22日(日)は、地元は千歳烏山で開かれたSGCの7月例会に行ってきた。
この日もショートスリーパーぶりを発揮して4時間ほどしか寝られず、まー起きてしまったものはしょうがないってことで、数日前に届いた「秒速5センチメートル」のDVD(しかも限定版)をリッピングしつつ鑑賞することに。で、勢いついでにこれをうっかり第3話まで続けて見てしまい、いろいろな意味で凹む。いや別にいいんだけど。ということで、世界で最もダメな日曜の朝を過ごし方をしたような気がしないでもない。
それで、その後に外に出たらまたこれが暑くて… 温度はともかくとして湿度にやられた。この日はこんな気分を象徴するかのような曇天模様な1日で、しかも降水確率40%という中途半端さがまた…。なんか蒸し暑くてめんどくさいので、今回のレポートはこの調子でやる(予定)。文体を変えるのもまた面倒だということがわかり、結局いつもの通りで。
Age of Empires III: The Age of Discovery / Tropical Games

いきなりメインディッシュっすか。しかも5人て。

BGG でアメリカ人に妙にウケているこのゲームから入ってみたり。6月に購入して、訳が無かったのでプレイするのはもう少し先になるかなー、と、何となく英文ルールをパラパラとめくっていたら、記述されている英文がわりと平易であることに気づきまして、で、そのままの勢いで数日かけて翻訳(半分以上意訳だが)し、この例会に持ち込みました。
ボードの左側は新大陸(New World=アメリカ大陸)のマップで、全部で9つの地域に分割されています。ここに入植者(Colonists)を送り込むことが当面の目標になります。ボード上で行われるのは、いわゆる「ドイツ風陣取り」のエリアマジョリティです。得点機会において各エリアごとに入植者(と専門家)の数を比べ、各エリアで最多数プレイヤーは6点、次点プレイヤーは2点を獲得します。これは3ターンと6ターンの終了時と、ゲーム終了時の3回行われます。
ターンは8フェイズに分かれていますが、大まかには「イベントボックスにコマを置く」→「それを解決」→「収益」と処理します。「イベントボックス」とは、ゲームボードの右側にある8種類のアクション群のことで、手番になったら、プレイヤーはこのいずれかの「ボックス」へ、手持ちのコマをひとつ置きます。コマは各自が最小で5個(これはゲーム中に増加することがある)所有していて、全員のコマがなくなるまでこの手順を繰り返します。その後で、アクションボックスの上から順に手続きを順次実行します。


「ケイラス」や「大聖堂」をやったことがある人なら、それに近いイメージであることは一目瞭然でしょう。それらとは異なるのは、すべてのアクションは複数のプレイヤーが関わりを持つことが可能で、ひとつのアクションの実施順番や判定方法が個別に決まっていることです。イベントボックスには以下のようなものがあります。
1.イニシアティブ(Initiative)次のターンからの順番(ターンオーダー)を決めると共に、それとは別にプレイヤーへ少額の収入をもたらします。イニシアティブでは、後ろの順番になった方が多くの臨時収入があります。
すでに「発見(Discovery)」されている地域へ入植者を送り込みます。 「入植者ドック」には「プレイヤー数×2-1」マスのスペースがあり、プレイヤーのコマ(入植者か専門家)をそこへ配置します。配置された順番に、コマの所有者は発見済みの地域をひとつ選んで、そこへコマを移動させます。複数の手番を消費して、複数のコマを入植者ドックへ配置し、それらを別々の地域へ送り込むことも可能です。
盤上にある4枚の交易品タイルから1枚を選択して、それを獲得します(毎ターン4枚ずつの交易品がランダムに公開される)。複数手番で複数スペースへコマを配置可能。手元にある交易品は3枚か4枚1セットで収入となります。同種の交易タイルのセットは、より多くの収入をもたらします。
ここはひとつのスペースですが、全員が(複数手番を用いて)複数のコマを配置可能です。ここに最も多くのコマを配置したプレイヤーは「商船」をひとつ受け取ります。次点以下は何ももらえません。
「重要建造物」とは、つまり特殊効果のあるタイルのことを指します。各「時代(Age)」ごとに決まっている必要なコストを支払うことで購入可能です。「重要建造物」は高価ではありますが、その効果は実に強力なものがあり、これを効率的に購入することが戦略戦術の軸になるといっても過言ではありません。
新大陸の未発見地域へ探索隊を派遣することが可能です。このスペースもひとつですが、全員が(複数手番を用いて)複数のコマを配置可能です。より多くのコマを派遣することによって、発見成功の確率を上昇させることが出来ます。派遣先の地域にいる原住民の勢力は実際に試みを行わなければわからず、これが大きいと発見が失敗することもあります。
発見に成功すると、臨時の収益(兵士がいるとさらに増加)、それに勝利得点と、最初にその地域へ入植者を配置する恩恵が得られます。発見された地域へは、以後、誰でも入植者ドック経由で入植者や専門家を送り込むことが可能となります。
特殊な能力を持つ入植者である「専門家(Specialists)」を、次のターンに受け取ります。専門家には「船長」「宣教師」「商人」「兵士」の4種で、「兵士」を除けば基本的にはターンごとに使い捨てです。
「戦争」とは、ボード上の入植者を兵士(専門家)によって排除しようとする行動です。戦争には、ある地域だけを対象とする「single Battle」(無料)と、あるプレイヤーとすべての地域で戦闘を行う「full-scale War」(有料)の2形態があるというのも面白い点です。


このゲームが BoardGameGeek にて高い評価を得ているのは、ゲームそのものが簡潔に良くまとまっていることは当然として、ようするにこれがアメリカ人の好みによく合っているからです。以下、「Age of Empires III」が好まれる理由を少し考えてみました
理由1.直接攻撃エリアマジョリティゲームでありながら、強引な直接攻撃も可能というルールがこのゲームの大きな特徴です。しかも戦闘は2段階あり、資金さえ十分であればその規模を大きくすることも可能となっているあたりの煽り方がまた巧みな仕掛けになっています。
重要建造物(Capital Building)の効果が大きく、これなしで戦略の組み立ては考えられません。また、専門家(Specialists)の能力も実に使い勝手が良く、これもやはり作戦の重要な要となります。
アメリカ史のルーツを扱ったゲームであり、アメリカ人にはとてもなじみのあるテーマであることも印象を良くしている要因のひとつでしょう。
このセッションでは、初プレイで成りゆきとはいえいきなりの5人プレイとなり、結果は同点3位。1位・2位プレイヤーとはかなり点差が開いてしまいました。プレイタイムは正味3時間ほど。いったん好循環に入ると、そのプレイヤーを止めるのがかなり難しくなるようで、つまり全員が序盤から強く意識して全体のバランスを見極める必要がありそうです。
特に、誰がどの Capital Building を購入したのかを洞察することは極めて重要です。上記で繰り返したように、このゲームのキモは Capital Building の特殊効果にあるからです。そしてゲームを支配するためにもやはり Capital Building のチカラが不可欠でしょう。これは高価で、しかも時代が進むにつれ価格が上昇していきますので、毎ターン確実に購入するためには、安定した収益を高いレベルで維持し続ける必要があり、各自の戦略にも少なからず影響を与えるでしょう。
このような特殊効果に依存したバランス取りについては異論もあるでしょうが、このゲームについては、自分の感覚ではほぼ許容範囲内でした(ひとつだけ気になったのが『Privateers(私略船)』で、これは初プレイ時や5人プレイ時では抜くか、あるいは効果を軽減した方がよいと思いました)。もっとも、当然ながら1回のプレイではわからないことも多く、ぜひとも再プレイをしたいところ。次は4人くらいがいいな。
最後に。2位プレイヤーの方は「このクラスの長時間ゲームに慣れていないけれども、このゲームはわかりやすくて面白かった」というような感想を述べていました。実際、盛り込まれている要素の多さに比較すると「Age of Empires III」の見通しの良さは特筆すべき美点です。最近のドイツゲームは、これよりも入り組んだルールのゲームがいくらでもあるので、重いゲームを好んでプレイする人なら、ルール全容を把握するのは簡単だと思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/22545
Ben Hur / Historien Spiele Galerie

ここからずっとヴィンテージゲーム。atogさん持ち込み。6人。

スケール(定規)で馬車を動かすレースゲーム。あとで思い出したけど、「カーウォーズ」とかこんな感じじゃなかったっけか?
手持ちのカードから1枚をプレイし、そこに書かれた長さの木片定規を使い、ルール通りの方法で自分の馬車を進めます。馬車の進行ルート上に他の馬車があれば、ダイス勝負で判定を行います。衝突させた方が勝てば、衝突された馬車と位置の交換を行います。


他にも多少細かいルールがありますが、つまり「狭いトラック上で大きなコマを定規で動かしてレースする」というコンセプトのみでデザインされたゲームです。コマが密集すると衝突妨害合戦になって先に進まず、また先頭が大きくリードしてしまうと干渉することが出来なくなる等、パーティゲームとしてはともかくとして、競技性はそれほど高くはありません。
興味深いギミックは目を惹きますが、それにアイデアが追いついていない感じでした。
http://www.boardgamegeek.com/game/1396
Bockige Esel / Carlit
懐かしの「ウサギとカメ」がベースのロバレース。atogさん持ち込み。6人。

ついでに「アベ・カエサル」も少し入ってるかも。
ロバはスタートからゴールを目指します。各プレイヤーは「オレンジ」コマを4つと、「エサ」4つを持ちます。これとは別に、特殊アクションのカードを数枚持ちます(カードの構成はプレイヤーごと同一)。自分のコマは、現在いるマスに指定された数だけ進むことが出来ます(前進数はボード上ではダイスの目で表現されています)。たとえば「2」のマスにいるコマは2マス進みます。ひとつのマスにはひとつのコマしか入れず、追い抜くことも出来ません(ナナメ移動は可能)。
コマを前進させたらエサをひとつ消費します。エサを補充するには、コマを1マスだけ後退させることで行えます。エサを補充するために後退するのは1マスだけです。マスには、所有するオレンジコマを失う代わりに大きく前進するものや、前進数をダイスを振ってその場で決めるものが何カ所かあります。


手番中に、所有するカードを1枚だけ使用することも可能です。ゴールした時に、未使用のカードはマイナス点となるので、基本的には使った方がいいのですが、必ずしも良い効果もカードだけではないので、使いどころが難しいケースもあります。そしてゴールしたら、ロバの持つオレンジを得点とします。早くゴールした方が高得点となります。
ほとんどのマスの前進数は固定されており、しかもその数は少なめ。先に進もうにもエサはすぐに無くなります。なので、どうしても途中は渋滞となり、その混雑の中で細かい駆け引きが繰り広げられます。ただ、「後退」による補充が中心のリソースコントロールなので、爽快感は今ひとつでした。
http://www.boardgamegeek.com/game/30446
Hecht im Karpfenteich / sbv-Verlag
微妙なひねりとガチなメカニクス。4人。

池の中での食物連鎖をうまく利用して、自分の魚(川マス)の数を増やすのが目的。
このゲームには3種類のコマがあります。すなわち「巻き貝」「コイ(鯉)」「川マス」です。プレイヤーごとに色が分かれているのが「川マス」で、それ以外のコマは全員が使用する共通色となっています。「コイ」と「川マス」は「魚」と総称されます。
このゲームの目的は自分の川マスを繁殖によって増加させることです。川マスを繁殖させるためには、コイを捕食しなければなりません。そのコイも繁殖によって増加し、そのためには巻き貝を捕食しなければなりません。まとめると「川マス」→「コイ」→「巻き貝」と捕食関係が決まっていて、その目的は繁殖です。
魚コマは捕食対象のコマと重なることで「満腹」状態となります。満腹でない(単独のコマ)魚は「空腹」状態です。空腹のコイは巻き貝を自由に補食することが可能ですが、空腹の川マスはボード上のコイが4匹以下だと補食することは出来ません。川マスが捕食するためには、まずコイの個体数を増やさなければならないのです。
魚は、満腹状態で「巣」に入ることで繁殖の準備が整います。この「巣」には、「川マス」用と「コイ」用とに分かれており、それぞれ3つずつボード上にあります。「巣」魚が入るためには、いくつかの条件を完全に満たさなければなりません(詳細略)。
さて、自分の手番では「7移動力」を使って魚コマ(自分の川マスか任意のコイ)を移動させます。1個の魚を7マス移動させても、7個の魚を1マスずつ移動させても構いません。そして、手番のいつでも、6つの「アクション」のうちひとつを選んで実施しなければなりません。アクションには「巻き貝(巻き貝コマを1個増加)」が2つ、「波(+7移動力/計14移動力)」、「パス(ターンをスキップする)」、そして「川マス繁殖」「コイ繁殖」の6つです。
ある「アクション」を選択すると、次の手番でそのアクションを選択することが出来なくなります。全員が6つのアクションを選択したら、1ラウンドが終了し、再び自由にアクションを選択することができるようになります。しかし6人プレイでは、なんとわずか1ラウンドだけで終了します。4~5人で2ラウンド。
「川マス繁殖」「コイ繁殖」を選択すると、条件がそろっている対象のすべての巣で、ルールにしたがって繁殖が行われます。川マスは、色の異なる(プレイヤーの異なる)2匹が満腹状態でひとつの巣に入っていれば繁殖の条件が成立します。その場合、ペアとなっている色の川マスコマを1個ずつ、空腹状態で巣に追加配置します(つまり満腹2匹が空腹4匹になります)。コイも2匹のコイが満腹状態でいる巣で繁殖が自動的に行われますが、増加する数はダイスによってで決まります。いずれにせよ、繁殖に関わった魚はすべて空腹となります。
各プレイヤーの所有する川マスはわずか6個しかありません。さらに多くの個体を増やすために、川マスはボードの所定の位置から「離脱」することが出来ます。離脱した川マスコマは、再び繁殖に利用可能となるのです。ゲーム終了時の得点は、ボード上と離脱した川マスコマの数の合計となり、それが多い方が勝利です(同点の場合はボード上の満腹状態の川マスが多い方が勝利)。


隠された情報はありません。コイの繁殖数を除けば、ランダムな要素は一切ありません。そして他人との協力なしでは繁殖(=コマの増加=勝利条件)は行えません。最初のこのゲームを「ガチ」と書いたのはそういう意味です。アブストラクトと言えばこれほどアブストラクトなメカニクスもなく、しかもバランスの要の部分に微妙な乱数が絡んでいるので不透明感この上なしという…。
ではゲームとしてどうかというと、これが見事に1回のプレイでは到底わからない。コイの繁殖ダイス次第かもしれないし、最適な作戦を互いに取っていたら結局ドローになるような気もします(そしてこのセッションは、2人が同点トップでドローとなりました)。ううむ。他に類を見ないユニークで興味深いメカニクスであることは確かなので、再プレイはぜひやっておきたいとは思っております。
http://www.boardgamegeek.com/game/3198
Das glorreiche Manover (栄光ある演習) / Schmidt Spiele

そして〆。変則&やっぱりガチなレースゲーム。4人。

個人的に2回目のプレイ。そしてわかった。これは間違いなく良いゲームだ。
前回のレポートとゲームの紹介はこちらのエントリーの下の方をご覧ください。一気に30~50マスも進むことが普通にあるという、一見するとかなり無茶な進行ボーナスのゲームなのですが、ヴァリアントルールを組み合わせることによって、奇妙な味のあるレースゲームとなります。


今回は、自分のコマ(1・2・3の3個)が、その順番でゴールしたら、ゴールの最も大きな空いている数字の得点を得る、というルールを採用しました。このゲームは、スコアリングはどうであれ、このようにコマの数字と順位を関連づけた方が断然面白くなります。
ありがたいことに、このセッションもプレイヤー全員の好評を得ました。頻繁にプレイすることはないでしょうが、面白いゲームだと思うので、またそのうちひっぱり出して遊んでみたいと思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/14427
レポートは以上です。
今回は何と言っても「Age of Empires III」がプレイ出来たことにつきます。まだ骨の髄まで味わった気がしない(同卓メンバーにこの手のゲームが苦手な方もいましたし)ので、今後あちこちに持ち込んでみたいと思っております。どこかで見かけたらぜひお付き合いください。
今回もお疲れさまでした>参加者各位
また次回もよろしくお願いいたします。
コメント
コメント一覧 (4)
是非とも一度やってみたいものです。
ショープフは、日本では「星空(シュテルネンヒンメル)」くらいしか知られていないと思いますが、他にも結構いろいろデザインしているのですね‥(^o^)
独創的といえば独創的なゲームではありました。
そのうちぜひプレイしましょう。
AoE3 は近日中にまたプレイする予定です。気になる点がないわけでもありませんけど、手軽で良いゲームだと思います。訳はがんばるしか… 国内のショップで訳付きで扱われるようになったらいいですね。