4日(祝)は、つなきさん宅で開かれた「18C2C会」に参加してきました。参加者は、つなきさんの他に atogさん、ヴァイスさん、それに僕の4人です。
「18C2C (Coast to Coast) / Designs In Creative Entertainment(DICE)」は、アメリカ合衆国における鉄道の歴史を、「18xx」のシステムを使って全米規模のスケールで集大成した超破格のゲームです。数ある「18xx」バリエーション中でも最大規模を誇るビッグゲームで、ボードの大きさは約97cmx約173cm。これはシングルベッドを少し短くしたほどの大きさです。「18C2C」に含まれる公共会社(鉄道会社)はなんと34社。プライベートカンパニーだけでも18社(もちろんほとんどに特殊効果あり)もあります。
ただでさえ長いプレイタイムとなる「18xx」システムで、これだけ大規模なゲームをプレイするわけですから、とても1日では終わるわけはありません。このゲーム会も計画段階から2日かけて行うこととなっていました。このレポートはその1日目の様子です。
18C2C (Coast to Coast) / Designs In Creative Entertainment(DICE)
運行ラウンドだけで3時間近く…
こんな巨大ゲームであるにもかかわらず、内容があまりにも濃いので驚きました。
アメリカの鉄道は、激しい市場競争を背景にした成功と衰退、そして再生の歴史です。伝説的な鉄道王が登場し、19世紀の終わりには大陸間を横断する鉄道が開通し、新進気鋭に富んだアメリカを大国へと押し上げる原動力のひとつともなりました。「18C2C」は、その栄光のアメリカ鉄道史を、創生期から現代に至るまでの長大なスケールで集大成した野心的な大作です。
システムは当然「18xx」の流れを汲んでいます。
以下、簡単に「1830」との主な相違点を書いてみましょう。
列車は「2」~「6」までがあって、その上に「8」「10」「12」と続きます。フェイズの数え方は列車の種類と同じ(3列車なら3フェイズ)です。廃棄タイミングは、フェイズ4で2列車、フェイズ6で3列車、フェイズ8で4列車、そしてフェイズ12で5列車が廃棄されます(パーマネントは6列車以降)。
フェイズ4以降、運営済みの2つの公共会社を合併させることが出来ます。公共会社が合併すると、2つの会社が一度に運営を行うような形になります。合併会社を構成するそれぞれの会社は「シェル」と呼ばれる単位で資産やポイントを管理します。つまり、ひとつの合併会社は2つの「シェル」を持っていると考えます。
列車の保有制限やポイントは「シェル」ごとに管理します。例えば、フェイズ4では合併していない単独の公共会社が保有可能な列車の上限は3両ですが、合併会社は1つのシェル(合併会社の片方の会社)ごとに3両ずつ持てます(合併会社全体では6両)。ただし、資金は合併会社全体で合わせて持ちますし、合併会社が1運営ラウンドで配置可能なトークン数は1個だけです。
運営時に、各鉄道会社は「3ポイント」を持ちます。黄タイルを敷設するのに1ポイント、タイル置換で2ポイントを消費し、これを自由に組み合わせることが可能です。このポイントは、プライベートカンパニーの特殊効果、中西部会社の設立直後のボーナス等で増加することがあります。また、公共会社の合併によって、使用可能なポイントが増加します(合併会社のポイントが単純に合算されるわけではない)。
最初のトークンは$40で、以後$100となります。特殊なトークンとして、会社合併後に発生する「プルトークン」と、目的地まで到達した時に配置可能な「目的地トークン」があります。
それぞれの公共会社には固有の「目的地」があります。そこまで列車を運行することが出来たのであれば、特殊なトークンである目的地トークンを目的地の都市へ無料で配置することが可能です。目的地トークンのある都市は、その会社が使用する場合は2倍の価値がある都市として計算します。
目的地へ列車を運行することが可能となった会社は、それが他社の運営手番中であったとしても、割り込むような形で「記念運行」が実施されます。これは、(いくつかの条件はありますが)通常の運行に追加される収益機会です。
個人で購入する際、1社あたりの株券保有数に制限がありません。つまり社長が設立後にいきなり100%の株券を独占することも可能です(1プレイヤーが保有可能な株券枚数の上限はある)。
会社社長プレイヤーは、所有者の同意なしで、規定の資金を支払いさえすれば、強制的に自社株券を購入することが出来ます。強制購入価格はフェイズ2では時価の1.25倍ですが、フェイズが進むごとにより高価となります(フェイズ6だと時価の3倍)。
未購入の株券は銀行で管理されます。運行済みの会社は、プレイヤーから株券を購入して内部株化することが出来ます(ただし1運営ラウンドで1株券のみで上限は1社あたり4枚まで)。また、会社の内部株は再上場することが出来ます。このあたりは「1870」ルールに似ています。
これは「アムトラック」と「コンレール」のことです。最初の6列車購入時にはアムトラック、最初の8列車購入時にはコンレールが登場する可能性あります。この時点で指定された古い列車が廃棄された時点で、列車を持たない会社はすべて国策合併会社へ強制的に吸収合併されます。似たようなルールは「18GL」などにもあります。
この他にも細かいルール(半配当やカナダの特別ルール等)があります。おおざっぱには「1830」や「1870」に準拠したルールが多く存在し、「18xx」のどれかをプレイした経験があればすぐに理解することが出来るでしょう。
このゲームは、18社もあるプライベートカンパニーの競りからゲームが開始されます(初期株式ラウンド)。競りの方式は「1830」と同様ですが、プライベートカンパニーを2列9段に並べて競りを行います。それが終わるといよいよ株式ラウンドの開始となります。
で、この日は第1株式ラウンドだけで、いきなり11社(!)も設立されました。プレイヤーの初期資金額が多い(4人プレイ時で$1800)のと、初プレイでプライベートカンパニーの相場が安かったこともあって各プレイヤーの資金にだいぶ余裕があり、必然的にこのようなことになったようです(それともこのゲームでは普通のことなのでしょうか…)。
そして最初の運行ラウンドでは、21枚もある2列車が飛ぶように売れまして、この運行ラウンドで早くも売り切れてしまいました。「18C2C」はスケールの大きなゲームではありますが、フェイズの進行速度とラウンドの進行数との割合は、通常サイズの「18xx」とあまり変わらないかもしれないな、とこの時に少し感じました。
僕が最初に設立したのは、「C&O」「Pennsylvania(PRR)」と「1830」でもおなじみの会社に、「Chicago & NorthWestern(C&N)」という、要所であるシカゴから伸びる会社の3社でした。「C&O」「PRR」は本拠地から目的地も近く、重要拠点であるニューヨークまでも近い場所にあります。さらにこの2社は距離的にも近いので、将来の合併に向けた好条件が揃っています。
それらは良かったのですが、「C&N」の方は運営が少しまずかったようで、どういうわけだか僕は本拠地シカゴから北方へ路線を敷設してしまいました。ここは当然中央部のセントルイスを経由してカンサス方面に延びるべきで、そうすると「PRR」の目的地への接続も容易になる上に、自身の目的地であるソルトレイクシティ(遠いけど…)への足場にもなるのです。
こんなに好材料が揃っているのに何を懸念していたかというと、中央部には未設立会社トークンスペースが数多くあったこと(こちらから先にその地へ線路を敷設すると、その線路を『タダ乗り』で利用する会社を他人が設立する恐れ)、序盤ではミシシッピ川を渡れない(プライベートカンパニーの特別ルール)こと、そしてミシシッピ川流域は線路敷設にコストがかかることなどです。
しかしこれは悲観しずぎで、ここは思い切って先に中央に切り込んでおいて、そこに拠点を先に作っておくべきでした。結局、この後もこの地域では細かい判断ミスが続いて、しばらくはあまり収益が上がらないことになります。
一方、東部方面では「C&O」がいち早く目的地に到達して好調。「PRR」は目的地までのルート取りが以外にも難しかったのですが、無事ニューヨークへの接続を果たしてまずまずの収益。フェイズ4でこの2社を合併させ、これでセントルイス~シカゴ~ニューヨーク間を結ぶ高収益体制の準備が出来ました。
中央部では「Missouri Pacific(MP)」を設立して「C&N」との合併をしましたが… これはちょっと強引というか、あまり美しい手ではなかったですね。それでもこの後に、そこそこは収益を上げはするようにはなるのですが、それはまた次の日ということで…
本日のレポートは以上です。
ゲーム的にはフェイズ5が始まるあたりでこの日は終了となりました。時間は午後10時過ぎだったでしょうか。日が沈んでから僕はかなり疲れてしまい、午後9時台の記憶が一部飛んでいたりします。連日この調子ではさすがにこのタフなゲームをまともにプレイするのはきついので、帰りの電車の中では、翌日の方針と共に体調管理対策なども考えていました。