27日(日)は、地元は千歳烏山にあるゲーム倉庫で行われた「18TK」のテストプレイ会に参加してきました。参加者は、OKAZU@秋山さん、A葉某さん、yas-oさん、Hammerさん、それに僕の5人です。
「18TK」は、有志によってデザインされた創作ゲームです。その名前からわかるように「18xx」システムであり、その舞台となる地域は東京とその周辺です。このゲームを初めて見たのはいつだったでしょうか。
だいぶ前からイベントやオープン例会などでちらちらとは見かけてていたり、あるいは突発的にテストプレイ会が開かれていたのは知っていて気にはなっていました。
しかし残念ながらいずれもプレイするまでには至っていなかったのですが、今回は制作関係者の方々からテストプレイのお誘いを受けまして、めでたく初プレイと相成りました。
※ちなみに2日連続して創作ゲームのテストプレイ会となりましたが、これは偶然です。
この日も寒い1日でした。どうも寒がり体質が年々進んでいるみたいで、ゲーム倉庫でもひとりだけ寒がっていたような気が… ちなみにゲーム倉庫にはさらに追加して暖房器具を買ったりしています。
18TK / 創作ゲーム
やはり地元の地名は感情移入しやすいです。
「18TK」は、東京を中心とした周辺における鉄道の歴史を包括的に扱った「18xx」バリエーションです。路線の初期配置や鉄道会社の出現位置等で歴史的な再現度に対する指向性を強く目指した上で、プレイヤーの意志決定による創造的余地をも併せ持たせようとしたデザイナーのコンセプトが鮮やかに表現されていました。まだ調整段階とはいえ多くのテストプレイを経て細かな調整が重ねられていることが十分に伺われ、安心してプレイすることが出来ました。
以下、「1830」を基準にした大まかなルール差分です。
1.個人会社「18TK」には7つの個人会社(Private Company)が登場します。うち5社は大規模会社(他のゲームの Public Company に相当)の10%株券が付いており、残りの2社はいずれ国鉄(後述)の株券に変換されます。いずれの個人会社も、他社へ売却することは出来ません。
ゲーム開始には6社の小規模会社(他のゲームの Minor Company に相当)が登場します。これらは制限付きながら、列車の所有と運行が行えます。配当は自動的に純粋半配当です。小規模会社には株券も株価もありません。
最初に登場する6社はいずれ国鉄に自動的に吸収・変換されます。また、ゲーム終盤(パーマネント列車が登場し、茶タイル配置可能となるフェイズ)には「後期小規模会社」が追加して4社登場します。これらは列車を固定で1両だけ保有し、それらは売買不可です。株券も50%株券が2枚のみで、最初に購入したプレイヤーが社長となります。
初期株式ラウンドでは、すべての個人会社(7社)と最初に登場する小規模会社(6社)、それに「東武鉄道」の株券1枚が場に4列に並べられ、手番においてルールに規定された限定的な選択肢の中から順次購入されます(どのような形の競りも行われません)。このルールは「1835」に似ています。
列車は「2」「2E」「3」「3E」「4」「4E」「5E」「6E」「8E」と9種類もあります。「E」付きの列車はルート上にある小黒丸の街をスキップして運行できます。ただしスキップした街の収益はカウントしません。個人的な感覚ではありますが、全体的に列車の価格は低めに設定されていたような気がします。
収益の配分は「配当」か「留保(無配)」のいずれかのみです。株価チャートは2次元で、株価変動ルールはほぼ「1830」に準じていました。売り切れ上がりルールもあります。カラーゾーンは黄色(保有株券数のカウントから除外)のみで、Close(倒産)はありません。
路線建設は1運営ラウンドにつき黄タイル1枚配置かアップグレード1枚かのいずれかだけです。 すべての都市タイルは、茶になるまでトークンスペースが1個のままです。また配置制限のある都市タイルとして「C」「P」「Y」「L」があります。「C」と「P」タイルは灰色になるまでトークンスペースは1つだけです。いずれにせよ、トークンスペースの最大は2つです。
「5E」の列車が購入されると日本国有鉄道こと国鉄が自動的に設立されます。ゲーム開始時に登場する小規模会社は国鉄株券に変換され、トークンも置き換えられます(一部の個人会社も国鉄株券に変換)。なお、国鉄株券の一部は設立される前から購入可能です(もちろん設立されるまでは収益をもたらさない)。
全体的には「1830」がベースになっていて、それを一度でもプレイしたことがあればすぐに覚えられるでしょう。今回のインストも30分ほどで済みました。一方、ちょっと面食らったのは会社の数です。大規模会社は9社(東武・西武・京成・京王・小田急・東急・京急・メトロ、および国鉄)、それに個人会社7社に小規模会社は前後併せて10社と、全部で26社も登場します。もちろんすべて実在した(する)会社です。
マップには最初から黄や緑のヘクスや、すでに路線が引かれているヘクスが少なからずあります。最初これを見た時には、強すぎる歴史的再現性を求めるデザインに懸念を抱きましたが、実際にプレイしたみたらそれらは杞憂でした。プレイヤーの自由な意志決定は決して阻害されていませんし、マップの特性を知っている者が極端に有利になることもなかったのです。
もっとも、後者は僕が東京の地図と鉄道会社の配置状況をよく知っていたのですぐ慣れたからかもしれません。なじみの深い地名と社名は、明らかにプレイアビリティの向上に寄与していました。これは東京圏に住む多くのゲーマーにとっては、僕と同様に福音となるでしょう。
ゲームの序盤では、6社ある小規模会社の位置から、最初は吉祥寺~八王子・甲府(盤外)あたりと、浦和~上野・池袋方面、それに船橋~市川・成田(盤外)方面が整備されます。また、序盤ではほぼ唯一の大規模会社となる東武鉄道(東武鉄道は初期株式ラウンドで必然的に設立されます)による運営によって、浅草周辺もにぎわってくるでしょう。
そのうち、収益の大きな「C」を持つ山の手周辺を中核にした路線が整えられ、そのあたりに接続することを目論む大規模会社が続々と設立されることになります。何度も書くようですが、京急・東急・小田急・京王等々、なじみのある会社が登場するのは本当にわくわくします。
そして「5E」の時代になると国鉄が出現し、さらに「ゆりかもめ」や「東京モノレール」などの後期小規模会社の登場となります。最初ルールを聞いた時には、後期小規模会社の存在が冗長に思えたのですが、これは逆に終盤のスピードアップに貢献していることに気がつきました(後期小規模会社は路線建設権があるため)。
銀行破産によってゲームは終了します。これは運営ラウンドごとに判定されます。例えば第1運営ラウンドに銀行の資産が枯渇した場合、第2運営ラウンドは行われず、第1運営ラウンド終了時点でゲームも終了します。勝敗は現金資産と株式資産の総計で決まります。
会社の数は多いものの、全体的にはすっきりまとまったシンプルな「18xx」だと感じました。最近、Deep Thought 系の変則的な「18xx」ばかりを見ていたので、こういう素直な作りは逆に新鮮です。また、これはたまたまこのゲームがそうだっただけかもしれませんが、列車の種類が多くて価格もそれほど高くないこともあって、鉄道会社の運営は思ったよりも厳しくはありませんでした。
ではラクかというとそんなこともありません。確かに会社の存続そのものが危うくなる状況には陥りにくくはありますが、それは他社も同様であり、結局は彼等との収益競争に勝たなければなりません。それはトークンスペースの少なさや、ノーマルタイルも含めて全体的にタイルの枚数がタイトになっていること、そし全体的に収益額が抑え気味になっているあたりでうまくバランスが整えられているようです。
とはいうものの、これだけの規模のゲームがたった1回のプレイですべてわかるはずもありません。他のメンバー(すべて『18TK』のベテランプレイヤー)の方々は、今回はいつもとは少し違った流れになったと言っていました。初プレイの僕にはその点についてはよくわからなかったのですが、何にせよとても面白いゲームで大満足だったことは強く書き記しておきましょう。
なお結果は3位に近い2位(この間の差は85円)でした。1位のyas-oさんとは300円近く離されていたので勝負としてはまるで太刀打ち出来なかったわけですけど、正直なところ僕はぶっちぎりで最下位かなとか思っていましたので、多少なりともゲームに絡めたようで良かったです。プレイ時間は6時間20分ほどでした。
「18TK」は現在も微調整中であり細部が変更される可能性はあります。それでも僕はこの「18TK」が発売されるのを心から楽しみにしています。なお、発売されるセットはいわゆるキットではなく、タイルも株券もきちんとカットされて、木製トークンも付いているそうです。
レポートは以上です。
中途半端に時間が余ったので、この後に「Palastgeflüster (王宮のささやき) / Adlung-Spiele」をプレイしました。
うはは、これはまた強烈に個性的なカードゲームです。でもこのメンツでやったら思わず苦笑してしまうくらいの面白さ(←?)でした。明らかに人を選ぶゲームですので、あんまり勧められるゲームじゃありませんけどね。
本日は貴重な機会を与えていただいて感謝します。
長時間、どうもお疲れさまでした>参加者各位
また機会がありましたら、ぜひお誘いください。