moon Gamer - ボードゲームブログ

テーブルゲーム(ボードゲームやカードゲーム等々)と、その周辺の話題を中心にした個人ブログです。

タグ:ストラグル・オブ・エンパイア

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30日(土)は、千歳烏山のゲーム倉庫にて、SGC有志によって開かれた「Struggle of Empires (帝国の闘争/ストラグル・オブ・エンパイア) / Warfrog」をプレイするゲーム会に参加してきました。参加者は、僕も含めてSGC所属の5人です。

「帝国の闘争」のプレビュー記事はこちらをどうぞ。ルールを読んだ限りは、わりとシンプルなゲームだと思ったのですが、BoardGameGeek をチェックしてみると、けっこうな数のアーティクルが登録されており、こりゃ一筋縄ではいかないかも、と思い直しました。

実際、FAQページを眺めると、細かい事例について膨大な補足がされており、しかも微妙なエラッタまで出ているようです(詳細未確認)。戦闘に関するプレイエイドに複数のバージョンがあったりしたのですが、とにかくこれだけでも訳出した方がいいだろうと思って、前日にあわてて資料をまとめたりしました。

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たくさんの種類のタイルと小国カウンターは、あらかじめこの写真のように分類してトレイにまとめてみました。これは保管のためというよりも、あらかじめこうしておいた方がインストが楽だと思ったのです。

そしてさらに念のため、FAQページもサイトから全ページを印刷して用意していました。ゲーム中、これが案外と役に立ったのでよかったです。

※ウォーフロッグのゲームをプレイした経験のある方ならご存じかと思いますが、ゲーム内容が濃いわりには、ルールの記述があっさりしているものが多く、この「帝国の闘争/ストラグル・オブ・エンパイア」もまたそのような構成になっています。

さて、お昼過ぎにゲーム倉庫にメンバー全員が集合し、さっそくインスト開始。少しばかりていねいにインストをしていたら、1時間近くにも及んでしまったのですが、この時点でかなりの好反応だったのでちょっとホっとしました。

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僕はイギリス担当。ヒストリカルに(?)インドを拠点にして植民地を展開し、その一方で欧州でもバルト海諸国を軸にして、高得点源となるドイツを睨みます。インドではスペインと小競り合いがありましたが、何とか優勢のうちに収束させ、東インド会社を設立して資金を稼ぎます。ここまではうまくやっていると思ったのですが、どうもそうではなかったようです。

実は、この時点で戦力を一部の拠点に集中しすぎていました。このゲームの得点システムから考えると、得点源となる支配マーカーを広く浅く展開して、こまめに点数を重ねていった方が効率が良く、行動の選択肢も多くなります。リスクを分散するという意味でも、少なくとも最初の戦争ターンでは、もっと広い地域に支配マーカーを拡散して配置することを考えるべきでした。

目先の勝利にこだわった結果、タイルの購入も同盟軍タイルばかりになってしまったのもまずかったですね(同盟軍タイルは1戦争終了時にストックへ戻ってしまう)。おかげで重要なタイルの購入を行うタイミングを逸してしまい、後でかなり苦しむことになりました。

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最大の失策は第2戦争ターンの陣営の組み方を誤ったことでしょうか。このゲームは5人プレイのため、陣営の構成が「3ヶ国 vs 2ヶ国」となります。少し考えればわかりますが、2ヶ国側の陣営に入ってしまうと、他の3ヶ国を敵に回さなければならず、交渉でも戦闘でも厳しい立場に置かれます。

僕はアクションフェイズの順番を先にプレイすることばかりを考えて、陣営の構成にあまり気を配らなかったため、最初と2回目のターンで2ヶ国側の陣営に組み込まれることになってしまいました。しかもこの組み合わせは2ターンとも同じ2国(イギリスとフランス)だったので、3ヶ国側の陣営(オーストリア・プロシア・スペイン)に連続2ターンに渡って格好の目標とされてしまいました。

この流れを受けて、第2戦争ターンには中央ヨーロッパ諸国で両陣営による総力戦が勃発しました。ドイツ支配を一段落させたオーストリアとプロシアが、その大兵力を中央ヨーロッパ方面に差し向けてきたのです。中央ヨーロッパ諸国はフランスの欧州における最大の軍事拠点であり、そこには多数の陸軍が駐留してはいましたが、オーストリア・プロシア連合軍の数的優位は圧倒的でした。

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そこでバルト海諸国に展開していたイギリス軍(フランスと同陣営)も同盟軍として参戦し、1手番ごとに勢力図が変わる壮絶な消耗戦が繰り広げられました。イギリスは「民兵 (Militia)」タイルによって兵力を大量に動員し、フランスと援軍を組みつつ、最終的には何とか敵陣営を撃退することには成功しました。

しかし、この戦闘によるイギリス軍の被害は甚大を極めました。中央ヨーロッパに支配マーカーを置くことは出来ましたが、がら空きになったバルト海諸国の支配は失いました。連続して起こった戦闘への対応のために、アメリカ大陸に兵を向けるヒマもありませんでした。この代償はあまりにも大きく、さらに徴兵によって人口も激減するに及んで、イギリスはこの時点で事実上ゲームから脱落してしまいました。

ということで、戦略ミスもあって結果は芳しくありましせんでしたけれども、ゲーム中はずっと気分が高揚していて、本当に身震いするほどの面白い作品でした。この日のゲームは午後8時ごろまで続き、総プレイ時間は6時間以上にも及びましたが、それをまったく感じないほど夢中で遊んでいました。

「帝国の闘争/ストラグル・オブ・エンパイア」は、このクラスの作品としては最高レベルの優れた戦略・外交ゲームであり、マーティン・ワレス会心の一作です。1回やってみていろいろわかってきましたので、ぜひ再戦したいです。

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余談。今回大活躍だったダイスタワー。

これは「Drachen Land (ドラゴンズランド) / Ravensburger」のコンポーネントですが、元ゲームはまだ遊んだことがないにも関わらず、これだけ使いまくっています。バラして持ち運びもラクなので重宝してます。

Manila (マニラ) / Zoch

ちょっと時間が余ったので、整理運動で「マニラ」をプレイ。

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メビウス便新作のひとつです。ちなみにこいつでもダイスタワーが大活躍。

3隻の船は1隻ごとに6面体ダイスを3回振って進みます。それがどのような結果になるかを予測し、当たれば的中させたプレイヤーに利益が還元され、外れたらお金を失います。

詳しい説明は省略しますが、これが意外とイケました。プレイヤーの予測と思惑・株券の存在・特別の役割と競り・そしてダイスによるギャンブル性など、シンプルながら複数の要素が縦横に走っており、とても楽しめる作りになっています。

これは広い層に支持されそうな良いゲームではないでしょうか。お手軽なので、どこかに持ち込んでまた遊んでみることにしましょう。

レポートは以上です。
長時間ゲームということもあり、体力的にはさすがにちょっと疲れましたが、精神的には良作を遊んだ後の心地よい充実感でいっぱいでした。SGCならではの、このような硬派なゲーム会をまたぜひ企画してくださいませ>YOKさん
本日はどうもお疲れさまでした>参加者ご一同様

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Struggle of Empires (帝国の闘争/ストラグル・オブ・エンパイア) は、マーティン・ワレスが作った外交と戦略のゲームです。

難易度が高いゲームのデザインをすることが多いワレスですが、本作も複雑な構造を持っています。とはいえ基本的なメカニクスはシンプルで、プレイヤーはルールに翻弄されることなく外交戦に没頭することが出来ると思います。

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これがゲームボードとなる地図です。

舞台は18世紀で、当時の欧州を中心とした列強国による地球規模の勢力争いがテーマです。ボードにはヨーロッパだけではなく、北〜南アメリカ・アフリカ・インド・東南アジアなどの植民地域も描かれています。

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列強国が勢力争いをする地域(エリア)には、このような数字が書かれています。

これは、この地域をより強固に支配したプレイヤーに与えられる勝利得点を表しています。

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地域を支配をするためには当然ながら軍事力が必須になります。これは各列強国が用いる軍隊と支配マーカーです。

軍隊には「陸軍」「海軍」「要塞」の3種類があります。

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膨大なタイルを並べてみました。このあたりの構成は実にワレスらしいですね。

各タイルには特殊効果があったり、追加の軍事力として使用出来たりするなど多くの種類があります。ただし、大別すると3つに分かれているだけです。

タイルの特殊効果は、付属のプレイエイドにまとめられています(少し大雑把ですけれど)。

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これは「小国カウンター」と言います。実際にはもっとたくさんあります。

列強の支配対象となる小国には、それぞれ数枚ずつの小国カウンターが用意されています。このカウンターが小国の勢力そのものであり、これがボード上に登場することで列強が勢力を拡大する機会が得られます。

小国カウンターは、列強による支配段階の強さを表す抽象的な概念で、実にスマートなルールだと思います。

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上は「混乱マーカー」。軍隊が失われたり、タイルの購入コストなどで「混乱値」が上昇すると受け取るマーカーです。自国内の国民にどれだけ動揺が広がっているかを表しているのでしょう。ゲーム中に受け取った混乱マーカーを減らす手段は限られており、混乱マーカーの値が増えすぎるとゲームに勝てなくなります。

下はお金です。単位は「ゴールド」。
このゲームではプレイヤーの持つお金が枯渇しません(!)。お金が不足してしまっても、銀行から2ゴールド単位でもらえます。しかし、このような形で銀行からお金をもらった場合、2ゴールドもらうごとに混乱マーカー「1」を受け取ります(混乱値+1)。無理な国費の浪費に国民が不平を漏らしているわけです。

ゲーム開始時には、全ての小国カウンターを混ぜて、そこからランダムに10枚を引き、ボード上の該当する地域に配置します。ひとつの地域に複数の小国カウンターが配置されることもあるでしょう。

タイルは種類別に公開して、ラウンドと戦争の記録カウンターをボードの所定位置にセットします。

各プレイヤーは担当国を決めて、その国のコマを全て受け取ります。10ゴールドを受け取り、人口記録カウンター(支配マーカーで代用)をトラックの「5」に配置します。

その後で、5個の小国カウンターを無作為に引いて、該当する地域に支配マーカーを配置します。最後に、各国が軍事ユニット(陸軍・海軍・要塞)を任意の地域に5個置きます。配置は、各国が順番に1個ずつ配置します。

これでゲームスタートです。

ゲームは「戦争」を3回行います。つまり3ターンです。各ターンは6つのフェイズで構成されています。

 1.小国カウンターを10個置く(2ターンから)。
 2.陣営とプレイ順の決定
 3.アクション
 4.収入・維持費支払
 5.勝利得点獲得
 6.戦争終了

まず最初のフェイズで小国カウンターを10個無作為に引いて、それをマップ上の該当する地域に配置します。最初のターンは行いません(セットアップで行っているため)。

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次は「陣営とプレイ順の決定」フェイズです。

各国は2つの陣営のどちらかに分かれます。同じ陣営にいる国はルールによって攻撃対象にならず、援軍を送ることが可能となります。通常の外交ゲームですと、このようなことは交渉によって自然と決まることが多いのですが、このゲームではなんと競りによってこれを決めます。

まず最初のプレイヤーが競り値を宣言(ビッド)します。ビッドする金額は、前の人よりも高い値段でなければなりません。それが出来ないかしたくない時にはパスします。

ビッドした後に、任意の2国(正確には、まだ陣営が未確定な国から)の支配マーカーを1つずつ取り、「提案ボックス」の「A」と「B」に配置します。

これはどういう意味かというと、もしビッドしたプレイヤーが競りに勝った時は、提案ボックスに置いた2国を別の陣営に分ける、ということを主張しているわけです。この提案を行う時には、自分の国を対象としていなくても構いません。

次のプレイヤーがより高い値でビッドする時には、この提案を却下して(つまり支配マーカーを持ち主に戻して)、別の提案を行うことが出来ます。

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もし、提案が通ったら、まず落札額を銀行に支払って、提案ボックスの支配マーカーをその状態のままで「陣営ディスプレイ」上に置きなおします。陣営ディスプレイは上下2段になっており、左側の列から支配マーカーを埋めて行きます。

これを全ての国の陣営が決まるまで繰り返します。

3番目は「アクション」です。ここが本ゲームのメインです。

「陣営とプレイ順の決定」フェイズで配置された陣営ディスプレイ上の順番で各プレイヤーはアクションを行います。全プレイヤーがアクションんを行ったら1ラウンド終了です。これを5ラウンド(2~4人プレイ時は6ラウンド)行います。

アクションは6種あり、各プレイヤーは自分の手番で、そのうちの2つを任意の順番で行います。


moon Gamer アクション1:「購入」

これは1ラウンドの1回だけしか行えません。まだ未購入のタイルを1枚だけ購入することが出来ます。

購入する際に、タイルに書かれたコストを支払います。コストには「ゴールド」「混乱(混乱マーカーを受け取る)」「人口(人口数を減少させる)」の3種があります。無料のタイルもありますが、それでもアクションは消費します。

購入したタイルはそのまま保持し続けます。タイルに特記事項が無い限り、その効果はずっと持続します。タイルに▲が書かれていれば、それは1戦争(1ターン)に1回しか使えない効果です。同様に■が書かれていれば、ゲーム中に1回しか使えない効果です(使用後はゲームから取り除く)。

moon Gamer アクション2:「生産」

「陸軍」「海軍」「要塞」ユニットを生産し、それを本国に配置します。生産コストは1ユニットにつき1人口です(生産時は、人が減るだけでお金はかかりません)。

moon Gamer アクション3:「移動」

陸軍と海軍を移動させることが出来ます(要塞は移動不可/例外あり)。移動は、条件さえ満たせば目標の地域に一気に移動します(距離の制限はありません)。

「海軍」は、海のある地域にのみ移動可能です。また、一部の地域には移動不可です。

「陸軍」は、陸続きの地域や自分の海軍がいる地域に移動することが出来ます。離れた場所に陸軍を移動させたければ海軍を先に移動させておかなければならないのです。また、ヨーロッパに陸軍を移動させる際には、さらに別途条件をクリアしていなければなりません。

移動先や移動元が植民地域であった場合は、サイコロを使って無事に移動が出来たかどうかをチェックします。たまに移動が出来なかったり、わずかな確率でユニットが失われてしまうことがあります。

moon Gamer アクション4:「攻撃」

2ゴールドのコスト支払いが必要です。

攻撃を行う地域をひとつ選び、そこで戦闘を行います。攻撃対象となるのは、他のプレイヤーの軍事ユニットか小国カウンターです。同陣営の軍事ユニットに対して攻撃を行うことは出来ません。また、同陣営にいる国は、援軍として攻撃に参加することが出来ます。

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軍事ユニットを攻撃対象とした場合、まず海戦を解決します(一部地域を除く)。海戦が終了したら陸戦を解決します。

海戦で勝利した側は、その後の陸戦で「海上支援」を受けて戦闘解決に少し有利になります。また、特定のタイルがあれば戦闘に少し有利になります。

いずれの戦闘もサイコロによって解決します。戦闘に敗北した側は1ユニットを失います。サイコロの目によってはさらに被害が増える可能性もあります。手番プレイヤーが勝利した場合、敗北した側の支配マーカーを自分の支配マーカーへと置き換えます。

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小国カウンターへの攻撃も可能です。この場合は、小国カウンターに書かれている数値を使って、やはりサイコロで戦闘解決を行います。勝利すれば、その小国カウンターを自分の支配マーカーに置き換えることが出来ます。

もし戦闘によって軍事ユニットが失われた場合は、「1」の混乱カウンターを受け取ります(混乱値+1)。

moon Gamer アクション5:「植民地化 または 奴隷化」

「Pop」と書かれた小国カウンター1個を自分の支配マーカーへと置き換えます。人口1のコストを支払います。

「Slaves」と書かれた小国カウンター1個も自分の支配マーカーへ置き換えることが出来ます。この場合、人口のコストは支払う必要はありませんが、アフリカに自分の海軍を配置していなければなりません。

上記の2つは、1アクションでどちらかのみを行えます。

アクション6:「パス」

パスです。何もしません。パスをしても、以後のラウンドで何かのアクションを行うことは出来ます。


これでアクションフェイズは終了。
4番目は「収入・維持費支払」フェイズです。

自国の未使用人口1について1ゴールドを得ます。また、ボード上に配置している自国支配マーカー1個についても1ゴールドを得ます。

その後で、自国軍事ユニット1つにつき1ゴールドを支払います(維持費)。

最後のフェイズは「勝利得点獲得」フェイズです。
各地域の支配マーカーの数によって勝利得点が与えられます。

地域には2~3個の数字が書かれており、支配マーカーを最も多く配置しているプレイヤーが、最も大きな数字の勝利得点を獲得します。2位のプレイヤーが2番目の数字、3位のプレイヤーは3番目の数字の勝利得点を得ます。勝利得点は各ターンごとに計上され、それらは累積します。

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これで戦争(ターン)が終了します。戦争マーカーを1つ進めて、ラウンドマーカーを「1」に戻します。

他の細かいルールは省略します。こうして3ターン行って勝利得点の最も多いプレイヤーの勝利です。

なお、混乱マーカーの数値が「20」以上になってしまったプレイヤーの勝利得点は「0」とみなします(自国で革命が起こってしまいました)。また、混乱値の大きさによっては、勝利得点を減算して判定を行います。


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「帝国の闘争/ストラグル・オブ・エンパイア」は、いわばワレス風「ディプロマシー」です。プレイヤーの意志が盤面に反映されやすく、さまざまな思惑渦巻く権謀術数が繰り広げられる典型的な地政学的外交ゲームといえます。

一般的なドイツゲームよりはルールの難易度は高めです。ただ、このジャンルのゲームの中で比較するなら、それほど難しくはないでしょう。種類の多いタイルも、ほとんどは単純な効果です。

箱にはプレイタイム3〜4時間と書かれています。これは、プレイヤーの人数と、ゲーム中に行われる交渉に消費される時間によって大きく左右されることが容易に想像ですますので、あくまで目安と考えた方がよさそうです。

= DATA =
 ◆タイトル :Struggle of Empires (帝国の闘争/ストラグル・オブ・エンパイア)
 ◆デザイナー:Martin Wallace
 ◆メーカー :Warfrog
 ◆2-7人/13歳以上/3~4時間程度

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