6日(金)は、秋葉原はR&Rステーションにて、タナカマさんの呼びかけで開かれた平日ゲーム会へ行ってきました。参加者はタナカマさん、ふうかさん、たむらさん、そして僕の4人でした。
会社をつぶしては転がして私腹を肥やせ!(要約)。
スプロッタの新作、「Greed, Incorporated」が最初にしてメインディッシュとなるエントリー。今さら何となく気がついたのだけれど、スプロッタって「資源を組み合わせて新たな資源を再生産する連鎖」のシステムが好きなのね。
最初に1社ずつ会社を持ち、プレイヤーはそのCEO(事実上の社長)になります。会社には取締役としてCEOの他に、CFOとCOOのポストがあります。CEOだけがその会社の運営を担い、会社の収益に直結するあらゆる行動を行うことができます。
会社は投資の対象として資産カードを入札で購入(ただし入札による)することができます。資産カードは大別して、カード上に描かれた商品(土地・鉄・石炭等々)を生産する「一次生産カード」と、商品を組み合わせて別の商品(マイクロチップ・鉄道・衣服等々)を生み出すカード(特に名称はないみたいですが、この日は『プロセスカード』と呼んでいました)の2種類があります。
またこの資産カードを会社が保有すると、それによって取締役が増加します。このあたりは詳しく説明すると長くなるので説明を省きますが、これによって他のプレイヤーや自分自身が取締役のポスト(CFOかCOO、空いてなければ中間管理職ポスト)に入ります。ひとつの会社の取締役ポストが複数のプレイヤーによって占められていることは特に珍しいことではありません。
資産カードによって生産される商品は、それらを市場に売却することで会社の収益になります。商品は全部で10種類あって、それぞれの相場価格がボードによって管理されています。プロセスカードを使って複数の商品を別の商品に変換してから売却することも可能です(たいていはその方が利幅が大きい)。商品を他のプレイヤーと交渉によって自由取引することも可能です。
このように「投資→商品生産→売却」を繰り返して会社は収益を上げます。さて、ここまで読んで、これは会社を経営するゲームかと思われたかもしれません。しかしこれまで説明してきたお金の流れは、実はすべて会社の資金で処理されるため、個人資産はまったく関与していません。そして会社がいくら儲かっても、ただそれだけでは、CEOを初めとする取締役は$1も得られないのです。
つまり「Greed, Incorporated」では、会社の資産と個人資産は厳密に分離して管理され、会社が収益を上げたとしても、それは個人資産の増加には直結しないようになっています。ではどうやってプレイヤーは個人資産を増やすのでしょうか?
それは「退職金」です。このゲームでは、会社の取締役を辞し、そこから立ち去ることによって得られる報酬が、プレイヤーにとっては唯一の収益となっています。
あるターンにおける会社の収益額が、前のターンの収益額以下であった場合、責任を取ってその会社の取締役のいずれか(あるいは複数)が解任されます。手順の詳細は省きますが、ここでCEOが解任されると、会社の総資産額の40%を報酬として受け取ります(これが個人資産となります)。同様にCFOとCOOが解任されると20%が報酬となります。
解任されなかった場合は報酬は受け取れません。そして、残った中で最も高いポストにいる取締役がCEOとなり、それを担当するプレイヤーが会社の運営を引き継いで行います。会社の運営者が次々に変わることは頻繁に発生します。というよりも、そうしないとプレイヤーは何も得られないですから、それがこのゲームでは自然なことなのです。
ですので、CEOは会社の資産が増加したら、その次は意図的に利益を減らしてに辞任し、後は新しいCEOに会社を任せて、会社資産の40%を懐に入れて堂々と去っていけばいいわけです。このような「自作自演」がこのゲームのカギです。
では会社を押しつけられたプレイヤーがまずいことになるかというと、実はそうでもありません。CEOが交代した会社は資産カードを1枚減らされるものの、会社資金は十分に残っていますし、そこから再建することはそれほど難しいことではないからです。引き継いだ会社で十分な資金がたまったと思ったのであれば、さっさと会社から手を引いて報酬を受け取ればいいのです。かくして、会社はプレイヤーからプレイヤーへ飛び交うことになります。
プレイヤーの目的は、個人資産を元手に「ステータスシンボル」を得ることです。ステータスシンボルはカードで、そこにはVPが書かれています。そのVPの合計値が最大のプレイヤーがゲームに勝利するのです。ステータスシンボルはちょっと変わった競りによって獲得可能で、ゲーム後半になるにつれて相場が上昇するようになっています。
このセッションでは、初プレイということもあって手探り状態のまま、しばらくは全員が会社の利益を上げ続けることに必死になっていました。当然ながら、そうしたところでまったく個人資産が増えない状態が続いたわけです。
右肩上がりの収益を上げ続ける優良企業は逆に辞任しずらくなる(その状態で他プレイヤーに経営権を渡してしまうと資産と資金の両方を簡単に再利用されやすくなる)ので、適当に利益を上げたらさっさと辞任して手っ取り早く個人資産を増やし、ステータスシンボルの相場が高くならないうちに競り落としてしまうくらいの速度感覚でプレイするべきなのでしょう。
しかしながらゲーム終盤は、高くなったステータスシンボル相場に対応するために、会社の収益力が重視されるようになります(もちろんそれは退職金目当てなわけですけど)。しかしその時には世の中が不景気になるようになっていて、商品相場が下落を続けているでしょう。ゲーム終盤におけるこのバランス調整はちょっと面白いと思いました。
ということで、ゲーマーズゲーム的にはそれほど難易度は高くない(訳したタナカマさんによると曖昧な記述が多くてBGGのお世話になったとか。お疲れさまです)し、不思議な感覚のビジネスゲームとしてなかなか面白いと思いました。ステータスシンボルのVP獲得は恐ろしくデジタルというか殺伐としたシステムなので、このあたりがもう少しちゃんとプレイした時にどう機能するかを見てみたいですね。
もちろん再戦希望。熱烈希望。ですが、それ以前にゲーム本体をどうやって手に入れようか、そっちの方が頭の痛いところ。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/55952
海賊ゲームに名作なし(知らんけど)。
子供でもプレイ可能な簡単ルール。つまりファミリーゲームの範疇に入るゲームです。ややマニアックな層が多い日本で、こういうシンプルなゲームを日本語版として発売すること自体には素直に敬意を表したいと思います。ちなみに国内発売元はアークライト。現在のところサイト上で予約受付中のようです。
ゲーム会でプレイするなら、こういう運試しのようなゲームでも盛り上がれるメンツを集めれば楽しいと思いますよ。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/29096
カタン風。でもダイスは振りません。
アークライトで先日発売されたばかりの新作を投入。宇宙船で星々を巡って6種類の資源を収集し、それらを組み合わせてコロニーや工場を建設したりしながら、さらに効率的に資源を収集して、最終的には50得点以上を目指すゲームです。
カタンっぽい点は、資源3〜4枚を組み合わせて建築物を建て、それがさらなる資源収集や得点に結びつく点です。しかし似ているのはこのあたりまでで、実際のプレイ感覚はだいぶ違っています。まずダイスを使いませんし、プレイヤーのすべての行動は、アクションカードによる秘密プロットによって事前に計画してから順次実行されます。
各プレイヤーは11枚ずつアクションカードを持っています。これらは大別して「生産」「移動」「建設」「トレード」「得点計算」の5種があります。これらを順番に1枚ずつ計画ボードの「1」〜「12」(4プレイ時)の空いているマスに配置します。4人プレイなら計3枚ずつが配置されることになります。
この後で、計画ボードの「1」から順にアクションカードがめくられて事項されます。「生産」「移動」「建設」は、実行可能な条件さえ整っていれば、プレイヤー全員がそのアクションを順番に実行可能です。また、そのアクションカードをプロットしたプレイヤーは何らかの特典が付与された上でアクションを実行できます。ここらへんはプエルトリコっぽいというか。
得点計算カードがプロットされていると、そこで初めて得点が計上されます。これがこのゲームの特長で、単に何かを建設しただけでは得点にはならないのです。得点の対象となるものの範囲も広く、プレイヤーが作った何かはたいてい得点対象になる可能性があります。
得点カードによって対象となる何かが指定され、それを持っているプレイヤー全員が定められた得点を獲得します。また、得点対象を単独トップで多数保有しているなら、さらにボーナスが加算されます。得点計算は加算積み上げ方式なので、この点においてもカタンとは異なります。
最終的に、誰かが50点を超えたらそのラウンドでゲームは終了し、最多得点プレイヤーの勝利となります。
今さらカタンとプエルトリコ? と頭に疑問符を付けながら始めましたが、プレイ感覚がそれらのどちらとも全く異なるので違和感はすぐに消えました。それどころか、けっこう面白かったです。得点方法がたくさんあるということは勝ち筋もまたたくさんあり、そのおかげで自分が次に何をするべきか、その指標が常にわかりやすく提示されており、その点も気に入りました。
ただこれは負けたから言う訳じゃありませんが、他人を妨害する手段がほとんどないので、一度でも得点が離されるとあんまり勝てる気がしないとも思いました。特に得点計算のタイミングは決して間違えないことです。
ともかくもこのゲームは購入済みなので、そのうちどこかでまた遊びたいですね。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/38343
レポートは以上です。
ゲーム会の企画と翻訳までもをやっていただいたタナカマさんにまず感謝します。また「海賊免許」と「アド・アストラ」のインストをやっていただいたたむらさんにも感謝です。ふうかさんもお疲れさまでした。楽しい1日をどうもありがとうございます。またお誘いいただけたらとても嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。