
20日は、地元は千歳烏山のゲーム倉庫にて、ふうかさん、かろくさん、荒屋敷零壱さんをお招きしてゲーム会を開きました。実は2月にもここで同じメンバーのゲーム会が予定されていたのですが、僕が何年かぶりに風邪で発熱するというアクシデントがあって中止となっていました。
この日は4つのゲームがプレイされました。最初に遊んだ2つのゲームについて書く文章が少し多めになりそうなので、エントリーを分割して書こうかと思います(セッションレポートの続きは後日に公開します)。
最初のゲームは「The Patrons of Venice (ヴェニスのパトロン/ベニスのパトロン)」です。

「The Patrons of Venice」は、2004年にカナダの Toccata Games からリリースされたボードゲームです。Toccata Games のウェブサイトを見ればわかるように、手作りで自費制作された作品のようです。このゲームは現在でも販売されているように見えますが、BGG では Toccata Games からの連絡がなかなか来ない等のトラブルが報告されていました。購入したいと思う人は、いきなり Paypal で支払いをする前に、まずは問い合わせをした方がいいかと思います。
本作の進行をざっくり説明すると、まず各プレイヤーは手番ごとに5つのアクションからひとつだけアクションを選択します。そのアクションを手番プレイヤーがまず行い、続いて時計回りにひとりずつ全員が順番に、手番プレイヤーが選択したアクションを行います。これは、「The Patrons of Venice」よりも2年ほど前に発売され、世界のボードゲームシーンを席巻した「Puerto Rico(プエルトリコ)」をリスペクトしたシステムであることは言うまでもありません。
ただし、「The Patrons of Venice」が「プエルトリコ」を踏襲したのはそこまです。その他は、本作のテーマからごく自然に類推可能なルールの集積で、いわゆる「拡大再生産」システムのゲームをプレイしたことがあれば、(プエルトリコ風のアクション選択システムを含めて)「The Patrons of Venice」の全容を把握することは容易でしょう。
また、ルールを超越した特殊効果は存在せず、手札は場に公開されているカードから補充され続けるので、隠匿情報と言えば山札の中身と、セットアップでプレイヤーに配布される1枚の手札のみです。この見通しが良い構造も「The Patrons of Venice」の特徴で、そのため初見でも遊びやすいタイプのゲームであると言えます(見通しが良すぎて終盤は詰め将棋的にやや重くなりますけれど)。
現在のボードゲームで用いられているさまざまなフレームワークを体験した目で見ると、「The Patrons of Venice」のシステム構築は、凡庸とも思えるアイデアを実直に組み立てた実装となっていると気づくでしょう。これは発売が2004年とやや古いことを配慮しても淡泊に感じられ、イノベーショナルな魅力は感じられません。反面、枯れたシステムの長所である安定した遊びやすさが備わっています。実際、この日は初プレイの人たちが3人いましたが、最後まで白熱した接戦となりました。
僕は序盤から中盤までは一歩リードした状態だったものの、終盤のパズル展開になったあたりで悪手ひとつ。久しぶりのボードゲームでゲーム感が鈍っていたのかそれとも実力か。ともかくもこれが僕にとっては大打撃となり、そこで逆転したかろくさんが最後まで押し切っての勝利となりました。
このセッションが面白かったこともあり、棚の奥に寝かせておくにもったいないゲームであることを改めて認識しました。こうしてたまに引っ張り出して、誰かと楽しい時間を過ごすためのアイテムとして活用したいと思います。


長いボードゲームの歴史の中で、後世に語り継がれるであろう一大センセーションを巻き起こした「プエルトリコ」。しかしながらそのフレームワークのフォロワーはさほど多く現れませんでした。しかも、それら数少ないフォロワーたちは、ごく一部を除いてほとんどが市場から短い期間で消え去っています。「The Patrons of Venice」も例外ではなく、表舞台に出ることもなく同じ運命をたどったタイトルのひとつとなりました。
(続く)
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