
異色デザイナー・カール=ハインツ・シュミールの選挙ゲーム「Die Macher(ディ・マッヒャー)」を遊ぼう、という趣旨で行われたゲーム会に参加してきました。 参加者は、Mattyanさん・りんちゅさん・カワサキさん・大和さん、そして僕の5人です。 場所は、このブログに何度も登場しているゲーム倉庫です。
「ディ・マッヒャー」は、ドイツを舞台にした選挙ゲームです。全部で7つの地方選挙を行って地方議会で議席を伸ばし、連邦政府での勢力を拡大していくような2段構造を持っています。これはドイツの選挙制度が、日本と同じように小選挙区と比例代表を併用したシステムであることを反映しています。

プレイヤーは、ひとつの政党を担当し、まずは地方での政治活動を行います。それぞれの選挙では7つの政策(医療改革・社会保障・原子力エネルギー・ユーロ通貨統一等々)が争点になります。各政党は、どのような政策を「支持する」か、あるいは「支持しない」かがまず提示されます。
それぞれの地方選挙区では、そこの住民がどんな政策を「支持する」か「支持しない」かが提示されています。プレイヤーはそれを見ながら、自分たちの政策主張を限定的ながら変えてしまうこともできます。政党が選挙のたびに主義主張を変えていくというのは、シュミールの政治観なのか、それともドイツの選挙ではそれが普通なのかはよくわかりません
住民の支持政策も、政党がマスメディアを利用することによって、その一部を変えてしまうことができます。各政策について、支持であろうと不支持であろうと、それが自分の政党の主張と同じであれば選挙に有利になります。ここらへんを巡っての世論誘導合戦は、このゲームの面白さのひとつですね。
また、より強力な政治活動として「党役員(カード)」を各地方に派遣することもできます。これによって地方の支持政策をより強固なものにしたり、マスメディアへ協力を呼びかけたり、他政党へのネガティブキャンペーンを張ったりすることができます。と書くと複雑なようですが、処理自体はとても簡単に済みます。
党役員にはもうひとつ重要な役割があります。政策の近い政党と連合を組む機会をもたらすのです。政党が連合を組めば選挙でかなり有利になりますが、単独で選挙に勝利するよりもメリットが少なくなります。ここらへんは思案のしどころですね。
他にも、選挙集会を開いて得票率アップを図ったり、世論調査の結果を公表して政党の人気を上下させたりすることもできます。このように、選挙で有利な状況に持ち込む手段は数多く用意されており、ゲームの戦術に多様性を生み出す原動力になっています。
こうしていよいよ選挙に突入します。選挙集会コマの個数・政党の人気・政党の掲げる政策と地方が支持している政策の一致する数などによって、その地方議会の獲得議席数が決まります。
地方選挙で勝利すると、それは国の連邦議会に影響を及ぼします。地方選挙で勝利したプレイヤーは、その地方に配置されていた支持政策カードの1~2枚を、連邦議会の支持政策とすることができます。そして連邦議会の支持政策と自分の政党との支持政策が一致すれば、党員が増加(これも得点になる)します。
このような感じで7つの地方選挙を戦い抜いて、最終的に得点の最も大きな政党を担当したプレイヤーの勝ちとなります。
上にも書いたように、地方選挙に勝つにはたくさんの手段があり、それぞれにプレイングテクニックが存在します。細かな戦術を用いた局地的勝利の積み重ねが、やがて連邦議会を動かす大きな政治的な流れにつながるようなスキームに美しくまとまっており、ゲームとして実に見事な作品であると言えるでしょう。まさに奇才シュミールの面目躍如ですね。
ところで今回のゲームですが、プレイ経験者が2人ほどいたこともあって、てきぱきとゲームは進行し、何と3時間にも満たない時間で終了してしまいました。

ルールブックには「プレイ時間4時間」とありますし、ウェブ上にあるどのプレイレポートを見ても5時間以上かかるようなことが書かれているので、相当に構えてプレイに臨んだのですが、意外とあっさりした展開となりました。プレイヤー間の交渉が少なかったこともプレイ時間短縮につながったのだと思います。
今回はシステムの理解と習得に時間がかかってしまったこともあって最下位に沈んでしまったのですが、ゲームの面白さは十分に堪能しました。
BoardGameGeek の高評価も、十分にうなずける作品です。時間のかかる重いゲームではありますが、これなら何回でも遊べそうだと思いました。ぜひまたプレイしたいです。ぜひぜひ。
ということで、本日は「ディ・マッヒャー」が意外と早く終わってしまったために、他に「Zoff in buffalo(牧場の春)」「Moderne Zeiten(モダンタイム)」「Viele Dinge(いろんなもの)」「Und Tschuss(ウント・テュース)」などを遊びました。




「いろんなもの」でカワサキさんはやっぱり強かったです 最後に、そのカワサキさん新作のテストプレイもちょこっとやりました。なかなか面白かったのですが、アクションゲームは僕の年代にはちときついです~(笑)。
ということで、ものすごく充実した1日を過ごしました。ゲーム倉庫は古いビル内にあって、ゲームプレイ環境としては決して万全ではないと思ってたのですが、工夫をすれば何とでもなると自信がつきました。
参加したみなさま、お疲れさまでした。またここで遊びましょう~
[ 余談 ]
ところで、サイコロで次のゲームを決めるってのはどうなのよ
「3です」
「じゃ、上から3番目の棚」
「2です」
「その左から」
「4です」
「1、2、3、えーと、4番目のゲームはこれです」
いや、本当にこんな感じでゲームが選ばれていました ゲーム倉庫ならではの試みですね(違)。