寒風吹きすさぶ中、11日(日)は埼玉県は熊谷で開かれたプライベートなゲーム会に参加してきました。参加者は、お部屋を提供していただいた sirou さんと、わんこさん・にゃんとろさんのコンビ、それに僕の4人です。あいにくこの日は朝からずっと底冷えする寒い日でしたが、それにも負けず部屋の中では熱戦が繰り広げられました。
Beowulf - The Legend / Kosmos (Franckh-Kosmos)

英文学の古典「ベオウルフ」の英雄譚がテーマ。

プレイヤーは英雄ベオウルフの部下となり、彼の数々の伝説的エピソードを追体験していきます。原作では、ベオウルフはやがて王となり、最期はドラゴンと戦って息絶えてしまうのですが、その部下たちがベオウルフの意志を継ぐことになっています。このゲームでは、偉大な王・ベオウルフの王位を継ぐただひとりの後継者となることがその目的となります。それには、ベオウルフが生きている間に、名声と財宝を他の者よりも多く獲得しなければなりません。
このゲームのボードには、ベオウルフの歩んだ人生の軌跡がマス目によって表現されています。毎ラウンドごとにベオウルフのコマを1マスずつ進ませることによってゲームは進行します。ベオウルフが進んだマスの種類ごとにイベントが発生します。特に重要なのが「Major Episode(メジャーエピソード)」と呼ばれるマスです。
メジャーエピソードのマスにはプレイヤー数と等しい数のアイコンが描かれています。これは、プレイヤーに分配される報酬のようなものです。これを行動カード(Activity Card)による競りによってどのように分配するかを判定します。行動カード競りに使われるリソースの一種で、カードには5種類のシンボル(旅・友情・理知・勇気・争い)かベオウルフのシンボルが1~2個描かれています。


メジャーエピソードのマスには、5種類のシンボルのうち1~2種類が描かれています。プレイヤーは手札からそれに合致するシンボルの行動カードをプレイすることで競りを行います。競りには「同時公開」と「時計回り」の2パターンがあり、それぞれルールが異なっています。いずれにせよ、指定されたシンボルを最も多く提示したプレイヤーから順に報酬を受け取ります。
例外的に「RISKO(RISK/リスク)」と書かれたメジャーエピソードの場合は、手札に必要な行動カードがなくても山札から2枚を引いて提示するカードに加える試みを行うことが出来ます。ただし、引いた行動カードにそのメジャーエピソードに必要なシンボルが描かれていなければなりません。もし、これに失敗すると、かすり傷を負った上に競りから抜けなければならないのです。
なお、メジャーエピソードのアイコンは、必ずしもそのすべてが良い効果を持つとは限りません。プレイヤーが傷を負ったり、名声が下落してしまうようなアイコンが含まれていることもあるのです。そして、あるメジャーエピソードにおいて、ひとつのアイコンの効果は、ひとりのプレイヤーにしか与えられませんし、どんなアイコンであっても必ずひとつは受け取らなければなりません。ですので、競りで負けてアイコンを取る順番が後になってしまうと、悪いアイコン(例えば傷を負うなど)しか残っていないという状況に陥ることもあります。
ということは、行動カードのマネージメントが重要となることは自明です。しかし、行動カードの補充機会は限られており、しかも山札から引かれるカードはランダム性が高いのです。しかしそれでも考えどころはありますし、手札が足りなくてもリスクによるカード引きで何とかなったりします。何というか、とてもドラマチックな展開になるようなゲーム的演出がなかなか面白いです。


「Beowulf - The Legend」はエキサイティングな冒険ゲームです。2種類の競りが基本で、それに必要な行動カードのマネージメントがゲーム性の根幹として構成されており、誰でもすぐに楽しめるとてもシンプルな作品と言えるでしょう。全体的に運の要素が高く、したがって戦略ゲームとしてではなく、例えばコミュニケーションゲームのように気楽に取り組むのが良いと思います。
このセッションでも、常に不足がちな行動カードを、終盤まで何とかしてやりくりしなければならないのに、つい熱くなって序盤の競りに大量にカードを突っ込んでしまったとか、でもリスクで引いたカードがたまたま当たりばかりでうっかり競りに勝っちゃったとか、まぁ派手な展開の連続で大いに盛り上がりまして、実に面白かったです。
http://www.boardgamegeek.com/game/17449

何ともったいないことに今回が初プレイ。

購入してから実に10年目の快挙(?)。今までいったい何やってたんでしょうか僕は。

言うまでもなく、クラマーによるドイツ風陣地取りゲームの偉大なる始祖です。マップ上の各エリアに派兵する騎士の数によって1~3位までの順位が決まり、エリアに書かれた順位ごとの数値に大公とキングの存在の有無によって得点が配分されます。
ゲームの進行はシンプルで、まず自分のアクションカード(1~13)を1枚ずつ順に選択し、その数値の大きいプレイヤーから手番を行います。まず自分がプレイしたアクションカードに書かれた雇用数だけ騎士をストックから手元に置きます。アクションカードは、数値が大きいほど先に行動が行えますが、数値が小さいほど雇用する騎士の数が大きくなります。
その後で場に公開されているパワーカードを1枚選択します。パワーカードには特殊効果とマップ上に派兵可能な騎士の数が書かれています。特殊効果をうまく利用したり、他のプレイヤーに使わせないようにする駆け引きも重要なテクニックのひとつです。

全9ラウンドで、3ラウンドごとに得点計算の処理が入ります。3回目の得点計算後に最も得点の高いプレイヤーの勝利となります。
「エル・グランデ」がドイツゲーム界に与えた影響は絶大で、そのメカニクスの遺伝子は無数のゲームに集散し、数多くの亜種を生み出すことになったのはご存じの通り。シンプルで戦略的なメカニクスは十分な手応えがあって、プレイヤー間の相互力学は実に美しく、そして緊張したバランスで構築されています。
今改めてこの作品を振り返って賞味してみると、さすがに目新しさは感じられませんし、具体的にはパワーカードの特殊処理などはやや冗長にも感じられます。しかしパイオニアとしての存在感は今でも十分で、プレイする価値は決して薄れてはいません。
今回のセッションは、このゲームに慣れているわんこ・にゃんとろさんと、初プレイ組の sirou さんと僕との戦いとなりました。やはりパワーカードを熟知していると有利に進ませられるようで、かなり苦戦しました。しかし sirou さんは終始高いポイントを取り続けて盤石の体制を作り上げます。最後はわんこさんが猛追を見せましたが、わずかの差でsirouさんが逃げ切りました。僕はかろうじて最下位にならずに済んだくらいですか(´・ω・`) 面白かったので、ぜひ再プレイを希望ー。
http://ejf.cside.ne.jp/review/elgrande.html


スリル満点のメモリーゲーム。
ゲーム開始時に「島カード」を1~2枚(人数によって異なる)ずつ配布します。島カードは「10」~「30」までの21枚があります。島カードはプレイには使われませんが、とても重要な役割があります。
最初に島カードが配布されたら、これをちらりと他のプレイヤーに見せた後に、それを自分の手札に隠して持っています。つまり、他のプレイヤーがどの島カードを持っているかは記憶しておくしかありません。
ゲームは、これとは別に「0」~「9」までの数字カードがあり、これを3枚持ってゲームスタート。ゲームの進行は簡単で、手札から1枚のカードをプレイして、山札から1枚引くだけです。
場に数字カードをプレイすると、数値はどんどん加算されていきます。例えば最初が「5」で、次に「3」のカードがプレイされたら「8」になって、次に「7」のカードがプレイされたら「15」になります。
この合計値が「31」以上になったら、今度は数値を減らします。例えば数値が「33」の時に「6」がプレイされたら「27」になり、次に「9」がプレイされたら「18」になります。そしてこれが「9」以下になれば、再び次からは数字が加算されていきます。これがゲーム終了まで繰り返されます。
自分以外の誰かのカードがプレイされた後の数値が、自分の持つ島カードの数値と同じであれば、「ストップ」と言ってゲームを中断し、その島カードを見せた上で、数字カードを出したプレイヤーは「フェットナップカード」を1枚受け取らなければなりません。ゲームは、このフェットナップカードを誰かが4枚取った時点で終了し、フェットナップカードが最も少なかったプレイヤーの勝利となります。
ちなみに、数字が「31以上」か「9以下」になったら、それを行った右となりのプレイヤーが島カードを1枚引きます。新しく引いた島カードはやはりちらりとみんなに見せたあとに手札に隠されてしまいます。このように島カードはどんどん増えていきます。
いやー、これは面白いゲームでした。麻雀で喩えると、他家からリーチがかかったのに安牌が無くて何を切ろうと悩んでいるドキドキ感にも似たソレというか。いや、当たり牌はしっかり見ているはずなんですけどね(汗)。それがわからないもどかしさと苦笑い。そのあたりを楽しめられるメンバーが集まったらしめたものです。
http://www.boardgamegeek.com/game/19646


当然のごとくこれも初プレイ。

ってこちらは12年間も購入してから未プレイだったという。蔵出し。
これも今さら説明するまでもないオークションゲームの傑作。新鋭作家5人の作品を世に出し、それを高額で売却し、より多くの利益を獲得することを目指します。
まずは10万ドルと何枚かの絵画作品を持ってスタート。手番では、手札の中にある絵画を1枚公開します。絵画カード示された方法でオークションが開催され、最も高い値段を付けたプレイヤーがその絵画を獲得します。
オークションは「自由入札(誰でもどのタイミングでも入札可能)」「一巡入札(時計回りに1回だけ入札)」「同時入札(お金を秘密裏に握る入札)」「指し値売却(価格を指定して売却を試みる)」の4種があります。特殊な状況では2枚同時に入札がかけられることもあります。
ある画家について5枚目の作品が売りに出されたら1ラウンドが終了します。最も多く購入された作家の絵は1枚につき $30,000、次は $20,000、その次は $10,000 で売却します。残りの2人の作家の作品は無価値です。これを4ラウンド行います。後のラウンドでは、売却可能な作家の作品が、それ以前のラウンドで値が付いている場合、売却価格は累積して加算されます。
初プレイということで、慎重に競りの案配と相場を見極めながら臨んだのですが、最初の2ラウンドは大した利益も上げられずに失敗に終わりました。後半は各プレイヤーの資金の動きを考えて、自分の資金を出来るだけ温存してリスクを避け、確実に現金収入を得る方針を採ったのですけれども、これも不調に終わって敗戦。世評に違わず面白くも悩ましい良いゲームでしたが、相場を作るタイプのゲームはどうも苦手なので、場数をこなしたいところです。
http://ejf.cside.ne.jp/review/modernart.html


初プレイ第3弾。

これも未プレイのままでいたらうっかり新版が出ていました(汗)。
災害で崩れ落ちた城の再建を行います。
アクションポイント(AP)による行動管理が特徴のゲームです。プレイヤーが行える行動には「騎士の配置」「建物の配置」「騎士の移動」「アクションカード購入」「アクションカードプレイ」「勝利得点獲得」の6種があり、それぞれ0~2ポイントのアクションポイントを消費することで、行動を自由に組み合わせて行うことが出来ます。

騎士を配置する場合には、すでのマップ上にいる自分の騎士に隣接し、なおかつそれと同じか低いマスにしか行えません。騎士は1APで1マス移動可能ですが、2段以上高いマスには移動不可です。建物コマは、すでにある城を拡張するように配置し、面積よりも高くならないようにしなければなりません。
特殊効果のあるアクションカードは、1APで1枚購入出来ます。購入したばかりのカードはその手番で使用は出来ませんが、その後であればAPを消費しないでプレイ可能です(ただし1手番で1回のみ)。
ルールを何度も読んで、他の人のプレイレポートもいくつか見ていましたが、実際にやってみるとゲームメイクのイメージがかなり違うので驚きました。もうちょっとコツコツと細かい得点を重ねていくような渋いゲームかと思っていたのですけれども、どん欲により高いポイントを目指してパズルを解くように探査を続けていくようなタイプのゲームでした。
このセッションでは、わんこさんのおすすめによりいくつかのバリアントルールを採用して遊びました。初プレイの僕は、どうも最初は失敗したようなので、他の人の動きを見て何とか得点的に追いつける位置に着くような形でゲームを進めてみました。

そうこうしているうちに盤上には面積の広い城が出来てきまして、当然ながらそこに高い建物がどんどん積み上がっていくような展開になりました。
僕はアクションカードを重点的に収集したおかげで、終始アクロバティックなアクションを活用ししつつ効率的に得点の重ねることに成功し、最終的に僅差で何とかトップを取ることが出来ました。
こういうパズル感覚全開のゲームは、アブストラクトゲーム好きとしてはたまらなく魅力的で、自分ととても相性の良いゲームでした。手番の回数が限られているので、常に密度の濃い慎重な行動と、創造的で大胆な発想が求められるのも素晴らしいです。得点計算がやや面倒という欠点がありますけれども、それを差し引いてもドイツゲーム大賞受賞作の名に恥じぬ傑作と言えるでしょう。もちろん再プレイ希望。というか何度でもやりたいです。
http://ejf.cside.ne.jp/review/torres.html

最後は軽めのゲームで〆ました。このゲームも初プレイです。ちなみに写真は準備中のものです。
クニツィアによるストップ系カードゲームの変形です。通常のストップ系と異なり、目的とするカードをより多く取ることを目的にするので、トリックテイキング風でもあります。当然ながら「取ってはダメ」なカードもあって、それは失点になります。
面白いのは、手札が配布されてから何のカードを取りに行くか(=どんなスープを作るか)を予測し、それをメニューカードで決めるということです。中には罰点となるトウガラシカードを収集するとか、一切のカードを取らないという選択肢もあります。
メニューカードは全部で5枚あります。ゲームの目的が毎ラウンド決めますが、一度選ばれたメニューカードはもう使われません。徐々に限られていく選択肢に一喜一憂するこの段階がとても楽しいですね。
http://ejf.cside.ne.jp/review/toomanycooks.html
レポートは以上です。
終了したのは午後9時ごろです。後で天気情報を確認したら、この時間の熊谷は気温が氷点下まで下がっていました。地元千歳烏山に戻ってからも雪がちらちら降ってきたりと、いや本当に寒い1日でした。
お部屋を提供していただいてありがとうございました>sirou さん
楽しい1日を共に出来たことを感謝いたします。またぜひ遊びましょう>参加者各位