26日(土)は、たまプラーザにて「Advanced Civilization (文明の曙)/ Avalon Hill」 moon Gamermoon Gamer をプレイしました。

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「Advanced Civilization」は、石器時代からローマが地中海を席巻するあたりまでのおよそ8000年に渡る人類の歴史をテーマにした壮大なゲームです。プレイヤーはひとつの「民族」を担当し、人々を大地に根付かせ、あるいは集結し、都市を作らせ、交易を行い、その実りを糧にして偉大な文明を築き上げます。

壮大と言えば「Advanced Civilization」は時間のかかるゲームとしても有名です。ルールブックには10~12時間かかるとはっきり書かれています。僕も14時間くらいかかったセッションを経験しており、いずれにせよ破格のスケールです。しかしルールはシンプルでわかりやすく、ゲームも徐々に複雑になっていきますので習得もしやすいという素晴らしい特徴も持っています。

「Advanced Civilization」の前バージョンにあたる「Civilization」は1981年の制作されたゲームで、当時としては斬新でエポックメイキングなシステムが大変な評判を呼びました。その後いくつかの追加カードやオプションマップが発売されてましたが、1991年に大幅なルール改訂とカードをリニューアルした「Advanced Civilization」が発売されました。

「Advanced Civilization」は「Civilization」の追加改訂セットという形を取っています。特に「貿易カード」は、旧版のカードに新版を加えたり差し替えたりするのですが、旧版の使い古されたカードと新しく追加されたカードは裏から見てもその違いがよくわかってしまいます(そもそも紙質がかなり異なっています)。特に災難カードがすぐにわかってしまうのはゲーム的にも問題がありました。

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ということで、僕は写真のように貿易カードは全て自作したものを使っています。貿易カードをスキャンして拡大し、打ち出したものを台紙と共にスリーブに入れただけですが、少なくとも裏から見て識別出来てしまうような問題はなくなりました。もちろんカードの置き場所も簡単ながら別に用意しました。

さてこの日はインストが始まったのがだいたいお昼の12時過くらいで、予め終了時刻を時間を21時くらいまでと決めて行いました。集まったメンバーはファラオさん・つなきさん・かゆかゆさん・Realさん、それに僕の5人でした。「Advanced Civilization」はファラオさんが2回目で、残りの僕を除いて初プレイでした(ちなみに僕は旧版を入れるともう20回くらいやっています)。

5人プレイなのでマップの東端の1/4は使用せず、バビロニアは物理的に存在しません。で、今回選択された民族国家は「イタリア」「トラキア」「アジア」「エジプト」「クレタ」でした。

ゲームは、各自たったひとつの「トークン」から開始されます。トークンは人の集団を表しています。トークンはエリアの中で増加し、さらに隣接したエリアに移動することが出来ます。トークンが6個(あるいは12個)が集まるとそこに都市が建設されます。

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都市からは「貿易カード」を得ることが出来ます。貿易カードは価値の低いものから高いものまで何種類かあります。これらは単体ではわずかな価値しか持てませんが、同種類のカードを合わせると高い価値を持つようになります。単に都市から得られる貿易カードだけを収集していては効率が悪いので、他のプレイヤーと貿易カードの交換を行うことで手札の改善を図ることが出来ます。これを「貿易」と言います。

価値の高まった貿易カードを使用することで「文明」カードを購入することが出来ます。文明カードには「神秘主義」「農業」「薬学」「哲学」「一神教」「民主主義」などいくつかの系統にわたって全24種類あります。高度な文明はコストが高いので、初歩的な文明から徐々に高い文明へと発展させることになります。

また、いくつかの文明にはさらに別の文明を購入する時にコストを安くするものがあります。これを「クーポン」と言います。例えば「神秘主義」は、芸術のカテゴリの文明に5点と宗教のカテゴリの文明に15点のクーポンが付いています。この後で宗教カテゴリの「原始信仰」を購入する時には、本来のコスト80点ではなく、65点で購入することが出来ます。

ほとんどの文明には何らかの特典があります。「機織」を持っていると船の移動距離が長くなります。「天文学」を持っていると、さらに広い範囲に船を移動させることも出来ます。「薬学」や「土木工事」のように「災難」の被害を減らす効果を持つものもあります。この文明カードこそが、本作品の最大の魅力です。

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「災難」とは、「Advanced Civilization」で避けては通れないバッドイベントです。貿易カードの一部は「災難」カードとなっています。災難には2種類あって、受け取ったらその効果を受けなければならないものと、他のプレイヤーに渡せるものがあります。後者は貿易を行う時には、他のプレイヤーに渡す貿易カードにこっそり入れることが出来ます。この「災難」の効果はかなり大きなもので、盤上の状況が一変することもしばしばあります。

最後に、歴史進歩テーブル(AST)で各民族国家を進歩させます。進歩は時代によって区分され、まず「石器時代」から開始し、「青銅器時代・前期」「青銅器時代・後期」「鉄器時代・前期」「鉄器時代・後期」の5つがあります。一定の条件を満たしていなければ新しい時代へ進むことは出来ません。この条件は都市の数と文明カードの点数・グループ数・枚数などでチェックされます。

勝敗はゲーム終了時の点数で判定されます。文明カードの点数・歴史の進捗度・都市の数・残った貿易カードの点数などが加点され、最も大きいプレイヤーの勝利です。

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「Civilization」発売当時、このように複合的な要素を持つゲームはまだ少なく、当然ながらその中では図抜けた存在でした。また、その後に発売されたゲームにも多大な影響を与え、「マクロ的視点に立った歴史ゲーム」という新しいジャンルを生み出すきっかけにもなりました。

ただ、現代のレベルの高いゲームに慣れた目からすると、収束性が甘かったり、展開がやや冗長である等の不満は見えてしまうのは確かです。特に収束性の低さは「Advanced Civilization」の大きな欠点で、最後は互いに足を引っ張り合ってASTを進ませないようにするため、終わりそうでなかなか終わりません。今回は終了時間を決めてゲームを行ったので9時間ほどで終わりましたが、そうでなければもう2~3時間はかかっていたでしょう。

「Advanced Civilization」は、長い時間をひとつのテーブルで共有することが出来る気の合う仲間がいなければ成立しえないゲームです。またそれを行う価値のある高いポテンシャルを持つ素晴らしいゲームでもあります。ですから、多少の欠点があろうとも、僕はこれからもこのゲームをプレイする場には積極的に出向くでしょうし、またそういう場を作って行きたいと願っています。
http://www.boardgamegeek.com/game/177

さて、まだもう少し時間が余っていたので新作をプレイ。

Big Kini / Playme.de moon Gamermoon Gamer

PlayMe オリジナルゲーム。4人

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「PlayMe」は、フリーク御用達のドイツにあるゲームショップで、「Big Kini」は PlayMe が制作し販売を行っているオリジナルゲームです。かゆかゆさんが持ち込んでさっそくプレイ(かゆかゆさんは2回目のプレイ)。

島を発見し、そこで政治的な影響力を高めることを目指すゲームです。1枚のヘクスタイルには3つの島があり、そこに自分のキューブを配置することで、島の機能を使用することが可能になります。島には「新しい住人を生み出す」「資金を生み出す」「特産品を生み出す」という3つの機能があります。またタイルに描かれた船の数によってコマの移動する距離が決まります。

キューブがタイルで配置される位置によって「ポスト」が決まります。これらのポストをプレイヤーが得て、その後アクションを行うことで島を活動させて何らかの利権を得ることが出来ます(さらにはゲーム終了時に勝利得点も獲得します)。プレイヤーは手番で定められた6つのアクションのうちのひとつを行います。これを各プレイヤーは順番に2回ずつ行ったら1ラウンド終了で、全12ラウンドを行った後に得点の高いプレイヤーの勝利です。

1つのアクションは1ラウンドで3回までした選ばれません。あるアクションをそのラウンドで最初に選択したプレイヤーは、そのアクションを連続2回行うことが出来ます。2回目に選択したプレイヤーは1回だけ行います。3回目に選択したプレイヤーは、コスト2を支払って1回のアクションを行います。

なかなか面白そうなメカニクスですし、十分に遊べるゲームではあるのですが、細かいバランスの調整やブラッシュアップがまだまだ不完全な印象を持ちました。ここからテストプレイを重ねて磨き上げていくべきなのですけれども、デザイナーはそれをこの段階で打ち切ってしまったようです。喩えていうなら無料配布のお試し版レベルというか。テーマも着想もいいのにものすごく惜しい。
http://www.boardgamegeek.com/game/20228

レポートは以上です。
大変に長い時間の間、一緒にプレイしていただいた方々には心から感謝いたします。
またぜひ一緒に遊んでやってくださいませ。