぼ同じですが、「橋」が加わります。「橋」はルートのショートカットで、最初にあるコマが橋を通過したら、その橋は壊れてしまい、他のコマは二度と使えなくなります。

2ゲーム目の終了時には、1ゲーム目と同じ得点計算を行い、さらにタイルの効果で得た「宝石」の数によってボーナス点の計算も行います。これらを合算して得点の多いプレイヤーの勝利です。

当然ではありますが、全体を通してのプレイ感覚は「ハニーベアー」に似ています。タイルの特殊効果によって手札が増えたり、宝石のようなボーナス要素を盛り込むなどボリュームはやや増加しているものの、元ゲームのスピーディなテンポの良さは失われていません。では「ハニーベアー」より面白いとか、あるいは代わりになるかというと、それは微妙でした。

それと、宝石が15個しかないので、これがストックになくなった以降、宝石タイルに止まったら他人から1個取れるようにしたらどうでしょう?
http://www.boardgamegeek.com/game/25142


Code Knacker (コード破り) / Ravensburger moon Gamer

バースト系のダイスゲーム。4人。

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「テンプテーション(ギャンブラー)」をもっとお手軽にしたような感じのダイスゲーム。

まず場に3枚の金庫カードがめくられます。金庫カードには○付き数字がいくつか書かれていて、その数字と同じ数字の目をダイスで出すことによって、金庫の解錠を行います。6面体ダイスは5個あって、「1」~「5」の目と「マイクロチップ」の目があります。

手番でこれらをダイスをふって、出た目が金庫の数字と合致していれば、そのダイスを脇に置いた上で、金庫の○付き数字に赤いマーカーを乗せます(脇に置くダイスの数と赤マーカーの数は同数)。赤マーカーが置けない目のダイスは脇に置くことが出来ません。脇に置かなかった残りのダイスは再びふり直すことが出来ます。ダイスを振った後に、脇にダイスを置くことが出来るのであれば、何回でも残りのダイスをふり直すことが出来ます。

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「マイクロチップ」の目も脇に置くことが出来るダイスです。ただし、それ自体は金庫の解錠には役に立ちません。5個すべてのダイスが脇に置かれた時、その中にマイクロチップが2個以上あれば、再び5個のダイスをふり直すことが出来るようになります。

ダイスをふる前に、自発的に手番をやめることが出来ます。また、すべてのダイスが脇に置かれた状態で、マイクロチップの目が1個以下の時は自動的に手番が終了します。これらの場合、すべての○数字に赤マーカーが乗っている金庫カードがあれば、それを獲得します。そうでない金庫カードは、赤マーカーはそのままの状態で次のプレイヤーへ手番が移ります。

ふった後で、ダイスを脇に置けない時には「失敗」となり、何も得られないまま次のプレイヤーへ手番が移ります(場に赤マーカーで埋められた金庫カードがあっても獲得できない)。これを繰り返して、得点の多いプレイヤーの勝利となります。

同じようなバースト系のダイスゲームは他にもたくさんありますが、その中でもかなり軽いゲームです。箱も小さくて持ち運びも便利ですし、ルールも簡単で、短時間で盛り上がれると、コミュニケーションゲームのツボが的確に押さえられていて好感触でした。でもセッションの方は最下位でしたけど… この手のゲームでも初見に弱いとは…moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/27613


Nach dem Regen / eg-Spiele (Editrice Giochi) moon Gamer

ランドルフ作のパターン認識系のゲーム。1人入れ替わって4人。

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好みが激しく分かれそうなゲームではありますが、僕は気に入りました。少しばかりマイナーゲームかな、と思っていたら、会場内でプレイ経験者が何人かいましたね。

手番では、自分の持つ「きのこコマ」4個を空いたマスに置くだけ。それが終わったらランダムにきのこ4個を引いて手番は終了し、次のプレイイヤーの手番となります。きのこコマは、それが配置される際に「色の異なる4色の4番目」となっていれば1点が入ります。配置されたコマのタテ・ヨコ・ナナメですべてこの判定を行います。コマとコマの間に空白マスがあってもよく、配置されたコマのマスが含まれているのであれば、どこから数えても構いません。

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4人プレイ時は、対面プレイヤーがパートナーとなるチーム戦となります。特にルールに書いていないので、パートナー間で相談しつつゲームを進めました。やってみてわかったのは、えらくペースの早いゲームであるということ。コマとマスは48しかありません。手番終了ことにコマを4個ずつ引くので、1巡で16個減ります。つまり手番は3回しか回ってこないのです。

極めて少ない機会で、ややこしい最適解を探索し続ける過程を楽しいと感じるかどうかで、このゲームに対する印象は異なってくるでしょう。そういうゲームです。

ところで、2人ずつのチームプレイは今ひとつ機能していないような気がしました。2人プレイするか、あるいは3人の変則スコアシステム(左となりプレイヤーのスコアも自分のスコアに加算する)を試してみたいです。
http://www.boardgamegeek.com/game/8830


Desert Bazaar (デザート・バザール) / Mattel

そしてこのゲームで〆です。4人。

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砂漠にテントを立てることによってポイントの獲得を目指します。最初は何だかよくわかりませんでしたが、コツがわかってきてからが面白かった。ゲームの目的は、テントをボードに配置することによる得点の獲得です。このテントを配置するためにはコストとして商品カードが必要であり、その商品カードはダイスによって獲得します。

自分の手番になったら「ダイスで商品カードを補充する」か、あるいは「テントをボードに配置する」のどちらかを実施します。商品カードは任意の1枚(全4種)は確実に獲得することが出来ますが、それ以上を獲得するためにはダイスに目にしたがわなければなりません。自分の欲しい商品カードを多く獲得するためにギャンブルを仕掛けるオプションもあります。

テントを配置するアクションを選択したら、ルールにしたがって最大4枚のテントタイルを配置することが可能です。テントを配置するためにはコストが必要で、それはタイルごとに指定された商品カードを3枚支払うことで充足されます。ただし、配置しようとするテントに隣接する位置にテントタイルがあれば、その色の商品カードは配置コストの支払いから免除されます。

例えば、配置されている「赤いテント」に隣接する場所に、「赤・赤・緑」の配置コストが必要なテントを配置する場合、支払いコストは「赤・緑」のみで済みます(隣接する赤点とのおかげで赤コストの支払いが免除される)。うまくテントの配置すると、配置コストが無料になることもしばしばあります。

テントタイルは、空いているスペースであれば、原則としてどこにも配置可能です。互いに隣り合った複数のテントタイルは「グループ」と呼ばれます。ひとつのグループには最大7枚のテントを含むことが出来ます。グループのテントタイルが8枚以上になるような配置を行うことは出来ません。

テントタイルを配置したら、その上に自分のマーカーを置きます。そのテントタイルを含むグループが7枚に達したら「完成」します。完成したグループ上にマーカーがあれば、その数だけ得点が入ります。他にもゲーム中に得点が入ることがあります(詳細略)。こうして、テントをルールにしたがって配置出来なくなるまでゲームを続けます。最後に最終得点計算を行って、最多得点獲得者が勝利となります。

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リソースの商品カードは手札枚数の制限がありません。このようなゲームの定跡として、最初は黙々と商品カードの補充を行うことがよく行われますが、このゲームでは先に商品カードを消費してテントを配置した方が良いかもしれません。これは、テントの単独配置ボーナス(他のテントに接しないテント配置で+2点)があるためです。実際、テントを置ける時に置いた方が良いケースが、序盤~中盤にはよく現れるのです。

もちろん商品カードの補充は重要です。重要なリソースである商品カードの補充にランダム性が盛り込まれているのは賛否が分かれる点ではありますが、コストの削減は隣接テントタイルによってかなり省エネが出来ますので、あまり気になりませんでした。また、商品カードの補充に不確定要素が入っているからこそ、ボード上でのパズルを解くようなタイル配置がより重要になるという別の効果も生じています。

このように、デザイナーの狙いどころはよく理解出来ますし、細かく調整されている形跡もあって苦労が忍ばれますが、どうも全体的に荒削りっぽく感じられてしまうのが惜しいというか…。はっきり書いてしまうと、「デザート・バザール」の欠点をあげつらえばいくらでも指摘出来てしまうくらいだったりします。

ところが困ったことに、僕はこのゲームをなぜか気に入ってしまいました。テントの配置を悩むあたりのアブストラクトっぽいメカニクスが、たまたま肌に合ったということなんでしょう。このセッションでは結果を残せなかったこともあり、ぜひどこかで再プレイをしたいものです。出来れば次は3人プレイがいいかなぁ…
http://www.ps-hiroshima.com/board/desertbazaar.htm


レポートは以上です。

何もかもが順調というわけでもないでしょうが、袋小路は微調整を続けながら今でも少しずつ発展しているようです。これからもぜひがんばって欲しいものです。次回例会も参加予定ですので、またよろしくお願いいたします。moon Gamer