moon Gamer - ボードゲームブログ

テーブルゲーム(ボードゲームやカードゲーム等々)と、その周辺の話題を中心にした個人ブログです。

タグ:カナルマニア

9日(日)は、 一之江ゲームクラブに行ってきました。 atogさん主催のこのクラブは、このところ月に2~3回のペースで有志メンバーが集まってゲーム会が開かれています。もうどれが例会なのか緊急特例会なのかよくわかりません。moon Gamer それにしても、毎回のように「18xx」をプレイすると告知するだけで、どこからともなくメンバーが集まって卓が成立するのですからたいしたものです。

で、今回は隣で「1846」がプレイされているのを眺めつつ、こちらでは、お仕事で上京してきた HAL99さんを囲む卓をSGC有志メンバー(YOKさん・Gさん・自分)によって立てました。当初はこちらも「1846」卓になりそうな流れだったのですが、数日前に僕が「Canal Mania / Ragnar Brothers」の 2nd. Edition と「Age of Empires III: The Age of Discovery / Tropical Games」をプレイしませんかと提案したところ、他のメンバーさんに快く受諾いただきまして、本日の企画が決まりました。

相変わらず残暑の日は続いています。あー蒸し暑い。
弱冷房車があるんだから強冷房車も作って欲しい今日この頃。


Canal Mania 2nd. Edition / Ragnar Brothers

初の第2版プレイ。4人。

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残念無念なことに、後で確認したら、Junction Contact のルール適用が誤っていました。すいません。ゲーム自体はかなり面白かったので、バリアントとして考えてみることにします。ということで、例によって写真は参考にしないでください。
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


Age of Empires III: The Age of Discovery / Tropical Games moon Gamermoon Gamer

個人的には3回目のセッション。4人。

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3回目にして初の4人プレイ。適度に厳しいバランスが○です。

今回はゲームを通して資金管理が厳しい展開になりました。Age I では3ターンともスペシャリストの「商人」を取れたのは良いとして、それ以外の資金源の確保がうまくいきません。Trade Goods の毛皮を2枚取って、毛皮タイルのある地域へ探検を成功させたまでは良かったのですが、その後に入植者をその地域へ送り込むことに一歩遅れを取ってしまい、せっかくの毛皮タイルを他プレイヤーに取られてしまったあたりから状況は暗転しはじめます。

Age II では商人を呼ぶこともままならず、仕方がないので探検を繰り返して資金を確保する方針を採りました。この探検自体はうまく行ったのですが、そこから落ちてくる略奪金が少なくて、このギャンブルも失敗気味に終わりました。結局、序盤で資金繰りが良かったGさんが、そのまま最後までトップを走り切って勝利しました。

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「Age of Empires III」はとにかく自分に都合のよい Capital Building をいかにうまく調達するかに勝敗のバランスが大きく依存されている設計になっています。Capital Building は高額なので、特に序盤の資金繰りは極めて重要です。今回はこのあたりに甘い手を連発して、惨敗に近い形となりました(順位的には3位)。

4人プレイは当然ながら3人よりもずっと厳しく、ちょっとしたミスが命取りとなる「鋭い」ゲームでした。ゲーマー的な感覚でいえば、「Age of Empires III」は4人プレイがベストだと思います。もっとも、どの人数でやったとしても、中盤を過ぎて劣勢を逆転することは難しいので、序盤から注意深くゲームを進めることが肝要となります。

プレイしたメンバーにはいずれも好評でした。ゲームは2時間半ほど。慣れればもっと早く終わるでしょう。適度に歯ごたえのある内容ながら、比較的お手軽なシステムで楽しめる良作でしょう。今後もまた機会を見つけてぜひプレイしたいと思っております。
http://www.boardgamegeek.com/game/22545


レポートは以上です。
今回は「Canal Mania」にインストミスがあったのが痛恨の極みです。重ねてお詫び申し上げます。また、実は前日にプレイした「Phoenicia」も持ち込んだのですが、「AoE3」が終了した時点で午後8時を過ぎており、残念ながらプレイするには至りませんでした。「Phoenicia」は「Outpost」っぽいメカニクスですし、HAL99さんには気に入っていただけると思いますので、またいつかぜひプレイしましょう。moon Gamer

ということで、今回はどうもお疲れさまでした>参加者各位

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先日購入した「Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers」 の 2nd. Edition について、ざっとルールを読み終わりました。

ルールブックは思ったよりも細かく手直しされていまして、目で違いを追うだけでは見落としがありそうだったので、ルールブックをスキャンして OCR でテキストを出力し、初版ルールのテキストと diff で比較しました。それによって、広範囲にわたって言い回しの変更が多かったことに少し驚いてみたり。

以下、初版との主な違いをまとめてみました。なお、変更点はこれだけではなさそうですし、あるいは正確でないかもしれません。あくまで自分用のメモなので、参考程度にお読みいただければと。

1.マップ
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中央西端にあった Llangollen とその周囲のヘクスが消滅しました。

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Nottingham と Lincoln 間に Newark という新都市が追加されました。

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都市の色の割り当てが変わっています。特に北部の都市はかなり変わっています。それと、北部の York がひとつ東へ移動しています。

2.Junction Contracts
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ゲーム開始時に、各プレイヤーは1枚ずつの「Junction Contracts」カードを持っています。これには始点・終点の都市名の代わりに「Any Two Towns」と書かれている Value 2 の契約カードです。

プレイヤーは議会から契約カードを取る代わりに、手持ちの「Junction Contracts」カードを選択することが可能です。その場合、ボード上の任意の2都市を始点・終点と決めることができます(ただし Value が 2 なので最大距離は2ヘクス/ルール的に3都市経由は不可)。通常の契約と同様に完成義務があります。

初版では、契約カード上に存在しない運河は「絶対に」出現しませんでしたが、第2版では Junction Contracts のおかげでより自由度が増しています。良い新ルールだと思います。

3.Goods トークン
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茶色の Goods トークンは20個使います。初版にも20個のキューブが入っていましたが15個しか使いませんでした。

これに関連して、Goods トークンの除去ルールは削除されています。つまり、Goods トークンがストックに無い時には配置することができなくなるということです。

4.得点
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得点計算時に、完成した運河に使用したタイルの得点が入る他に、契約カードの Value が得点に加えられます。個人的には、これが初版と第2版の最も大きな違いだと思います。

このために終了条件の得点が増やされていたり、ゲーム終了時の契約カードの枚数によるボーナス得点ルールがざっくり削除されたりしています。

ちなみに、同点トップのタイブレークは、達成した契約カードの枚数→達成した契約カードの価値の合計→エンジニアの生誕年チェックの順で順位が判定されるようになっています。

5.Narrowboat
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「船」が、初版の「Barge」から「Narrowboat」へ名称変更されています(そのおかげで diff の出力結果がえらいことになったわけですが…)。写真のように、船のフィギュアのデザインも変更されました。

6.Goods トークンは最短距離で

Goods トークンの移動ルートが2つあって、それらがすべて自分の運河セクションによって構成されているのであれば、短い距離のルートを選択しなければなりません。狭い場所に集中して運河を引いて、その中で Goods をあえて遠回りに移動させるようなプレイは第2版では出来なくなっています。

7.その他

・契約カードに運河がボードのどのあたりの位置にあるかが示されている
・スコアトラックの分断箇所が少なくなって少し使いやすくなった
・2人プレイに正式対応
・ロングゲームとショートゲームバリアント(点数調整のみ)

他にも細かい変更がありそうなので、引き続き検証を続けます。
てか、Upgrade Kit を作るなら差分の説明くらいしてくれー>Ragnar Brothers

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29日(金)は、つばきさん宅にて開かれた自宅ゲーム会に参加してきました。テーマは「ネットワークゲーム」。オンラインでプレイするアレではなくて、もちろんボードゲームを遊ぶテーマ会です。

「ネットワークゲーム」というのは、たとえば分散している拠点を繋げたり、あるいはそれらの間を移動するなどしてネットワークを形成していくタイプのゲームのことをここでは指しています。そして、それらを中心に遊んでみようというつなきさんの呼びかけに何人かが応じ、ここに実現する運びとなりました。参加者は、自宅を開放していただいたつなきさんの他、puppiさん・田中ブンケイさん・ヴァイスさん、それに僕の5人でした。

年の瀬も迫ってきたこともあり、この日は朝からぐっと冷え込んだ1日でした。僕は前日に仕事が押してかなり寝不足な体調でしたけれども、時間が進むにつれて徐々に元気が出てきました。


Age of Steam Expansion #2 - Western US & Germany / Warfrog moon Gamermoon Gamer

「ドイツマップ」をプレイしました。

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まず最初は「蒸気の時代」の拡張マップからです。この拡張マップは僕としては初プレイでした。特別ルールは、盤の端にある都市が商品の受け入れ専門都市で、その色はゲーム開始時にランダムに決まるということと、「ベルリン」に毎ターン1個ずつの商品が配置されるというのが主な内容です。また、盤の端にある都市に直接接続されるヘクスの建設コストが極端に高く(8~10!)なっています。さらに「エンジニア」アクションのルールが変更されていて、エンジニア」も路線タイルを(4枚ではなく)3枚しか引けず、ただし1枚だけ建設コストを半分にすることが出来ます。

旧西ドイツ方面にシティやタウンが密集しているために、そのあたりから徐々に旧東ドイツ方面に広がるようなイメージでしょうか。そのキーポイントになるのがベルリンというわけです(毎ターン配置される商品は、冷戦時代に西側が空輸していた生活物資のアナロジー?)。このセッションでも3人がまずそのあたりにタイルを置くあたりから始まりました。

第1ターンに順番が4番目だった僕は、南部の3都市を中心に商品を回し、そのうち北上してベルリンを目指す指針を立てました。実は南部の商品キューブの配置状態は、ディスプレイシート上を含めてあまり良くはなく、だから他のプレイヤーがすぐに介入してはこないだろうと踏んでいました。が、なんと、5番目プレイヤーがここに路線タイルを置き始めまして、厳しい状態で競合する形になってしまいました。正直なところこれは全く予想外でした。

このようなこともあって第1ターンの収益が「0」のままに終わってしまい、ここで冷静さを欠いてしまったのが敗北の遠因となりました。この後、慌ててベルリンを一直線で目指すルートを強引に開拓したのですが、やはりこれは無理筋だったようです。後で撮影した写真を見て気がついたのですが、ここは南の端にある都市に接続することをひとまず目指すべきでした。競合を恐れず、それに立ち向かう形を作っていたのであればまだ勝負になっていたと思います。

つまり僕は正解の逆逆を選択したために、悪い局面でさらに傷口を広げてしまったわけです。これは情けない。その後も、あの手この手で生き残りをかけて体勢を立て直し、後半になって収益だけはトップグループに食い込むことが出来ましたけれども、無理に株式の発行数を増加させたために財務状況は悪いままで、最終的には3位と遙かに離れて4位に終わりました。

このゲームの序盤はとにかく難しく、しかしながらそれはこれまで踏んできた場数と経験で、たいていの状況には耐えられると自負していたのですが、今回はその慢心が全て悪手につながってしまいました。いずれにせよ、序盤の組み立てをさらに深い意識で考えないとダメなようです。久しぶりの「蒸気の時代」でとても楽しかったのですけれども、負けて学ぶこと、そして反省の多いセッションでした。まだまだ修行が足りません。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/8845


Hermagor (ヘルマゴール) / Mind the Move moon Gamer

何となくネットワークっぽいのでリクエストしてみました。

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前回のレポートでは、第3フェイズで商人が移動し、産物を販売する過程は実質的にソロプレイであると書きましたが、5人プレイ時ではそれが少し変わります。つまり競合が発生します。5人プレイでは産物がたくさん出てくるので価格が上昇しやすくなり、そうなると生産施設の価値も上がります。そのため、終盤のラウンドでは生産施設の激しい奪い合いになります(生産施設は1つの産物につき4つずつのみ)。

4人プレイ時では生産施設が不足することはありませんでしたが、5人プレイでは簡単に起こります。物価もインフレ気味なので、商品価格の意味も少しばかり違っています。つまり、4人と5人とでは、少しばかりゲームの性質が変わるようです。これは「ヘルマゴール」の興味深い特徴だと思います。

ゲーム後半に商館が立ち並ぶようになると、ボーナスで1キャッシュを受け取る処理が頻繁に発生するので、それが少し面倒に感じた人もいたようで、言われてみればその通りかもしれません。4人ではそうでもなかったのですが、5人だと第3フェイズでの必要作業がどうしても多くなるみたいです。ただ、耐えられないほど煩わしいわけではありません。

このセッションで僕は、第2ラウンドで中央市場での産物調達に失敗し、この時点で脱落気味に。1ラウンドでもこのようなことがあると、もう勝てる気がしなくなります。そういう意味ではかなり鋭いゲームであると言えるかも。中央市場のコマの置き方が上手で、常にたくさんの産物をかっさらっていったヴァイスさんが圧勝しました。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/25224


Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers moon Gamer

そしてこのゲームで今年の〆ということで。

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ヘビーローテーションというより、もはや僕の中では定番ゲームの地位を確立しつつある「カナルマニア」。運河のルートはほとんど決まっているにも関わらず、プレイするたびに展開が異なるので何度遊んでも飽きません。

このゲームでの得点源はさまざまです。運河を完成させた時に得るタイルからの得点は基本ですが、全員が同じ構成のタイルを保有していますので、ここで差が付くことはあまりありません。一方、商品輸送は得点差に表れやすく、4点(4都市接続)が入るルートを出来るだけ早めに建造することを目指します。巡り合わせが悪かったとしても、何とか2点(2都市間輸送)だけでも毎ラウンド点数を入れておきたいところです。

契約書の巡りが悪い時には、短い運河を建造することで達成枚数を稼ぐようにします。ゲーム終了時に獲得する達成ボーナスは案外と大きな得点源だからです。また、短くて孤立した運河の都市に商品を置いておくと、最終ラウンド後の商品減少ラウンドで細かく点数を獲得することが出来ます。このように、最終ラウンド後の展開も見据えてゲームを進めることが出来るようになると、「カナルマニア」の奥深さがさらに広がります。

このセッションでは、議会で提示される契約書に地域的な偏りがあまりなく、全体的にバランスよくばらけて公開された感じです。また、5人プレイであったことも影響していると思いますが、それぞれの運河はあちこちで分断され、長い距離の商品輸送があまり行われませんでした。そのため、契約書が順調に達成されていったにも関わらず、各プレイヤーの点数は低めでした。

ゲーム終了条件は、議会で契約書カードが最後の5枚になったことで満たされました。この時点でトップの点数が20点そこそこだったので、プレイ経験のある方なら、このセッションがいかに低スコアゲームになっていたか、おわかりいただけるかと思います。

そして最終ラウンドに入って細かい勝負となり、最終的には、達成した契約書枚数の多かったヴァイスさんの勝利(本日2勝目!)となりました。商品運送で得点を稼いでいた僕は、達成契約書がわずかに3枚だったのが響いて2位でした。

このゲームは1000セット限定生産ということで、すでに販売元では完売したようです。しかし、公式サイトのアナウンスでは、契約カードをいくつか変更した第2版が計画されているようです。変更点がどのようなものは不明ですが、都市を探しやすくするような工夫がされているといいなぁと… 第2版で製造数が増えれば、国内でも手に入りやすくなる可能性もあります。ということで、今後も「カナルマニア」から目が離せませんよ。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


レポートは以上です。

3時間級の重いゲームを、次々と3つもまる1日遊ぶことの出来た密度の濃いゲーム会でした。このような充実した内容になったことに、本日お付き合いいただいた皆様に心から感謝いたします。また、夜遅くまでお部屋を提供していただいたつなきさんには、特に深謝を申し上げます。

また、個人的には、これで今年最後のゲーム会となります。今年もたくさんのゲームを遊んでいただいてありがとうございました。来年もまた、どうぞよろしくお願いいたします。moon Gamer

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19日(日)は、まず昼前に「テーブルゲームフェスティバル(TGF)」へ行きました。もう少し早い時間に行きたかったのですが、このところ体調が万全ではないので、無理をせず睡眠時間の確保を優先しました(それでも会場に入った時には背中が悲鳴を上げている状態でしたが…)。

会場内ではたくさんの顔見知りの方々と挨拶を交わすことが出来ました。mixi 日記に腰痛のことを書いた関係で、主にマイミクさんの方々に「腰大丈夫ですか?」とかお気遣いいただきまして、もうありがたいやら恥ずかしいやら…。ありがとうございました。

TGFは、それほど広いスペースを使わない、わりとこぢんまりとしたイベントなのですが、その分だけ人と人との交流が密で、ゲームマーケットよりのんびりした雰囲気がありますね。遅れて行ったにも関わらず、事前にチェックしていたゲームは(同人ゲームも含めて)だいたい買えました。雨模様だったので単に参加者が少なかっただけかもしれませんけど。

買い物を済ませた後に適当にゲームを遊んでいこうかとも思ったのですが、お目当ての「シチリアの殖民(カワサキファクトリー)/仮題」が、ちょうど始まったあたりというタイミングの悪さ。これを待っていても良かったのですが、体調のこともありまして、早々に会場を引き上げることにしました。ご祝儀(?)代わりに「R-ECO」の新版をひとつだけ購入し、カワサキさんにご挨拶だけでも出来たので良しとしましょう。

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会場には30分足らずだけしかいなかったのですが、買ったゲームはこんな感じで(ゲームではないものも混じっていますけど)。具体的なタイトルは、後日「購入メモ」のエントリーにて書きます。


地元の千歳烏山に戻り、ゲーム倉庫で少し休んだ後、SGCの例会が開かれている会場へ向かいました。会場ではすでに3卓のゲームが行われていて、おかげでここでも少し休めました。以下、SGC例会でプレイしたゲームのレポートです。

Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers moon Gamermoon Gamer

そしてまたいつもの「カナルマニア」。4人。

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いつの間にやらヘビーローテーションとなっている「カナルマニア」。大傑作とまでは言いませんが、適度な歯ごたえとボリュームのある内容を持つ良作です。

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今回も写真のように、議会にある契約カード上にある都市をカラーキューブで示すことにしました。やり方はいろいろありますが、契約の対象となっている都市を見つけやすくするこのような工夫は必須でしょう。ちなみに写真の大きなカラーポーンは、TGFで販売されていたもので、「カナルマニアに使えそうだなぁ」という理由で購入しました。moon Gamer 便利でちょっとかわいいし。

セッションの方は、僕がこれまでプレイした中で、もっとも面白い展開となりました。議会に出る契約書が適度にマップのあちこちにばらけたために、4都市以上を接続する運河がなかなか現れず、そのために点数が小刻みに分配されるような形となり、中盤まで数点の間に4人のプレイヤーがひしめき合う大接戦となったのです。

そうこうするうちに緑プレイヤーが「Oxford」~「Birmingham」に4都市運河を完成させました。そうすると今度は、商品キューブの出現と運送に細かい駆け引きが繰り広げられるようになりました。ようするに、緑プレイヤーの長距離運河による得点機会を出来るだけ減らすようなプレイングが行われ始めたということです。このセッションは、僕以外は全員が初プレイの人たちばかりだったのですが、勘どころが冴えているメンツが揃ったようで、実に締まった良いゲームになりました。

で、このようなもみ合いがVP40点あたりまで続いたのですが、上記の4都市接続が5都市接続になったあたりで、再び緑プレイヤーが頭ひとつ飛び出る形になりました。これはまずいと他の3人がそれを止めようと必死になっているさなか、なんと、白プレイヤーが北部の都市を独占する形で大運河網を完成させることに成功し、終盤に来て一気に得点を伸ばし始めるようになったのです。

ということで、もう誰が勝っているのかよくわからない混沌とした状況のまま最終ラウンドと最終スコアリングを終え、勝敗の行方は、達成契約書ボーナスにかかってきました。

まず終盤に伸びた白プレイヤーですが、4契約で契約達成数順位で最下位となり、ボーナス1点のみで脱落。そして緑プレイヤーと、これまで地道に点数を伸ばしてきた黄プレイヤーとの一騎打ちとなったのですが、なーんと達成契約書数がどちらも7枚! この場合、契約書の「価値」数の合計が多い方が順位が上となります。そしてこれがわずかに上回った緑プレイヤーが見事にボーナス10点を獲得。結局これが決め手になり、トータルわずか2点差という僅差にて緑プレイヤーが勝利を収めました。いやー、素晴らしい。面白いセッションでした。

プレイタイムは2時間半くらいだったでしょうか。これくらいならSGCでは無問題です。あまりに充実した面白い内容だったので、あっという間に時間が過ぎ去った感じです。個人的にも、これだけ遊んでもまだ飽きていないので、ぜひまたどこかでプレイしたいと思っております。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


Consumer / Western Publishing Company moon Gamer

11人いる!

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ということで、最低プレイ人数が11人(最大34人)という「Consumer」をプレイしました。発売年が1969年とヴィンテージなゲームで、持ち込みは当然 Atog さんです。事前に Atog さんの mixi 日記で告知されていたのですが、どんなゲームなのやら、期待半分・心配半分(何しろヴィンテージなので)な気持ちで臨みました。

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で、インストを受けてわかったのですが、これは学校教材として使うようなタイプの集団ゲームのようでした。ゲームそのものを楽しむというよりも、ゲームによって世の中のしくみを理解しやすくするためのツールです。

ゲームは全8ターンです。プレイヤーは大きく「消費者」「金融機関(3社)」「進行役(セールスマンとコーディネイター)」に分かれます。「消費者」は毎ターン120ドルを生活費として受け取ります。消費者は、予め用意された11の商品を自分のお金を支払って購入することが出来ます。商品には「価格」と「満足度」が設定されており、購入した商品の満足度を勝利得点として受け取ります。つまり消費者プレイヤーの目的は、より多くの満足度を得ることにあります。

商品の満足度は、商品ごとに異なっています。基本的には高価格であるほど高い満足度になっていますが、中にはターンが進むにつれて獲得する満足度が低下していくものもあります。例えば「ベッド」は、最初の2ターンは「120」の満足度ですが、最後の2ターン購入した場合は「45」まで下がります。こういう商品は出来るだけ早い段階で購入した方がいいのです。

逆に後のターンの方が満足度が満足度が高くなる商品もあります。例えば「洗濯機」の場合、最初の2ターンで購入すると「145」の満足度を得られますが、最後の2ターンまで待って購入すると「190」となります。このように満足度が変わったとしても、購入価格は変わりません。

最初のターンで満足度の高い商品を購入した方が当然有利ですが、それは生活費だけでは賄えきれません。また、消費者プレイヤーには、毎ターンごとに「チャンスカード」が1枚ずつ配布されるのですが、これがほとんどロクでもない効果ばかりです。したがって、ただでさえ苦しい金回りがカードによってさらに苦しくなるようになっています。

そこで利用するのが「金融機関」です。金融機関には3社あって、「銀行」「デパートクレジット」「消費者金融(通称:サラ金)」がそれです。それぞれ、1人ずつ担当プレイヤーが存在します。金融機関プレイヤーの目的は、より多くのお金を儲けることです。つまり、金融機関には金融機関間での競争があるのです。

それぞれの金融機関は利子が異なります。もちろん銀行が一番安く、サラ金が最も高いです。ただし、当初に所有している資金の総額は、銀行が最も少なく、サラ金が最も多くなっています。各金融機関は、手持ちの資金までしか貸し付けられませんので、消費者プレイヤーが借りたいところからいつでも自由に借りられるわけではないのです。

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借りたお金の返済契約が妙に凝っていて、写真のようにきちんと「契約書」を作ります。返済計画を事前に金融機関が消費者に説明した上で、互いに納得したら契約書に相互サインをし、それでようやく融資が受けられます。

融資が実現すると、その案件毎に金融機関プレイヤーにはポイントが入ります(このポイントが金融機関間の勝利判定に使われます)。支払いがコゲついたりするとマイナスになりますので、事前に審査(!)とか交渉が行われることもあります。

返済が滞ったとか、あるいは不法な取り立てをしたなどのトラブルが発生した場合は「訴訟」が行われます。これを進行役であるコーディネイターが裁判官となり、当事者の言い分を聞いたり、証拠(契約書など)を吟味した上で裁定を下します。

このように、生活費と借金の現実的なシステムをゲームの中に取り入れ、それを実際にプレイすることで、社会のさまざまなしくみを体験的に学習することが出来るようになっています(この場合の『社会』とは60年代のアメリカのことです)。

簡単にいうとこのゲームの目的はそれだけで、それ以外のものを求めてはいけないのでしょう。このような歴史的なゲームを体験することが出来たことに、まずは深く感謝したいと思います。どうもありがとうございました。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/18430


レポートは以上です。

朝から動いていたのでくたくたでしたが、とりあえずアフターには参加。でも内容はあんまり覚えておらず。後半は目を開けて寝ていたような状態でした。失礼しました。

今回もお疲れさまでした>参加者各位
次回は忘年会ですね。よろしくお願いいたします。moon Gamer

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11日(土)は、池袋で開かれた袋小路11月例会に参加してきました。朝から雷が鳴るような悪天候で、今ごろ徹夜でPS3の行列に並んでいる人たちは大変だろうなー、とかまるで人ごとみたいに、雷鳴とどろく灰色の空を見上げながら思っていました。

雨が降るとカートタイプの大型バッグが使えない(僕の持っているものは防水加工されていない)ので、朝になって慌てて持ち込みゲームを減らしたり入れ替えたりして、こっちはこっちで大忙しでした…。

そんなこんなで選んだ持ち込みゲームが、何だか少し重めのものばかりだったでちょいと申し訳ない限り。袋小路にはあんまり重いゲームを持ち込まないようにしているのですが、今回は準備不足も加わってこんなことになってしまいました。

この日は定刻午後1時の10分ほど前に会場入りし、机の設置などをお手伝いしつつ、最初のゲームをごそごそと広げたのでした。


Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers moon Gamermoon Gamer

広げたのはいきなりこれ。5人。

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先日、「重たいゲームの特別例会」でプレイしたこのゲームを例会に持ち込んでみました。結局、このセッションも3時間以上もかかったので、やっぱり通常例会で頻繁にやるにはきついゲームですね…

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実はこのゲーム、「契約カードの都市名を把握するのがけっこう大変」という欠点があるのですけれども、写真のように木製キューブを使うことで視認性を高める工夫をしてみました。

これは、このセッションで卓を囲んだ他のメンバーにより、即興で編み出されたグッドアイデアで、契約で結ぶ2つの都市と対応する契約カードへ、それぞれ同色のキューブを配置するというものです(中継都市にはさらに1個置く)。たったこれだけのことで、プレイ環境がかなり改善されました。

この日はたまたま木製キューブを持っていたのでこれを使いましたが、商品キューブと紛らわしく見えたこともあったので、今度プレイする際には別のマテリアルを使おうと思います。何にするかは検討中。

さて、このセッションは、僕個人としても初の5人プレイでした。やや時間がかかったことを除けば、本質的な面白さは4人ゲーム時とそう変わった印象はありません。その一方で、バランス的には厳しくなっていたので、初プレイの人にはきつかったかもしれません。

議会の運不運については、このセッションではわりとくっきり出てしまいました。ただ、それをうまく避けたり、あるいは考え方を変えて別の方法で得点を狙う形に持っていくことを目指すことも出来るようには見えましたので、これは場数を踏めば何とかなる問題でもあります(今後は、初プレイ時の注意事項についてまとめた方がいいかもしれない…)。

このような経験の差もあって、このゲームを購入してからやっと初勝利を上げることが出来ました。しかし今回も、1回だけきつーいミスをやらかしていて、恐らくプレイ経験者がいたらしっかりこれを咎められていたことでしょう。どうも、最終ラウンドの手前あたりでうっかり集中力が途切れてしまう悪いクセが抜けません。もっと上手くなりたい。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


Kampf um Rom (ローマ帝国の危機) / Kosmos (Franckh-Kosmos)

メビウス便の新作。3人。

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ローマ帝国末期の欧州をテーマにしたカタン風味の領土拡大ゲーム。見た目に派手だし、カタンっぽいマップということもあって、足を止めて見学していく人が多数いました。カタンのネームバリューって、やっぱりすごいというか。ただ、このゲームはカタンとはほとんど異なる内容です。

プレイヤーには「騎兵」と「歩兵」の2つのコマが与えられます。それぞれのコマはマップ上に配置されますが、これらのコマの持つ「部隊」は「部隊エリア」で管理されます。部隊エリアには、マップ上の騎兵や歩兵が、実際にいくつのコマを所有しているかが表されます。「騎兵」の部隊エリアには「騎兵」のコマ、「歩兵」の部隊エリアには「歩兵」コマが置かれ、それぞれ複数個配置されることもあります。

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また部隊エリアには「輜重車(しちょうしゃ)」と呼ばれる貨物運搬車も配置されます。これは部隊コマが「略奪」や「占領」を行う時に意味を持つコマです。輜重車はマップ上には配置されず、部隊エリアにのみ置かれます(複数個の場合もあり)。

カタンと同様に、このゲームにも原材料カードが存在します。「麦」「鉄」、そして牧草地カードと呼ばれる「牛」「馬」です。これらは「騎兵」「歩兵」「輜重車」の建設や、特殊な効果を持つ「発展カード」を購入する際に必要となります。また、これと似たものとして「コイン」があります。つまりお金ですね。コインを使うことでも建設や購入を行うことが出来ます。

ラウンドではまず、スタートプレイヤーがダイスを2個振って原材料の産出をチェックします(このあたりはカタンと同じ)。ダイスで「7」が出たら「ローマ兵」によって他人の資源を奪うことが出来ます(騎士ですな)。いわゆる「バースト(手札を半分捨てる)」は「7」の目によってはありません。

続いて「交易と建設」です。他プレイヤーと原材料カードの交換や、銀行との「3:1」交易が行えます。その後で、「騎兵」「歩兵」「輜重車」「発展カード」の建設・購入を行います。その際には、指定された原材料カードやコインを支払います。

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そして「騎兵」→「歩兵」の順番でアクションを行います(アクションを行わない(あるいは行えない)時には、原材料カードかコイン2個をもらうことも出来ます)。

部隊のアクションは「移動」「略奪」「占領」の3種です。移動は陸路と海路があり、その2つを組み合わせても構いません。コマはヘクスの「点」に置かれ、陸路による移動はヘクスとヘクスの間にある道を通ります。

陸路の道には矢印が書かれている場所があちこちにあります。最初の矢印はノーコストですが、2つめ以降の矢印を通過する際にはコストを支払わなければなりません(『麦』1枚かコイン3枚)。海路を使うには、1つの海路ごとに1コインを支払います。いずれも、コストを支払いさえすればどこまでも移動可能です。

移動後に都市に隣接する場所にコマがあれば、その都市に対して「略奪」か「占領」を、どちらか1回だけ行います。いずれにせよ、その都市の「塔」の数以上の部隊を部隊エリアに保有していなければなりません。

「略奪」を行うには、さらにその都市に「略奪タイル」が置かれていなければなりません。略奪が成功したら、その「略奪タイル」をめくって(初期配置で裏返しで配置されています)、部隊が受ける損害を適用し、報酬を受け取ります。この時、部隊の持つ「輜重車」の数だけコインも追加して受け取れます。その後で、略奪タイルをその部隊の部隊エリア上にある所定の場所に置きます。

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「占領」を行うには、その部隊が「輜重車」を1つ以上保有していなければなりません。また、少なくとも3色の都市(都市は全部で5色ある)で略奪を行った部隊でなければ占領は行えません。

占領に成功したら、マップ上の部隊コマをその都市上に移動させ、部隊エリアから「輜重車」を1つ取って、やはりその都市に置きます。「占領」を行うことでプレイヤーには1点が入ります。しかし以後、この部隊はマップ上を移動することは出来なくなります。

「占領」を行った部隊は、さらに「拡大」が行えます。「拡大」は「占領」の別形態で、意味としては同じです。占領を行った任意の都市から矢印1つ分までの距離にある都市に対して「占領」を行います。ただしこの部隊は、目標となる都市の「塔」以上の部隊コマを持っていなければならず、「輜重車」も1つ以上保有していなければなりません。拡大による「占領」が成功したら、その都市に部隊コマと輜重車を、部隊エリアから取って置きます(これも1点)。

ゲーム中に、ある一定の条件を満たすことで、「特別勝利得点」を受け取ることも出来ます。また、発展カードの中には、1点の「得点カード」もあります。このようにしてゲームを進め、10点に達したプレイヤーが現れたらそのラウンドの終了時にゲームが終了します。10点以上で最も得点の高いプレイヤーの勝利です。

…まずお詫び。前日に慌ててルールを読んだため、ゲーム進行に関するルール解釈を大幅に間違えてしました。プレイした方々、まことにすいません。なのでまったくの想像でしかありませんが、十分な手応えのあったゲームした。いずれ正しいルールで遊んでから、またここでレポートいたします。ああ、もう、何やってんでしょうか…
http://www.boardgamegeek.com/game/25234


Ekonos (エコノス) / Ludic moon Gamermoon Gamer

半年ぶりのセッション。4人。

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前回のレポートと簡単なレビューはこちらのエントリーをどうぞ。

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前回のセッションで視認性が悪くて識別しずらかった「株価マーカー」の片面に、ダイソーで買ったカラーシールを貼り付けてみました。これが大正解。劇的に視認性が上がってプレイしやすくなりました。

そして今回は念願の4人プレイです。4人で遊んだ感想としては… 実は6人の時とそんなに感触が違いませんでした。相変わらずカードのランダム性が気になりましたが、それは他のプレイヤーも同じことですし、カードの構成が工夫されているようで、ゲームが極端な方向に流れないようになっているようです。

悩みどころは6人でも4人でも同じでしたし、近い将来に向かっての計画の立て方も同じでした。ということは、やはり簡潔に要所をうまくまとめた良いゲームだということなんでしょう。

最後の計算がやや面倒ではありますが、それでも最終的な点数は2桁に収まります。この秀逸なコンパクトさは、他の細かい欠点を補って余りある美点といえましょう。両手を広げれば手が届きそうなスケールの中に、深く混沌とした独特の味わいが感じられる不思議な面白さを持つゲームです。

このセッションでは勝ち組2人と負け組2人に分かれる流れになりまして、当然のように僕は負け組に… マップ上の企業タイルの争いにうまく乗れなかったのが直接の敗因です。カードの使い方にも株の売買にも問題があり、良いところがひとつも無かったような気が…moon Gamer
http://ejf.cside.ne.jp/review/ekonos.html


レポートは以上です。

この時点で午後7時過ぎあたり。そろそろ痛めている背中や腰が重くなってきたので、早めに帰らせていただきました。みなさんお疲れさまでした。

この日の例会も多くの参加者が集まって会場内は大盛況でした。夕方ごろには10卓全部が埋まり、さらに余って卓に入れなくて歩き回っている人までいました(公式発表40名なのですが、見た目はもっと多くいたような気が…)。

しかも今回は、袋小路の原点回帰ともいえる「大騒ぎ卓(SPコンボ卓)」が設置され、そこでは夕方過ぎまで賑やかな歓声が絶え間なく響き渡っていました(僕も6ニムトにのみ参加)。代表の娯楽堂さん自らが牛の着ぐるみを着てがんばっていましたし、キツネの着ぐるみも見かけました。こういうノリは袋小路らしくて見ていて楽しいです。これからもどんどんやっちゃってくださいな。

次はチャンレンジゲーム会ですね。
またその時にお会いしましょう。どうぞよろしくお願いいたします。moon Gamer

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28日(土)は、袋小路の「重たいゲームの特別例会」に参加しきました。みなさんご存じ通り、袋小路は、門戸を大きく開いている日本有数のメガゲームサークルであり、通常の例会では比較的軽めのゲームが遊ばれることが多いです。しかしゲームに慣れ親しんでいくにしたがって、長い時間がかかっても、あるいはルールが多くても、どうしても遊んでみたいというゲームが誰でも増えていくものでもあります。

そういう需要に応えたのが、年に2度くらいのペースで開催されているこの「重たいゲーム」専用の特別例会です。時間も朝の9時~21時30分までと長めに会場を押さえてあり、重たいゲームをまる1日楽しめるような環境になるよう配慮されています。

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さて、今回僕が事前にがんばって準備を進めたのが「Roads & Boats /Splotter Spellen」です。再販されたのかされるのかわかりませんが、そういう話も出ているようです。このゲームは、資源を産出してそれを工場に運んで加工し、より価値の高い生産物を作るという、開拓・発展がテーマの箱庭系ゲームです。

Splotter の初期のゲーム(1999年初版発売)で、精密でありながらプレイアブルな開発ゲームとして、主にフリークたちに注目されました。しかし、発売数が少なくてすぐに市場から消えてしまい、しばらくは知る人ぞ知る幻のゲームでした。BoardGameGeek での評価は一貫して高く、8点前後に貼り付いたまま何年もキープし続けています。

ちなみに2年半ほど前、某サークルで「R&Bやりませんか?」と提案したら軽くスルーされまして(泣)、それでケチがついたのか、以来ずっとプレイする機会がないままでいました。ところが数ヶ月前から、僕の周囲の別方面のゲーム仲間の方々が、このゲームを注目するようになりまして、それでやっと僕も自分のセットを使ってプレイする気になった次第です。


Roads & Boats /Splotter Spellen moon Gamermoon Gamer

全て手動な箱庭ゲーム。3人。

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ゲームは「カタン」のようなヘクスタイルを敷き詰め、その上に透明なプラシートを覆い被せるようにしてから、それをテープで留めてセットアップします。このプラシートの上には、ゲーム中にマーカーペンによって「道路」が引かれます。

ゲームは「(再)生産フェイズ」「移動フェイズ」「建設フェイズ」「ワンダーフェイズ」で構成されます。まず何かが作り出され、その後で盤上でさまざまなモノの移動が行われた後に、それらを利用した建設が実施されます。そして最後に「ワンダー」の建設を任意で行います。

何かを生み出す「生産拠点(Puroducer)」には2種類あります。自然の資源(産物/Goods)を産出する「第一次生産拠点(Primary Producer)」と、産物を投入(インプット)することで、別の生産物を作り出す(アウトプット)する「第二次生産拠点(Secondary Producer)」です。例えば、第一次生産拠点のひとつである「きこり(Woodcutter)」は、「森」で「丸太(Trunks)」を産出します。「丸太」ひと山を第二次生産拠点の「製材所(Sawmill)」に投入することで「木板(Board)」が2枚産出されます。

これらの産物を運搬したり、投入したり、あるいは産出された産物を受け取ったりする役割を果たすのが「輸送隊(Transporter)」です。輸送隊には何種類かありますが、大きく陸上用と水上用に大きく分類されます。

陸上用輸送隊は、「ロバ」を除いて道路上しか移動することが出来ません。「ロバ」は陸上であれば道路の無くても隣接ヘクスに移動可能です。この「道路」は、建設フェイズにおいて、プレイヤーが資源を投入して作ることが出来ます。前述したように「道路」はプラシート上にマーカーペンで実際に線を引いて表します。道路はヘクスの中央から中央へと引かれます。「川」を越えるためには「橋」を別途資源を支払って作らなければなりません。

水上用輸送隊は、「海」か「川」、あるいは「海岸」上に停泊することが可能です。海岸上や川にある水上用輸送隊は、陸上と産物のやり取りや、そのヘクス上での建設などが可能となります。

それぞれの輸送隊は専用の工場で生産することが出来ます。これも建設フェイズで、必要な資源を支払うことで建設しますが、より上位タイプの輸送隊を製造する工場を建設するためには、それに対応する「研究(Research)」を先に行っておかなければなりません。「研究」によって、より高度な輸送隊の生産拠点や、特殊な鉱山を発掘することが可能になります。「研究」には「ガチョウ」2羽と「紙」1枚が必要です。どうも「ガチョウ」は実験動物のようですね。moon Gamer

さらに「ワンダー(Wonder/驚異・不思議)」の建設に寄与することで得点を獲得することが出来ます。ワンダーの建設には産物が必要です。ワンダー建設が完了することでゲームが終了します。もちろん得点の多い人が勝利です。

このゲームの大きな特徴は、「建築物は公共のものである」という点です。ボード上で建設された建物は、誰が建てたものであろうと、誰もが自由に利用することが出来ます。第一次生産拠点はオートマティックに産物を毎ターン生み出します。第二次生産拠点であれば、誰がそこへ資源をインプットしても、アウトプットを得ることが出来ます(ただし、生産拠点の種類ごとに、ひとつのターンで産出する産物の上限数は決まっています)。

一方、輸送隊は所有者が明確に決まっています。輸送隊が運搬している産物も、その輸送隊のものであって、強引にそれらを奪い取ることは決して出来ません。

他人の動きを制限するには「壁(Wall)」を使います。ヘクスとヘクスの間(辺)に「壁」を作ることで、その「壁」の所有者以外の通行をストップさせることが出来ます。当然ながらこの「壁」は破壊することも可能で、このゲームでは唯一とも言える直接攻撃手段です。これに対抗するために「壁」は余分なコストを支払うことで2重・3重に強化することも可能です。

もうひとつ特徴的なルールが「競合(Conflict)」です。実はこのゲームの各フェイズは、全プレイヤーが同時にプレイを行います。生産や産出において「誰が最初に行うか」という順番が問題になった場合は、全て「競合」ルールによって一本化した判定が行われます。端的に言えば、ゲーム内の実行優先順位は、決められたプレイ順にしたがって処理されるようになっています。

そのプレイ順はターン開始時に変えることが可能です。これはルールで決められた処理で実施されます。「競合」ルールは、このゲームにおいて駆け引きの重要な要因のひとつとなっています。

「全員同時プレイ」という混乱しそうなシステムであるにもかかわらず、単純明快な「競合」ルールによって優先順が機械的に決められているので、この点においては一切の紛れがありません。しかも同時プレイの効果によって待ち時間がほとんどないというのは特筆すべき点でしょう。長い時間のかかるゲームなのに、ゲームは息つく暇もなくどんどん流れていきます。

盤上で大量のコマを少しずつ操作して、徐々に拡大再生産の規模を広げていくさまは、まるで小さなジオラマや箱庭を丹念に作り上げていくようでもあります。資源の循環があり、効率的に開発・発展させていくための道筋がシステムで用意されていて、プレイヤーはそれらの情報を元に、時には他人と衝突しながらも、思うがままに世界のありようを設計し、それらを少しずつ育て上げていきます。その創造の過程は純粋に楽しく、実に面白い作業です。

しかし、それ以外の自動的に行われる手続きや処理の多さにはちょっと参ってしまいました。第一次生産拠点には、毎ターン自動的に産物がにじみ出てきます。第二次生産拠点のタイル上に産物が落ちていれば、それらは自動的に加工されます。それらはゲームの重要なテクニックとしても使えますが、細かくて種類の多いコマのやり取りを、プレイエイド片手にボードとストックを行き来しながら煩雑に行わなければならず、この手間はけっこうなストレスになりました。

また、僕の持っているセットに付属していた透明プラシートが、経年劣化のための波打ってしまっており、これがプレイアビリティを一層下げる結果ともなりました。コンポーネントの問題は他で代用するアイデアが浮かびましたが、自動処理を効率的に行うには慣れるしかないのでしょう。今回は3人プレイでしたが、僕としてはこれくらいの人数でいっぱいいっぱいです。

このセッションでは、慣れないやや複雑なゲームだったためか、全員が序盤でプレイングミスを連発してどうなることかと思いました。少ししたら落ち着いたのですが、それでも思った以上に時間がかかりそうだったため、2時間を経過したあたりで無理を言って協議終了とさせてもらいました。インスト+セットアップに1時間ほどかかっているので、主観的には3時間以上の時間を費やしたことになります。

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基本的には同時プレイということもあり、他プレイヤーの行動に対する厳密なルールチェックが難しい(というか無理)ため、その場でインストして行うにはあまり向いていないゲームだと思いました。遊ぶならプレイヤーは事前にルールを読み合っていた方が良いでしょう。

ということで、このゲームの日本語訳ルールを写真のようにまとめてみました(ピンク色っぽいチャートは BGG で配布されているプレイエイド)。これは現在調整中ですが、後日 pgdb に登録する予定です。

ともあれ、楽しい要素が盛りだくさんで、ものすごく好きなタイプのゲームであることには違いなく、今後も長くプレイし続けていきたいゲームです。であるからこそ、戦略だけに自然と集中することの出来る気持ち良い環境を作り上げる工夫を考えたいと思います。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/875


Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers moon Gamer

最後の最後で… 4人。

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18世紀前後の英国運河開発史をテーマにしたゲームです。個人的には今回で3回目のセッションとなります。 前回のレポートと簡単なレビューは、こちらのエントリーをどうぞ。

さて、前回のレビューで省略した「最終ラウンド」についてちょっと説明しましょう。このゲームの終了フラグが立つのは、「(人数に応じて)指定された得点に達したプレイヤーが出現した」か、あるいは「契約書の最後の5枚が場に出た(=契約書の山札が無くなった)」時です。まず、終了フラグが立ったラウンドは最後までプレイした上で、そこからさらに2ラウンド(2手番ずつ)をプレイします。

ちなみに、このゲームのスタートプレイヤーは「赤」プレイヤーであるとルールで決まっています。ですから、ラウンドの最後は赤プレイヤーの前のプレイヤーの手番が終了した時点、ということになります。

そして最後のプレイヤーの手番が終了した後、未完成の運河の得点計算をします。さらにこの後には「商品の減少(Goods Decline)」という特殊なラウンドが開始されます。これは、盤上にある商品トークンを可能な限り輸送するだけのラウンドです。

「商品の減少」ラウンドでは、最も小さな番号のエンジニアカードを所持するプレイヤーから番号順に手番を回します。1手番では、盤上の商品を1個だけ輸送します。もちろんこのラウンドでも、通常の商品輸送と同じように得点が入ります。ルールに則って可能な限り商品を輸送したら、これでやっと最終ラウンドが終了します。

最後に、達成した契約書の枚数の多少によってボーナス点が加算されます。4人ゲームの場合、最多契約者は10点ですが最下位は1点しか入りません。実はこれもなかなか大きな点数となります。

というように、点数を獲得する手段は各種あり、最終ラウンドまで気を抜けないというスリリングな面を持ち合わせた良いゲームです。ルールがちょっとばかり長くてインストで説明することは多いのですが、それらはとても理解しやすい構造になっていますので、実際にゲームが始まったら全貌を理解することは容易かと思います。

このセッションで僕は、前2回の経験を生かして、マップ中央の都市周辺に運河を建設するような契約を取ることを心がけました。また、議会に置かれたカードの関係でそれが難しい時には、とりあえずどこでもいいからシティを押さえておいて、ゲーム後半にそれが上手くつながったらラッキー、くらいの気持ちでプレイしました。

また、エンジニアは前半に「Brindley(直線路カードで水路タイル配置可能/別名ロックマン)」や「Telford(水路カード1枚で水路タイル配置可能/別名アクアマン)」等を利用して、少ない手札で効率的に運河の建設に努めるようにもしました。

このこともあって中盤までは点数的にかなり優位に立ちました。中盤を過ぎてからは、他のプレイヤーが慣れてきたこともあって、かなりポイントを詰められてしまいましたが、マップ上の運河の接続状況や商品の配置も良好な形となっていたため、実はかなり楽観視していました。最終ラウンドに入っても状況はそれほど変わらず、3ゲーム目にしてやっと勝てたかな? と、ここでうっかり安心したのが大間違いの始まりで…

何を血迷ったのか、最終手番の第3フェイズ(最終フェイズ)で建設カードを取ってしまうというあり得ないミスをしでかしてしまったのでした。ここはどう考えても商品輸送に決まっています(建設カードを取っても手番がもう回ってこないので無駄)。おかげで輸送によって入るはずだった5点を失ったばかりか、2位のプレイヤーにその商品を運ばれて5点を入れられてしまいました。順位的には辛うじて2位でしたが、勝てたゲームをしょうもないミスで失った痛恨の一局でした。とほほ…moon Gamer

まぁ勝敗はともかくとして、3ゲーム目にして僕はようやく「カナルマニア」の戦略の立て方がわかってような気がします。前回は議会の巡り合わせの悪さを嘆きましたが、今回はそれはそれとして別のことを考える余裕がありました。そして1手でも間違えると勝てないという厳しいゲームであったことがわかっただけでも収穫です。

どうしても2時間はかかってしまうゲームなのですが、ルールは「乗車券」っぽい感じでそれほど難しくはなく、気楽に再プレイを考えられるあたりがまたいいですね。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


レポートは以上です。

まだ時間的には余裕があったのですが、体力的に自信が無かったので、少し早めに上がりました。実は2日前に、ほぼ持病とも言える腰痛(+背筋痛)症状が出てきまして、この日は湿布と鎮痛剤で痛みを抑えつつゲームを遊んでいたのでした(アホですな)。

そういうこともあって早めに帰ったのですが… 歩いている最中に、背筋痛がどんどんひどくなってきてしまい、池袋駅に着いた頃には立っているのがやっとの状況にまでなってしまいました。この状態で駅の階段を重い荷物を持って上り下りする自信がまったく無かったため、しょうがないので地元までタクシーに乗って帰りました。体調が良ければアフターまで付き合う予定だったのに残念です。

僕の体調は置いておくとして、この特別例会では「1830」「1890」「タイタン」「ケイラス」「電力会社」などの卓があちこちで立っていて大盛況でした。問題が無かったわけではありませんが、この会自体はおおむね成功だったと言えましょう。次回開催時には、ぜひまた参加したいと思います。
どうもお疲れさまでした&ありがとうございました>参加者各位 moon Gamer

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連休〆日の9日(祝/月)は、puppiさん宅で開かれたゲーム会に行ってきました。参加者は puppiさんの他に、かゆかゆさん、taroさん、そして僕の4人です。このゲーム会は、10日ほど前に mixi の地元ゲーマー用コミュニティ上で僕がメンバー募集をかけて企画されたものです。募集時にメインに据えたゲームは「Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers」・「Tempus (テンパス) / Cafe Games」の2つでした。

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個人的なこの日の目玉は「Canal Mania」でした。このゲームは鉄道ゲームに近いテイストを持つ「開発・開拓+運搬」系のゲームで、18世紀前後のイングランドにおける運河開発がテーマになっています。

play:game 上にて、けがわさんによってすでに何回もレポートが書かれていますが、それを読んで一目で気に入ってしまいました。販売先を調べたところ、Ragnar Brothers のサイトで直販していたのでさっそく取り寄せ、この日のゲーム会を迎えた次第です。

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このゲームは現在でも販売されていますが、1000セットの限定製造だそうです。発売後10週ですでに700セット販売したとサイト上で告知されており、それなりに売れているようです。

なお、ルールはすでに日本語訳を作成済みで、わずかな修正作業と、Ragnar Brothers の許諾を得られたら pgdb へ登録する予定です。
※2012.01.06 補足:現在、公開を見合わせています。第2版への対応が済んだら再公開するかもしれません。現在はそれ自体も含めてすべて未定です。

この日は午前11時過ぎに集まり、インストを経て、お昼の12時30分前くらい最初のゲームが開始されました。


Canal Mania (カナルマニア) / Ragnar Brothers moon Gamer

ルールを確認しながらだったので3時間ほど。

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記念すべき最初のゲームは、慣れないイギリスの地名を探すことから始まりました。moon Gamer

このゲームの大きな目的は「運河(Canal)」を建造することにあります。運河は都市から都市へと接続しますが、自由に行えるわけではなく「契約(Contruct)」によって決められた都市間を結ばなければなりません。運河建設契約は議会によって定められ、そこから仕事を請け負うことで、初めてその運河の建造を行えるようになります。運河が完成すると得点が入ります。また、運河が次々と作られていく過程で、マップ上に商品が流通するようになります。都市から別の都市に任意の商品を輸送すると、その距離に応じてやはり得点が入るのです。

このように書くと、えらく複雑な経済ゲームのようですが、基本的なシステム構成はとてもシンプルなのです。それは、このゲームに含まれているコンポーネントの種類の少なさにも表れています。まず「ゲームボード」と、運河を構成する「運河タイル」、運河建設の位置を示す「作業船」コマ、商品を表す木製キューブの「商品トークン」です。あとはカード類です。カードも大きく3種類だけで、運河建造の契約書となる「運河建設契約カード」、運河を建設する時に支払う「建設カード」、特殊な能力をもつ技術者「エンジニアカード」です。その他、リファレンスとなるカード2枚にルールブックだけです。

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このようなタイプのゲームにはほとんど含まれているであろう「お金」が「カナルマニア」にはありません。資金の概念はカード・手番・得点によって巧妙に抽象化と簡略化がなされており、プレイアビリティは当然として競技性をも高めています。

ボードに描かれた地形は「平地」「難所」、それに都市を表す「タウン」と「シティ」です。これらの都市にはそれぞれ「色」があります(全6色)。各色の都市ごとに6つの「タウン」と1つの「シティ」が存在します。都市名は実際の名称ですが、イングランドの地理に詳しくないと探すのが大変かもしれません。

ゲームは3つのフェイズによって構成されています。プレイヤーの手番では、第1フェイズ・第2フェイズ・第3フェイズを、この順に行います。各フェイズにおいて、実施可能なアクションの候補があり、手番プレイヤーはその中からひとつのアクションを選びます。つまり1回の手番で3つのアクションを行うことになります。

第1フェイズ
 アクション候補1:【 議会から1枚の建設契約を取る 】
 アクション候補2:【 エンジニア(強制)交換 】
 アクション候補3:【 表向きの5枚の建設カード破棄→再補充 】

第2フェイズ
 アクション候補1:【 表向きの建設カードを3枚取る 】
 アクション候補2:【 タイル建設 】

第3フェイズ
 アクション候補1:【 1個の商品トークンを輸送 】

オプションとして、各フェイズに行うアクションの代わりに、以下を行うことも可能です。
 アクション候補0:【建設カードの山札の上からカードを1枚引く】

典型的な流れとしては、まず「建設契約カード」を議会から取り、これで当面の運河建造計画が立案されたことになります。そして「建設カード」を手札に入れ、後のターンでそれを使いつつタイルをマップ上に配置し、建造中の運河を徐々に作り上げていくことになるでしょう。そして運河が都市間に接続されると、商品トークンの輸送も行えるようになります。

「建設契約カード」には2つの都市名が書かれています。これは、この都市のどちらかから、もう一方の側の都市へ運河を建造するという契約書で、さらに別の都市を経由する義務が書かれていることもあります。

建設契約カードは「議会」と呼ばれる場所に公開される形で置かれていて、アクションによって任意に取ることが出来ますが、計画性を持って建造しなければ、結果として無駄になるかもしれません。なぜなら、一度取った建設契約カードは勝手に捨てることは出来ませんし、また一度に手元に置いておける未完成の建設契約カードは2枚までだからです。

「建設カード」は、タイルをマップに配置するために必要なカードです。タイルには大きく4種類あり、平地で使用可能な2種(直線路・水門)と、建設困難な難所となる地形で使用可能な2種(水路・トンネル)に分けられます。建設カードはそれぞれのタイルに対応したカードがあり、それをプレイすることでそのタイルを配置出来ます。例えば、「水門」カードを1枚プレイすることで「水門」タイルを1枚置けます。

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ただし、難所となる地形では複数の建設カードを使用しなければなりません。例えば「トンネル」タイルを建設するには「トンネル」カードが3枚必要です。必要な建設カードが不足している時に便利なのが「測量技師カード(Surveyor)」で、これはどの建設カードとしても代用して使うことが可能です。

運河の建設は、建設契約カードに記された都市のひとつを起点として、目的となる都市へ延ばすようにタイルを配置します。どこまで延ばしたのかは、マップ上に置かれる「作業船(Barges)」によって示されます。

運河は建造したプレイヤーが所有者となりますが、それはタイルに書かれた溝の色で識別しますします。つまり、タイルはプレイヤーごとに別々に用意されている限定的なリソースなのです。各プレイヤーは、割り当てられているタイルの枚数を超えてタイルを置くことは出来ません。特に難所用のタイル(水路・トンネル)は枚数が少ないので、管理には十分な注意が必要です。

もうひとつ、運河建設にはちょっと変わった制限があって、それは「同一種類のタイルが2枚以上続いてはならない」というものです。例えば平地にタイルを置くのであれば「直線路-水路-直線路」というように交互に配置しなければなりません。平地用のタイルは多いのであまり問題にはなりませんが、難所用のタイルのマネージメントは、この配置制限ルールや得点計算ルール(後述)のためにより複雑になっています。

建設契約カードに書かれた都市間でタイルが結ばれると運河は「完成」し、契約が達成されます。完成した運河で建設に使用したタイルの種類と枚数によって得点が入ります。この得点は難所用のタイルの方が高くなっています。なお、建設契約カードに書かれた「価値(Value)」を越える枚数のタイルで運河を建設することは出来ませんので、不必要に長くしたり、複雑すぎる形状の運河を造ることは出来ないようになっています。

実は「建設カード」にはもうひとつの機能があり、それは商品トークンをマップ上に出現させることです。いくつかの建設カードには色で分類された「商品シンボル」が描かれています。商品シンボルが描かれた建設カードをアクションを使って取った場合、対応する色の都市2ヶ所に商品トークンを配置します。この時、ルールによって、都市を表す「シティ」には商品トークンが出現しやすくなっています。

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さて、第3フェイズでは、このゲームのもうひとつの華である商品トークンの輸送を行うことが出来ます。商品の輸送は得点を獲得するために行います。任意の都市上にある商品トークン1個を、運河に沿って別の都市へ運びます。商品トークンは建設カードを取る時に都市上に配置されることがあります。ただし、1つの都市には1個の商品トークンしか置かれることはありません。

商品トークンは都市から都市へと輸送されます。ひとつの都市を経由するごとに1点を獲得します(始点と終点を含む)。輸送させる商品トークンはどれでも構いませんし、経由する都市はいくつでも構いません。

ただし、輸送中に経由するルート上に同じ色の都市を2つ以上含ませることは出来ません。商品トークンを赤の都市から出発させたり、輸送途中に赤の都市を経由したら、別の赤い都市を経由したり、あるいは目的地にすることは出来ないのです。

輸送は運河を使いますが、自分だけではなく他プレイヤーの運河を使って輸送することも可能です。その場合は、使用した運河に接続されている都市の数だけ、運河の所有者に得点が与えられます。

なお、商品トークンを目的地に輸送する際にもうひとつ制限があって、それは、商品トークンが目的地に移動した際に、最後に通過する運河は自分の運河でなければならない、というものです。何気ないルールですが、これによってキングメーカー的な商品トークンの輸送(『蒸気の時代』ではこれが問題点のひとつでした)がやりずらくなっているという素晴らしい副次的効果をもたらしています。

この商品トークンの輸送システムは「蒸気の時代」を彷彿させるルールですが、こちらの方が制限が緩くて自由度が高いので、かなり違った味わいに感じられます。一方、運河の建設はその逆で、制限が多くてあまり創造性を働かせる余地はなく、この点も「蒸気の時代」とは正反対の感覚です。

「蒸気の時代」が、ともすればパズル的で、時には攻撃的な路線建設と商品輸送を強いられたのに対して、「カナルマニア」は実際に建造された運河の建設ルートを自然に再現しやすいように作られているようです。

また「蒸気の時代」は商品輸送が収益に直接結びついて拡大再生産を促していましたが、「カナルマニア」は単に得点が増えるだけで、それ以上のメリットはほとんどありません(ゲーム終了タイミングを早くすることくらいでしょうか)。このように、この2つのゲームは一見すると類似したゲームに見えるのですが、その設計思想はかなり異なっています。共通するのは、自分の運河(路線)を出来るだけ連続して長くした方が良いという点くらいでしょうか。

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このセッションでは、まさにその点が勝敗を分ける結果になりました。taro さんがマップ西側から南方に連なる都市を次々と運河で連結させ、商品トークンの輸送によって毎ターン確実に数得点ずつ安定して獲得する形を作り上げ、中盤過ぎまではぶっちぎりでトップでした。

しかし、後半に入ってかゆかゆさんがじりじりと追い上げを行い、一時的には逆転する局面さえありました。ただ結局、最終スコアリング後の商品減少輸送(詳細は略。後日のレポートで書きます)や、達成した建設契約カード枚数ボーナス等で taro さんが勝利でゲームは終わりました。

運河の建設は、手元にある建設契約カードに書かれた都市間を結ぶことに限定されます。すでに書いたように、建設契約カードは手元には2枚までしか置けず、逆に手元に建設契約カードが無ければ必ず議会から取らなければなりません。

しかしながら、議会に建設契約カードの枚数が少ないこともありますし、公開された5枚の建設契約カードがすべて無くならない限り、新たな建設契約カードが議会に並ぶこともありませんので、自分に都合の良い建設契約カードがいつでも取れるわけではないのです。このあたりは想像以上に悩ましく、同時に大きな駆け引きの要素にもなっています。

また、建設契約カードはゲーム開始直後を除けばランダムに出現しますので、巡り合わせが悪いとそれだけでどうにも身動きが取れないこともあります。若干の救済ルールが無いわけでもありませんが、その効果は現時点では定かではありません。

流れが悪い時の対応はわりと限られていて、とりあえず短い運河を引きまくってゲーム終了時のボーナス点を期待するか、あるいは、商品輸送で相手に入る得点を低くするように気を配ることくらいでしょうか。この一見すると不自由な議会のルールは、ゲームごとに異なる展開を作り出すゲームデザイン上のうまい工夫でもあるので、ここを下手にローカルルールでいじるのは得策ではないような気がします。

いずれにせよ、このために競技性や技巧的な要素は若干ながら薄くなっているのは否めないのですが、間口を広めて対象層を幅広くすることには奏功しています。恐らくこれはデザイナーの強い意向であり、そういう意味で言えば、コンセプトを上手にインプリメントすることに成功した作品であると言えましょう。実際のところ、中規模クラスのドイツゲームのプレイ経験者であれば、「カナルマニア」はすんなり受け入れられるでしょう。

勝敗はともかくとして、このセッションを十分に楽しむことが出来たのは僥倖でした。このような良作に出会えるのは年に何回もなく、それがこの日であってことを心から喜びたいと思います。

ルールの確認(日本語訳の確認も含む)したり、慣れない都市名を探すのに手間取ってプレイ時間が3時間ほどにもなってしまいました。ただ、慣れても2時間ほどはかかるでしょうし、時間をかけ、腰を据えて遊ぶゲームと思います。このセッションでは中だるみは全く感じられず、最後まで高いテンションのまま遊ぶことが出来ました。moon Gamer
http://www.boardgamegeek.com/game/19995


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