そして5日(祝)は、前日に引き続きつなきさん宅で開かれた「18C2C会」に行ってきました。参加者はもちろん、つなきさんの他に atogさん、ヴァイスさん、それに僕と、昨日と同じ4人です。
前日はかなりの疲労困憊状態でへとへとだったので、無理を言って開始時刻を予定より1時間ほど遅らせてもらってお昼の12時集合となりました。
それでも疲れが完全に取れたわけでもありませんでしたが、この日は適度に休憩を取ったり、お菓子などで手っ取り早く栄養補給をしたりしてゲーム中の体調を整えました。そのおかげで昨日よりは調子が良かったです。
この日も朝から暑いくらいの陽気で、夜まで半袖でいました。
18C2C (Coast to Coast) / Designs In Creative Entertainment(DICE)
「5」列車が売り始められたあたりから売り切れて「6」列車が出たあたりまで。
無念の時間切れ協議終了。時間と体力が許す限り遊び続けたかった。本当に面白いゲームでした。
さて、昨日は帰宅してから、ひとまず記憶の中で自分の置かれた状況の検討を行いました。プレイ中は、保有する公共会社が4社しかなく、合併後のことを考えると飛び抜けた収益にはならないと悲観していたのですけれども、よく考えたらそうでもなさそうな気がしました。
というのも、ニューヨーク~シカゴ~セントルイス~カンサスという高収益の都市を押さえてある(あるいは押さえる可能性が大きい)ので、短い路線ながら効率の良い高収益体制になりそうだったからです。現状ではまだパンチ力に欠けますが、未設立の公共会社はまだいくつもあったし、手元の資金がたまったら会社の数を増やしていけばいいのです。そして運良く西海岸まで伸びる長い路線が完成すれば、終盤に勝負を賭ける価値のある大きな収益が望めそうでした。
ここで他のプレイヤーの動向を少し概観してみましょう(前日~本日)。まずatogさん。atogさんは最初に「Erie」「New York Central(NYC)」、そして「Canadian Pacific(CP)」を最初に設立しました。いずれも「1830」にも登場する東北部の有力会社ばかりで、ニューヨークから北の一帯は atogさんの会社が制圧したような形になりました。
また、atogさんは「多社設立」の作戦を採っていました。記憶が曖昧ですが、最大時で7社を保有していたように思います。主に東海岸の北部の会社を安い株価で次々に設立し、カラーゾーンに入れる会社と配当会社を分離経営するフィーダーラインを軸に堅調な収益を上げていました。特に有効に機能したように見えたのが"カナパシ"こと「Canadian Pacific(CP)」です。カナダ国内に限定するのであれば、線路タイルの敷設には4ポイントを使用可能という特別ルールがあり、これを利用して「CP」の路線は西へ快進撃を続けることになります。
ヴァイスさんは、フロリダ方面におなじみの「Baltimore & Ohio(B&O)」、ニューヨークを北に臨むノーフォークを本拠地にした「Norfolk & Western(N&W)」、それに序盤にあまり競争相手のいない状態で南部の「Illinois Central(IC)」と、広く要所を押さえて布石を打つ作戦。つなきさんも「Atlantic Coast Line(ACL)」でタンパ、「Southern Railroad(SR)」でアトランタが本拠地になったことで東海岸はもみ合いとなり、序盤で早くも北から南までタイルで埋まりました。
この後につなきさんは、序盤は過疎地となっている西海岸のロサンジェルスを本拠地にする「Southern Pacific(NP)」を設立するなど面白い仕掛けをしててきます。このようにつなきさんは、ゲームを通じてマップの端から端までを大きく使ってダイナミックなアクションを盛んに行っていました。この動きと、atogさんがカナダでタイルを置きまくって西進していたことと併せて、最後にはアメリカ全土を周回する路線が完成(完成?)することになります。
そして2日目の終了間際にはヴァイスさんが6列車を購入することで、いよいよアムトラックが登場しました。ヴァイスさんはその直前に列車操作を行い、自分が大株主となっている合併会社から列車を意図的に無くしてからフェイズ6に突入させるという巧妙な手順を踏んでいます。こうすることでヴァイスさんがアムトラック社長の座に就き、盤上で大きな影響力を持つことになりました。
しかし残念ながら時間が無かったこともあって、この時点でゲームは終了となってしまいました。アムトラックの計画吸収プレイは実に見事に決まっていて、実際に運用が始まったらかなりの脅威になっていたことでしょう。その様子をこの目で見ることが出来なかったのは大変に残念です。
少なくともフェイズ6に突入するまでは、「18C2C」はビッグゲームによくありがちなルーズさや粗雑さはまるで感じられず、逆に通常サイズの「18xx」に匹敵するか、あるいはそれ以上の精密な内容を持った優れた鉄道ゲームだと思いました。またやはりこの時点までの感触ですけれども、1日目のレポートにも書いたように、ラウンドの進行とフェイズの進行比率はそれほど変わりません。したがって、緊張感もゲームを通してずっと維持されていましたし、最後まで実に悩ましい展開を楽しむことが出来ました。
会社と列車が多くてマップも広大なため、プレイタイムが長くなってしまうのは仕方がないところではあります。特に、列車がアップグレードすればするほど最適ルートを探す手間はかなりかかるようになります。今回は5列車までしか運行しなかったのでまだマシな方だったと思いますが、この先12列車まで登場するのですから、そこまで行くといったいどうなるんでしょうか…
マップが広いこともあって迂回路が作りやすいのは個人的に好印象でした。トークンひとつで致命的に止められるようなケースは少ないのではないかと思います。ただし、ニューヨーク周辺などの密集地帯はやはりシビアでしたし、また迂回路を引くためにかかるコスト(ポイントや手番の消費等)が負担になることには違いありません。
多くの都市がゲームの流れの中で自然に発達し続け、それに伴って会社の収益も増加していきます。個人の保有する資金は余裕がわりとあって、そのために自然と会社も多く設立され、ゲームをスムーズに進行させる効果ともなっています。会社の資金は相変わらずやりくりが大変ですが、無理するくらいならアムトラックかコンレールへの吸収合併も検討するべきでしょう。
このセッションでは、それぞれのプレイヤーが、それぞれの事情において異なる戦略を採用しており、それらはすべて一定の成果を上げていました。「18C2C」は、取り得る戦略の幅が広く、プレイヤーの創造性を強くかき立ててくれる素晴らしい鉄道ゲームです。「18xx」フリークたちが集まり、手間をかけて場所と時間を確保し、腰を据えてじっくりプレイするにふさわしい作品であると思います。
http://www.boardgamegeek.com/game/9132
レポートは以上です。
2日間。振り返ってみれば、まるで夢のような時間は瞬く間に過ぎ去りました。このゲームを思い切って購入し、さらにプレイする環境まで提供していただいたつなきさんには、心から御礼申し上げます。そして長い時間、一緒にアメリカの新たな鉄道史をこつこつと作り上げた参加者のみなさま、どうもお疲れさまでした。もはや再プレイは必須でしょう。ぜひまたお誘いください。何を置いても飛んでいきます。