moon Gamer - ボードゲームブログ

テーブルゲーム(ボードゲームやカードゲーム等々)と、その周辺の話題を中心にした個人ブログです。

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30日(土)は、SGC有志が集まって「Revolution (オランダ革命) / Phalanx」moon Gamermoon Gamermoon Gamerをプレイしました。個人的には先月の初プレイに続いて2回目です。

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前回は4人でしたが、今回は念願の5人フルプレイが実現して感激です。ゲームの方は実に7時間以上(+インスト)もの熱戦となり、とても濃密で充実した時間を過ごすことが出来ました。

「オランダ革命」は、複雑なメカニクスを持つ陣取りゲームです。しかもそこに偶然の要素はまったく介在しません。交渉の内容も含めて、秘匿される情報もありません。全てはプレイヤーの意志決定により盤面が変化し、それによってポリティカルにゲームは進行します。

「オランダ革命」は、いわゆる地政学ゲームとは趣が異なっています。エリアの取り合いではなく、エリア内の主導権争いが主眼となっているからです。エリアごとの独立性は高く、隣接したエリアへの干渉はほとんど行えません(別の手段を使います)。

通常、この種の陣取りゲームでは、エリア内で1位と2位のプレイヤーにポイントを与える、というようなルールをドイツゲームではよく見かけます。しかし「オランダ革命」では、もう少し込み入った要因を幾重にも絡ませることによって、より高度な戦略ゲームとして構成されています。

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今回は5人プレイとなり、保守派として「カトリック」「ハプスブルグ」に「貴族」が加わりました。

「貴族」は、都市において市民の忠誠をより「中道」寄りにしようとします。保守勢力でありながら、市民が極端な宗教的思想に傾倒するのを望まず、ひたすら資源タイルを広く薄く配置することを目指します。

ただ今回のゲームで貴族プレイヤーは、この市民の状態を変化させる「競り」にあまり介入せず、マップ上の資源タイルの争いに終始していました。この方針がどうだったかは議論の余地があるかと思います。

僕は市民勢力を担当し、改革派プレイヤーと連携をしながら Holland 周辺でがんばっていたのですけれども、上記のように貴族が市民の状態に介入しなかったため、序盤に豊富な資金力を持つカトリックは大々的な布教に成功し、世論はカトリック一色となってしまいました。

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盤上で資源タイルや軍隊の争いに勝利して都市を支配したとしても、その市民がカトリックに強く傾倒していると、その都市から反カトリック勢力の資源タイルが1枚除去され、さらにカトリック勢力が1枚湧いて出てきてしまいます。このため、改革派も市民も都市の支配が思うように出来ず、その結果として資金不足に苦しむことになりました(都市は重要な資金源です)。

こうなるとさらに資金力の差は拡大し、改革勢力はどうにも動きが取れなくなってきました。一方改革派の方も Flanders でハプスブルグの大軍勢によって支配を奪われ、貴重な都市を3つも失うこととなり、革命は失敗に終わったかに思えました。

2ラウンド終了時点こんな状態だったので投了しようかも思ったのですが、保守勢力はいずれも資源タイルのストックが不足しており、特にカトリックは税収を調整してもストックが枯渇する状況になっているのを見て、これはひょっとしたらまだチャンスがあるかも、と思い直しました。

このゲームは資源タイルを一度盤上に配置してしまうと、それをストックに戻す手段が限られています。貴族プレイヤーがカトリックやハプスブルグの支配下で何やら暴れており、その対応に迫られて、保守勢力のタイルが終盤で足りなくなるような気がしたのです。

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そこで市民勢力としては、4ラウンドまでは最低VPで最終手番を取り続け、支援ボックスの London Merchant の資金を活用しつつ、拠点となる都市の市民の状態を少なくとも「強いカトリック」の状態に出来るだけしないように努めました。

軍隊は2個だけ持ち、ひとつは Holland(重要な資金源の防御)へ、もうひとつは Zeeland(5地方に隣接する要所)に配置し、最低限の軍事力で当面は現状維持を図ることに専念しました。このように、最終ラウンド(5ラウンド)に勝負をかけられるような体制を整えておけば、まだチャンスはあるように思えました。

そうこうしているうちに4ラウンドには改革派が Köln を制圧し、各地の大学も開校し始めてスコアが伸び始めます。各地域では資源タイルや軍隊による紛争が散発的に起こり続け、革命はいよいよクライマックスの5ラウンドを迎えます。

ここで市民勢力は、London Merchant の支援タイルを Generality の支配のために展開し、Huguenots に張り付いていた支援タイルも最北端の商業地がある Friesland に差し向けました。そして、改革派の支配している Gelderland を争議によって奪取し、続いて Holland の支配も大量の資源タイルを投入して確立しました。最終ラウンドにおける市民勢力の電撃的な一大攻勢によって状況は一変したのです。

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最後に、カトリックによって市民の状態を変化させるべく資金が各地にばらまかれましたが、これも何とか市民勢力がしのぎきって、オランダ革命は市民の手によって成就することとなったのでした。

2回目のプレイで、ようやくいろいろなことがわかってきました。保守と改革の両陣営は、それに属する勢力の連携が重要です。しかしそれは不安定な関係であることも忘れてはなりません(特に最終ラウンド)。各勢力には長所と目的があり、同時にそれぞれが固有の苦悩を抱えています。それらをよく理解した上で慎重に自分の行動を選択するべきです。

資源タイルの管理は5人プレイではさらにシビアです。資源タイルは固定的ですが、その一方で支配状態は流動的なため、目先の支配や収益にこだわり過ぎると、ストックが枯渇して行動の選択肢が狭まります。全ての勢力が扱うタイルの枚数は同じですし、ゲームの目的は最終的なスコアで決まるのですから、一時的に不利な状況になったとしても慌てる必要は何もありません。

最終ラウンドに手番が何番目になるかは非常に重要です。そのため、直前の4ラウンドに何をすべきかをよく考えておきましょう。最終ラウンドに資源タイルが不足することだけは絶対に避けなければなりません。

個人的にはとても面白いセッションだったのですが、今回の参加者全員が「オランダ革命」そのものに満足したわけでもなかったのがちょっと残念ではありました。

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さて、「オランダ革命」が終わった後は「Sag's mit Symboien (シンボルで言いましょう) / Amigo」で盛り上がりました。

ちょっと時間がかかることがあるのと、カードが日本語化されていないと不便な気がしましたが、ゲームそのものは誰でも気楽に楽しめるお手軽な内容でよろしいかと思います。

さて日曜日もゲーム会です。体力が持つかな…

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前回(6/11)にプレイした 「Revolution (オランダ革命) / Phalanx」について、原文ルールの一部不明瞭な点になどについてまとめてみました。この記事の内容は、1回だけプレイした直後の私的な解釈であり、あくまでも参考程度にご覧いただければ幸いです。

◆FAQについて

このゲームの「FAQ」は2種類存在します。
公式サイト上のものと、BoardGameGeek に登録された文書です。

後者は、購入者のひとりが発売元の Phalanx 社に送ったメールの返信を元にした情報で、正確には公式のFAQではありませんが、少なくとも BoardGameGeek 内では、現在のところそれに準ずる扱いを受けている文書です。6/11 (土)は、この解釈に基づいてプレイされました。

◆新しいタイルの配置について(5.2/6.10)

ラウンド0の新タイル配置ルール(5.2)と、ラウンド1以降のルール(6.10)は異なっています。

▼ラウンド0
 →地域内の自勢力タイルの2倍の枚数まで配置可能。

▼ラウンド1以降
 →地域を支配していれば追加配置枚数は無制限。
 →そうでなければ、その地域に配置している自勢力タイルの枚数まで追加配置可能。
  ただし、都市内の資源タイルはカウントされません。
  ※街の資源タイルはカウントされます。

つまり、地域(Province)に資源タイルを配置していなければ、その地域内の都市(City)に資源タイルを配置していたとしても、新しい資源タイルを追加することは出来ないということです。なぜなら、新タイルは「地域に配置している自勢力タイルの枚数まで」なので、都市内にだけ配置してあっても「0枚」ということになり、追加配置を行えません。この解釈の根拠は、上記 BoardGameGeek のFAQ文書によります。

ルールブックでは微妙な記述になっているため、この解釈には異論も出ています。このあたりの議論は、このアーティクルに詳しいです。

◆新しいタイルの補充と配置について(6.10)

これはラウンド1以降の問題です。

新しい資源タイルをストックから補充する枚数はルールに規定されています。ストックに十分な枚数がある時に、補充可能な枚数の資源タイルを必ず全て受け取らなければならないのでしょうか。また、新しく受け取った資源タイルは、必ず全てマップ上に配置しなければならないのでしょうか。

前回のゲームではいずれも「しなければならない」ことであるとして解釈しました。ストックの管理が厳しいゲームですので、特にゲーム終盤では問題になりやすいケースがありますが、そういうものとして計画的にプレイする必要があります。

※ルールでは、地域を一つも支配しておらず、物理的に配置不能になった資源タイルが資金に変換可能であるとは書かれています。

◆軍事的影響について(6.9)

「包囲戦(6.6)」を行っていたり、コマンドボックスでスタンドオフ状態の軍隊が、「軍事的影響(6.9)」を行えるかどうかが 前回のゲームで議論になりました。少なくともルールには、軍事的影響を行う軍隊がどのような状態でなければならないかについて規定はありません。

05/07/29付記:訂正します。軍隊がいるコマンドボックスに敵対する軍隊がいれば軍事的影響を行えないというルールが記述されていました。

この時は、包囲戦を行っている軍隊は「軍事的影響」を行うことは不可で、スタンドオフ状態であれば可能ということにしてプレイしました(05/07/29付記:スタンドオフ状態の軍隊は軍事的影響を行えません)。

包囲戦を行っている軍隊が軍事的影響を行えないとはルールに記述されていませんが、それを可能にしてしまうと、あまりにも軍隊が強力になりすぎて、感覚的に変な気がしたためです。

また、コマンドボックスに同じ勢力の複数の軍事が存在する場合、それらが個別に軍事的影響を行えるかどうかもルールの記述からは明確ではありません。これは「各プレイヤーは、自分の軍隊が存在するコマンドボックスごとに1回ずつ軍事的影響を実行可能」というようにしました。つまり、コマンドボックスの自分の軍隊が複数存在したとしても、その地方で「軍事的影響」を行えるのは1回だけとしました。

05/07/29付記:これも恐らく誤りで、軍隊タイルは1枚ごとに軍事的影響を行えます。

◆包囲戦と軍隊の移動について(6.6/6.8)

軍隊が包囲戦を行うと、その都市に軍隊ユニットを移動させます。そうすると見た目はコマンドボックスのマスが空いているように見えます。そのマスに別の軍隊ユニットが「軍隊の移動」を行えるかどうかが議論になりました。

これは「出来ない」ということで処理しました。包囲戦が終了した後に、その軍隊ユニットが戻る先が無くなってしまうことがありますので、この処理は妥当だと思います。

◆海賊の妨害行動について(6.7.4)

1枚の海賊タイルは、カトリック側の勢力に属する1枚の軍隊ユニットの移動と軍事的影響を妨害することが出来るとルールには記載されています。しかし、これは相当に曖昧な規定で、コマンドボックスに複数の軍事ユニットが存在する場合は、どのように「妨害」を処理するのかが不明瞭です。

前回のゲームでは、海賊タイルが妨害行動を行う時には、海賊を購入したプレイヤーが、妨害対象となる軍隊ユニットを1枚選択することとしました。

他の解釈として、とりあえず妨害行動を行う海賊をコマンドボックスのそばに置いておいて、そこにいる軍隊ユニットが何か「移動」や「軍事的影響」の行動を行う時に、海賊が妨害を行うかどうかを選択する、という処理もありえます。

◆中立タイルの配置について(6.12)

1ラウンド以降の「中立タイルの配置(6.12)」は、プレイヤーの勢力タイルが配置されている地域だけを対象とした方がいいと思います。ルール原文には、「全ての地域に中立タイルを配置する」という記述の直後に、「プレイヤーのタイルが配置されている地域に中立タイルを地域リミットまで配置する」という、一見すると矛盾する記述が続いています。

Neutral (grey) pieces are now added to all provinces where there is room.
In each province the players place as many neutral pieces as to reach but not to exceed the Province Limit.

この後の「流出」ルールとの関連性を考えると、中立タイルだけが配置されている地域や、何のタイルも配置されていない地域には中立タイルは追加配置しない方が自然な処理かと思います。

◆流出について(6.13)

これは確認です。「中立タイルの配置」が先に行われるので、1ラウンド以降の「流出(Overflow)」は、タイルが置かれていなかったり、あるいは中立タイルだけが配置されているような地域に対してしか起こりません。

これについては、流出先で地域リミットの上限チェックから中立タイルを除外してはどうか、というやや強引な解決策が提案されています。個人的見解ですが、これはあまりおすすめしません(全く別のゲームになります)。

◆地域内の移動について(6.14)

これも確認です。ある地域で、後から移動させるプレイヤーのタイルは、先に移動させるプレイヤーに移動させられたとしても移動は可能です。ただし、先に移動させたプレイヤーのタイルは、仮に地域内で移動していなくても、後で移動させるプレイヤーが移動させることは出来ません。

また、どの地域から「地域内の移動」を行うかについて、ルールには「どの地域から行うかは関係ありません」としか書かれていません。確かにめったに関係することはありませんが、最終ラウンド(第5ラウンド)については、得点計算の関係から、相手の動きを見てから自分の立場を決めたいようなことがあります。前回のゲームでは、順番が問題になる時には、プレイ順が最初のプレイヤーが、どの地域から処理を行うかを決めることにしました。

◆都市の忠誠について(6.16)

市民の忠誠が変化した結果、都市から資源タイルがなくなってしまった場合、そこに中立タイルを配置するかどうかの規定がありません。前回のゲームでは特に何もしませんでした(都市が空白となっていました)。

また、市民の忠誠が変化したことによる都市に資源タイルを追加する時には、その勢力のストックに資源タイルがある限り、これを強制としました(意図的に中立タイルを追加することは不可ということです)。

どの都市から忠誠変化のチェックを行うかについて、ルールに規定がありませんが、リストの上から(つまりアルファベット順で)行っていました。

◆大学に譲渡について(6.19)

原文のルールからしてえらくややこしい書き方になっているのですが、Köln と Leuven は、大学が都市にあるか街にあるかの違いだけで、改宗する条件やカトリックに戻る条件はほぼ同じです。以下は、ラウンド1以降の大学改宗ルールのまとめです。

 ・改革派の支配によってのみ改宗する
 ・カトリックかハプスブルグ家の支配によってカトリックに戻る
 ・貴族や市民の支配では変わらない
 ・Kölin が未支配になったり、Leuven に中立タイルが置かれると
  カトリックになる(※ここだけ異なる)。

その他の大学については、一度でも改革派によって改宗された後は、仮に改革派の支配が失われたとしても、カトリック・ハプスブルグ家によって支配(つまり廃止)されない限りは、ずっと改宗(プロテスタント)のようです。改宗した大学が貴族に支配されたとしても、そのままであると解釈しました。

ここで謎がひとつ。援助ボックスの「Calvanists(カルヴァン派信徒)」は、移動先が「既に大学が存在するか、将来的に大学が設立するいずれかの地域(Any province with a existing or future university.)」と書かれています。大学は全てマップ上に記載されており、新しく設立される大学なんてルールは存在しません。なので、この「将来的に大学が設立する地域」の意味は今もって不明です。とりあえず「大学の存在する全ての地域」と解釈しましたが…

moon Gamer ◆余談

6/11 (土)のゲームでは、こんなプレイエイドを作ってみました。都市・州・大学の読み方を明記したシートです。都市に関しては位置も示してあります。

地域的にオランダ語・ドイツ語・フランス語が混在していることもあり、調べるのがちょっと面倒だったのですけれども、こういう歴史的背景を持つゲームは、実在の地名を言いながらプレイした方が絶対に面白いと経験上わかっていたので、がんばって作りました。おかげさまでオランダやベルギーの歴史的知識も、さわりだけではありますが勉強することが出来ました。

ちなみに BoardGameGeek には、各勢力のセットアップを図式化した画像ファイルも置いてあります。これはかなり便利なのでぜひ使いましょう。

蛇足:
「Revolution」は、同じデザイナーの「Civilization」と似たようなリソース管理になっています。つまり、場にタイルを置きすぎると、後で予備のリソース(タイル)が不足してしまい、結果としてひどい目に遭うような構造になっています。ですから、限られた資源タイルを出来るだけ少ない枚数で効率的に使うにはどうしたらいいかを考えるゲームなのだと思います。

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11日(土)は、千歳烏山のゲーム倉庫にて、「Revolution (オランダ革命) / Phalanx」 moon Gamermoon Gamermoon Gamer をプレイしました。16世紀後半のオランダ独立戦争(八十年戦争)をテーマにした重厚なゲームです。

デザイナーの Francis Tresham は「18xx」シリーズや「Civilization (文明の曙) / Avalon Hill」を手がけた巨匠であり、本作品は彼が実に15年の月日を投じて制作されたということで、発売当初から大きな注目を浴びていました。

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「オランダ革命」は、ルールブックにも記載されているように、歴史的な再現性を目指したヒストリカル・シミュレーションではなく、当時の特徴的な状況や要素を抽象化して再構成し、それを純粋にゲームとして楽しめるようにデザインされたマルチプレイヤーゲームです。

プレイヤーは、「カトリック」「ハプスブルグ家」「貴族」「市民」「改革派」のいずれかを担当します。

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「カトリック」は最も保守的な勢力です。その名の通りカトリックを主体とした現体制を維持し、スペイン(ハプスブルグ家)による支配体制を望んでいます。ゲームでは、より多くの司教(Bishoprics)を、カトリックに感化させることが目的になります。

「ハプスブルグ家」もカトリック寄りの保守勢力です。強大な軍事力を背景にした絶大なる権力を持ち、反体制勢力の鎮圧と、各地域の安定的な領有を望んでいます。ゲームでは、軍隊(Army)タイルを多くの地方へ派兵することが目的になります。

「貴族」もカトリック寄りの保守勢力です。支配階級の地位を得てはいますが、時流を見るに敏でもあり、民衆の支持状況に応じて自らの立場を変えました。ゲームでは、より多くの資源タイル(影響力を表す)を配置し、保守・改革の間に立つバランサーになることが目的となります。

「市民」は、一般的な改革勢力です。何よりも重い租税からの解放と、自らの手による交易と産業の発展を望んでいます。ゲームでは、より多くの交易都市を自勢力の支配下に入れることが目的となります。

「改革派」は、最も過激な改革勢力であり、宗教的な自由と解放を求める革命の原動力です。彼らは、より多くの人々をプロテスタントに改宗させることを望んでいます。ゲームでは、出来るだけ多くの「大学」をプロテスタントに改宗することが目的となります。

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それぞれの勢力は、大きく分けると「カトリック(保守)」と「プロテスタント(改革)」の2派に分かれます。ゲーム初期にはカトリック勢力、特に「カトリック」と「ハプスブルグ家」の力が強大で、場に強い影響力を持ちます。しかしゲームが進行するにつれて徐々に改革勢力が台頭し、その均衡が破れることによって革命はクライマックスを迎えることになるでしょう。

この他、一連の勢力争いに荷担する第三勢力もいくつか登場します。カトリックを支持するのはイエズス会(Jesuits)や神聖ローマ皇帝(Support from the Emperor)ですし、カルヴァン派信徒(Calvanists)やロンドン商人(London Merchants)は改革派寄りです。ハプスブルグ家の要請によってオーストリアの介入(Austrian Invention)が行われることもありますし、改革派と市民は海賊(Water Beggars)を雇い入れて傭兵のようの使うことも出来ます。

ドラマチックな背景とは裏腹に、ゲームシステムはかなりストイックです。例えば、ゲームが開始されてしまえば、偶然はまったく排除されてしまいます。的確な読みと綿密な交渉に裏付けられた正確なアクションだけが勝利への近道となるでしょう。

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プレイヤーは、自勢力の「資源タイル(Resource Tile)」を各地方へ配置することによって、そこで決定的な影響力を及ぼそうとします。地方には「地域」「街」「都市」の3つのポジションがありますが、まずは「地域」に対してタイルを配置します。最も多く資源タイルを配置したプレイヤーは、「地域」だけではなく、その地域に存在する「都市」や「街」の支配にも有利となります。

「軍隊(Army)」は、地域における他プレイヤーの資源タイルを強制的に自分の勢力下へと変えてしまう機能を持っています。また、他の勢力の軍隊と戦闘を行って排除することも可能です。軍事力は強力であり、その行使は地域の効率的な支配には必要不可欠です。しかし、軍隊を新しく編成するにも維持をするにも少なからず資金コストが必要です。

また、12個ある「都市」は、資金を投入することで「より強いカトリック」から「より強いプロテスタント」まで5つの状態(市民の忠誠)を変化させようと試みることが出来ます。都市がカトリック支持に傾くと、反カトリック勢力の資源タイルが除去されたり、カトリック勢力のタイルが追加して配置されたりします。プロテスタント支持に傾くとさらに極端な効果が適用され、その都市の全ての資源タイルがプロテスタント勢力(改革派など)に変わってしまうことがあります。

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最後に、「地域」と「都市」の支配を確定します。地域の支配は、より強固な影響力の行使(配置する資源タイルの個数制限が無くなる)につながり、都市の支配は資金の安定調達(税収は支配している都市から行われる)に欠かせません。「街」の支配は新しいユニットの獲得に重要な意味を持ちます。

このゲームの大きな特徴に、資源タイルのマネージメントが極めて厳しいという点が上げられます。各プレイヤー資源タイルの上限枚数は決まっています。資源タイルの裏側を資金として使うので、税収を取りすぎてストックが減ってしまうと、マップに配置するための資源タイル(これもストックから取る)の枚数が不足してしまうことになります。

さらに深刻なのは、地域や都市などに資源タイルを配置した後で、それを自分のストックに戻す手段がかなり限定されているということです。あちこちの地域に無節操に手を伸ばしてマップ上に資源タイルを配置しすぎると、ゲーム後半になって資源タイル不足に泣くことになるでしょう。

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ある地域に配置された資源タイルは、基本的にはその地域のために使用されます。その地域に隣接した地域へ資源タイルを移動させることも出来ないわけではありませんが、極めて限定された状況でしか行えません。ですから、マップ上に資源タイルを配置することは、メリットとリスクをよく考えた上で計画的に行う必要があります。普通の地政学ゲームに慣れているプレイヤーは、この変形的なメカニクスに違和感を覚えるかもしれません。

今回のゲームは4人でプレイされました(4人では『貴族』勢力を抜いてプレイします)。午前11時30分ごろからインストが開始され、午後1時少し前からゲームが開始されました。ゲームが終了したのは午後8時前です。予想通りに長いゲームではありましたが、少なくとも後半過ぎは、わりとスムーズに進行しました。

大変に残念なことに、「オランダ革命」のルールにはいくつか不明瞭な点があります。BoardGameGeek でも多くの議論を呼んでいますので、これは日本語ルールの問題ではなくてオリジナルルールの問題です(日本語訳ルールには別の問題がありますが…)。事前にかなり下調べをした上で本日のゲームに臨んだのですが、それでもルールの確認と話し合いのために何度もゲームが中断されました。

最終的には全員が了承の上で進行して決着は付きましたし、ゲームそのものはとても楽しめたのですけれども、ルールについては今ひとつすっきりしない感じが残りました。「オランダ革命」のルール問題点については、後日、別の記事としてまとめようかと思います。

今回の参加者は、taro さん・phy さん・K野さん、そして僕の4人です。みなさま、長時間本当にお疲れさまでした。またぜひやりましょう。
※個人的に、今度は「貴族」入りの構成(5人か3人)でぜひ遊びたいです。

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それはさておき(何が)。

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Revolution (オランダ革命) / Phalanx moon Gamermoon Gamer のルールを詳細解析中。写真のようにゲーム盤にコマを並べ、実際に動かしながら確認をしています。というかですね、そうでもしないと流れがよくつかめない摩訶不思議なゲームです。この手の大型戦略ゲームには馴れていますし、似たようなテイストのゲームで全体のイメージを連想しようと思ったのですが、ルールブックだけではどうしても全容を理解し切れませんでした。

「オランダ革命」は基本的には陣取りですが、ゲームが始まった後はイベントカードやサイコロなどの偶然の要素は一切なく、プレイヤーごとの特殊能力もほとんどありません。ゲーム中に扱われる情報は、プレイ中の交渉内容も含めて全て公開されます。マップ上の情報も多くはなく、コマに数字も書かれていません。何というか、最近のゲームにしては珍しいくらいの実に骨太かつ硬派なゲームではないでしょうか。

プレイヤーは、当時の代表的な5つの勢力である「カトリック」「ハプスブルグ家」「貴族」「市民」「改革派」のいずれかを率いて、自勢力の拡充を目指します。5つの勢力はそれぞれに独自の勝利得点(VP)獲得方法があります(共通のVPもあり)。こういう仕掛けは、今日ではそれほど珍しくありませんが、それに絡めてルール・マップ・コンポーネントで微妙な対立構造が起こりやすいよう、例外処理を極力抑えた自然な方法で調整されているのが実に素晴らしい。Francis Tresham による、ゲームデザインの鑑ともいえる練達な技と言えます。

まだ日本語の情報が少ないのですが、ゲームの解説がこのページにあります。これは、このゲームのルール全体をまとめた力作です。ただ、これだけ読んでも実際のゲームの動きを想像するのは難しいかもしれません。僕はかなり助かりましたけれども。

残念なのは、どうもルールの解釈でまだ一部混乱していることでしょうか。BoardGameGeek で調べたりもしていますが、人によってルールの解釈が違っていたり、Phalanx の公式な回答ですら不完全だったりするので、もう何が何やら。どうかすると8時間はかかるゲームなので、ここらへんはプレイする前にしっかり調べておきたいと思っています。

ということでまだ格闘中。気合い入れて続けます。

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