4日(土)は、先週に引き続いて、つなきさん宅へおじゃましまして、いくつかのゲームを遊びました。このゲーム会は当初、風間祐一氏がデザインした創作ゲーム、いわゆる「風間ブランド・ゲーム」だけをプレイする趣旨だったのですが、いろいろな事情があって変更となり、少し重めのゲームを中心に楽しんだ1日となりました。
参加者は、つなきさん・taroさん・yamatoさん・ファラオさん、それに僕の5人でした。ゲーム会自体はこの日の前の晩から行われていたようです。

ところで今回はダイスを使ったゲームが多くなりそうだったので、はりきってダイスタワーを持参しました。
写真左の数字スタンドは、ダイソーで見つけた「予約席」になどに使う店舗用備品です。これは「スタートプレイヤーマーカー」にぴったりだとは思いませんか?
欧州外交戦 / 創作ゲーム

本日プレイした風間ブランド・ゲームはこれだけです。

ゲームの詳細はこちらのページをどうぞ。
テーマとしては「ディプロマシー」とほぼ同じで、20世紀初頭の第一次世界大戦前夜のあたりの欧州を舞台にした外交戦ゲームです。「欧州外交戦」は、プレイヤーの行動がほとんどカードを利用するようになっているのが大きな特徴です。カードには、外交に関するものや、軍備や戦闘に関するものなどさまざまです。
今回、このゲームを始めてプレイしたのですけれども、不可侵条約や同盟(実質的な軍事同盟)のような外交関係を、プレイヤーの意志とは無関係に、カードプレイのよって強制的に締結させてしまうルールにはかなり面食らいました。自分とは無関係の第三国間の不可侵条約や同盟をもカードプレイによって締結することも可能なのです。デザイナーの説明によると、これは大国が内政状況によって翻弄されながら外交を行っている状況を表しているとのことです。
この基本コンセプトは、「欧州外交戦」のあらゆる部分に根ざしています。例えば、他国との紛争も「侵攻カード」が必要だったりします。つまり侵攻カードがなければ戦いを起こすことは出来ません。小国に対する介入は別の手段はありますが、やはり特定のカードが必要です。
これらカード補充は「国力」と密接な関係にあります。簡単に書くと、国力が増加するとカードの補充がやりやすくなるのです。ただし、国力に不相応な軍事力を保有していると制限が加わるようになります。このルールはわかりやすく、理にかなっています。しかしいずれにせよ、引いたカードによってプレイヤーの行動に大きな影響があることには変わりありません。引いて来たカードが悪いと、プレイヤーの意志ではどうにもならない状況に陥ることがしばしば発生します。
また、捨て札を行うための制限が厳しく、プレイヤーの望まないカードであっても、それを無理に使うことでしか手札のマネージメントが行えないのは、どうも腑に落ちない点でした。これは、デザイナーが言うように、現実の国際外交が指導者の意志だけ思い通りには行われているわけではなく、そういう不自由さを表現する手段として、プレイヤーの行動をカードで強制的に縛るような状態することもまた狙いのひとつなのでしょう。
ですから、手札にたまった何枚かの侵攻カードを見て、「これは自国内で好戦的な世論が高まっているのだ」という、デザイナーが意図した通りのイメージを思い浮かべ、それを楽しいと思うことが出来るかどうかが、このゲームに対する評価の分水嶺になるのではないかと思います。
今回のゲームは勝利しました。しかしそれは、最終ターンに偶然に引いてきたたくさんの不可侵条約カードや侵攻カードのおかげだったというのがちょっと悲しかったです。


バリアントを採用してみたり。

熱烈なリクエストがあったのでエントリー。もちろん僕が自作したセットで遊びました。
今回のプレイでは、BoardGameGeek で公開されているバリアントルールを一部採用してみました。バランスの調整にもかなり寄与すると思ったからです。
- Factory(工場)で生産が行われ、Productio Card(生産物カード)を受け取った直後(プレイヤーの行動の前)に、各プレイヤーは手札上限の2倍を超える生産物カードはただちに捨てなければなりません。
これは、ターン終了時に手札上限を超える生産物カードを捨てるルールに追加されるルールです。 - 第1ターンには、生産物カーは2回生産します。また、第1ターンに限って、手札の全てのカードを捨てることで Water Factory を入手出来ます(購入コストの20Crに不足していても構いません)。
- Colony Upgrade Card の補充で、12面体ダイスを使うようになるのは、誰かが「35VP」以上を獲得してからです(30VPではなく)。
- 「New Chemical Factory」1つを生産するには、それに対応する「Scientist(科学者)」カード1枚か、あるいは「Reseach Factory」1つが必要です(New Chemical Factory の最大所有数は、Scientist と Reseach Factory を合計した数までです)。
これがなかなかいい感じだったので、今まで個人的に採用してきた競りの購入制限ルール(詳細略)も撤廃して通常ルールを採用することにしてみました。

ところが… 今回のゲームでは、yamato さんが Data Library を何と4枚獲得するという状況になってしまいました。こうなると Scientist の購入がほぼタダ同然になり、Reserach Card の安定供給で一気に New Chemical Factory 量産コースへ一直線です。この時点でゲームは壊れてしまったと判断しまして、全員が協議の末に yamato さんの勝利ということでゲームは終了しました。ここまで2時間足らずでした。
これはバリアントルールのせいではなく、僕も含めて他のプレイヤーの不注意から発生した事態です。いずれにせよ、オリジナルの Colony Upgrade Card の競りルールはやっぱりバランスを欠いているような気がします。バリアントルールにもやや問題のある部分が見受けられました(Ore Factory がほとんど意味をなさない)ので、そこらへんも含めてまたルールを少しいじくって楽しんでみようかと思います。


今度こそ正しいルールで(汗)。

前回のレポートはこちら。この規模のゲームではよくあることですが、前回のプレイではルールが一部誤っていました。
正しいルールでプレイしてみると、少なくとも 2nd Era くらいまでは、なかなかバランスのよい戦略ゲームとして成立していると感じました。正しい戦闘ルールでは攻撃側にも一定のリスクがありますので、支配エリアの拡大には、更なる計画性と戦略性が要求されるようになっていることがわかったからです。
エリアの拡大には支配トークンのマネージメントが重要な意味を持ちますが、その過程は相当に面白いです。支配トークンは、先駆者・都市・カードの購入にも重要な意味を持ちますし、それらの購入コストや拡張フェイズの展開に大きく関係するプレイ順をめぐる駆け引きも実に熱いです。
発展や躍進を遂げて、徐々に特殊能力を獲得しつつ拡大し、進化していくゲームの構造は、この手の開拓ゲームとしてはかなり高いレベルにあることは確かです。今回のゲームも5時間ほどかかりましたが、最後の1時間がやや冗長に感じたくらいで、それまでは時間を忘れて夢中で遊んでいました。

ただ、やはりカードの効果はあまりにも強力でした。細かなやりとりも、綿密な計画も、たった1枚のカードで台無しになることがよくあります。それも序盤からです。効果の適用範囲が広くて、プレイした本人にすら効果がどのくらいの範囲に波及するのか予測がつかず、結果として無関係なプレイヤーにまで被害の余波が行き着くことすら珍しくありません。
「Manifest Destiny」の魅力も問題点も、この破壊的なカードのバランスにあります。場が硬直して動かないよりはマシですが、それを解決する手段としては乱暴なやり方です。筋が良いゲームであることには違いないのですけれども、カードのバランスにもうちょっと気を遣って制作してくれたら、もっと安心して遊べるゲームになったのになぁ、と残念に感じました。
とはいうものの、機会があればまたぜひプレイしたいゲームではあります。アメリカの歴史を濃縮した過程を楽しむゲームと割り切れば、他に類を見ない独自のテーマということもあり、1日をつぶしてプレイする価値は十分にあるかと思います。

レポートは以上です。
ゲームが終わった後は、つなきさんの奥様から手巻き寿司 のおもてなしをいただきました。
場所を提供していただいた上にこんなごちそうまで出していただいて恐縮です。大変においしくいただきました。
朝からかなり体調が悪かったのですが、充実したゲームとごちそうのおかげで復活しました。
またぜひ遊びましょう>参加者各位